四柱突入!
(どうする。彼女の仲間達では機械兵器は破壊できても魔獣を突破する事は出来ない。だからと言ってここでショウやなのは達を出したら四柱破壊は難しくなる)
優先すべき事は四柱の破壊だが魔獣を突破出来なければそれすら不可能になってしまう。
だが自分達はここで止まるわけにはいかない。
「仕方ない。僕が魔獣を片付けてくるか」
「クロノ!?」
艦長席を立ちデュランダルを起動させたクロノはショウ達に背を向け口を開く。
「四柱を破壊する為にもショウやなのは達の力は必要なものだ。だとしたら僕のすべき事は一つ。キミ達を無事に四柱に突入させることだ。僕が魔獣に対しオーロラエクスキューションを放ちナデシコがグラビティブラストで四柱の機能を一時的に停止させた瞬間にキミ達は四柱に向かうんだ」
これなら失う戦力は自分一人になるしショウ達の力を温存する事が出来るはずだ。
時間もそこまで残されていないはず。
やるなら今しかない。
「エイミィ、僕を魔獣の壁の近くに転移させてくれないか」
「残念だけどクロノ君、その必要はないみたいだよ」
「なに?」
エイミィの言葉にクロノは怪訝な表情を浮かべ、ショウやなのは達は不思議そうな表情を浮かべる。
それに対しエイミィはニッコリ笑って手元を操作すると、モニターには魔法により砲撃で消滅していく魔獣の姿が映し出された。
その砲撃は止まることなく放たれて魔獣の大群は次々と消滅していく。
「一体何が起こっているんだ?」
クロノは怪訝な表情のままモニターを見つめていると、突如アースラのブリッジに通信が入りエイミィがその通信を受け取りモニターに一人の青年が映し出された。
『こちら地上本部、レジアス中将の部隊【アヌビス】所属のティーダ・ランスター執務補佐官です。これより地上本部局員は中将の命によりアースラを援護します』
「ティーダ!?」
そこに映った青年の姿にショウは目を丸くしてその青年を知るなのはやはやて達もまたショウと同じように驚きの表情を浮かべている。
そんな反応をしているショウ達を見てティーダはクスッと笑みを浮かべながらも敬礼をし再び口を開いた。
『つもる話もありますが、今は魔獣破壊を優先します。皆さんはそのままアースラにいてください』
ティーダは苦笑したまま己の銃型デバイスを力強く握り魔獣に対して銃口を向けると、銃口からは青く光る閃光が放たれて魔獣は一気に消滅していく。
『やれやれ陸の局員が先に到着していましたか』
「マオ、お前も来てくれたのか」
『水くさいですよショウ。【サザンクロス】部隊の私に声を掛けてくれないなんて』
ティーダからの通信が切り替わり、次にモニターに映ったのはショウと同じ部隊に所属している仲間の一人マオ准空尉の姿だった。
マオは自分に向かってくる魔獣を剣で切り裂き、さらに剣を横に思い切り振り魔獣に衝撃波を喰らわせ魔獣を消滅させて口を開く。
『地上本部でレジアス中将が指示を出していたように、本局でも同じように指示を出してる人がいましてね。そのおかげでここに来ることが出来ました』
「本局で指示を出してる人だと?」
マオの言葉にクロノは目を細めどういう意味だ、と聞き返すように口を開くと、マオはその問いに魔獣を吹き飛ばして答えた。
『貴方の母親ですよクロノ・ハラオウン提督。さらにレティ提督や本局のお偉いさんも数人ですが、リンディ統括官の指示に同意するように本局の局員に指示を出していましたよ』
成る程とクロノは納得して小さく頷き腕を組む。
ユリナさんがいない今、本局でそんな指示を出せるのは自分の母親しかいないだろう。
もしベルエスが本局に向けられたら一瞬で消滅するだろうし、下手したら自分達の命すら終わってしまう。
