激闘の果てに
こんなスリルのある戦いはショウにとってもノヴァにとっても久しぶり。
お互い気づいていないが口元はハッキリと緩んでいる。
「ショウ・ヤナギ!最高だぜテメェとの戦い!」
「俺もだノヴァ!ここからが本番だ!!」
「上等!モードグラビテーション!!」
ノヴァの身体を青い光が包み込んでノヴァのアーマー姿は1st状態になりショウの剣は再び炎に包まれる。
「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」
ショウの剣とノヴァの拳が交差して互いの身体を傷付けていく。
剣が拳が身体を傷付けていくが二人の攻防は止まる事なく激しさを増すばかり。
目にも止まらぬその戦いに観客は魅了されていく。
「おらぁぁぁぁ!」
ノヴァの拳がショウの顔面を殴り飛ばしショウは苦痛の表情を浮かべ、ノヴァはさらに拳を振るいショウを地面に叩き付ける。
「クソッ……!」
地面に叩き付けられショウは頭から血を流しながら身体をゆっくり起こしていく。
いくらダメージを与えてもノヴァは全く倒れない。
同じように自分もダメージを喰らい正直立っているのもやっとなのに。
負けたくない!
なのはの為にもノヴァに負ける訳にはいかないんだ。
もっと!もっと力を!
「余所見してる暇があんのか!!」
「チッ!」
眼前に迫るノヴァの拳を剣で受け止めようとしたが、ノヴァの拳を受け続けたせいか剣は拳とぶつかった瞬間に砕けショウはもろにノヴァの拳を喰らい吹き飛んでいく。
(このまま負けていい訳がないだろ。クルスだってボロボロになって戦っていたんだ。俺がここで諦めていい訳がないだろ!力を!アイツと親友と一緒に戦える力を!!)
唇を噛み震える身体を起こしショウはただノヴァを見つめる。
剣が折れ血を流すショウにノヴァは拳を握り締めトドメの一撃を与える為に駆け出す。
「これで終わりだぁぁぁ!!」
「まだ終わってたまるか!」
ノヴァの拳を素手で受け止めただショウは叫ぶ。
大切な者を守る力を――
親友と一緒に戦える力を――
「フローラ!俺達はまだ終われない!そうだろ!」
『はい!マスター!』
トクンとショウの胸が鳴り、ショウを包み込むように炎の柱が発生してその炎はフィールド全てを燃やし始める。
掴まれていた手が離れノヴァはその光景に目を丸くする。
一体何が起こっている?
あれだけのダメージを負っていた男が何故まだあんな力を残している?
それにこのフィールドにまで影響を及ぼす現象はまるで―――
「まさか!?」
ノヴァの脳裏に浮かぶ単語。
そうこれはもしかすると『フューチャーデバイスのモードアップ』ではないのか?
クルスがフューチャーを3rdにしたようにショウもまたフューチャーを―――
「うぉぉぉ!!」
「……っ!?」
炎の柱が消えてそこにいたであろう人物。
ショウの姿は先程のBJから変わり、身体はノヴァと同じアーマーに包まれ背中には鳥の羽のような翼が生えて腰には双剣が装着されていた。
「モード2nd」
「チッ!やはりそうか!」
ノヴァの予感は当たった。
目の前の男はやはりフューチャーを次のモードに進化させていた。
自分と同じアーマー。
違うと言えば背中の翼と腰の双剣だけだがそれでも力はさっきよりも上がっているはず。
だとしても――
「それがどうしたぁぁぁ!!」
ノヴァには関係ない。
たとえショウの力が強くなろうが問題ない。
自分はただ拳を振るうのみ。
全てをこの拳でぶつけるだけだ。
「バスターナックル!」
「紅蓮拳!」
ノヴァの拳とショウの拳がぶつかり合う。
それは確実にダメージを与える一撃でありノヴァはその拳とぶつかりアーマーにヒビが入り咄嗟にモードを2ndに変えようとしたが、気付いた時にはショウの拳がアーマーを砕き身体に触れ腹部に拳を叩き込まれ苦痛の表情を浮かべ倒れていた。
