ベルエスを攻略せよ!
イヴはレジアスに言われた時信じてはいなかった。
あのクルスが自分に黙ってそんな事をするはずないと思っていたからだ。
しかしこの場にクルスはいないうえにショウ達は将輝の問いに黙ったままだった。
つまり全てが事実でありクルスはもうこの世にいない。
「……ッ!」
肩を震わせているイヴの頭を隣に座っていたコレットが優しく撫でると、イヴは目に涙を溜めながらコレットに抱きつき声を押し殺しながら泣き出し、コレットはそんなイヴをギュッと抱き締め悲し気な顔で頭を撫でるのであった。
「アイツをこんなに想っている人がいたのにアイツは一人の女のために命をかけたんだな」
将輝はそう口にしながら視線を会議室の天井に向けどこか遠いところを見ていた。
クルスは全てを捨ててまでフェイトを守りたかったんだな。
アイツもバカじゃない。
残された人達が悲しむぐらいはわかっていたはずだ。
「将輝、クルスは僕達にこれからの事を託した。彼の為にも僕達は僕達のやれることをしよう」
「わかってるよ。けどな――」
納得出来るかよと将輝は呟き顔を歪める。
顔を歪めているのは将輝だけじゃない、悠季達も稟達もセフィリア達も同じように顔を歪めていた。
一緒に戦っていたのにクルスは自分達を頼らなかったのだ。
仲間を友を捨ててまで一人の女性を守るために戦った。
セフィリア達はもっと頼ってほしかったと口にはしないが思っており、悠季達はクルスが託した想いを無駄にしない為にも戦う事を改めて胸に刻んでいた。
「それじゃあ話を続けるよ。ゲイズ中将には先に報告したけど突如現れた巨大な物体【ベルエス】について話そうと思う」
ヴェロッサの言葉にユーノが動きここにいる全員が見られるようにモニターを出しそのモニターにはベルエスが映し出されていた。
次元の中に浮かぶベルエス。
禍々しい雰囲気を放つベルエスに息を呑む者達。
「古代ベルカ時代に使用された兵器【ベルエス】。ここに来る前にユーノ君が無限書庫にいる部下達に調べてもらってわかったんだけど、あれはかつて使われていたベルエスを改良しているみたいなんだ」
それを証拠にとヴェロッサは視線をヴォルケンリッターの方に向けると、そのヴェロッサの視線の意味に気づいているヴィータが腕を組ながらゆっくり口を開いた。
「ベルエスは私達が知っていた時よりもサイズがでかくなってるんだ。ベルエスから降り注いだ閃光の威力もかなり上がってたし何より前のベルエスにあれはなかった」
あれと言われてもわからないメンバーの為にユーノが手元を操作してベルエスを違う角度で映し出した。
ヴィータが口にしたあれとはベルエスの周りにある四本の柱の事だ。
まるでベルエスを守るように浮かぶ四本の柱に皆は目を向ける。
「この柱がなんだと言うんだ?」
レジアスの問いにユーノが自分なりに考えた意見を口にした。
「おそらくですけどあれはベルエスを守っている結界柱だと思います。あれを破壊しないとベルエスに突入する事も外部からの攻撃も不可能かと」
ベルエスが出現して次元船が本局から派遣されていたのに次元船は全く動いていなかった。
ベルエスに転移しようとしたがあれの柱のせいで出来なかった可能性が高い。
あの柱が唯一動いたのはベルエスから閃光が放たれた時だけだ。
「つまりあの柱を破壊しないとベルエスには傷ひとつつけられないんだな」
「その通りだよクロノ」
ベルエスを守っている柱は四本ある。
ここにいるメンバーで四本を破壊する事になるが、柱の映像を見ていたなのはがユーノに目を向けとある疑問をユーノに問い掛けた。
「ユーノ君聞いてもいいかな?」
