誘いの声
確かにこいつら様子がおかしい。
口は半開きで両目とも白目になってどこか不気味な雰囲気を漂わせている。
「何があった?」
「それが、さっ……猿山のヤツさっきまでどうやって拓人を襲撃しようか他の男子達と話してて…「……はっ?」……あっ」
何だそのめんどくさい話し合いは。
マジで学校に来るとろくでもない事が起きやがる。
もうこいつらの雰囲気が違ってようが叩きのめしてやろうか?
「み、みつけたァ…金色の闇ーー!!オレらとォォ遊ぼうぜェェェ!!」
すると猿山達は急に動き出して目にも止まらぬ速さでヤミに飛びかかるが、ヤミは難なくジャンプして猿山の拳を交わすと、その拳は先程まで拓人とヤミが座っていたベンチを粉々にした。
およそ人間の力じゃない何かに拓人は最初こそ驚いたが、
「おもしれぇな。モモ、リトと一緒に離れてろ。金色……」
「どうやら狙いは私のようですね。どうせ止めてもアナタは戦うつもりでしょう」
当然と言わんばかりにニヤリと笑い拳と首を鳴らしヤミの横に並ぶ拓人。
その瞬間、拓人とヤミに向かって男達が一斉に飛びかかると拓人は男達の攻撃を受け流して、カウンターを決めていくとヤミは全ての攻撃をあしらいながらどうするか考える。
殺すだけなら一瞬で可能だろう。
だが彼らは操られているだけで、本来は力のないただの人間でしかない。
トランスで戦ってしまったら彼らは―――
「……ッ!?」
そんな風に葛藤していたヤミの一瞬の隙を男達は見逃すはずもなく、動きがさらに速くなりヤミは男達に捕らえられてしまう。
「金色!?」
一人の男の手がヤミの胸元に伸び、さらに一人の男の手が脚に伸びて男達はヤミの戦闘服を引きちぎろうと引っ張る。
それによりヤミの胸や下着が露になり拓人はその姿を思い切り目にしてしまう。
「あ~すまん金色」
頬を赤くしてヤミから視線をそらして襲いかかってくる男達を殴り飛ばすと、
「見ないでください神谷拓人!」
拓人に見られてしまった事にヤミは恥ずかしさのあまり躊躇っていたトランスの力を使い目にも止まらぬ速さで男達を拳で沈める。
「えっちぃのはキライです」
「……これで終わりっと!」
拓人とヤミの力により襲いかかってきた男達は全員に地面に倒れる。
「助かりました神谷拓人」
「気にすんなよ。ほとんどお前が倒したんだしよ」
ポンッとヤミの頭を撫でると、ヤミは一瞬ジロリと拓人を睨んだが頬を赤くして俯いてしまう。
どうやらこの行為はヤミの中ではセーフらしい。
「タクトさん!ヤミさん!」
「拓人!ヤミ!」
男達が倒れたことでモモとリトの二人が拓人とヤミの元に駆け寄ると、まるで狙ったかのように倒れていた猿山の口から不気味な声が発せられる。
『やはり……誰一人息の根を止めていないか…』
「あん?」
その不気味な声に拓人は怪訝な表情を浮かべる。
この不気味な声――
もしかしてこいつらを操ってたヤツからか――
『地球で牙を抜かれたと言う情報は本当だったらしいな』
「……何者ですか?」
『本当の君を知る者だよ。目を覚ませ、金色の闇。ここは君のいる場所じゃない……!!そう、君の本質は闇。殺戮以外に生きる価値のない存在。地球人と仲良くできるはずがない。甘い夢など……もう終わらせるべきだ!』
まるでヤミの心の奥深くを目覚めさせるような言葉。
ヤミの居場所は闇であり、お前は殺戮兵器だと言っている。
目の前にいるリトを抹殺しろと―――
『お前のターゲットはそばにいるのだからな…』
「……待ちな」
「タクトさん?」
「神谷拓人?」
「拓人?」
このまま消えていきそうな声を引き止めるように口を開く拓人。
まるで気に入らないものを見るように拓人の目付きが鋭くなる。
「テメェがどこのどいつか知らねぇが、ずいぶん好き勝手言ってくれるじゃねぇか」
『……何が言いたい?』
「金色のいるべき場所は金色が決めるんだよ。金色は今この地球でいろんな奴らと出会って関わっていろんな事を体験してんだよ。金色がどうしたいかなんて金色が決めりゃいいだろうが」
『………所詮はまやかしだな』
「言ってろ。けどな金色がどんな答えを出そうが俺は金色を見捨てるつもりはねぇよ」
「……神谷拓人」
『好きにすればいいさ』
そのまま不気味な声の気配は消えていく。
どこのどいつか知らねぇが、金色を利用しようとしているヤツがいる。
そいつはまた何かしらのアクションを起こすはず。
「……面倒事が増えそうだな」
「神谷拓人」
「何だよ?」
拓人から少し離れてヤミはじーっと拓人を見つめる。
「アナタは今私を見捨てないと言いましたね?」
「………言ったか?」
「はい。私はハッキリと聞きました。ですのでプリンセスモモの提案を受けたいと思います」
「………なっ!?」
待て!待て!待て!