(なんつー力してやがる。この威力だと2ndじゃ無理か。使うしかねぇな……)
「ノヴァ!俺の勝ちだ!」
「まだ終わってねぇよ。ジョーカーズを炎帝である俺をなめるなよ!!」
ショウと同じように頭から血を流しふらっと立ち上がり不敵な笑みを浮かべ己のデバイスを手にし目を閉じる。
ノヴァにとっておそらくこれが本当に最後の力になる。
バーニャ最大の力を今ここに使うときがやって来たのだ。
「バーニャ!モードフェニックスだ!」
『いつでもこい!』
『オーバードライブ!!フェニックス・グラビテーション!!』
ノヴァの声とバーニャの声が重なり、ノヴァの身体がショウのように炎に包まれその炎の中から出てきたノヴァの姿は全てが赤く染められていた。
背中には赤い翼が生えまるで不死鳥のような姿でノヴァはショウの前に立つ。
「それが‥‥」
「そう。これが3rdだ。そして俺の全てでもある」
ショウとノヴァ。
互いにアーマーを身に付けた者が対峙する。
今はただこの戦いを全力で出すのみ。
「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」
二人が同時に駆け出して再び拳がぶつかりすぐにそれは肉弾戦の始まりを告げる。
ショウの拳がノヴァの顔面を捉え吹き飛ぶノヴァにショウは拳を叩き込むが、ノヴァはその拳を受け止めショウを投げ飛ばしショウが体勢を整える前に接近しショウの顔面を殴りそのまま回し蹴りを喰らわせる。
回し蹴りを喰らい顔を歪めるショウにノヴァは燃え上がる拳を振り下ろすが、ショウは拳を受け流しノヴァの顎を蹴りあげ空中に飛ばす。
蹴り飛ばされたノヴァは顔を歪めそのままショウと距離を置くように離れて着地する。
「テメェとの戦いはやっぱり最高だぜ!これが俺の求めていた戦いで俺を熱くし燃やし尽くせる最高の相手と出会えた。こんなに楽しい戦いは本当に初めてだ!いくぞこれが最後だ!」
「あぁ!」
距離を置いていた二人が拳に全魔力を込める。
全てをこの一撃に込めて全てを終わらせる為に。
二人は笑みを浮かべて同時に駆け出す。
「インフェルノナックル!!」
「ビッグバンフェニックスブロー!!」
全ての魔力を込めた一撃が激突しそれはフィールドを赤い光が包み込む。
モニターで観ている者達はその光に視界を奪われフィールドを見ることが出来なくなる。
「ぐぅぅぅぅ……!」
「おぉぉぉぉ……!」
拳がぶつかり合う中徐々に負けているのはショウ。
ゆっくりとノヴァの拳がショウの拳をおしていきショウの顔が歪む。
「楽しかったぜ。最高の戦いだった」
「俺もだ」
ノヴァの拳が迫るのを感じながらショウは唇を噛み締める。
こんなところで負ける訳にはいかない!
友の為にも!大切な存在の為にも!!
負けて――
「たまるかぁぁぁ!!」
「なっ!?」
押していたはずのノヴァの拳が逆にショウに押し返されていく。
拳に込めた魔力も力も互角だったはずだ。
それなのに何故自分が負けている?
これがあの方が言ってたショウの可能性か!
「うぉぉぉぉ!!」
ショウの拳がノヴァの拳を押し返しその一撃はノヴァのアーマーを破壊してノヴァの身体は勢いよく吹き飛び、ノヴァは地面に倒れる事はなかったがもはや戦う力は残されていなかった。
「……俺の負けか」
全てを出し切りスッキリしたよう笑い膝をつくノヴァ。
自分の力を全て出し後悔などなかった。
デバイスコアも破壊され自分にはもう何も残されてはいない。
「ショウ・ヤナギ、ありがとよ」
「ノヴァ……」
「最後に悔いのねぇ戦いが出来てよかったよ」
ノヴァの言葉にショウは目を細める。
まるでノヴァの言葉には先がないように聞こえたからだ。
確かにデバイスのコアはないがノヴァは生きている。
なのに何故そんな事を言うのだろうか?
