激闘の果てに
クルスと紅牙の戦いが終わり、クルスは戦いが終わったと同時に意識を失いすぐに医務室に運ばれていった。
それからすぐにシャマルからドクターストップが告げられクルスは次の試合に出る事が出来なくなりショウとの約束を果たせなくなる。
『クルス選手対紅牙選手の戦いは凄かったですね勇人さん』
『あぁ……。クルスが大技放ってそれを跳ね返された時はクルスの負けかと思ったがまさかの逆転勝ちだからな』
先程の試合を解説しているユキナと勇人の二人。
次の試合で戦うショウとノヴァの戦いまで今は先程の試合を話しているのだ。
モニターには紅牙の心臓にシャインスフィアを放っているクルスの姿が映っておりそれを観ている者達は数人嬉しそうに笑っていた。
『それにしてもドクターストップになってしまうなんて』
『仕方ねぇよ。さっきの試合で魔力とか全て使っていたようだし怪我も酷かったからな。シャマルの判断は間違っちゃいねぇよ』
全身血だらけで骨も折れていたクルスだが戦いが終わった時には怪我一つなかった。
あのデバイスに秘密があったのかと気にはなる勇人だが、思考を切り替えてモニターに目を向ける。
『次はショウ選手対ノヴァ選手の戦いです!』
ユキナの声と同時にモニターにはフィールドで対峙しているショウとノヴァの姿が映し出される。
『お前達二人は一体どんな戦いを見せてくれるんだ?俺達を観客を楽しませてくれよ!!』
モニターに映っている二人に告げるようにマイクを持ちながら勇人は叫ぶ。
この二人の戦いもクルスと紅牙のように見応えがあるに違いない。
果たしてどちらが勝つのだろうか?
クルスと約束を果たせなくなった今ショウがどれだけの力を使うか。
時空管理局のエースとジョーカーズの炎帝の本気の戦い。
充分に楽しませてもらうぜ二人とも。
『それではショウ選手とノヴァ選手!!始めてくださーーい!』
ユキナの言葉と同時にモニターに映るショウとノヴァが激しくぶつかり合う。
~フィールド~
「ようやくテメェと戦えるぜショウ」
「最初から本気でいく。なのはの分も含めてお前を倒す」
「言ってろ」
先程のクルスと紅牙の戦い。
クルスはリンカーコアに傷がつくかもしれない状態であれだけの魔法を酷使していた。
全ては佑奈と傷つけられたフェイトの為にだ。
戦う前に自分はクルスに復讐を止めさせようと説得したが、クルスは止まることなく戦って紅牙を倒した。
フューチャーデバイスをクルスは3rdに進化させていたが、自分はまだ1stのままだった。
同じデバイスを使っているのにどうして差がついてしまったのだろうか?
今もし自分がクルスと戦って果たして勝てるか?
『それではショウ選手対ノヴァ選手!始めてくださーーい!』
「今回でテメェとの因縁にケリをつけてやるよショウ!モードグラビテーション!!」
ユキナの声がフィールドに聞こえてきた瞬間、ショウは目の前に立つノヴァに思考を切り替えて、ノヴァは最初から全力モードの姿に変わりショウは剣に炎を纏わせ構える。
ノヴァの身体を機械のようなアーマーが装着されノヴァは手を開いて閉じてを繰り返しアーマーの具合を確かめていた。
なのはとの戦いでアーマーがボロボロになっていたが、デバイスのコア自体にダメージはなかったようでノヴァの様子を見る限り問題はないようだ。
ショウは剣をノヴァに向けたまま構えノヴァの動きを警戒するのみ。
ノヴァはなのはとの戦いで真正面から突っ込んでいた。
そうなるとこの戦いでも真正面から向かってくるはず。
ならば自分も真正面から総也とぶつかるのみ。
「いくぞオラォ!!」
ノヴァの殺気と声をビリビリと肌に感じながらショウは目を細める。
あの夏休みの戦いで自分はノヴァに勝てなかった。
あれから強くなるために修行したのだ。
絶対に負けられない!!
