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僕だけのものにする決意

──任務で訪れたはずの式場。
まさか“浮気の証拠押さえ”が目的とは思わず、
現場はまるで昼ドラのクライマックス。
ヒールの音と罵声が飛び交う中、君はスタッフのふりをして静かに書類を持ち運ぶ。

「……探偵って、こういうこともやるんですね……」

君がぽつりと呟いたその横で、乱歩はポップコーンでも出しかねないテンションで見守っていた。

 

でも──本当の“事件”はそのあとだった。



任務終了後。
ほっとひと息つく間もなく、
式場スタッフの女性が飛んできた。

「あの!すみません!その立ち姿、完璧です!ドレスモデルやってもらえませんか!?」
「は、はぁ!?いや、私は探偵社の──」
「最高に清楚で凛としていて、しかも今のバランスが理想なんです!」
「(理想て……)」

名乗っても通じない。
いや、通じたところで**「逆にリアリティあるからOKです!」**と押し切られ、
気づけば、
君は純白のマーメイドドレスを着せられていた。

ドレスは──
体のラインがくっきり出る、シンプルで美しい曲線。
鎖骨がきれいに浮き、
背中は大胆に開いて、
まるで君の“静かな強さ”を引き立てるかのよう。

照明が当たると、
その肌も瞳も、誰よりも眩しく見えた。

 

そして、撮影も終わり、
控え室に戻ろうとしたその瞬間。

 

「──それ、正式な依頼だったんだって?」

 

太宰の声。
いつ来たのかもわからなかった。

ドアの隙間から現れた彼は、
君を一目見て、しばらく言葉を失った。

 

「……ああ……これは、ダメだね」

「……は?」

「僕以外に見せちゃいけないやつ。
 いや、もう手遅れか。あぁ、でも、
 その腰のラインと背中のカーブ、誰が見ていいって言った?」

「え、いや、仕事ですから……」

「うん、知ってる。探偵社の仕事でしょ?
 でも、正式な“恋人”としても、これには異議申し立てしたい。」

 

太宰は君に近づいてきて、
ドレスの背にそっと触れる。

「……ふふ。
 ほんと、キレイだね、君。
 誰よりも綺麗だよ。
 だから“見せたくない”って気持ち、どうしても出ちゃうんだよねぇ」

太宰の指が、
君の薬指に重なるように触れて、囁いた。

 

「……このまま式、挙げようか?
 今ならちょうど、式場も空いてるし──
 ドレス姿、僕だけのものにしようよ。」

 

──もちろん冗談めかして言っているけれど、
その瞳は、どこか本気だった。

君はふっと息をついて、笑った。

「その時は……このドレス、もう一度着てもいいですか?」

「あぁ、でも“その時”は、誰にも見せないよ。
 誓って、君だけの式にする。
 誓って──君が“誰のものか”を、世界に刻む。」

→誰が許可した!(ざわつき編)
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