復讐者の最期

今までクルスから受けた魔法攻撃の中で一番の威力とも言える一撃だった。


「貴様一体何をした…!?さっきまで鎧を凍らせるぐらいしか出来なかった貴様が、ただの一閃でこの威力だと!?何故だ」


クルスの姿を見てあることに気づく紅牙。

先程握っていた剣はいつの間にか消えて腰には双銃があり背中の翼が蒼から白へと変わっていたのだ。

それに気づいた紅牙はまさかと思い言葉を放つ。


「貴様、フューチャーを3rdへ」

「あぁ……。これがフューチャーデバイスの3rdモード」


1st・2ndで戦っていたクルスだが今のモードは3rdへと変化してそれは紅牙を圧倒するまでの力を持っていた。


「いくよ、レン」

『マスターの想いを力に』

腰につけていた双銃を手に取り銃口をゆっくり紅牙に向ける。

銃口には輝くように魔力が集まりクルスはただ一言口にして紅牙に向けてそれを放つ。


「シャイニングバスター」


クルスが最も使う光魔法の砲撃。

紅牙はそれを左手で受け止めたがその砲撃は紅牙の左手だけでなく左半身を吹き飛ばし両手を失った紅牙は笑いながら立ち上がる。

(砲撃を受け止めるどころか、左半身を消し飛ばされるとは……。ただ弱かった復讐者にこの俺が……)


「復讐者よ見事だ。フューチャーを次のモードに進化させて、この俺を超えるほどの力を持っていたとは。この俺が貴様に…」

「紅牙、これが僕がお前に使う最期の魔法だ」


クルスの手のひらに浮かぶ光輝く球体。

それは一度もダメージを与える事が出来なかった魔法。

【シャインスフィア】である。


「フハハハハ!!それが貴様の執念であり覚悟だな。ならば復讐者よ放つがいい!!その全てをその一撃にな」

「シャインスフィア…!!」


クルスの手から放たれた球体は物凄い速さで紅牙に襲い掛かり、全ての想いを込めた一撃は紅牙の心臓を貫き笑みを浮かべたまま紅牙は口にする。


「見事だ……」


不敵に笑い立ったまま死んでいった紅牙。

心臓を貫かれても倒れることなく死んだ男にクルスは何も言わずただ空から降る雪を眺める。


「終わったのか……」


全ての力を使い果たしたクルスは意識を失い崩れ落ちる。

長い長い復讐者としての戦いが終わり眠るクルス。

そんなクルスに駆け寄る一人の人物。


「クルスーー!!」


紅牙との戦いの傷が癒えていないはずの女神がクルスに駆け寄り眠っているクルスを抱き締める。


「良かった。本当に良かった。生きててくれてありがとう」


ルビーのように赤い瞳から溢れる雫は止まることなく抱き締められるクルスの頬に当たる。


復讐者の戦いは終わりを告げまた彼は新たな道を進むのであった。










次回予告

なのは
「ついに始まるショウ君と炎帝の戦い」

はやて
「互いに拳をぶつけ合う二人の男」

アインス
「ぶつかり合う中で芽生える熱い感情と力」

キキョウ
「次回S.H.D.C第二十九話――」

咲夜
「【激闘の果てに】に…」

亜沙
「ドライブイグニッション!」

??
「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
3/3ページ
スキ