復讐者の最期
フェイトVS紅牙の試合が終わり傷だらけのフェイトをお姫様抱っこしてシャマルのいる医務室に運び、優しくベッドにフェイトを寝かせフェイトの頬に手を当てたクルスは、一瞬顔を歪めるが再び冷たい目付きになるとフェイトに背を向けて歩き出す。
「クルス君……」
「フェイトの事はキミに任せたよシャマル」
背を向けたまま顔だけをシャマルに向けてフッと笑うクルス。
これ以上ここにはいられない。
全てを終わらせる為にもアイツが待つフィールドに。
医務室を出たクルスの前にはただ一人ショウがいた。
真剣な表情でクルスを見つめるショウにクルスは何も言わず背を向ける。
今さらショウと話すことなどクルスにはないからだ。
今の自分はただアイツを殺すと言う道しかないのだ。
誰であろうと邪魔はさせない。
「クルス」
「……何?」
背を向けて歩き出していたクルスに静かに声を掛けるショウ。
クルスからショウの表情を見ることが出来ないが、おそらくショウは真剣な表情をしているに違いない。
そんなクルスの声に反応するように足を止めるショウ。
「あの男を殺す気か?」
「分かりきった事を聞かないでよショウ。まさかそんな事を言いに来たの?」
「今のお前を見てアイツは、佑奈は喜ぶ「ショウ…」……ッ!」
ショウが言葉を発する前にショウの頬を何かがかすめ、ショウの頬からはうっすらと血が流れていく。
ただ一発の魔法を放ち尋常じゃない殺気と凍えるような目付きでクルスは親友であるショウに手を向ける。
「今さら止まるつまりはない。たとえこの先に何が待っていようが僕は進むだけだ。何より……」
一歩足を進め身体をショウの方に向け儚げな表情を浮かべ今にも壊れそうな雰囲気で口を開く。
自分の中で答えは最初から決まっていた事だ。
僕がここにいる理由は一つしかないのだから。
「僕にとってフェイトは誰よりも大切な存在だ。そのフェイトを傷つけたアイツを許すつもりはない」
「クルス……」
フェイトが傷つく度に殺気が止まらなかった。
フェイトを失いそうで怖かった。
だから身体が勝手に動いて紅牙からの一撃を止めていた。
もうこの殺気や憎しみを抑える事は出来ない。
「この試合だけは邪魔しないでもらうよショウ」
そう口にして再びショウに背を向けてフィールドに歩き出すクルス。
その後ろ姿を見ながらショウは拳を握り締める。
ただ自分はこれ以上クルスに人を殺してほしくなかった。
管理局の人間がいるこの場所でクルスが人殺しをしている事など見られ、敵対勢力と判断されたら自分はクルスと戦わねばならないからだ。
握り締める拳から血が流れるもショウは握り締める力をそのままにして唇を噛みながらその場を後にする。
「やっぱりクルスはフェイトが好きなんだ……」
クルスとショウのやり取りを一人の少女が離れた場所で聞いており、少女は顔を俯かせて今にも泣きそうな表情を浮かべていた。
「でも私だってクルスを好きな気持ちは変わらない」
その少女は金髪の髪を揺らしながらその場を走り去っていくのである。
~会場~
『さぁ!続いての対戦はこの大会の主催者の一人でもあり、先程の戦いで乱入した男クルス・アサヅキ選手と謎の力を使いフェイト選手を倒した男紅牙選手の戦いです』
ユキナのアナウンスと同時に会場中から響く歓声。
モニターに映るクルスの姿は冷たい目付きで今にも紅牙に襲い掛かりそうな雰囲気を出し、向かい合ってる紅牙は目を閉じてポケットに手を入れている。
二人の間に張りつめる空気は会場にいる実力者達にも伝わっているのか、将輝達もいつになく真剣な顔つきになっていた。
「この戦いお前ならどう見るキョウスケ?」
「普通に戦えばクルスは勝てへんやろな。せやけど……」
モニターを見ていた二人の男アズールと恭介もまたクルスを倒したいほどの感情を持ち冷静に分析していた。
「クルスの力の源は憎しみや負の感情。もしそれが爆発したら?」
「成る程な」
二人の視線の先に映るクルスはただ開始の合図を待っている。
誰もが真剣に見つめる中でついに復讐者の戦いが始まろうとしていた。
