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経費回収までは帰れま10

──経理室にて。
数字の並ぶスプレッドシートに君の指が滑るたび、
嬉々として表情がほころんでいた。

「国木田さん、見てください!
 修繕費補填どころか、利益も黒字です!」
「うん……これは安心できる。久々に落ち着く数字だ」

2人で「ふむふむ」と満足げにうなずいたその時──
探偵社、お決まりの襲撃。

**

襲撃犯が金目の機材や資料を蹴り飛ばし、
ソファを破き、電気系統にまでダメージを与え──

「……数字、赤になる……」
「……水の泡……」
「……ふざけないで」

君の目が、静かに冷たいものへ変わった。

スカートの内ポケットから取り出されたのは、
極細の痺れ針。

抵抗しようとする犯人の太腿に迷いなく射出、即座に沈黙。

「はい、それじゃあ“お疲れ様”の処置室へご案内しますね。
 壊したぶん、返してもらいます。手間と時間もね?」
(※笑顔。温度ゼロ)

背後で見ていた太宰が、
ふっと笑う。

「……ねぇ、乱歩さん」

乱歩「うん、あれもう“探偵社の女帝”だよね」

太宰は、
針をしまいながら髪を整える君の後ろ姿を見つめて、
小さく呟いた。

「……強くなった、なんて言わないよ。
 “戻ってきただけ”だもんな。君は、最初からこうだったんだ」

そして、微笑む。

「でも、
 “守られる”より“守る”を選んだ君が、
 僕の恋人であることが、
 今いちばん誇らしいんだよね──ほんと、最高だよ」
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