「お前とは違う形で出会いたかったよショウ」
「ノヴァさっきから何を言って……なっ!?」
それはあまりにも突然の出来事だった。
ノヴァの胸部から死神の鎌を連想させるような刃が出現し、その刃はノヴァの胸部を貫き口から大量の血を吐き出す。
「やっぱり来やがったか!」
「……」
ノヴァは己の胸を貫く鎌を見つめ顔を歪めたまま口を開く。
その死神の鎌を持つ人物は仮面をはめて顔を見ることが出来ないが、この人物は体育祭の時にショウの前に現れた人物である。
鎌を持つ人物はノヴァの身体に手を当てて小さく呟く。
「……ライトニングボルト」
雷魔法を放ちノヴァの身体を吹き飛ばしたその瞬間、ノヴァの身体から赤い球体を抜き取り吹き飛ばされたノヴァに興味を見せることなく背を向ける。
「ノヴァ!!」
吹き飛ばされたノヴァに駆け寄りショウはその身体を起こすが、ノヴァの身体から流れる血は止まらずノヴァは口から血を吐く。
「やっぱりこうなったか」
「喋るな!今すぐシャマルの所に連れていくから」
「いいんだよショウ・ヤナギ。俺はもう満足だ」
「お前……」
ノヴァの身体からだんだん血の気がなくなり口を開く事すら出来なくなっていく。
そんな中でノヴァはフッと笑いショウに向け一言だけ呟く。
「……最後に……テメェと戦えて……楽しかったぜ」
「ノヴァ!!」
あれだけ楽しんで戦っていた男が全力をかけて戦っていた男が人形のように動かなくなった。
ショウはノヴァの死に顔を見ながら唇を噛み抑えきれない感情を爆発させノヴァを殺した人物に目を向ける。
その人物はいまだに背を向けたまま赤い球体を見つめていた。
「……殺す」
そう呟いて立ち上がるショウだが身体がふわりと崩れ落ちる。
どうやらノヴァとの戦いで限界がきていたのかもうショウの身体に戦う力はなかった。
それでも立ち上がろうとするショウだが目の前の人物はまるでショウに興味がないように転移魔法を使う。
「待て!どうして!どうして!ノヴァを殺したんだ!!」
転移で消えていく自分に叫びながらショウは問うと、その人物はショウの問いにゆっくり振り返って冷たく一言返すのみ。
「……私にとって必要な事だから」
そう答えてノヴァを殺した人物はフィールドから消えていく。
必要だから?
たったそれだけの理由でノヴァを殺したのか?
何で!何でなんだよ!?
もしかしたらノヴァともう一度戦えたかもしれないのに。
ノヴァが管理局に投降する可能性だってあったかもしれないのに。
ちくしょう!
「くっそぉぉぉぉ!!」
こうしてショウとノヴァの戦いは幕を閉じた。
それはショウの望む終わりではなく後味の悪い戦いになったのだった。
次回予告
ユーノ
「ついに終わる神魔杯」
ヴェロッサ
「様々な想いが交差し決着をつけた者達」
湊
「……そして始まる。……新たな物語……」
将輝
「次回S.H.D.C第三十話―
『神魔杯終結』に……』
勇人
「ドライブイグニッション」
??
「これでファントムナイツの役目は終わりね」
お互い気づいていないが口元はハッキリと緩んでいる。
「ショウ・ヤナギ!最高だぜテメェとの戦い!」
「俺もだノヴァ!ここからが本番だ!!」
「上等!モードグラビテーション!!」
ノヴァの身体を青い光が包み込んでノヴァのアーマー姿は1st状態になりショウの剣は再び炎に包まれる。
「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」
ショウの剣とノヴァの拳が交差して互いの身体を傷付けていく。
剣が拳が身体を傷付けていくが二人の攻防は止まる事なく激しさを増すばかり。
目にも止まらぬその戦いに観客は魅了されていく。
「おらぁぁぁぁ!」
ノヴァの拳がショウの顔面を殴り飛ばしショウは苦痛の表情を浮かべ、ノヴァはさらに拳を振るいショウを地面に叩き付ける。
「クソッ……!」
地面に叩き付けられショウは頭から血を流しながら身体をゆっくり起こしていく。
いくらダメージを与えてもノヴァは全く倒れない。
同じように自分もダメージを喰らい正直立っているのもやっとなのに。
負けたくない!
なのはの為にもノヴァに負ける訳にはいかないんだ。
もっと!もっと力を!
「余所見してる暇があんのか!!」
「チッ!」
眼前に迫るノヴァの拳を剣で受け止めようとしたが、ノヴァの拳を受け続けたせいか剣は拳とぶつかった瞬間に砕けショウはもろにノヴァの拳を喰らい吹き飛んでいく。
(このまま負けていい訳がないだろ。クルスだってボロボロになって戦っていたんだ。俺がここで諦めていい訳がないだろ!力を!アイツと親友と一緒に戦える力を!!)
唇を噛み震える身体を起こしショウはただノヴァを見つめる。
剣が折れ血を流すショウにノヴァは拳を握り締めトドメの一撃を与える為に駆け出す。
「これで終わりだぁぁぁ!!」
「まだ終わってたまるか!」
ノヴァの拳を素手で受け止めただショウは叫ぶ。
大切な者を守る力を――
親友と一緒に戦える力を――
「フローラ!俺達はまだ終われない!そうだろ!」
『はい!マスター!』
トクンとショウの胸が鳴り、ショウを包み込むように炎の柱が発生してその炎はフィールド全てを燃やし始める。
掴まれていた手が離れノヴァはその光景に目を丸くする。
一体何が起こっている?