『それではクルス選手対紅牙選手始めー!!』
ユキナの言葉と同時に戦いは始まる。
~フィールド~
「復讐者よ、よくぞここまできたな。人の執念とは恐ろしいものだ」
「黙れ」
「決着をつけようか」
『……』
両者が睨み合い開始の合図と同時に駆け出すクルスと紅牙。
クルスの握る双剣と紅牙の拳がぶつかり合い、クルスはすかさず光の球体を出現させ紅牙に放つ。
その球体は紅牙に当たる前に消滅して前と同じようにクルスの身体が切り裂かれるが、クルスは痛がる素振りを見せないまま双剣を振るい剣は紅牙の髪をかすめ、さらに接近して至近距離からシャインスフィアを爆発させ二人とも衝撃で吹き飛ぶ。
「少しはやるようだな復讐者」
「言ったはずだ。お前を殺すとな」
「あまり調子に乗るなよ」
紅牙は口元から流れる血を手で拭い己のデバイスを起動させ構える紅牙。
クルスはモードを2ndに変え両手に双銃を握り紅牙と対峙する。
前回は目の前の男に何も出来ずに負けてしまった。
しかし今回だけは負けられない。
負けるわけにはいかないのだ。
「シヴァ、カートリッジロード」
『御意』
一発のマガジンを消費して紅牙が拳をクルスに向けると、クルスは気づかぬうちに肩を切り裂かれ顔を歪める。
(フェイトがやられた技か。……成る程これは見えない訳だ)
顔を歪めたまま双銃を紅牙に向け銃口に魔力を溜め魔法陣が展開される。
紅牙はただ眉を寄せクルスの行動を見つめていたが銃口に込められる魔力に目を細めていく。
「シャイニングバスター!」
銃口から放たれた光魔法の砲撃。
なのはのディバインバスターと同等の威力をもつ砲撃を放ちその砲撃は紅牙の空壁に受け止められたが、クルスの狙いは最初から砲撃魔法ではなくそれを囮として紅牙に接近する事だった。
砲撃魔法が消滅する直前にクルスはすでに紅牙に接近して、双銃を双剣に変えて斬りかかる。
「ムダだ!!」
クルスの振り下ろした剣を紅牙は掴み拳に力を込めると剣はバラバラに砕け隙だらけのクルスに回し蹴りを喰らわせ怯んだクルスの顎を拳で殴り飛ばし、カートリッジを二発消費しシヴァを使う手に魔力を込めて拳を振るう。
「聖拳!」
「……ガハッ!」
振り上げられた重い一撃はクルスの腹を捉えクルスは血を吐き身体は岩山へと吹き飛んでいく。
「クッ…!」
「期待外れだな。さっき戦った女を守った時は楽しめると思ったが所詮その程度か」
「黙れ……」
「まだ足りないようだな憎しみが。ならば次はあの女を貴様の前で「これ以上喋るな」……ムッ」
岩山へと吹き飛ばされていたクルスの姿が紅牙の視界から消えたと思った瞬間、いつの間にかクルスは紅牙の横腹を双剣で切り裂き紅牙の横腹からは血が流れる。
目にも止まらぬ速さで切り裂き自分の背後にいるクルスに紅牙は口元をニヤリとさせた。
「やはり貴様の力の源は憎しみや負の感情のようだな。しかし――」
「光氷一閃!」
「まだ足りないな」
自分の身体を切り裂こうとする剣をギリギリまで引き付けそれを交わし、体勢を低くし足蹴りでクルスの顎を蹴りあげその一撃にクルスは意識が朦朧となり紅牙はさらに追撃するように蹴り上げ岩山へと再び吹き飛ばし、岩山にぶつかったクルスの目の前までやって来ると聖拳を喰らわせ岩山にクルスを埋めるように力を込め岩山は衝撃で砕けていき、クルスは岩山と一緒に地面に落下してその身体は倒れていく。
「……」
「終わりか弱き復讐者よ」
倒れたクルスに向けた冷たい言葉と視線。
もはや立ち上がるだけの力はクルスにはないなと思い、紅牙は背を向けて一歩足を進めようとしたが、自分の背後から禍々しい魔力を感じゆっくり振り向いたと同時に紅牙の顔を剣が一閃振り下ろされ紅牙の顔から血が流れていく。
「勝手に……終わるな……紅牙!」
「ほぅ……!」
顔を切られ血を流す紅牙にクルスは蹴りを喰らわせその蹴りは紅牙の顔に当たり紅牙は口から血を吐き出し膝をつく。
「あれを喰らって生きていたとは」
「言ったはずだ。お前を殺すと」
「強がるなよ復讐者」
血を流しながら対峙するクルスと紅牙の二人。