こいつは今何と口走った!?
モモの提案を受けると言ったのか!?
まさか―――
「ヤミさん?」
まさか本当にヤミが住むと言い出すとは思わなかったモモは首を傾げ、ヤミはどこか真剣な表情を浮かべてモモを見つめると、
「プリンセスモモ………いえモモ、私もアナタと同じように神谷拓人のマンションに住みます。どうぞよろしくお願いします」
どうしてこうなっちまうんだ!?
ただでさえモモだけでも大変なのに金色まで住むつもりなのか!?
「拓人……」
ポンッと拓人の肩を叩きどこか可哀想な人を見るような目でリトは拓人を見つめていた。
「頑張れよ」
「………あ~本当にめんどくせ」
こうしてまた一人拓人のマンションに同居人が増える事になってしまう。
そんな展開にモモは喜びつつも微かに胸に痛みが走った事にあえて気づかないふりをしていた。
To_Loveる~だーくねす~
二話END
口は半開きで両目とも白目になってどこか不気味な雰囲気を漂わせている。
「何があった?」
「それが、さっ……猿山のヤツさっきまでどうやって拓人を襲撃しようか他の男子達と話してて…「……はっ?」……あっ」
何だそのめんどくさい話し合いは。
マジで学校に来るとろくでもない事が起きやがる。
もうこいつらの雰囲気が違ってようが叩きのめしてやろうか?
「み、みつけたァ…金色の闇ーー!!オレらとォォ遊ぼうぜェェェ!!」
すると猿山達は急に動き出して目にも止まらぬ速さでヤミに飛びかかるが、ヤミは難なくジャンプして猿山の拳を交わすと、その拳は先程まで拓人とヤミが座っていたベンチを粉々にした。
およそ人間の力じゃない何かに拓人は最初こそ驚いたが、
「おもしれぇな。モモ、リトと一緒に離れてろ。金色……」
「どうやら狙いは私のようですね。どうせ止めてもアナタは戦うつもりでしょう」
当然と言わんばかりにニヤリと笑い拳と首を鳴らしヤミの横に並ぶ拓人。
その瞬間、拓人とヤミに向かって男達が一斉に飛びかかると拓人は男達の攻撃を受け流して、カウンターを決めていくとヤミは全ての攻撃をあしらいながらどうするか考える。
殺すだけなら一瞬で可能だろう。
だが彼らは操られているだけで、本来は力のないただの人間でしかない。
トランスで戦ってしまったら彼らは―――
「……ッ!?」
そんな風に葛藤していたヤミの一瞬の隙を男達は見逃すはずもなく、動きがさらに速くなりヤミは男達に捕らえられてしまう。
「金色!?」
一人の男の手がヤミの胸元に伸び、さらに一人の男の手が脚に伸びて男達はヤミの戦闘服を引きちぎろうと引っ張る。
それによりヤミの胸や下着が露になり拓人はその姿を思い切り目にしてしまう。
「あ~すまん金色」
頬を赤くしてヤミから視線をそらして襲いかかってくる男達を殴り飛ばすと、
「見ないでください神谷拓人!」
拓人に見られてしまった事にヤミは恥ずかしさのあまり躊躇っていたトランスの力を使い目にも止まらぬ速さで男達を拳で沈める。
「えっちぃのはキライです」
「……これで終わりっと!」
拓人とヤミの力により襲いかかってきた男達は全員に地面に倒れる。
「助かりました神谷拓人」
「気にすんなよ。ほとんどお前が倒したんだしよ」
ポンッとヤミの頭を撫でると、ヤミは一瞬ジロリと拓人を睨んだが頬を赤くして俯いてしまう。
