託されし光
「紅蓮一閃!」
「…チッ!」
激しく燃え上がる剣をショウは思い切り振り下ろしクルスは双剣で受け止め舌打ちをする。
目の前の男はボロボロの身体でまだここまで力が残っているのかと顔を歪め、クルスはショウから距離を置いて双剣を双銃に変え二つの銃口から光の弾丸を放っていく。
「こんなもん!」
剣を振るい光の弾丸を四方八方に弾き飛ばしショウはクルスに接近しようと駆け出すが、クルスは双銃を腰にしまい手のひらをショウに向け握り締めた瞬間弾き飛ばされたはずの弾丸が一斉にショウに襲いかかった。
雨のように降り注ぐ弾丸を剣を盾にし受け止めるがあまりの数の多さに片膝をつく。
『マスター!』
「大丈夫だフローラ」
弾丸の雨が止み心配するフローラに息を吐いて答え#ショウが目をクルスの方にむけると、クルスは双銃を手にし二つの銃口を向けていた。
「アブソリュートバースト」
「鳳凰守護陣!」
ショウが一息つく暇すらあたえずヴィータとシグナムに大ダメージを与えた氷結砲撃魔法をクルスが放ちショウは剣を地に刺しその砲撃を赤い結界で防ぎショウは体勢を立て直す。
「……」
「ハァ、ハァ、ハァ」
対峙する二人の状態はあまりにも差があった。
全く汗をかかず息すら乱していないクルスに対しショウは額から汗を流し息を疲れたように吐いていた。
クルスはそんなショウの状態を見ても顔色一つ変えず再び双銃から光の弾丸を放ちショウを必要以上に動かす。
(ここで僕がキミの力に負けるわけにはいかない。彼女を救う。その為だけに僕はこの決断をしたんだ。それなのにキミは――)
「鳳凰乱舞!」
光の弾丸から抜け出し思い切り剣を振るう。
まるで一つの演舞のようにショウは剣を振るいクルスはギリギリで交わしているが、受け止めきれない斬撃もありその一撃は確実にダメージとなっていた。
(そんな炎で僕に向かってくるのかっ!)
双銃の片方で剣を受け止めもう片方に魔力を込め至近距離からシャイニングバスターを放ちショウは光に呑み込まれ地面を転がっていく。
「ショウ君!」
地面を転がるショウに駆け寄ろうとなのはが立ち上がるがクルスは口を開いてなのはを止める。
「来るななのは!これは俺とアイツの戦いなんだ。邪魔をしないでくれ」
「ショウ君」
剣を支えにゆっくり立ち上がりクルスを見つめるショウ。
先程の一撃でかなりのダメージを負ったのは誰が見てもわかるのに、ショウの目はいまだに激しく燃え気持ちもまた諦めてはいなかった。
「まだだクルス!俺はまだ戦える!」
「そんな身体で何が出来る?」
「まだお前と戦える。それで充分なんだよ。フローラ!!」
『わかってますマスター!』
ショウの身体が赤く光りショウの身体を赤い鎧が覆いその姿は神魔杯でノヴァの時に見せた姿へと変わっていた。
ショウは拳を握りただ真っ直ぐに前だけを見つめ勢いよく駆け出す。
「紅蓮拳!」
『プロテクション』
ショウの拳を白いシールドが受け止めショウは負けじと拳を押し込むが、シールドはヒビすら入らず逆にショウが押し返されていた。
全力で振るった拳を押し返されていたショウは目を丸くする。
ノヴァのアーマーすら粉砕したこの全力をただのシールドが防いでヒビすら入らないのだ。
「キミの2ndじゃ僕の3rdには届かない。ショウ――これで終わりにする!」
双銃を構えゾッとするような目をするクルスにショウは背筋が凍るような感覚を味わう。
クルスの目は本気で終わらせると物語っていた。
全力で倒しにくるつもりなのだと。
「いくよショウ!」
双銃から次々と放たれる氷の弾丸。
氷の弾丸はショウの両腕や両足や下半身を凍らせショウは身動きが一切出来なくなっていく。
「終わりにする。アブソリュート・フィナーレ!」
「ショウ君!」
クルスが使う最強の氷結砲撃魔法が双銃から一気に放たれ、それは勢いよく迫り身動きが出来ないショウは自分のアーマーが砕けた事に気づく前に吹き飛び身体は岩壁に叩き付けらその身体はゆっくり倒れていった。
(終わったか…)
自分を追ってきたかつての友は一人を除いて全て倒れた。
これで残っているのは座り込んでいる高町なのはだけだろうとクルスは息を吐く。