ダメージに関してはクルスの方がでかいのかクルスの身体はふらふらと揺れていた。
しかしクルスの目はまだ死んでいなかった。
クルスの目には目の前の男を殺すまで諦めないと憎しみが宿っている。
「どうやら俺も本気で戦わねばならないようだな」
「なにっ……?」
「シヴァ、モード【ワイバーン】起動だ」
『解放』
「クルス君……」
「フェイトの事はキミに任せたよシャマル」
背を向けたまま顔だけをシャマルに向けてフッと笑うクルス。
これ以上ここにはいられない。
全てを終わらせる為にもアイツが待つフィールドに。
医務室を出たクルスの前にはただ一人ショウがいた。
真剣な表情でクルスを見つめるショウにクルスは何も言わず背を向ける。
今さらショウと話すことなどクルスにはないからだ。
今の自分はただアイツを殺すと言う道しかないのだ。
誰であろうと邪魔はさせない。
「クルス」
「……何?」
背を向けて歩き出していたクルスに静かに声を掛けるショウ。
クルスからショウの表情を見ることが出来ないが、おそらくショウは真剣な表情をしているに違いない。
そんなクルスの声に反応するように足を止めるショウ。
「あの男を殺す気か?」
「分かりきった事を聞かないでよショウ。まさかそんな事を言いに来たの?」
「今のお前を見てアイツは、佑奈は喜ぶ「ショウ…」……ッ!」
ショウが言葉を発する前にショウの頬を何かがかすめ、ショウの頬からはうっすらと血が流れていく。
ただ一発の魔法を放ち尋常じゃない殺気と凍えるような目付きでクルスは親友であるショウに手を向ける。
「今さら止まるつまりはない。たとえこの先に何が待っていようが僕は進むだけだ。何より……」
一歩足を進め身体をショウの方に向け儚げな表情を浮かべ今にも壊れそうな雰囲気で口を開く。
自分の中で答えは最初から決まっていた事だ。
僕がここにいる理由は一つしかないのだから。
「僕にとってフェイトは誰よりも大切な存在だ。そのフェイトを傷つけたアイツを許すつもりはない」
「クルス……」
フェイトが傷つく度に殺気が止まらなかった。
フェイトを失いそうで怖かった。
だから身体が勝手に動いて紅牙からの一撃を止めていた。
もうこの殺気や憎しみを抑える事は出来ない。
「この試合だけは邪魔しないでもらうよショウ」
そう口にして再びショウに背を向けてフィールドに歩き出すクルス。
その後ろ姿を見ながらショウは拳を握り締める。
ただ自分はこれ以上クルスに人を殺してほしくなかった。
管理局の人間がいるこの場所でクルスが人殺しをしている事など見られ、敵対勢力と判断されたら自分はクルスと戦わねばならないからだ。
握り締める拳から血が流れるもショウは握り締める力をそのままにして唇を噛みながらその場を後にする。
「やっぱりクルスはフェイトが好きなんだ……」
クルスとショウのやり取りを一人の少女が離れた場所で聞いており、少女は顔を俯かせて今にも泣きそうな表情を浮かべていた。
「でも私だってクルスを好きな気持ちは変わらない」
その少女は金髪の髪を揺らしながらその場を走り去っていくのである。
~会場~
『さぁ!続いての対戦はこの大会の主催者の一人でもあり、先程の戦いで乱入した男クルス・アサヅキ選手と謎の力を使いフェイト選手を倒した男紅牙選手の戦いです』
ユキナのアナウンスと同時に会場中から響く歓声。
モニターに映るクルスの姿は冷たい目付きで今にも紅牙に襲い掛かりそうな雰囲気を出し、向かい合ってる紅牙は目を閉じてポケットに手を入れている。
二人の間に張りつめる空気は会場にいる実力者達にも伝わっているのか、将輝達もいつになく真剣な顔つきになっていた。
「この戦いお前ならどう見るキョウスケ?」
「普通に戦えばクルスは勝てへんやろな。せやけど……」
モニターを見ていた二人の男アズールと恭介もまたクルスを倒したいほどの感情を持ち冷静に分析していた。
「クルスの力の源は憎しみや負の感情。もしそれが爆発したら?」
「成る程な」
二人の視線の先に映るクルスはただ開始の合図を待っている。