どうやらこの行為はヤミの中ではセーフらしい。
「タクトさん!ヤミさん!」
「拓人!ヤミ!」
男達が倒れたことでモモとリトの二人が拓人とヤミの元に駆け寄ると、まるで狙ったかのように倒れていた猿山の口から不気味な声が発せられる。
『やはり……誰一人息の根を止めていないか…』
「あん?」
その不気味な声に拓人は怪訝な表情を浮かべる。
この不気味な声――
もしかしてこいつらを操ってたヤツからか――
『地球で牙を抜かれたと言う情報は本当だったらしいな』
「……何者ですか?」
『本当の君を知る者だよ。目を覚ませ、金色の闇。ここは君のいる場所じゃない……!!そう、君の本質は闇。殺戮以外に生きる価値のない存在。地球人と仲良くできるはずがない。甘い夢など……もう終わらせるべきだ!』
まるでヤミの心の奥深くを目覚めさせるような言葉。
ヤミの居場所は闇であり、お前は殺戮兵器だと言っている。
目の前にいるリトを抹殺しろと―――
『お前のターゲットはそばにいるのだからな…』
「……待ちな」
「タクトさん?」
「神谷拓人?」
「拓人?」
このまま消えていきそうな声を引き止めるように口を開く拓人。
まるで気に入らないものを見るように拓人の目付きが鋭くなる。
「テメェがどこのどいつか知らねぇが、ずいぶん好き勝手言ってくれるじゃねぇか」
『……何が言いたい?』
「金色のいるべき場所は金色が決めるんだよ。金色は今この地球でいろんな奴らと出会って関わっていろんな事を体験してんだよ。金色がどうしたいかなんて金色が決めりゃいいだろうが」
『………所詮はまやかしだな』
「言ってろ。けどな金色がどんな答えを出そうが俺は金色を見捨てるつもりはねぇよ」
「……神谷拓人」
『好きにすればいいさ』
そのまま不気味な声の気配は消えていく。
どこのどいつか知らねぇが、金色を利用しようとしているヤツがいる。
そいつはまた何かしらのアクションを起こすはず。
「……面倒事が増えそうだな」
「神谷拓人」
「何だよ?」
拓人から少し離れてヤミはじーっと拓人を見つめる。
「アナタは今私を見捨てないと言いましたね?」
「………言ったか?」
「はい。私はハッキリと聞きました。ですのでプリンセスモモの提案を受けたいと思います」
「………なっ!?」
待て!待て!待て!
こいつは今何と口走った!?
モモの提案を受けると言ったのか!?
まさか―――
「ヤミさん?」
まさか本当にヤミが住むと言い出すとは思わなかったモモは首を傾げ、ヤミはどこか真剣な表情を浮かべてモモを見つめると、
「プリンセスモモ………いえモモ、私もアナタと同じように神谷拓人のマンションに住みます。どうぞよろしくお願いします」
どうしてこうなっちまうんだ!?
ただでさえモモだけでも大変なのに金色まで住むつもりなのか!?
「拓人……」
ポンッと拓人の肩を叩きどこか可哀想な人を見るような目でリトは拓人を見つめていた。
「頑張れよ」
「………あ~本当にめんどくせ」
こうしてまた一人拓人のマンションに同居人が増える事になってしまう。
そんな展開にモモは喜びつつも微かに胸に痛みが走った事にあえて気づかないふりをしていた。
To_Loveる~だーくねす~
二話END