母さんが指示を出しても賛成する人間が多いだろうし、反対する人間などほとんどいないはずだ。
『合わせなさいティーダ・ランスター!』
『はい!』
マオとティーダの魔法で魔獣の壁に穴が出来たと同時にアースラにナデシコから通信が入ってきた。
『今ならナデシコのグラビティブラストを撃てます。局員の方々を退避させてください』
「わかった。エイミィ!」
「りょーかいだよクロノ君!」
エイミィは目にも止まらぬスピードで戦場にいる局員達にデータを送りそれを受け取った局員達はすぐに退避していく。
『グラビティブラスト発射します』
静かに響くルリの声と同時にナデシコからグラビティブラストがベルエスに向けて放たれて、ベルエスを守るように四柱が反応してグラビティブラストを受け止めると四柱の結界が消えていき機能が停止した。
「今だ!エイミィ!」
『ハーリー君!』
「「了解!!」」
クロノとルリの言葉にエイミィとハーリーはすぐに反応し、四柱内部にショウや悠季達を転移させていく。
転移されながら皆の心はこの時一つになっていた。
誰一人欠けることなく無事に生きて帰ること。
絶対に四柱を破壊するんだと。
確かに皆がそう決意した瞬間である。
―――――
~四柱・ショウside~
アースラからの転移で四柱の一つに転移したショウ達の目に入ったのは一面の銀世界。
全てが氷に包まれてどこか幻想的な光景にショウ達は息を呑む。
「ショウ、ユーノの話だとどこかに動力部があるはずだ。早く探すぞ」
「あぁ」
クロノの言葉にショウだけでなくなのはや将輝も動力部を探すように辺りをキョロキョロと確認しながら歩いていく。
すると、なのはの目に何かが入りなのははそれを確認するように近付いてハッとした表情を浮かべる。
そこに落ちていたのは、
「ショウ君!」
「どうしたなのは?何かあったのか?」
なのはに呼ばれショウ達はなのはの元に向かい、なのははショウ達に己の手に乗せたある物をショウ達に見せた。
「これは……」
そのある物を目にしクロノが驚きながら口を開いた。
そうなのはが見つけたある物とはフェイトが大切にしているデバイス『バルディッシュ』だったのだ。
「何でここにバルディッシュがあるんだ?」
バルディッシュを目にし将輝が首を傾げながら疑問を口にする。
しかしその疑問を浮かべているのは将輝だけでなくショウ達も浮かべていた。
フェイトは今現在人質として捕らえられているはずだ。
しかしここにフェイトのデバイスがあるとしたら―――
フェイトはこの銀世界にいる可能性がある。
だとしたらフェイトがいる場所は動力部かもしれない。
「ショウ、気づいたか?」
「あぁ。この先から魔力の気配が濃くなっている。ジョーカーズのものか、それとも動力部から感じるものかは分からないが、先へ進んだ方がよさそうだ。なのは、バルディッシュはお前が持っていてくれ」
「うん」
バルディッシュをギュッと握りショウに続くように歩き出すなのは。
ピリピリと何かを感じている将輝は一人真剣な表情で歩いている。
四人が奥へ進んでいき魔力の気配が一番濃い場所にたどり着いた時四人が目にしたのは、
「フェイトちゃん!」
「フェイト!!」
氷の十字架に磔にされ目を閉じているフェイトの姿と、フェイトの前に立ち薙刀を構えている女性の姿だった。
フェイトの姿になのはとクロノが声をあげると、薙刀を構えていた女性はニヤリとまるでなのはとクロノの悲痛な顔を見て楽しんでいるかのように笑っていた。
「ようこそ四柱の一つ氷の世界へ。私はジョーカーズ氷帝のボルキア・ダ・デラスよ。アナタ達とは初めましてになるかしら?」