「ショウが倒れた今キミを守る人はいない。悪いけど眠ってもらうよなのは」
「まだだよクルス君」
「なに?」
座り込んでいたなのはに近づき双銃を向けて口を開くクルスに、先程まで意気消沈していたなのはが嘘のように自信に満ちたような顔をしクルスを見つめていた。
なのはの目にはまだ終わってないという感情が宿っておりクルスはそれに目を細める。
「まだショウ君は負けてない」
「何を言うかと思えば……ッ!」
クルスの背後から感じる燃えるような魔力。
それは間違いなくショウの魔力だが何かが違っていた。
まるで全てを焼き付くすかのような感覚と息苦しさをクルスは味わう。
「まさか立ち上がるなんてね」
「……だだ……」
倒れていたはずのショウがゆっくり立ち上がり頭から血を流しながらもただ真っ直ぐにクルスを見つめていた。
ショウの顔にはまだ諦めるという感情は浮かんでいない。
ショウの目が身体が心がまるで燃えているかのように赤く光りクルスはその光景に目を丸くする。
(まさかこのタイミングで覚醒したのか3rdに…)
ショウから感じる魔力やその雰囲気をクルスは知っている。
自分が紅牙と戦った時に覚醒した状態と似ているのだ。
その証拠にショウの背中の翼がオレンジ色に変わり、腰には剣が装備され両腕にはアーマーが装備されていた。
「俺はまだ死んでないぞクルス!俺は絶対に諦めない!お前を連れ戻すんだ!」
「……ッ!まだそんな事を言っているのか」
クルスの目に宿る氷のように冷たい表情。
あれだけやられたのにショウはまだあんな事を口にしていた。
何もわかってないのに。
何一つショウはわかっていない!!
「僕はキミ達の所に帰らないと言ったはずだ!!」
クルスは双剣を握りショウに向かって駆け出す。
ショウも腰についている鞘から剣を抜き双剣を受け止めそれを強引に押し返しそのまま剣を横に払う。
クルスはそれを後方に下がる事で回避し体勢を崩さないまま斬撃を繰り出す。
しかしショウはクルスの斬撃を剣で防ぎ、無防備となっているクルスの腹部に膝蹴りを繰り出しクルスはその膝を喰らいショウから離れていく。
「……くっ!」
「何でだよクルス!どうして何も言ってくれないんだ!」
距離を置いて対峙するショウとクルス。
ショウは顔を歪めただ真っ直ぐに己の気持ちを口にするとクルスはその問いに鋭い目付きのまま答えていく。
「これは僕一人で決めたことだ。キミには関係ない」
「だから何で一人で決めるんだよ!一人で決めて一人で抱えて全てを捨てて何でお前一人がそこまでしなきゃいけないんだ!俺達親友じゃねぇのかよ!!なのにどうしてだよ!」
悲しく叫ぶショウの声に倒れていたはやてやクロノ達は顔を上げ皆がクルスに目を向けていた。
ショウの声に微動だにしないクルスの姿を見つめなのはやはやては表情を悲し気に染める。
クルスはまるで一人ぼっちの子供のように見えるのだ。
闇の書事件の時から時間が止まっているかのように二人は感じていた。
「言いたいことはそれだけ?」
ショウの言葉を聞いていたクルスは殺気を込めたような鋭い目付きでショウを見つめ、クルスの身体からは全てを凍らせるほどの冷たい魔力が溢れだしショウは己の剣を強く握り締める。
「ショウ、そうやって何でもわかったように言うな。僕は自分の決断に迷いはないと言ったはずだ。どんな選択肢があろうとも僕はこの道を選ぶ!」
クルスは魔方陣を展開させ全てを終わらせる為に双銃に魔力を込める。
これ以上戦ってもショウの言葉に揺らぐことはない。
このキズナを断ち切る為にもこの一撃で終わらせる。
「バカ野郎!」
ショウもまた魔法陣を展開させ己の剣に魔力を込める。
あの日自分が元の世界に帰っていればこんな事にはならなかったのかもしれない。
クルスがこうなった原因は自分にもある。
もうあの日のように一緒に戦えないかもしれないが、それでもクルスとのキズナを失いたくはない。
「消えろショウ!アブソリュート・フィナーレ!!」
双銃から一気に放たれた氷結砲撃魔法。
今までよりも遥かに威力が違う砲撃をショウは剣を強く握り立ち向かうかのように一歩前に足を出しパートナーであるフローラに声を掛ける。