「紅蓮一閃!」
「バスターナックル!!」
ショウの剣とノヴァの拳がぶつかり合い互いにその一撃の衝撃が身体に伝わり、二人はその衝撃で一気に距離をおく。
ショウの頬からは血が流れノヴァのアーマーにはヒビが入る。
「もっと攻めてこいよショウ!」
「ハァァァァァ!!」
互いに駆け出し剣と拳が何度もお互いの身体にダメージを与えていく。
ショウの剣がノヴァの胴体を捉えアーマーにヒビが入るが、ノヴァは止まることなく拳を振るいショウの腹部に拳を叩き込む。
その威力で口から血を吐く##NAME1##だが総也の拳を受けたまま剣に炎を纏わせた状態で紅蓮一閃を繰り出しアーマーにダメージを与えアーマーのヒビが増えていき、
「朱雀演舞!!」
朱の鳥をイメージさせるような炎と剣術でノヴァのアーマーを切り裂くとアーマーはピシリと音を立てバラバラになりノヴァの身体を守る鎧がなくなった。
「なっ!?」
ノヴァは己を守るアーマーがバラバラになり目を見開く。
最初の一撃でヒビが入った事にも驚くが、そのままぶつかり己の拳を腹に喰らった男が剣を振るいあまつさえアーマーを破壊した。
あの夏休み以来強くなったのは確かなようだとノヴァは確信する。
「まさかアーマーを破壊するとはな」
「次はその身体に叩き込む」
「自惚れんなよ。コアさえありゃ何度でも戻るんだよ。バーニャ!」
『了解だぜ』
ノヴァの身体が紅い光に包まれ再びアーマーがノヴァの身体に装着されるが、先程のアーマーと今のアーマーは違っていた。
さっきまでのアーマーは青い色をしていたが、今は真っ赤に変わり両腕からは離れていても分かるぐらい熱気が噴き出していた。
「この姿が気になるようだな。まぁ教えてやるよ。このアーマーは本来形態が三つあるのさ。さっきまでの形態は小手調べ、そして今は戦闘モードの2ndで最後は切り札の3rd。お前は果たして最後まで立っていられるかなショウ?」
不敵に笑うノヴァはゆっくり構え、ショウは口元の血を拭い新たに変わったアーマーを見つめ息を飲む。
空気が渇き今は息苦しさを感じる。
その原因はおそらくあの両腕のアーマーのせいだ。
あれを早くどうにかしないと息が出来なくなる可能性がある。
長引かせたら不利になるのは明らかに自分だ。
「フローラ」
『私はいつでもいけます』
剣を構えその剣は炎に包まれフィールドを熱が襲う。
「バーニングナックル!」
「紅蓮一閃!」
睨み合いから一気にノヴァが動きだし圧倒的な熱を感じながらショウは剣を振るう。
ショウの剣がノヴァのアーマーを捉えた瞬間、ノヴァはニヤリと笑い拳を広げバーニングナックルを解除しショウの剣をその手で受け止めたのだ。
「なにっ!?」
いくらアーマーで守られているとはいえそれでもあの炎を受け止めるなど考えられない。
ショウが目を丸くしノヴァの行動に唖然としている間にノヴァはもう片方の手に熱を込めて拳をショウの腹めがけて思い切り振るっていた。
「教えてやるよショウ!これが本当の熱なんだよ!バーニングナックル!!」
「ガハッ!」
先程腹部に受けた一撃よりもはるかに重くBJを焼き尽くす一撃を喰らいショウは地面を転がる。
確実に骨は折れBJを着ていたのに身体は火傷を負いショウは苦痛の表情を浮かべていた。
「どうだ圧倒的な熱を受けた感想は?」
倒れているショウを見下ろし不敵に笑うノヴァ。
あのショウの紅蓮一閃を受け止めたのにアーマーには全くヒビが入らず先程よりも両腕の熱が上がっているようだ。
まるでショウの紅蓮一閃の炎を吸収したかのように。
「クッ……」
身体に力を込めてゆっくり立ち上がり息を吐くショウ。