クスッと笑い今の状況を心の底から楽しんでいるボルキアになのはがキッとした顔を向け、今すぐにでもフェイトを助けようとレイジングハートを構えると、ボルキアは笑みを浮かべたままゆっくり薙刀をフェイトに向ける。
動いたらフェイトを斬るとも言わんばかりのボルキアになのははグッと耐えて唇を噛む。
「面白くないわね~。もしアナタが魔法を使ったらこの人形を傷つけられたのに」
残念そうにため息を吐くボルキアになのはは怒りを込み上げながら口を開いた。
「その言葉今すぐ取り消してください」
「あら?何か取り消す言葉なんてあったかしら?」
「惚けてもダメですよ。フェイトちゃんを人形と言ったこと私は許しません。フェイトちゃんは私達と同じ人間なんだ」
力強くハッキリと口にしたなのはにボルキアは肩を竦めて呆れたように笑う。
どいつもこいつもこの人形を人間と言っている。
いくらそう言ってもフェイト・T・ハラオウンがアリシア・テスタロッサのクローンであり人形として生み出された事実は変わらないと言うのに。
「偽善者の言葉ほど笑えるものはないわ。いくらアナタ達が否定してもこの人形が自分をクローンと思う限りそれは変わらないと言うのに。何より――」
ボルキアはニヤリと笑いまるでショウ達の傷口を抉るようにこう口にした。
「この人形が愛した男はもういない。どうしてか?それは簡単。アナタ達を生かす為に死んだから。可哀想な人形さん。もう愛した人には永遠に会えない。クックックッ、アーハッハッハッハッ!!」
「レイジングハート!!」
『ディバインバスター!』
ボルキアの言葉を聞いてなのははすぐに動き出してディバインバスターを一気に放出した。
「愛した人がいないこんな世界でこの人形は生きていけるのかしら?無理よね?だってこの人形は―――弱いもの」
「ボルキア・ダ・デラスーー!!」
なのはに続くようにクロノがオーロラエクスキューションを放ち二つの閃光がボルキアに迫るが、ボルキアは薙刀を前に突きだし魔方陣を展開するとボルキアの纏う雰囲気が一気に冷たいものへと変わっていく。
「本当ならあの男を殺すのは私だったのに。私の楽しみを奪ったアナタ達を許さないわよ。だから――」
二つの閃光はボルキアに直撃する前に氷結してバラバラに消えていきボルキアは薙刀を天に掲げ冷たい目付きのまま口を開いた。
「私を失望させないでね。管理局の犬と異世界の犬よ」
この一言でショウ達とボルキアの戦いは始まりを告げた。
果たしてショウ達はボルキアに勝ちフェイトを助ける事が出来るのか?
そして四柱を破壊する事が出来るのであろうか?
――――
~四柱・八神家side~
ショウ達がボルキアと対峙していた時はやてとヴォルケンズは口笛を吹きながら地面に寝転がっている男スパーダと出会っていた。
ボルキアがいる場所とは違いここは自然溢れる景色が一面に広がり心地よい風が流れている。
「久しぶりやなスパーダ」
はやての声にスパーダは口笛を止めて眠たそうな顔をはやてに向けめんどくさそうにため息を吐いてゆっくり口を開き始めた。
「これはこれは管理局の豆狸と闇の書のプログラム達じゃないか。一体何のよう?」
目的など言わなくてもわかるだろ、とヴィータがキッとした表情でスパーダを見つめるが、スパーダはそんなヴィータを見て鼻で笑う。
まるで自分達をバカにしているように振る舞うスパーダにシグナムとザフィーラが動き出そうとしたが、
「二人とも落ち着き。スパーダの挑発に反応なんかしたらあかん」
スパーダの言葉や仕草に唯一反応しなかったはやてが二人を止めるように口を開くと二人はピタリと足を止めた。
もしこのままスパーダのペースに持っていかれたら調子が狂うだろうとはやては自覚していた。
一度戦っただけにはやてだけは挑発に乗ることはなかったようだ。