あれだけのダメージを負っていた男が何故まだあんな力を残している?
それにこのフィールドにまで影響を及ぼす現象はまるで―――
「まさか!?」
ノヴァの脳裏に浮かぶ単語。
そうこれはもしかすると『フューチャーデバイスのモードアップ』ではないのか?
クルスがフューチャーを3rdにしたようにショウもまたフューチャーを―――
「うぉぉぉ!!」
「……っ!?」
炎の柱が消えてそこにいたであろう人物。
ショウの姿は先程のBJから変わり、身体はノヴァと同じアーマーに包まれ背中には鳥の羽のような翼が生えて腰には双剣が装着されていた。
「モード2nd」
「チッ!やはりそうか!」
ノヴァの予感は当たった。
目の前の男はやはりフューチャーを次のモードに進化させていた。
自分と同じアーマー。
違うと言えば背中の翼と腰の双剣だけだがそれでも力はさっきよりも上がっているはず。
だとしても――
「それがどうしたぁぁぁ!!」
ノヴァには関係ない。
たとえショウの力が強くなろうが問題ない。
自分はただ拳を振るうのみ。
全てをこの拳でぶつけるだけだ。
「バスターナックル!」
「紅蓮拳!」
ノヴァの拳とショウの拳がぶつかり合う。
それは確実にダメージを与える一撃でありノヴァはその拳とぶつかりアーマーにヒビが入り咄嗟にモードを2ndに変えようとしたが、気付いた時にはショウの拳がアーマーを砕き身体に触れ腹部に拳を叩き込まれ苦痛の表情を浮かべ倒れていた。
(なんつー力してやがる。この威力だと2ndじゃ無理か。使うしかねぇな……)
「ノヴァ!俺の勝ちだ!」
「まだ終わってねぇよ。ジョーカーズを炎帝である俺をなめるなよ!!」
ショウと同じように頭から血を流しふらっと立ち上がり不敵な笑みを浮かべ己のデバイスを手にし目を閉じる。
ノヴァにとっておそらくこれが本当に最後の力になる。
バーニャ最大の力を今ここに使うときがやって来たのだ。
「バーニャ!モードフェニックスだ!」
『いつでもこい!』
『オーバードライブ!!フェニックス・グラビテーション!!』
ノヴァの声とバーニャの声が重なり、ノヴァの身体がショウのように炎に包まれその炎の中から出てきたノヴァの姿は全てが赤く染められていた。
背中には赤い翼が生えまるで不死鳥のような姿でノヴァはショウの前に立つ。
「それが‥‥」
「そう。これが3rdだ。そして俺の全てでもある」
ショウとノヴァ。
互いにアーマーを身に付けた者が対峙する。
今はただこの戦いを全力で出すのみ。
「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」
二人が同時に駆け出して再び拳がぶつかりすぐにそれは肉弾戦の始まりを告げる。
ショウの拳がノヴァの顔面を捉え吹き飛ぶノヴァにショウは拳を叩き込むが、ノヴァはその拳を受け止めショウを投げ飛ばしショウが体勢を整える前に接近しショウの顔面を殴りそのまま回し蹴りを喰らわせる。
回し蹴りを喰らい顔を歪めるショウにノヴァは燃え上がる拳を振り下ろすが、ショウは拳を受け流しノヴァの顎を蹴りあげ空中に飛ばす。
蹴り飛ばされたノヴァは顔を歪めそのままショウと距離を置くように離れて着地する。
「テメェとの戦いはやっぱり最高だぜ!これが俺の求めていた戦いで俺を熱くし燃やし尽くせる最高の相手と出会えた。こんなに楽しい戦いは本当に初めてだ!いくぞこれが最後だ!」
「あぁ!」
距離を置いていた二人が拳に全魔力を込める。
全てをこの一撃に込めて全てを終わらせる為に。
二人は笑みを浮かべて同時に駆け出す。
「インフェルノナックル!!」
「ビッグバンフェニックスブロー!!」
全ての魔力を込めた一撃が激突しそれはフィールドを赤い光が包み込む。
モニターで観ている者達はその光に視界を奪われフィールドを見ることが出来なくなる。
「ぐぅぅぅぅ……!」
「おぉぉぉぉ……!」
拳がぶつかり合う中徐々に負けているのはショウ。
ゆっくりとノヴァの拳がショウの拳をおしていきショウの顔が歪む。
「楽しかったぜ。最高の戦いだった」
「俺もだ」
ノヴァの拳が迫るのを感じながらショウは唇を噛み締める。
こんなところで負ける訳にはいかない!