膝が震え腹部はノヴァのバーニングナックルを喰らったせいか色が変色していた。
「さすがに死なねぇか。でも立っているのもやっとのようだな」
「…俺の炎を…吸収したのか…?」
「正確には俺の炎がお前の炎を呑み込んだんだがな。膨れ上がった炎をそのままお前に返しただけだ」
燃え上がる腕を見つめノヴァはフッと笑ったままショウの疑問に答える。
この2ndは炎を使う相手にだけ特化したモード。
相手が炎を使う度にその炎は両腕に吸収され倍返しするのだ。
(炎がダメとなると使える魔法は闇魔法だけか)
ショウの剣から炎が消えて黒く光り出す。
闇は本来使わない魔法。
基本的に炎と組み合わせるか炎だけで戦っていた自分は闇をあまり使っていなかった。
しかし今はそんな事も言える状況ではない。
「まだだ!まだ勝負はこれからだノヴァ!!」
「へっ!炎が使えなくなったテメェに何が出来る!!」
炎を纏ったノヴァの拳がショウに振り下ろされるが、ノヴァの拳はショウを捉えていなかったのか地面だけを破壊する。
確かにノヴァはショウを捉えていたはずが、拳を振るう一瞬の間にショウの姿が消えていた。
まるで幻のようなショウの姿にノヴァが目を細めていると、
「御神真刀流『朱乱』」
「なにっ!?」
ノヴァの背後から聞こえてきた声。
それは間違いなくショウであり、ノヴァが振り返った時には黒い剣が迫りノヴァの身体をたった一瞬で乱れ切りしていた。
その剣技を知っているなのはやはやて達はお互い顔を見合わせていた。
【御神真刀流】
それはショウの剣の師であるなのはの兄『高町恭也』が使っているものだからだ。
本来この御神流を高町恭也がショウに教えるつもりはなかった。
魔法という力やショウの身体に染み付いた剣技の事もあり、一から御神流を教える事やこの流派を使える条件をショウが満たしていなかったからだ。
しかし――
大切な者を守る為にショウは毎日恭也に頼み込んで頭を下げていた。
なのはをはやてを皆を守れる男になりたい一心で頼むショウに恭也は御神流を教える事を決めた。
「……ショウ」
モニターに映る弟子を観る恭也の顔はどことなく嬉しそうに綻んでいた。
「そんな事も出来るとはな。だがまだまだ!!」
「……」
剣を構えただ目を閉じるショウ。
心を落ち着かせノヴァの拳を受け流し朱乱でカウンターを喰らわせ、ノヴァの拳を全てダメージにしないように防いでいく。
逆にノヴァは自分の拳が当たらないことにイライラし始め唇を噛む。
自分は確実にショウを捉えているのに気づいたらダメージを負っているのは自分である。
まるでショウには自分の拳がスローモーションのように見えているのか簡単に受け流されていた。
「ふざけてんじゃねぇ「御神真刀流【黒炎閃】」ガッ…!」
ノヴァのアーマーを身体を強大な黒炎の一撃が襲う。
力も速さも尋常じゃないその一撃を喰らい総也はアーマーを破壊され今度は自分が地面に転がっていく。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
地面に転がるノヴァを見ながらショウは大量の汗をかく。
本来ならこの状態で御神真刀流を使いたくはなかった。
これはかなりの集中力が必要とされ、集中力を高めている時はまだいいが集中力を切らすと忘れていた身体のダメージが一気に襲い掛かってくるのだ。
「ノヴァもう終わりか…?」
「フハハハハ。まさかそんな訳ねぇだろ」
倒れていたノヴァはゆっくり立ち上がり身体についた土をはたき落とす。
互いにボロボロの姿の二人は息を吐きながら前だけを見る。
ダメージはおそらく変わらない。