「スパーダ、私達の目的は一つや。この柱を破壊する為に動力部に行かなあかん。動力部の場所教えてもらうで」
優先すべき事は四柱の破壊だが魔獣を突破出来なければそれすら不可能になってしまう。
だが自分達はここで止まるわけにはいかない。
「仕方ない。僕が魔獣を片付けてくるか」
「クロノ!?」
艦長席を立ちデュランダルを起動させたクロノはショウ達に背を向け口を開く。
「四柱を破壊する為にもショウやなのは達の力は必要なものだ。だとしたら僕のすべき事は一つ。キミ達を無事に四柱に突入させることだ。僕が魔獣に対しオーロラエクスキューションを放ちナデシコがグラビティブラストで四柱の機能を一時的に停止させた瞬間にキミ達は四柱に向かうんだ」
これなら失う戦力は自分一人になるしショウ達の力を温存する事が出来るはずだ。
時間もそこまで残されていないはず。
やるなら今しかない。
「エイミィ、僕を魔獣の壁の近くに転移させてくれないか」
「残念だけどクロノ君、その必要はないみたいだよ」
「なに?」
エイミィの言葉にクロノは怪訝な表情を浮かべ、ショウやなのは達は不思議そうな表情を浮かべる。
それに対しエイミィはニッコリ笑って手元を操作すると、モニターには魔法により砲撃で消滅していく魔獣の姿が映し出された。
その砲撃は止まることなく放たれて魔獣の大群は次々と消滅していく。
「一体何が起こっているんだ?」
クロノは怪訝な表情のままモニターを見つめていると、突如アースラのブリッジに通信が入りエイミィがその通信を受け取りモニターに一人の青年が映し出された。
『こちら地上本部、レジアス中将の部隊【アヌビス】所属のティーダ・ランスター執務補佐官です。これより地上本部局員は中将の命によりアースラを援護します』
「ティーダ!?」
そこに映った青年の姿にショウは目を丸くしてその青年を知るなのはやはやて達もまたショウと同じように驚きの表情を浮かべている。
そんな反応をしているショウ達を見てティーダはクスッと笑みを浮かべながらも敬礼をし再び口を開いた。
『つもる話もありますが、今は魔獣破壊を優先します。皆さんはそのままアースラにいてください』
ティーダは苦笑したまま己の銃型デバイスを力強く握り魔獣に対して銃口を向けると、銃口からは青く光る閃光が放たれて魔獣は一気に消滅していく。
『やれやれ陸の局員が先に到着していましたか』
「マオ、お前も来てくれたのか」
『水くさいですよショウ。【サザンクロス】部隊の私に声を掛けてくれないなんて』
ティーダからの通信が切り替わり、次にモニターに映ったのはショウと同じ部隊に所属している仲間の一人マオ准空尉の姿だった。
マオは自分に向かってくる魔獣を剣で切り裂き、さらに剣を横に思い切り振り魔獣に衝撃波を喰らわせ魔獣を消滅させて口を開く。
『地上本部でレジアス中将が指示を出していたように、本局でも同じように指示を出してる人がいましてね。そのおかげでここに来ることが出来ました』
「本局で指示を出してる人だと?」
マオの言葉にクロノは目を細めどういう意味だ、と聞き返すように口を開くと、マオはその問いに魔獣を吹き飛ばして答えた。
『貴方の母親ですよクロノ・ハラオウン提督。さらにレティ提督や本局のお偉いさんも数人ですが、リンディ統括官の指示に同意するように本局の局員に指示を出していましたよ』
成る程とクロノは納得して小さく頷き腕を組む。
ユリナさんがいない今、本局でそんな指示を出せるのは自分の母親しかいないだろう。
もしベルエスが本局に向けられたら一瞬で消滅するだろうし、下手したら自分達の命すら終わってしまう。
母さんが指示を出しても賛成する人間が多いだろうし、反対する人間などほとんどいないはずだ。