友の為にも!大切な存在の為にも!!
負けて――
「たまるかぁぁぁ!!」
「なっ!?」
押していたはずのノヴァの拳が逆にショウに押し返されていく。
拳に込めた魔力も力も互角だったはずだ。
それなのに何故自分が負けている?
これがあの方が言ってたショウの可能性か!
「うぉぉぉぉ!!」
ショウの拳がノヴァの拳を押し返しその一撃はノヴァのアーマーを破壊してノヴァの身体は勢いよく吹き飛び、ノヴァは地面に倒れる事はなかったがもはや戦う力は残されていなかった。
「……俺の負けか」
全てを出し切りスッキリしたよう笑い膝をつくノヴァ。
自分の力を全て出し後悔などなかった。
デバイスコアも破壊され自分にはもう何も残されてはいない。
「ショウ・ヤナギ、ありがとよ」
「ノヴァ……」
「最後に悔いのねぇ戦いが出来てよかったよ」
ノヴァの言葉にショウは目を細める。
まるでノヴァの言葉には先がないように聞こえたからだ。
確かにデバイスのコアはないがノヴァは生きている。
なのに何故そんな事を言うのだろうか?
「お前とは違う形で出会いたかったよショウ」
「ノヴァさっきから何を言って……なっ!?」
それはあまりにも突然の出来事だった。
ノヴァの胸部から死神の鎌を連想させるような刃が出現し、その刃はノヴァの胸部を貫き口から大量の血を吐き出す。
「やっぱり来やがったか!」
「……」
ノヴァは己の胸を貫く鎌を見つめ顔を歪めたまま口を開く。
その死神の鎌を持つ人物は仮面をはめて顔を見ることが出来ないが、この人物は体育祭の時にショウの前に現れた人物である。
鎌を持つ人物はノヴァの身体に手を当てて小さく呟く。
「……ライトニングボルト」
雷魔法を放ちノヴァの身体を吹き飛ばしたその瞬間、ノヴァの身体から赤い球体を抜き取り吹き飛ばされたノヴァに興味を見せることなく背を向ける。
「ノヴァ!!」
吹き飛ばされたノヴァに駆け寄りショウはその身体を起こすが、ノヴァの身体から流れる血は止まらずノヴァは口から血を吐く。
「やっぱりこうなったか」
「喋るな!今すぐシャマルの所に連れていくから」
「いいんだよショウ・ヤナギ。俺はもう満足だ」
「お前……」
ノヴァの身体からだんだん血の気がなくなり口を開く事すら出来なくなっていく。
そんな中でノヴァはフッと笑いショウに向け一言だけ呟く。
「……最後に……テメェと戦えて……楽しかったぜ」
「ノヴァ!!」
あれだけ楽しんで戦っていた男が全力をかけて戦っていた男が人形のように動かなくなった。
ショウはノヴァの死に顔を見ながら唇を噛み抑えきれない感情を爆発させノヴァを殺した人物に目を向ける。
その人物はいまだに背を向けたまま赤い球体を見つめていた。
「……殺す」
そう呟いて立ち上がるショウだが身体がふわりと崩れ落ちる。
どうやらノヴァとの戦いで限界がきていたのかもうショウの身体に戦う力はなかった。
それでも立ち上がろうとするショウだが目の前の人物はまるでショウに興味がないように転移魔法を使う。
「待て!どうして!どうして!ノヴァを殺したんだ!!」
転移で消えていく自分に叫びながらショウは問うと、その人物はショウの問いにゆっくり振り返って冷たく一言返すのみ。
「……私にとって必要な事だから」
そう答えてノヴァを殺した人物はフィールドから消えていく。
必要だから?
たったそれだけの理由でノヴァを殺したのか?
何で!何でなんだよ!?
もしかしたらノヴァともう一度戦えたかもしれないのに。
ノヴァが管理局に投降する可能性だってあったかもしれないのに。
ちくしょう!
「くっそぉぉぉぉ!!」
こうしてショウとノヴァの戦いは幕を閉じた。
それはショウの望む終わりではなく後味の悪い戦いになったのだった。
次回予告
ユーノ
「ついに終わる神魔杯」
ヴェロッサ
「様々な想いが交差し決着をつけた者達」
湊
「……そして始まる。……新たな物語……」
将輝
「次回S.H.D.C第三十話―
『神魔杯終結』に……』
勇人
「ドライブイグニッション」
??
「これでファントムナイツの役目は終わりね」