「どうしたんだいなのは?」
「あの柱はどうやって破壊すればいいの?ベルエスを守っているのはわかったんだけど、柱にも結界が張ってある可能性があるんじゃ……」
「いい質問だねなのは」
なのはの問いにユーノはメガネを光らせベルエスの周りに浮かぶ四本の柱の映像に目を向ける。
確かになのはの言う通りベルエスを守っているあの柱にも結界がされている可能性はある。
それを破壊するとなると並大抵ではないはずだがユーノには一つだけ策があったのだ。
「この柱だけど外からの攻撃は無理でも中からはいけるはずだよ」
「えっ?あの柱って中に入れるん?」
ユーノの言葉にはやてが信じられないという目で疑問を口にする。
はやての疑問は最もだろう。
ベルエス事態が次元に出現しているため柱も次元にある訳で、結界がされているなら転移もできないはずだ。
「そこでハーリー君達に頼みがあるんだ」
「へっ?僕達にですか?」
突然ユーノに名を呼ばれ今まで黙っていたハーリーは不思議そうに首を傾げ、サブロウタは何をするつもりだとユーノを見つめていた。
「ナデシコのグラビティブラストを使ってほしいんだ。僕の計算通りならそれで一時的に四本の柱の結界が緩まって転移できるはずだ」
あの結界は魔法に対しては有効だろうが魔法ではないグラビティブラストなら結界を緩める事ができるはずだ。
本当ならそれでベルエスに突入すればいいがベルエスを破壊するとなると外からの攻撃も必要になってくる。
艦隊攻撃も考えたらやはりあの四本柱を破壊するしかない。
「それで四本の柱を破壊する方法は考えておるのか?」
真剣な表情でヴェロッサとユーノに問い掛けるレジアス。
ベルエスがどれだけ厄介かはデータや話でわかった。
それを破壊するとなると戦力はかなり必要になるはずだとレジアスは二人に目で語りかける。
「四本の柱はここにいる皆で破壊しようと思います。おそらく四本の柱を守るためにジョーカーズもいるはずです」
「「……ッ!!」」
ヴェロッサの言葉になのはとはやての肩がビクリと跳ねる。
ジョーカーズは高町なのはや他の二名のDNAが使われているとクルスが口にしていた。
他二名はおそらく八神はやてとフェイト・T・ハラオウンで間違いないだろうが、なのはもはやてもジョーカーズと対峙して戦えるかわからないのだ。
「ヴェロッサ、お前は僕達に言ったな。クルスからジョーカーズの秘密を聞いたと」
クロノの問い掛けにヴェロッサは小さく頷く。
クロノの脳裏によぎるのは海底洞窟でクルスがなのはに言った衝撃的事実だ。
三人とはなのはとフェイトとはやてで間違いないはずだ。
自分達はこれから三人のDNAを持つ者達と戦わねばならない。
「だからクルス君今の今まで言わんかったんやね。うちらが知ったら動揺するとわかっとったから」
それで合点がいく訳だとはやては納得する。
クルスが悲しい顔をしていたのもかたくなに口にしなかったのも自分達の事を考えていたからだ。
自分達のクローンと戦えるかと問いかけられ戦えると即答できやしない。
「高町の小娘に八神の小娘よ……」
苦渋の決断をしているなのはとはやての二人に声を掛けるレジアス。
レジアスの呼び掛けに二人はえっとした表情なり、レジアスはそんな二人の迷いを消すかのように問い掛けた。
「お前達は一体何を守るために戦っておる?お前達が背負っている覚悟はその程度のものか?」
レジアスだって二人がどれだけ悩んでいるかわからない男でもない。
もし自分のクローンと戦えと言われたら自分だって悩むだろう。
しかし自分は地上を守る為にクローンと戦う方を選ぶ。
自分は地上を守る立場でありその為ならどんな事だってするつもりだ。
