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経費回収までは帰れま10

──治安悪化×探偵社あるある=また襲撃。
そして今ここに、地獄のような「経理的報復」が始まる──

 

ピーピーと泣きじゃくる襲撃犯。
両手は拘束、片足に痺れ針。
なのに口だけは達者。

「わ、悪かったって言ってんだろ!?
 オレは命令されただけで──」

「──壊した備品の値段、知ってます?」

低い声で入ってきたのは、君。

事務服に、
さっきまで数字と格闘していた手が、
今は損壊リストの書類を持っている。

 

「応接ソファ:1台 9万2千円
 資料ファイル:焼損分含めて 6万7千円
 配線工事:復旧費用見積もり 13万8千円
 ──合計、29万7千円。今のところ、ね」

犯人「ひ……っ!? な、なんでそんなピンポイントに──」

 

君は微笑んだ。
仕事ができる人特有の、冷静すぎる笑顔で。

「それが、“経理の仕事”ですので。」

「で、ですね……お詫びに……命は取らないで……」
「命は要りません。
 でも、壊したぶんの“労働”は、支払ってもらいます」

──地下倉庫清掃、古紙整理、重ねた封筒折り、資料のデータ入力、
挙句、国木田の“手書き任務報告書”のデジタル化作業までセット。

乱歩「それ、“人権的にギリ白”だけど心折れるやつだ……」

太宰「君、ほんとに怖いなぁ……
   でもねぇ、この“有言実行”が僕にはたまらないんだよね」

君は、まだ騒いでいる犯人に振り返る。

「“悪いことしたら反省して済む”って思ってませんか?
 私は“被害に見合う誠意”でしか、許す気ありません」

 

犯人「ひぃぃ……わ、わかった!やります!働きますぅぅぅ!!!」

君はメモを取りながら、冷静に指示。

「では明日朝9時、探偵社裏口集合。
 3日間の労働後、評価によっては減額調整を検討します。
 ※交通費は自己負担です」

太宰(……何この事務的拷問、天才かよ)

探偵社メンバーは、その日こうつぶやいた。

「……やっぱり事務員さんが“社で一番怖い”って説、立証されてるよな……」

でも太宰は、
その凛とした背中を見つめながら──

「うん、一番美しいし、一番頼もしい。
 そして……
 僕だけが甘やかされる特権を持ってるんだから、最高だよね」

と、にやけていた。
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