亀裂
ロンド・ラグナに向かうアースラの中では緊迫した空気が漂っていた。
今から自分達はロスト・ロギアを奪ったクルスと戦うことになる。
自分達は聞かねばならない。
クルスの行動した意味を。
重苦しい空気が漂う中で皆を見渡すようにクロノが立ち上がり口を開く。
「今から僕らはクルスを追うわけだが正直言って今回の事件何かあると思わないか?」
「急にどうしたんクロノ君?」
クロノの言葉にシュベルトクロイツを握っていたはやてが不思議そうな顔をして首を傾げる。
「クルスがロスト・ロギアを奪ったのは間違いないと思う。ただ何故そんな事をしたのかどうしてもわからないし本局の上層部の動きがいくらなんでも早すぎる。それにこの場にフェイトがいないのもおかしいと思わないか?」
クロノは皆がアースラに乗る前に一人事件について考えていた。
クルスが何故危険とわかっている事を平然と出来た?
クルスなら見つからずロスト・ロギアを強奪できたのにあえて見つかる動きをしていた。
しかもクルスがロスト・ロギアを奪ってすぐに指名手配されクルスを生死問わず捕まえろと命令していた。
そしてクルスがこんな事をしたならフェイトが誰よりも動くはずなのに何故ここにいない?
何かがおかしいと思うのは自分だけか?
「クロノ君はクルス君が本気で裏切ったと思っていないん?」
「当たり前だ。アイツは僕に言ったんだぞ。フェイトの笑顔を守る為に帰ってきたと。そんな事を言ったアイツがフェイトを悲しませる事を本気でするなんて思えない」
かつてクルスがこの世界に帰ってきた時に交わした約束。
クルスは本気でフェイトを大切にする心で自分に伝えてくれた。
あれが嘘だなんてクロノには思えなかった。
「母さんもそう思ったからアースラに来たのでしょ?」
「えぇ。あのクルス君がフェイトをエリオをキャロを悲しませるなんて思えないのよ。絶対に理由があるはず」
リンディもまたクロノと同じ気持ちだった。
体育祭でクルスがフェイト達に言った事は嘘ではない。
信じているからこそリンディもまた真意を確かめたいのだ。
「はやて、キミはどう考えている?この事件について意見を聞きたい」
「まだ情報が足りへんし私も混乱しとるけどこれだけは言える。クルス君のこの行動には理由があってそれは並大抵のものやないって。何もかも捨ててまで動いたって事はクルス君にも譲れんもんがあるんやと私は思っとる」
はやての言葉は誰もがそう感じていた言葉である。
何を考え動いたかそれはクルスに聞くしかない。
クロノが言ったように何かがおかしいと思うが自分達がやる事は一つしかない。
「クルス君とお話だね」
レイジングハートを持ちニコニコ笑うなのはの隣でヴィータは呆れたようにアイゼンを振り口を開く。
「なのはの言う通りだな。アイツの頭を殴って連れ戻せばいいんだしな」
「確かにな。主はやて、我らがヴォルケンリッターは皆同じ想いです」
「わかっとるよ皆」
誰もが気持ちを一つにする。
クルスの持つロスト・ロギアを回収しクルスを連れ戻す。
皆が皆同じ想いになりその光景を見ながらショウもまた一人決意する。
(待ってろクルス。たとえお前と戦う事になっても俺はお前を止めてみせる。親友として)
ショウが決意する中でクロノは顎に手を置いて考え始める。
「それにしても…」
もしクルスと戦う事になるとしてクルスに全ての真実を果たして聞き出せるか。
この行動にジョーカーズが関係しているならクルスが隠しているものもわかるかもしれない。
(ユーノの方も気になる事があると言ってたしな)
ユーノは本局に残り調べものをすると言ってアースラには来なかった。
フェイトがいない理由や上層部の動きをユーノは調べるつもりなんだろう。
しかも――
(ユリナさんが怪しい‥‥か)
真剣な顔つきで口にしたユーノにクロノは神妙な顔をして聞いていた。
(お前は何を知っているんだクルス?)