「フローラいくぞ!」
『えぇ。あのおバカ一人とパートナーの目を覚まさせてあげましょう』
ショウの剣が炎の渦に包まれショウとフローラは気持ちを一つにしその剣を一気に振り下ろしていく。
『鳳凰天流波!』
振り下ろされた剣から炎の渦が放たれその渦はクルスの放ったアブソリュート・フィナーレを呑み込み吸収したかのように膨れ上がりクルスに迫りくる。
(…あぁ。これがキミの力であり希望なんだね)
炎の渦に呑み込まれる瞬間クルスはフッと笑いその身体は渦の中に消えていくのであった。
―――――
「はぁ、はぁ、はぁ」
「……」
炎の渦が消えショウはユニゾンを解除し身体を休めるように座り込む。
ショウの魔力はもう空っぽに近く体力もまた残っていないのかショウの息は荒い。
そして炎の渦に呑み込まれたクルスは地面に倒れその手には双銃が握られてはいるが立つ様子が全く感じられなかった。
ショウとクルスの戦いはショウの勝ちで幕を閉じ、身体を休めているショウになのはが近付く。
「ショウ君少しでも回復を……」
「俺は大丈夫だ。それよりシャマルと一緒にはやて達を頼む」
「うん」
なのはは倒れているシャマルを優しく起こしシャマルと共に傷ついているはやて達を治療していく。
(これがキズナを持つ者の力か。誰かを救いたいと願ったときその力は何倍も膨れ上がり大きな力へと繋がっていく。ごめんね――――。どうやら僕の選んだ道ではキミのもとへは繋がらなかった)
たった一人で戦っていた自分と仲間と共に戦っていたショウ。
最初から勝負は決まっていたのかもしれない。
僕は何一つ守れやしないんだ。
「クルス……」
倒れているクルスにクロノに支えてもらいながら歩いていたショウが近付きその手を伸ばした。
ショウは今なおクルスを連れ戻そうとしている。
クルスならこの手を掴んでくれると信じショウは笑みを浮かべていると洞窟内が激しく揺れだし皆が驚く。
「…なっ!?」
「これは!!」
「始まったか」
驚くショウ達に対しクルスは何かを悟ったように呟き己の身体をゆっくり起こしていく。
洞窟内は激しい揺れと地割れにより足場が崩れ始める。
それによりショウとクルスの距離は一気に離れていく。
「…チッ!」
激しく燃え上がる剣をショウは思い切り振り下ろしクルスは双剣で受け止め舌打ちをする。
目の前の男はボロボロの身体でまだここまで力が残っているのかと顔を歪め、クルスはショウから距離を置いて双剣を双銃に変え二つの銃口から光の弾丸を放っていく。
「こんなもん!」
剣を振るい光の弾丸を四方八方に弾き飛ばしショウはクルスに接近しようと駆け出すが、クルスは双銃を腰にしまい手のひらをショウに向け握り締めた瞬間弾き飛ばされたはずの弾丸が一斉にショウに襲いかかった。
雨のように降り注ぐ弾丸を剣を盾にし受け止めるがあまりの数の多さに片膝をつく。
『マスター!』
「大丈夫だフローラ」
弾丸の雨が止み心配するフローラに息を吐いて答え#ショウが目をクルスの方にむけると、クルスは双銃を手にし二つの銃口を向けていた。
「アブソリュートバースト」
「鳳凰守護陣!」
ショウが一息つく暇すらあたえずヴィータとシグナムに大ダメージを与えた氷結砲撃魔法をクルスが放ちショウは剣を地に刺しその砲撃を赤い結界で防ぎショウは体勢を立て直す。
「……」
「ハァ、ハァ、ハァ」
対峙する二人の状態はあまりにも差があった。
全く汗をかかず息すら乱していないクルスに対しショウは額から汗を流し息を疲れたように吐いていた。
クルスはそんなショウの状態を見ても顔色一つ変えず再び双銃から光の弾丸を放ちショウを必要以上に動かす。
(ここで僕がキミの力に負けるわけにはいかない。彼女を救う。その為だけに僕はこの決断をしたんだ。それなのにキミは――)
「鳳凰乱舞!」
光の弾丸から抜け出し思い切り剣を振るう。
まるで一つの演舞のようにショウは剣を振るいクルスはギリギリで交わしているが、受け止めきれない斬撃もありその一撃は確実にダメージとなっていた。
(そんな炎で僕に向かってくるのかっ!)