((私は……))
レジアスの言葉になのはとはやては目を閉じ考え込む。
ここで自分達が立ち止まったら自分達を信じて託してくれたクルスの覚悟を無駄にする事になる。
初めて自分達を頼り信頼した友の想いを無駄には出来ない。
それに自分達にも守らなければならない存在がいる。
その為なら――
「私は戦います」
「私も戦えます」
レジアスの言葉で二人は目に輝きを取り戻し凛々しく前を見つめ決意を口にした。
二人は前を見つめる事が出来たが、ここにいないフェイトが果たして戦えるかとこの時クロノは考えていた。
クルスが死にそれはフェイトを守るためだと知ったらおそらくフェイトは自分自身を責めるだろう。
さらに自分のクローンと戦えと言われたらもうフェイトの心が壊れる可能性だってある。
「……ロノ君!……クロノ君!」
「……あっ!どうかしたかヴェロッサ?」
「聞いていなかったね」
クロノはヴェロッサの言葉に視線をそらし冷や汗を流す。
あれだけ真剣に話していたのに自分は何を考えていたんだと思ったが、それが大切な妹の為なら仕方ないかとクロノは小さく頷いていた。
「クロノ君が聞いていなかったらもう一回話すけど、あの四本の柱を破壊する戦力はすでに僕とユーノ君で決めてあるんだ」
「すまなかったヴェロッサ。もう一度だけ教えてくれ」
仕方ないなーと苦笑しながらヴェロッサはクロノだけでなく他のメンバーにも再確認の為に戦力を口にした。
「四本の柱に何人のジョーカーズがいるかはわからないけど、とりあえずショウ君と高町教導官と将輝とクロノ君で一本。はやてとヴォルケンリッターの皆さんで一本。悠季君と奏也君と湊君とユーノ君で一本。稟君と純一君とハヤテ君と樹君で一本。この戦力で柱を破壊しようと思う。セフィリアさん達にはゲイズ中将の指示を受けてもらいます。そして僕とコレットさんだけど……」
「その戦力についてだが少し待ってもらえないかアコース査察官」
ヴェロッサが戦力を言い終えようとした時にレジアスがそれを止めてヴェロッサは不思議そうに首を傾げる。
「アコース査察官とスクライア司書長に頼みたいことがある。これは二人にしかできない事だ」
こんな事態で二人に頼み事をするレジアスに二人は何のつもりだとレジアスに目を向ける。
自分達にしか出来ないとしたらおそらく彼の事だろうが、彼から頼まれた事は本局で話した事しかなかったはずだ。
ならば何を頼むつもりだ?
「頼み事の内容はアコース査察官に今送った通りだ」
いつの間にとヴェロッサは驚きながらユーノにも見えるようにそれを確認してその内容に目を丸くしまるで信じられないものを見るかのように慌てた様子でレジアスを見るとレジアスは何も言わず真剣に二人を見つめていた。
「確かにこれは僕やユーノ君じゃないと無理だね」
「なら僕のポジションにコレットさんを入れる?」
「いや――コレットさんにはイヴちゃんの傍にいてもらう。それでいいかいコレットちゃん」
「はい。仕方ないですよね」
急な展開にショウ達はついていけないままだがヴェロッサとユーノは皆に目を向け口を開いた。
「今からすぐにベルエスに向かってもらうよ。絶対に死なないでくれ」
ヴェロッサの言葉に四本柱を破壊する者達が小さく頷く。
これは命をかけた戦いになるだろう。
もしかしたら死ぬかもしれないが自分達はそれでも臆する事なく戦う。
全ては世界を大切な人達を守るために。
「いくぞ皆!」
こうしてベルエス攻略は始まっていく。
ジョーカーズとの最後の戦い。
果たして誰一人欠ける事なく帰ってこれるのか?
そしてヴェロッサとユーノが頼まれたものとは?