それからすぐにシャマルからドクターストップが告げられクルスは次の試合に出る事が出来なくなりショウとの約束を果たせなくなる。
『クルス選手対紅牙選手の戦いは凄かったですね勇人さん』
『あぁ……。クルスが大技放ってそれを跳ね返された時はクルスの負けかと思ったがまさかの逆転勝ちだからな』
先程の試合を解説しているユキナと勇人の二人。
次の試合で戦うショウとノヴァの戦いまで今は先程の試合を話しているのだ。
モニターには紅牙の心臓にシャインスフィアを放っているクルスの姿が映っておりそれを観ている者達は数人嬉しそうに笑っていた。
『それにしてもドクターストップになってしまうなんて』
『仕方ねぇよ。さっきの試合で魔力とか全て使っていたようだし怪我も酷かったからな。シャマルの判断は間違っちゃいねぇよ』
全身血だらけで骨も折れていたクルスだが戦いが終わった時には怪我一つなかった。
あのデバイスに秘密があったのかと気にはなる勇人だが、思考を切り替えてモニターに目を向ける。
『次はショウ選手対ノヴァ選手の戦いです!』
ユキナの声と同時にモニターにはフィールドで対峙しているショウとノヴァの姿が映し出される。
『お前達二人は一体どんな戦いを見せてくれるんだ?俺達を観客を楽しませてくれよ!!』
モニターに映っている二人に告げるようにマイクを持ちながら勇人は叫ぶ。
この二人の戦いもクルスと紅牙のように見応えがあるに違いない。
果たしてどちらが勝つのだろうか?
クルスと約束を果たせなくなった今ショウがどれだけの力を使うか。
時空管理局のエースとジョーカーズの炎帝の本気の戦い。
充分に楽しませてもらうぜ二人とも。
『それではショウ選手とノヴァ選手!!始めてくださーーい!』
ユキナの言葉と同時にモニターに映るショウとノヴァが激しくぶつかり合う。
~フィールド~
「ようやくテメェと戦えるぜショウ」
「最初から本気でいく。なのはの分も含めてお前を倒す」
「言ってろ」
先程のクルスと紅牙の戦い。
クルスはリンカーコアに傷がつくかもしれない状態であれだけの魔法を酷使していた。
全ては佑奈と傷つけられたフェイトの為にだ。
戦う前に自分はクルスに復讐を止めさせようと説得したが、クルスは止まることなく戦って紅牙を倒した。
フューチャーデバイスをクルスは3rdに進化させていたが、自分はまだ1stのままだった。
同じデバイスを使っているのにどうして差がついてしまったのだろうか?
今もし自分がクルスと戦って果たして勝てるか?
『それではショウ選手対ノヴァ選手!始めてくださーーい!』
「今回でテメェとの因縁にケリをつけてやるよショウ!モードグラビテーション!!」
ユキナの声がフィールドに聞こえてきた瞬間、ショウは目の前に立つノヴァに思考を切り替えて、ノヴァは最初から全力モードの姿に変わりショウは剣に炎を纏わせ構える。
ノヴァの身体を機械のようなアーマーが装着されノヴァは手を開いて閉じてを繰り返しアーマーの具合を確かめていた。
なのはとの戦いでアーマーがボロボロになっていたが、デバイスのコア自体にダメージはなかったようでノヴァの様子を見る限り問題はないようだ。
ショウは剣をノヴァに向けたまま構えノヴァの動きを警戒するのみ。
ノヴァはなのはとの戦いで真正面から突っ込んでいた。
そうなるとこの戦いでも真正面から向かってくるはず。
ならば自分も真正面から総也とぶつかるのみ。
「いくぞオラォ!!」
ノヴァの殺気と声をビリビリと肌に感じながらショウは目を細める。
あの夏休みの戦いで自分はノヴァに勝てなかった。
あれから強くなるために修行したのだ。
絶対に負けられない!!