クロノの脳裏によぎる一つの可能性。
はやて同様に浮かぶその可能性が当たらないように願うしかない。
ロンド・ラグナまでもう少し。
~海底洞窟~
「もうすぐだな…」
ショウ達を待ちクルスはフウッと息を吐きただ前を見つめる。
ロンド・ラグナの洞窟入り口から感じた複数の魔力反応。
おそらくそれは僕を追ってきたショウ達のもので間違いない。
あの入り口からここまで時間はかからないはずだから、ここに辿り着くのも時間の問題だろう。
「悪いねレン。僕のわがままでフューチャーデバイスであるお前の使命を逸脱させてしまった」
『今さらですねマスター。それに私はマスターと共に未来を進む為に作られたデバイスですよ。私の未来はずっとマスターの傍にいる事です』
「そうだったな」
フッと笑いクルスは自分の耳に聞こえてくる足音が徐々に近付いてくる事に気付き目を細める。
「来たか。行くよレン」
クルスの呟きと同時に目の前にはショウやなのはやはやてやヴォルケンリッターやクロノが現れクルスの姿に皆が立ち止まりクルスをジッと見つめていた。
「……クルス!!」
クルスの姿に誰よりも真っ先に反応したのはショウ。
ショウの声にクルスはただじっとショウ達を冷たい目付きで捉えていた。
クルスの前にいる者達からは様々な感情を感じられる。
困惑・怒り・悲しみといった感情である。
その感情に気付きクルスはただ思う。
(成る程ね。ショウ達は僕を説得して連れ戻すつもりか)
「クルス!どうしてロスト・ロギアを奪ったんだ!!」
(その程度の気持ちでここに来たのか?)
「クルス君、大体の事はユリナさんから聞いたよ。何でこんな事をしたのか聞かせてもらうよ」
ショウがなのはがクルスに対し口を開くが、クルスはそれに答える事なくユニゾンし背中から白い翼が生え双銃の銃口をゆっくり向ける。
クルスの動きに一切の躊躇いはない。
「何の躊躇いもなくユニゾンしたか!わかっているのかクルス?お前がやっている事はあきらかに……」
「わかっているさクロノ。そしてこれが僕の答えだ!」
その言葉と同時に双銃から巨大な白い閃光が放たれた。
次回予告
ショウ
「ついに始まった戦い」
なのは
「私達を相手に本気で戦うクルス君」
はやて
「迷いのないクルス君に私達は…」
クロノ
「次回S.H.D.C第三十三話。
【激突】に…」
ヴィータ&シグナム
「「ドライブイグニッション!」」
HEAVEN-32
END
今から自分達はロスト・ロギアを奪ったクルスと戦うことになる。
自分達は聞かねばならない。
クルスの行動した意味を。
重苦しい空気が漂う中で皆を見渡すようにクロノが立ち上がり口を開く。
「今から僕らはクルスを追うわけだが正直言って今回の事件何かあると思わないか?」
「急にどうしたんクロノ君?」
クロノの言葉にシュベルトクロイツを握っていたはやてが不思議そうな顔をして首を傾げる。
「クルスがロスト・ロギアを奪ったのは間違いないと思う。ただ何故そんな事をしたのかどうしてもわからないし本局の上層部の動きがいくらなんでも早すぎる。それにこの場にフェイトがいないのもおかしいと思わないか?」
クロノは皆がアースラに乗る前に一人事件について考えていた。
クルスが何故危険とわかっている事を平然と出来た?
クルスなら見つからずロスト・ロギアを強奪できたのにあえて見つかる動きをしていた。
しかもクルスがロスト・ロギアを奪ってすぐに指名手配されクルスを生死問わず捕まえろと命令していた。
そしてクルスがこんな事をしたならフェイトが誰よりも動くはずなのに何故ここにいない?
何かがおかしいと思うのは自分だけか?