次回予告
ショウ
「こうして始まったベルエス攻略」
なのは
「柱を守る人達との戦い」
稟
「様々な想いが交差するなか俺達は戦う」
純一
「次回S.H.D.C第三十七話。
【突入!四本柱】に…」
ハヤテ
「ドライブイグニッション!」
HEAVEN-36
END
あのクルスが自分に黙ってそんな事をするはずないと思っていたからだ。
しかしこの場にクルスはいないうえにショウ達は将輝の問いに黙ったままだった。
つまり全てが事実でありクルスはもうこの世にいない。
「……ッ!」
肩を震わせているイヴの頭を隣に座っていたコレットが優しく撫でると、イヴは目に涙を溜めながらコレットに抱きつき声を押し殺しながら泣き出し、コレットはそんなイヴをギュッと抱き締め悲し気な顔で頭を撫でるのであった。
「アイツをこんなに想っている人がいたのにアイツは一人の女のために命をかけたんだな」
将輝はそう口にしながら視線を会議室の天井に向けどこか遠いところを見ていた。
クルスは全てを捨ててまでフェイトを守りたかったんだな。
アイツもバカじゃない。
残された人達が悲しむぐらいはわかっていたはずだ。
「将輝、クルスは僕達にこれからの事を託した。彼の為にも僕達は僕達のやれることをしよう」
「わかってるよ。けどな――」
納得出来るかよと将輝は呟き顔を歪める。
顔を歪めているのは将輝だけじゃない、悠季達も稟達もセフィリア達も同じように顔を歪めていた。
一緒に戦っていたのにクルスは自分達を頼らなかったのだ。
仲間を友を捨ててまで一人の女性を守るために戦った。
セフィリア達はもっと頼ってほしかったと口にはしないが思っており、悠季達はクルスが託した想いを無駄にしない為にも戦う事を改めて胸に刻んでいた。
「それじゃあ話を続けるよ。ゲイズ中将には先に報告したけど突如現れた巨大な物体【ベルエス】について話そうと思う」
ヴェロッサの言葉にユーノが動きここにいる全員が見られるようにモニターを出しそのモニターにはベルエスが映し出されていた。
次元の中に浮かぶベルエス。
禍々しい雰囲気を放つベルエスに息を呑む者達。
「古代ベルカ時代に使用された兵器【ベルエス】。ここに来る前にユーノ君が無限書庫にいる部下達に調べてもらってわかったんだけど、あれはかつて使われていたベルエスを改良しているみたいなんだ」
それを証拠にとヴェロッサは視線をヴォルケンリッターの方に向けると、そのヴェロッサの視線の意味に気づいているヴィータが腕を組ながらゆっくり口を開いた。
「ベルエスは私達が知っていた時よりもサイズがでかくなってるんだ。ベルエスから降り注いだ閃光の威力もかなり上がってたし何より前のベルエスにあれはなかった」
あれと言われてもわからないメンバーの為にユーノが手元を操作してベルエスを違う角度で映し出した。
ヴィータが口にしたあれとはベルエスの周りにある四本の柱の事だ。
まるでベルエスを守るように浮かぶ四本の柱に皆は目を向ける。
「この柱がなんだと言うんだ?」
レジアスの問いにユーノが自分なりに考えた意見を口にした。
「おそらくですけどあれはベルエスを守っている結界柱だと思います。あれを破壊しないとベルエスに突入する事も外部からの攻撃も不可能かと」
ベルエスが出現して次元船が本局から派遣されていたのに次元船は全く動いていなかった。
ベルエスに転移しようとしたがあれの柱のせいで出来なかった可能性が高い。
あの柱が唯一動いたのはベルエスから閃光が放たれた時だけだ。
「つまりあの柱を破壊しないとベルエスには傷ひとつつけられないんだな」
「その通りだよクロノ」
ベルエスを守っている柱は四本ある。
ここにいるメンバーで四本を破壊する事になるが、柱の映像を見ていたなのはがユーノに目を向けとある疑問をユーノに問い掛けた。