「紅蓮一閃!」
「バスターナックル!!」
ショウの剣とノヴァの拳がぶつかり合い互いにその一撃の衝撃が身体に伝わり、二人はその衝撃で一気に距離をおく。
ショウの頬からは血が流れノヴァのアーマーにはヒビが入る。
「もっと攻めてこいよショウ!」
「ハァァァァァ!!」
互いに駆け出し剣と拳が何度もお互いの身体にダメージを与えていく。
ショウの剣がノヴァの胴体を捉えアーマーにヒビが入るが、ノヴァは止まることなく拳を振るいショウの腹部に拳を叩き込む。
その威力で口から血を吐く##NAME1##だが総也の拳を受けたまま剣に炎を纏わせた状態で紅蓮一閃を繰り出しアーマーにダメージを与えアーマーのヒビが増えていき、
「朱雀演舞!!」
朱の鳥をイメージさせるような炎と剣術でノヴァのアーマーを切り裂くとアーマーはピシリと音を立てバラバラになりノヴァの身体を守る鎧がなくなった。
「なっ!?」
ノヴァは己を守るアーマーがバラバラになり目を見開く。
最初の一撃でヒビが入った事にも驚くが、そのままぶつかり己の拳を腹に喰らった男が剣を振るいあまつさえアーマーを破壊した。
あの夏休み以来強くなったのは確かなようだとノヴァは確信する。
「まさかアーマーを破壊するとはな」
「次はその身体に叩き込む」
「自惚れんなよ。コアさえありゃ何度でも戻るんだよ。バーニャ!」
『了解だぜ』
ノヴァの身体が紅い光に包まれ再びアーマーがノヴァの身体に装着されるが、先程のアーマーと今のアーマーは違っていた。
さっきまでのアーマーは青い色をしていたが、今は真っ赤に変わり両腕からは離れていても分かるぐらい熱気が噴き出していた。
「この姿が気になるようだな。まぁ教えてやるよ。このアーマーは本来形態が三つあるのさ。さっきまでの形態は小手調べ、そして今は戦闘モードの2ndで最後は切り札の3rd。お前は果たして最後まで立っていられるかなショウ?」
不敵に笑うノヴァはゆっくり構え、ショウは口元の血を拭い新たに変わったアーマーを見つめ息を飲む。
空気が渇き今は息苦しさを感じる。
その原因はおそらくあの両腕のアーマーのせいだ。
あれを早くどうにかしないと息が出来なくなる可能性がある。
長引かせたら不利になるのは明らかに自分だ。
「フローラ」
『私はいつでもいけます』
剣を構えその剣は炎に包まれフィールドを熱が襲う。
「バーニングナックル!」
「紅蓮一閃!」
睨み合いから一気にノヴァが動きだし圧倒的な熱を感じながらショウは剣を振るう。
ショウの剣がノヴァのアーマーを捉えた瞬間、ノヴァはニヤリと笑い拳を広げバーニングナックルを解除しショウの剣をその手で受け止めたのだ。
「なにっ!?」
いくらアーマーで守られているとはいえそれでもあの炎を受け止めるなど考えられない。
ショウが目を丸くしノヴァの行動に唖然としている間にノヴァはもう片方の手に熱を込めて拳をショウの腹めがけて思い切り振るっていた。
「教えてやるよショウ!これが本当の熱なんだよ!バーニングナックル!!」
「ガハッ!」
先程腹部に受けた一撃よりもはるかに重くBJを焼き尽くす一撃を喰らいショウは地面を転がる。
確実に骨は折れBJを着ていたのに身体は火傷を負いショウは苦痛の表情を浮かべていた。
「どうだ圧倒的な熱を受けた感想は?」
倒れているショウを見下ろし不敵に笑うノヴァ。
あのショウの紅蓮一閃を受け止めたのにアーマーには全くヒビが入らず先程よりも両腕の熱が上がっているようだ。
まるでショウの紅蓮一閃の炎を吸収したかのように。
「クッ……」
身体に力を込めてゆっくり立ち上がり息を吐くショウ。