双銃の片方で剣を受け止めもう片方に魔力を込め至近距離からシャイニングバスターを放ちショウは光に呑み込まれ地面を転がっていく。
「ショウ君!」
地面を転がるショウに駆け寄ろうとなのはが立ち上がるがクルスは口を開いてなのはを止める。
「来るななのは!これは俺とアイツの戦いなんだ。邪魔をしないでくれ」
「ショウ君」
剣を支えにゆっくり立ち上がりクルスを見つめるショウ。
先程の一撃でかなりのダメージを負ったのは誰が見てもわかるのに、ショウの目はいまだに激しく燃え気持ちもまた諦めてはいなかった。
「まだだクルス!俺はまだ戦える!」
「そんな身体で何が出来る?」
「まだお前と戦える。それで充分なんだよ。フローラ!!」
『わかってますマスター!』
ショウの身体が赤く光りショウの身体を赤い鎧が覆いその姿は神魔杯でノヴァの時に見せた姿へと変わっていた。
ショウは拳を握りただ真っ直ぐに前だけを見つめ勢いよく駆け出す。
「紅蓮拳!」
『プロテクション』
ショウの拳を白いシールドが受け止めショウは負けじと拳を押し込むが、シールドはヒビすら入らず逆にショウが押し返されていた。
全力で振るった拳を押し返されていたショウは目を丸くする。
ノヴァのアーマーすら粉砕したこの全力をただのシールドが防いでヒビすら入らないのだ。
「キミの2ndじゃ僕の3rdには届かない。ショウ――これで終わりにする!」
双銃を構えゾッとするような目をするクルスにショウは背筋が凍るような感覚を味わう。
クルスの目は本気で終わらせると物語っていた。
全力で倒しにくるつもりなのだと。
「いくよショウ!」
双銃から次々と放たれる氷の弾丸。
氷の弾丸はショウの両腕や両足や下半身を凍らせショウは身動きが一切出来なくなっていく。
「終わりにする。アブソリュート・フィナーレ!」
「ショウ君!」
クルスが使う最強の氷結砲撃魔法が双銃から一気に放たれ、それは勢いよく迫り身動きが出来ないショウは自分のアーマーが砕けた事に気づく前に吹き飛び身体は岩壁に叩き付けらその身体はゆっくり倒れていった。
(終わったか…)
自分を追ってきたかつての友は一人を除いて全て倒れた。
これで残っているのは座り込んでいる高町なのはだけだろうとクルスは息を吐く。
「ショウが倒れた今キミを守る人はいない。悪いけど眠ってもらうよなのは」
「まだだよクルス君」
「なに?」
座り込んでいたなのはに近づき双銃を向けて口を開くクルスに、先程まで意気消沈していたなのはが嘘のように自信に満ちたような顔をしクルスを見つめていた。
なのはの目にはまだ終わってないという感情が宿っておりクルスはそれに目を細める。
「まだショウ君は負けてない」
「何を言うかと思えば……ッ!」
クルスの背後から感じる燃えるような魔力。
それは間違いなくショウの魔力だが何かが違っていた。
まるで全てを焼き付くすかのような感覚と息苦しさをクルスは味わう。
「まさか立ち上がるなんてね」
「……だだ……」
倒れていたはずのショウがゆっくり立ち上がり頭から血を流しながらもただ真っ直ぐにクルスを見つめていた。
ショウの顔にはまだ諦めるという感情は浮かんでいない。
ショウの目が身体が心がまるで燃えているかのように赤く光りクルスはその光景に目を丸くする。
(まさかこのタイミングで覚醒したのか3rdに…)
ショウから感じる魔力やその雰囲気をクルスは知っている。
自分が紅牙と戦った時に覚醒した状態と似ているのだ。
その証拠にショウの背中の翼がオレンジ色に変わり、腰には剣が装備され両腕にはアーマーが装備されていた。
「俺はまだ死んでないぞクルス!俺は絶対に諦めない!お前を連れ戻すんだ!」
「……ッ!まだそんな事を言っているのか」
クルスの目に宿る氷のように冷たい表情。
あれだけやられたのにショウはまだあんな事を口にしていた。
何もわかってないのに。
何一つショウはわかっていない!!