「ユーノ君聞いてもいいかな?」
「どうしたんだいなのは?」
「あの柱はどうやって破壊すればいいの?ベルエスを守っているのはわかったんだけど、柱にも結界が張ってある可能性があるんじゃ……」
「いい質問だねなのは」
なのはの問いにユーノはメガネを光らせベルエスの周りに浮かぶ四本の柱の映像に目を向ける。
確かになのはの言う通りベルエスを守っているあの柱にも結界がされている可能性はある。
それを破壊するとなると並大抵ではないはずだがユーノには一つだけ策があったのだ。
「この柱だけど外からの攻撃は無理でも中からはいけるはずだよ」
「えっ?あの柱って中に入れるん?」
ユーノの言葉にはやてが信じられないという目で疑問を口にする。
はやての疑問は最もだろう。
ベルエス事態が次元に出現しているため柱も次元にある訳で、結界がされているなら転移もできないはずだ。
「そこでハーリー君達に頼みがあるんだ」
「へっ?僕達にですか?」
突然ユーノに名を呼ばれ今まで黙っていたハーリーは不思議そうに首を傾げ、サブロウタは何をするつもりだとユーノを見つめていた。
「ナデシコのグラビティブラストを使ってほしいんだ。僕の計算通りならそれで一時的に四本の柱の結界が緩まって転移できるはずだ」
あの結界は魔法に対しては有効だろうが魔法ではないグラビティブラストなら結界を緩める事ができるはずだ。
本当ならそれでベルエスに突入すればいいがベルエスを破壊するとなると外からの攻撃も必要になってくる。
艦隊攻撃も考えたらやはりあの四本柱を破壊するしかない。
「それで四本の柱を破壊する方法は考えておるのか?」
真剣な表情でヴェロッサとユーノに問い掛けるレジアス。
ベルエスがどれだけ厄介かはデータや話でわかった。
それを破壊するとなると戦力はかなり必要になるはずだとレジアスは二人に目で語りかける。
「四本の柱はここにいる皆で破壊しようと思います。おそらく四本の柱を守るためにジョーカーズもいるはずです」
「「……ッ!!」」
ヴェロッサの言葉になのはとはやての肩がビクリと跳ねる。
ジョーカーズは高町なのはや他の二名のDNAが使われているとクルスが口にしていた。
他二名はおそらく八神はやてとフェイト・T・ハラオウンで間違いないだろうが、なのはもはやてもジョーカーズと対峙して戦えるかわからないのだ。
「ヴェロッサ、お前は僕達に言ったな。クルスからジョーカーズの秘密を聞いたと」
クロノの問い掛けにヴェロッサは小さく頷く。
クロノの脳裏によぎるのは海底洞窟でクルスがなのはに言った衝撃的事実だ。
三人とはなのはとフェイトとはやてで間違いないはずだ。
自分達はこれから三人のDNAを持つ者達と戦わねばならない。
「だからクルス君今の今まで言わんかったんやね。うちらが知ったら動揺するとわかっとったから」
それで合点がいく訳だとはやては納得する。
クルスが悲しい顔をしていたのもかたくなに口にしなかったのも自分達の事を考えていたからだ。
自分達のクローンと戦えるかと問いかけられ戦えると即答できやしない。
「高町の小娘に八神の小娘よ……」
苦渋の決断をしているなのはとはやての二人に声を掛けるレジアス。
レジアスの呼び掛けに二人はえっとした表情なり、レジアスはそんな二人の迷いを消すかのように問い掛けた。
「お前達は一体何を守るために戦っておる?お前達が背負っている覚悟はその程度のものか?」
レジアスだって二人がどれだけ悩んでいるかわからない男でもない。
もし自分のクローンと戦えと言われたら自分だって悩むだろう。
しかし自分は地上を守る為にクローンと戦う方を選ぶ。
自分は地上を守る立場でありその為ならどんな事だってするつもりだ。
((私は……))
レジアスの言葉になのはとはやては目を閉じ考え込む。