膝が震え腹部はノヴァのバーニングナックルを喰らったせいか色が変色していた。
「さすがに死なねぇか。でも立っているのもやっとのようだな」
「…俺の炎を…吸収したのか…?」
「正確には俺の炎がお前の炎を呑み込んだんだがな。膨れ上がった炎をそのままお前に返しただけだ」
燃え上がる腕を見つめノヴァはフッと笑ったままショウの疑問に答える。
この2ndは炎を使う相手にだけ特化したモード。
相手が炎を使う度にその炎は両腕に吸収され倍返しするのだ。
(炎がダメとなると使える魔法は闇魔法だけか)
ショウの剣から炎が消えて黒く光り出す。
闇は本来使わない魔法。
基本的に炎と組み合わせるか炎だけで戦っていた自分は闇をあまり使っていなかった。
しかし今はそんな事も言える状況ではない。
「まだだ!まだ勝負はこれからだノヴァ!!」
「へっ!炎が使えなくなったテメェに何が出来る!!」
炎を纏ったノヴァの拳がショウに振り下ろされるが、ノヴァの拳はショウを捉えていなかったのか地面だけを破壊する。
確かにノヴァはショウを捉えていたはずが、拳を振るう一瞬の間にショウの姿が消えていた。
まるで幻のようなショウの姿にノヴァが目を細めていると、
「御神真刀流『朱乱』」
「なにっ!?」
ノヴァの背後から聞こえてきた声。
それは間違いなくショウであり、ノヴァが振り返った時には黒い剣が迫りノヴァの身体をたった一瞬で乱れ切りしていた。
その剣技を知っているなのはやはやて達はお互い顔を見合わせていた。
【御神真刀流】
それはショウの剣の師であるなのはの兄『高町恭也』が使っているものだからだ。
本来この御神流を高町恭也がショウに教えるつもりはなかった。
魔法という力やショウの身体に染み付いた剣技の事もあり、一から御神流を教える事やこの流派を使える条件をショウが満たしていなかったからだ。
しかし――
大切な者を守る為にショウは毎日恭也に頼み込んで頭を下げていた。
なのはをはやてを皆を守れる男になりたい一心で頼むショウに恭也は御神流を教える事を決めた。
「……ショウ」
モニターに映る弟子を観る恭也の顔はどことなく嬉しそうに綻んでいた。
「そんな事も出来るとはな。だがまだまだ!!」
「……」
剣を構えただ目を閉じるショウ。
心を落ち着かせノヴァの拳を受け流し朱乱でカウンターを喰らわせ、ノヴァの拳を全てダメージにしないように防いでいく。
逆にノヴァは自分の拳が当たらないことにイライラし始め唇を噛む。
自分は確実にショウを捉えているのに気づいたらダメージを負っているのは自分である。
まるでショウには自分の拳がスローモーションのように見えているのか簡単に受け流されていた。
「ふざけてんじゃねぇ「御神真刀流【黒炎閃】」ガッ…!」
ノヴァのアーマーを身体を強大な黒炎の一撃が襲う。
力も速さも尋常じゃないその一撃を喰らい総也はアーマーを破壊され今度は自分が地面に転がっていく。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
地面に転がるノヴァを見ながらショウは大量の汗をかく。
本来ならこの状態で御神真刀流を使いたくはなかった。
これはかなりの集中力が必要とされ、集中力を高めている時はまだいいが集中力を切らすと忘れていた身体のダメージが一気に襲い掛かってくるのだ。
「ノヴァもう終わりか…?」
「フハハハハ。まさかそんな訳ねぇだろ」
倒れていたノヴァはゆっくり立ち上がり身体についた土をはたき落とす。
互いにボロボロの姿の二人は息を吐きながら前だけを見る。
ダメージはおそらく変わらない。