『合わせなさいティーダ・ランスター!』
『はい!』
マオとティーダの魔法で魔獣の壁に穴が出来たと同時にアースラにナデシコから通信が入ってきた。
『今ならナデシコのグラビティブラストを撃てます。局員の方々を退避させてください』
「わかった。エイミィ!」
「りょーかいだよクロノ君!」
エイミィは目にも止まらぬスピードで戦場にいる局員達にデータを送りそれを受け取った局員達はすぐに退避していく。
『グラビティブラスト発射します』
静かに響くルリの声と同時にナデシコからグラビティブラストがベルエスに向けて放たれて、ベルエスを守るように四柱が反応してグラビティブラストを受け止めると四柱の結界が消えていき機能が停止した。
「今だ!エイミィ!」
『ハーリー君!』
「「了解!!」」
クロノとルリの言葉にエイミィとハーリーはすぐに反応し、四柱内部にショウや悠季達を転移させていく。
転移されながら皆の心はこの時一つになっていた。
誰一人欠けることなく無事に生きて帰ること。
絶対に四柱を破壊するんだと。
確かに皆がそう決意した瞬間である。
―――――
~四柱・ショウside~
アースラからの転移で四柱の一つに転移したショウ達の目に入ったのは一面の銀世界。
全てが氷に包まれてどこか幻想的な光景にショウ達は息を呑む。
「ショウ、ユーノの話だとどこかに動力部があるはずだ。早く探すぞ」
「あぁ」
クロノの言葉にショウだけでなくなのはや将輝も動力部を探すように辺りをキョロキョロと確認しながら歩いていく。
すると、なのはの目に何かが入りなのははそれを確認するように近付いてハッとした表情を浮かべる。
そこに落ちていたのは、
「ショウ君!」
「どうしたなのは?何かあったのか?」
なのはに呼ばれショウ達はなのはの元に向かい、なのははショウ達に己の手に乗せたある物をショウ達に見せた。
「これは……」
そのある物を目にしクロノが驚きながら口を開いた。
そうなのはが見つけたある物とはフェイトが大切にしているデバイス『バルディッシュ』だったのだ。
「何でここにバルディッシュがあるんだ?」
バルディッシュを目にし将輝が首を傾げながら疑問を口にする。
しかしその疑問を浮かべているのは将輝だけでなくショウ達も浮かべていた。
フェイトは今現在人質として捕らえられているはずだ。
しかしここにフェイトのデバイスがあるとしたら―――
フェイトはこの銀世界にいる可能性がある。
だとしたらフェイトがいる場所は動力部かもしれない。
「ショウ、気づいたか?」
「あぁ。この先から魔力の気配が濃くなっている。ジョーカーズのものか、それとも動力部から感じるものかは分からないが、先へ進んだ方がよさそうだ。なのは、バルディッシュはお前が持っていてくれ」
「うん」
バルディッシュをギュッと握りショウに続くように歩き出すなのは。
ピリピリと何かを感じている将輝は一人真剣な表情で歩いている。
四人が奥へ進んでいき魔力の気配が一番濃い場所にたどり着いた時四人が目にしたのは、
「フェイトちゃん!」
「フェイト!!」
氷の十字架に磔にされ目を閉じているフェイトの姿と、フェイトの前に立ち薙刀を構えている女性の姿だった。
フェイトの姿になのはとクロノが声をあげると、薙刀を構えていた女性はニヤリとまるでなのはとクロノの悲痛な顔を見て楽しんでいるかのように笑っていた。
「ようこそ四柱の一つ氷の世界へ。私はジョーカーズ氷帝のボルキア・ダ・デラスよ。アナタ達とは初めましてになるかしら?」
クスッと笑い今の状況を心の底から楽しんでいるボルキアになのはがキッとした顔を向け、今すぐにでもフェイトを助けようとレイジングハートを構えると、ボルキアは笑みを浮かべたままゆっくり薙刀をフェイトに向ける。