ここで自分達が立ち止まったら自分達を信じて託してくれたクルスの覚悟を無駄にする事になる。
初めて自分達を頼り信頼した友の想いを無駄には出来ない。
それに自分達にも守らなければならない存在がいる。
その為なら――
「私は戦います」
「私も戦えます」
レジアスの言葉で二人は目に輝きを取り戻し凛々しく前を見つめ決意を口にした。
二人は前を見つめる事が出来たが、ここにいないフェイトが果たして戦えるかとこの時クロノは考えていた。
クルスが死にそれはフェイトを守るためだと知ったらおそらくフェイトは自分自身を責めるだろう。
さらに自分のクローンと戦えと言われたらもうフェイトの心が壊れる可能性だってある。
「……ロノ君!……クロノ君!」
「……あっ!どうかしたかヴェロッサ?」
「聞いていなかったね」
クロノはヴェロッサの言葉に視線をそらし冷や汗を流す。
あれだけ真剣に話していたのに自分は何を考えていたんだと思ったが、それが大切な妹の為なら仕方ないかとクロノは小さく頷いていた。
「クロノ君が聞いていなかったらもう一回話すけど、あの四本の柱を破壊する戦力はすでに僕とユーノ君で決めてあるんだ」
「すまなかったヴェロッサ。もう一度だけ教えてくれ」
仕方ないなーと苦笑しながらヴェロッサはクロノだけでなく他のメンバーにも再確認の為に戦力を口にした。
「四本の柱に何人のジョーカーズがいるかはわからないけど、とりあえずショウ君と高町教導官と将輝とクロノ君で一本。はやてとヴォルケンリッターの皆さんで一本。悠季君と奏也君と湊君とユーノ君で一本。稟君と純一君とハヤテ君と樹君で一本。この戦力で柱を破壊しようと思う。セフィリアさん達にはゲイズ中将の指示を受けてもらいます。そして僕とコレットさんだけど……」
「その戦力についてだが少し待ってもらえないかアコース査察官」
ヴェロッサが戦力を言い終えようとした時にレジアスがそれを止めてヴェロッサは不思議そうに首を傾げる。
「アコース査察官とスクライア司書長に頼みたいことがある。これは二人にしかできない事だ」
こんな事態で二人に頼み事をするレジアスに二人は何のつもりだとレジアスに目を向ける。
自分達にしか出来ないとしたらおそらく彼の事だろうが、彼から頼まれた事は本局で話した事しかなかったはずだ。
ならば何を頼むつもりだ?
「頼み事の内容はアコース査察官に今送った通りだ」
いつの間にとヴェロッサは驚きながらユーノにも見えるようにそれを確認してその内容に目を丸くしまるで信じられないものを見るかのように慌てた様子でレジアスを見るとレジアスは何も言わず真剣に二人を見つめていた。
「確かにこれは僕やユーノ君じゃないと無理だね」
「なら僕のポジションにコレットさんを入れる?」
「いや――コレットさんにはイヴちゃんの傍にいてもらう。それでいいかいコレットちゃん」
「はい。仕方ないですよね」
急な展開にショウ達はついていけないままだがヴェロッサとユーノは皆に目を向け口を開いた。
「今からすぐにベルエスに向かってもらうよ。絶対に死なないでくれ」
ヴェロッサの言葉に四本柱を破壊する者達が小さく頷く。
これは命をかけた戦いになるだろう。
もしかしたら死ぬかもしれないが自分達はそれでも臆する事なく戦う。
全ては世界を大切な人達を守るために。
「いくぞ皆!」
こうしてベルエス攻略は始まっていく。
ジョーカーズとの最後の戦い。
果たして誰一人欠ける事なく帰ってこれるのか?
そしてヴェロッサとユーノが頼まれたものとは?
次回予告
ショウ
「こうして始まったベルエス攻略」
なのは
「柱を守る人達との戦い」
稟
「様々な想いが交差するなか俺達は戦う」
純一
「次回S.H.D.C第三十七話。
【突入!四本柱】に…」
ハヤテ
「ドライブイグニッション!」
HEAVEN-36
END