たたみが下から笑ってる
太宰は、リビングの入り口で止まった。
静かに、けれど確実に、その眉がピクリと動く。
キッチンの奥では、君が手際よく家事をこなしながら、妙にリズムよく──しかしなんとも不穏な内容の歌を口ずさんでいた。
「コンコン コンコン 釘をさす…」
その声は、淡々と、感情を排したような調子。
なのに、なぜだろう。聴けば聴くほど背筋が寒くなる。
──君は、呪詛を歌いながら洗濯物をたたんでいる。
この光景にゾクリとした太宰は、そっと息を呑んだ。
「……ねぇ君、それって……」
「歌です、ただの歌です」
微笑みながら言うその表情は可愛い。
けれど口元の笑みと、指先に込められた“釘を打つような”力強さが、なんとも言えずミスマッチで。
「……もしかして、明日の潜入、そんなに嫌なの?」
「…………ちょっと、だけですね」
君は目を逸らした。
太宰は一瞬黙り込み、真剣な顔で手を伸ばす。
「とりあえず、包丁を置こうか。君が物理的に誰かに釘をさす未来が見えるから」
──このあと、君が「た、たたみが笑ってるって歌詞が一番好きなんですよ!」とごまかし始めるところまでが、いつもの穏やかな休日のワンシーン。
太宰は、次の潜入任務が終わったら全力で甘やかすと心に決めた。
(少しだけ君のメンタルケアも兼ねて)
静かに、けれど確実に、その眉がピクリと動く。
キッチンの奥では、君が手際よく家事をこなしながら、妙にリズムよく──しかしなんとも不穏な内容の歌を口ずさんでいた。
「コンコン コンコン 釘をさす…」
その声は、淡々と、感情を排したような調子。
なのに、なぜだろう。聴けば聴くほど背筋が寒くなる。
──君は、呪詛を歌いながら洗濯物をたたんでいる。
この光景にゾクリとした太宰は、そっと息を呑んだ。
「……ねぇ君、それって……」
「歌です、ただの歌です」
微笑みながら言うその表情は可愛い。
けれど口元の笑みと、指先に込められた“釘を打つような”力強さが、なんとも言えずミスマッチで。
「……もしかして、明日の潜入、そんなに嫌なの?」
「…………ちょっと、だけですね」
君は目を逸らした。
太宰は一瞬黙り込み、真剣な顔で手を伸ばす。
「とりあえず、包丁を置こうか。君が物理的に誰かに釘をさす未来が見えるから」
──このあと、君が「た、たたみが笑ってるって歌詞が一番好きなんですよ!」とごまかし始めるところまでが、いつもの穏やかな休日のワンシーン。
太宰は、次の潜入任務が終わったら全力で甘やかすと心に決めた。
(少しだけ君のメンタルケアも兼ねて)