動いたらフェイトを斬るとも言わんばかりのボルキアになのははグッと耐えて唇を噛む。
「面白くないわね~。もしアナタが魔法を使ったらこの人形を傷つけられたのに」
残念そうにため息を吐くボルキアになのはは怒りを込み上げながら口を開いた。
「その言葉今すぐ取り消してください」
「あら?何か取り消す言葉なんてあったかしら?」
「惚けてもダメですよ。フェイトちゃんを人形と言ったこと私は許しません。フェイトちゃんは私達と同じ人間なんだ」
力強くハッキリと口にしたなのはにボルキアは肩を竦めて呆れたように笑う。
どいつもこいつもこの人形を人間と言っている。
いくらそう言ってもフェイト・T・ハラオウンがアリシア・テスタロッサのクローンであり人形として生み出された事実は変わらないと言うのに。
「偽善者の言葉ほど笑えるものはないわ。いくらアナタ達が否定してもこの人形が自分をクローンと思う限りそれは変わらないと言うのに。何より――」
ボルキアはニヤリと笑いまるでショウ達の傷口を抉るようにこう口にした。
「この人形が愛した男はもういない。どうしてか?それは簡単。アナタ達を生かす為に死んだから。可哀想な人形さん。もう愛した人には永遠に会えない。クックックッ、アーハッハッハッハッ!!」
「レイジングハート!!」
『ディバインバスター!』
ボルキアの言葉を聞いてなのははすぐに動き出してディバインバスターを一気に放出した。
「愛した人がいないこんな世界でこの人形は生きていけるのかしら?無理よね?だってこの人形は―――弱いもの」
「ボルキア・ダ・デラスーー!!」
なのはに続くようにクロノがオーロラエクスキューションを放ち二つの閃光がボルキアに迫るが、ボルキアは薙刀を前に突きだし魔方陣を展開するとボルキアの纏う雰囲気が一気に冷たいものへと変わっていく。
「本当ならあの男を殺すのは私だったのに。私の楽しみを奪ったアナタ達を許さないわよ。だから――」
二つの閃光はボルキアに直撃する前に氷結してバラバラに消えていきボルキアは薙刀を天に掲げ冷たい目付きのまま口を開いた。
「私を失望させないでね。管理局の犬と異世界の犬よ」
この一言でショウ達とボルキアの戦いは始まりを告げた。
果たしてショウ達はボルキアに勝ちフェイトを助ける事が出来るのか?
そして四柱を破壊する事が出来るのであろうか?
――――
~四柱・八神家side~
ショウ達がボルキアと対峙していた時はやてとヴォルケンズは口笛を吹きながら地面に寝転がっている男スパーダと出会っていた。
ボルキアがいる場所とは違いここは自然溢れる景色が一面に広がり心地よい風が流れている。
「久しぶりやなスパーダ」
はやての声にスパーダは口笛を止めて眠たそうな顔をはやてに向けめんどくさそうにため息を吐いてゆっくり口を開き始めた。
「これはこれは管理局の豆狸と闇の書のプログラム達じゃないか。一体何のよう?」
目的など言わなくてもわかるだろ、とヴィータがキッとした表情でスパーダを見つめるが、スパーダはそんなヴィータを見て鼻で笑う。
まるで自分達をバカにしているように振る舞うスパーダにシグナムとザフィーラが動き出そうとしたが、
「二人とも落ち着き。スパーダの挑発に反応なんかしたらあかん」
スパーダの言葉や仕草に唯一反応しなかったはやてが二人を止めるように口を開くと二人はピタリと足を止めた。
もしこのままスパーダのペースに持っていかれたら調子が狂うだろうとはやては自覚していた。
一度戦っただけにはやてだけは挑発に乗ることはなかったようだ。
「スパーダ、私達の目的は一つや。この柱を破壊する為に動力部に行かなあかん。動力部の場所教えてもらうで」