「僕はキミ達の所に帰らないと言ったはずだ!!」
クルスは双剣を握りショウに向かって駆け出す。
ショウも腰についている鞘から剣を抜き双剣を受け止めそれを強引に押し返しそのまま剣を横に払う。
クルスはそれを後方に下がる事で回避し体勢を崩さないまま斬撃を繰り出す。
しかしショウはクルスの斬撃を剣で防ぎ、無防備となっているクルスの腹部に膝蹴りを繰り出しクルスはその膝を喰らいショウから離れていく。
「……くっ!」
「何でだよクルス!どうして何も言ってくれないんだ!」
距離を置いて対峙するショウとクルス。
ショウは顔を歪めただ真っ直ぐに己の気持ちを口にするとクルスはその問いに鋭い目付きのまま答えていく。
「これは僕一人で決めたことだ。キミには関係ない」
「だから何で一人で決めるんだよ!一人で決めて一人で抱えて全てを捨てて何でお前一人がそこまでしなきゃいけないんだ!俺達親友じゃねぇのかよ!!なのにどうしてだよ!」
悲しく叫ぶショウの声に倒れていたはやてやクロノ達は顔を上げ皆がクルスに目を向けていた。
ショウの声に微動だにしないクルスの姿を見つめなのはやはやては表情を悲し気に染める。
クルスはまるで一人ぼっちの子供のように見えるのだ。
闇の書事件の時から時間が止まっているかのように二人は感じていた。
「言いたいことはそれだけ?」
ショウの言葉を聞いていたクルスは殺気を込めたような鋭い目付きでショウを見つめ、クルスの身体からは全てを凍らせるほどの冷たい魔力が溢れだしショウは己の剣を強く握り締める。
「ショウ、そうやって何でもわかったように言うな。僕は自分の決断に迷いはないと言ったはずだ。どんな選択肢があろうとも僕はこの道を選ぶ!」
クルスは魔方陣を展開させ全てを終わらせる為に双銃に魔力を込める。
これ以上戦ってもショウの言葉に揺らぐことはない。
このキズナを断ち切る為にもこの一撃で終わらせる。
「バカ野郎!」
ショウもまた魔法陣を展開させ己の剣に魔力を込める。
あの日自分が元の世界に帰っていればこんな事にはならなかったのかもしれない。
クルスがこうなった原因は自分にもある。
もうあの日のように一緒に戦えないかもしれないが、それでもクルスとのキズナを失いたくはない。
「消えろショウ!アブソリュート・フィナーレ!!」
双銃から一気に放たれた氷結砲撃魔法。
今までよりも遥かに威力が違う砲撃をショウは剣を強く握り立ち向かうかのように一歩前に足を出しパートナーであるフローラに声を掛ける。
「フローラいくぞ!」
『えぇ。あのおバカ一人とパートナーの目を覚まさせてあげましょう』
ショウの剣が炎の渦に包まれショウとフローラは気持ちを一つにしその剣を一気に振り下ろしていく。
『鳳凰天流波!』
振り下ろされた剣から炎の渦が放たれその渦はクルスの放ったアブソリュート・フィナーレを呑み込み吸収したかのように膨れ上がりクルスに迫りくる。
(…あぁ。これがキミの力であり希望なんだね)
炎の渦に呑み込まれる瞬間クルスはフッと笑いその身体は渦の中に消えていくのであった。
―――――
「はぁ、はぁ、はぁ」
「……」
炎の渦が消えショウはユニゾンを解除し身体を休めるように座り込む。
ショウの魔力はもう空っぽに近く体力もまた残っていないのかショウの息は荒い。
そして炎の渦に呑み込まれたクルスは地面に倒れその手には双銃が握られてはいるが立つ様子が全く感じられなかった。
ショウとクルスの戦いはショウの勝ちで幕を閉じ、身体を休めているショウになのはが近付く。
「ショウ君少しでも回復を……」
「俺は大丈夫だ。それよりシャマルと一緒にはやて達を頼む」
「うん」
なのはは倒れているシャマルを優しく起こしシャマルと共に傷ついているはやて達を治療していく。
(これがキズナを持つ者の力か。誰かを救いたいと願ったときその力は何倍も膨れ上がり大きな力へと繋がっていく。ごめんね――――。どうやら僕の選んだ道ではキミのもとへは繋がらなかった)
たった一人で戦っていた自分と仲間と共に戦っていたショウ。
最初から勝負は決まっていたのかもしれない。
僕は何一つ守れやしないんだ。
「クルス……」
倒れているクルスにクロノに支えてもらいながら歩いていたショウが近付きその手を伸ばした。
ショウは今なおクルスを連れ戻そうとしている。
クルスならこの手を掴んでくれると信じショウは笑みを浮かべていると洞窟内が激しく揺れだし皆が驚く。
「…なっ!?」
「これは!!」
「始まったか」
驚くショウ達に対しクルスは何かを悟ったように呟き己の身体をゆっくり起こしていく。
洞窟内は激しい揺れと地割れにより足場が崩れ始める。
それによりショウとクルスの距離は一気に離れていく。