「クロノ君はクルス君が本気で裏切ったと思っていないん?」
「当たり前だ。アイツは僕に言ったんだぞ。フェイトの笑顔を守る為に帰ってきたと。そんな事を言ったアイツがフェイトを悲しませる事を本気でするなんて思えない」
かつてクルスがこの世界に帰ってきた時に交わした約束。
クルスは本気でフェイトを大切にする心で自分に伝えてくれた。
あれが嘘だなんてクロノには思えなかった。
「母さんもそう思ったからアースラに来たのでしょ?」
「えぇ。あのクルス君がフェイトをエリオをキャロを悲しませるなんて思えないのよ。絶対に理由があるはず」
リンディもまたクロノと同じ気持ちだった。
体育祭でクルスがフェイト達に言った事は嘘ではない。
信じているからこそリンディもまた真意を確かめたいのだ。
「はやて、キミはどう考えている?この事件について意見を聞きたい」
「まだ情報が足りへんし私も混乱しとるけどこれだけは言える。クルス君のこの行動には理由があってそれは並大抵のものやないって。何もかも捨ててまで動いたって事はクルス君にも譲れんもんがあるんやと私は思っとる」
はやての言葉は誰もがそう感じていた言葉である。
何を考え動いたかそれはクルスに聞くしかない。
クロノが言ったように何かがおかしいと思うが自分達がやる事は一つしかない。
「クルス君とお話だね」
レイジングハートを持ちニコニコ笑うなのはの隣でヴィータは呆れたようにアイゼンを振り口を開く。
「なのはの言う通りだな。アイツの頭を殴って連れ戻せばいいんだしな」
「確かにな。主はやて、我らがヴォルケンリッターは皆同じ想いです」
「わかっとるよ皆」
誰もが気持ちを一つにする。
クルスの持つロスト・ロギアを回収しクルスを連れ戻す。
皆が皆同じ想いになりその光景を見ながらショウもまた一人決意する。
(待ってろクルス。たとえお前と戦う事になっても俺はお前を止めてみせる。親友として)
ショウが決意する中でクロノは顎に手を置いて考え始める。
「それにしても…」
もしクルスと戦う事になるとしてクルスに全ての真実を果たして聞き出せるか。
この行動にジョーカーズが関係しているならクルスが隠しているものもわかるかもしれない。
(ユーノの方も気になる事があると言ってたしな)
ユーノは本局に残り調べものをすると言ってアースラには来なかった。
フェイトがいない理由や上層部の動きをユーノは調べるつもりなんだろう。
しかも――
(ユリナさんが怪しい‥‥か)
真剣な顔つきで口にしたユーノにクロノは神妙な顔をして聞いていた。
(お前は何を知っているんだクルス?)
クロノの脳裏によぎる一つの可能性。
はやて同様に浮かぶその可能性が当たらないように願うしかない。
ロンド・ラグナまでもう少し。
~海底洞窟~
「もうすぐだな…」
ショウ達を待ちクルスはフウッと息を吐きただ前を見つめる。
ロンド・ラグナの洞窟入り口から感じた複数の魔力反応。
おそらくそれは僕を追ってきたショウ達のもので間違いない。
あの入り口からここまで時間はかからないはずだから、ここに辿り着くのも時間の問題だろう。
「悪いねレン。僕のわがままでフューチャーデバイスであるお前の使命を逸脱させてしまった」
『今さらですねマスター。それに私はマスターと共に未来を進む為に作られたデバイスですよ。私の未来はずっとマスターの傍にいる事です』
「そうだったな」
フッと笑いクルスは自分の耳に聞こえてくる足音が徐々に近付いてくる事に気付き目を細める。
「来たか。行くよレン」
クルスの呟きと同時に目の前にはショウやなのはやはやてやヴォルケンリッターやクロノが現れクルスの姿に皆が立ち止まりクルスをジッと見つめていた。
「……クルス!!」
クルスの姿に誰よりも真っ先に反応したのはショウ。
ショウの声にクルスはただじっとショウ達を冷たい目付きで捉えていた。
クルスの前にいる者達からは様々な感情を感じられる。
困惑・怒り・悲しみといった感情である。
その感情に気付きクルスはただ思う。
(成る程ね。ショウ達は僕を説得して連れ戻すつもりか)
「クルス!どうしてロスト・ロギアを奪ったんだ!!」
(その程度の気持ちでここに来たのか?)
「クルス君、大体の事はユリナさんから聞いたよ。何でこんな事をしたのか聞かせてもらうよ」
ショウがなのはがクルスに対し口を開くが、クルスはそれに答える事なくユニゾンし背中から白い翼が生え双銃の銃口をゆっくり向ける。
クルスの動きに一切の躊躇いはない。
「何の躊躇いもなくユニゾンしたか!わかっているのかクルス?お前がやっている事はあきらかに……」
「わかっているさクロノ。そしてこれが僕の答えだ!」
その言葉と同時に双銃から巨大な白い閃光が放たれた。
次回予告
ショウ
「ついに始まった戦い」
なのは
「私達を相手に本気で戦うクルス君」
はやて
「迷いのないクルス君に私達は…」
クロノ
「次回S.H.D.C第三十三話。
【激突】に…」
ヴィータ&シグナム
「「ドライブイグニッション!」」
HEAVEN-32
END