誰もが真剣に見つめる中でついに復讐者の戦いが始まろうとしていた。
『それではクルス選手対紅牙選手始めー!!』
ユキナの言葉と同時に戦いは始まる。
~フィールド~
「復讐者よ、よくぞここまできたな。人の執念とは恐ろしいものだ」
「黙れ」
「決着をつけようか」
『……』
両者が睨み合い開始の合図と同時に駆け出すクルスと紅牙。
クルスの握る双剣と紅牙の拳がぶつかり合い、クルスはすかさず光の球体を出現させ紅牙に放つ。
その球体は紅牙に当たる前に消滅して前と同じようにクルスの身体が切り裂かれるが、クルスは痛がる素振りを見せないまま双剣を振るい剣は紅牙の髪をかすめ、さらに接近して至近距離からシャインスフィアを爆発させ二人とも衝撃で吹き飛ぶ。
「少しはやるようだな復讐者」
「言ったはずだ。お前を殺すとな」
「あまり調子に乗るなよ」
紅牙は口元から流れる血を手で拭い己のデバイスを起動させ構える紅牙。
クルスはモードを2ndに変え両手に双銃を握り紅牙と対峙する。
前回は目の前の男に何も出来ずに負けてしまった。
しかし今回だけは負けられない。
負けるわけにはいかないのだ。
「シヴァ、カートリッジロード」
『御意』
一発のマガジンを消費して紅牙が拳をクルスに向けると、クルスは気づかぬうちに肩を切り裂かれ顔を歪める。
(フェイトがやられた技か。……成る程これは見えない訳だ)
顔を歪めたまま双銃を紅牙に向け銃口に魔力を溜め魔法陣が展開される。
紅牙はただ眉を寄せクルスの行動を見つめていたが銃口に込められる魔力に目を細めていく。
「シャイニングバスター!」
銃口から放たれた光魔法の砲撃。
なのはのディバインバスターと同等の威力をもつ砲撃を放ちその砲撃は紅牙の空壁に受け止められたが、クルスの狙いは最初から砲撃魔法ではなくそれを囮として紅牙に接近する事だった。
砲撃魔法が消滅する直前にクルスはすでに紅牙に接近して、双銃を双剣に変えて斬りかかる。
「ムダだ!!」
クルスの振り下ろした剣を紅牙は掴み拳に力を込めると剣はバラバラに砕け隙だらけのクルスに回し蹴りを喰らわせ怯んだクルスの顎を拳で殴り飛ばし、カートリッジを二発消費しシヴァを使う手に魔力を込めて拳を振るう。
「聖拳!」
「……ガハッ!」
振り上げられた重い一撃はクルスの腹を捉えクルスは血を吐き身体は岩山へと吹き飛んでいく。
「クッ…!」
「期待外れだな。さっき戦った女を守った時は楽しめると思ったが所詮その程度か」
「黙れ……」
「まだ足りないようだな憎しみが。ならば次はあの女を貴様の前で「これ以上喋るな」……ムッ」
岩山へと吹き飛ばされていたクルスの姿が紅牙の視界から消えたと思った瞬間、いつの間にかクルスは紅牙の横腹を双剣で切り裂き紅牙の横腹からは血が流れる。
目にも止まらぬ速さで切り裂き自分の背後にいるクルスに紅牙は口元をニヤリとさせた。
「やはり貴様の力の源は憎しみや負の感情のようだな。しかし――」
「光氷一閃!」
「まだ足りないな」
自分の身体を切り裂こうとする剣をギリギリまで引き付けそれを交わし、体勢を低くし足蹴りでクルスの顎を蹴りあげその一撃にクルスは意識が朦朧となり紅牙はさらに追撃するように蹴り上げ岩山へと再び吹き飛ばし、岩山にぶつかったクルスの目の前までやって来ると聖拳を喰らわせ岩山にクルスを埋めるように力を込め岩山は衝撃で砕けていき、クルスは岩山と一緒に地面に落下してその身体は倒れていく。
「……」
「終わりか弱き復讐者よ」
倒れたクルスに向けた冷たい言葉と視線。
もはや立ち上がるだけの力はクルスにはないなと思い、紅牙は背を向けて一歩足を進めようとしたが、自分の背後から禍々しい魔力を感じゆっくり振り向いたと同時に紅牙の顔を剣が一閃振り下ろされ紅牙の顔から血が流れていく。
「勝手に……終わるな……紅牙!」
「ほぅ……!」
顔を切られ血を流す紅牙にクルスは蹴りを喰らわせその蹴りは紅牙の顔に当たり紅牙は口から血を吐き出し膝をつく。
「あれを喰らって生きていたとは」
「言ったはずだ。お前を殺すと」
「強がるなよ復讐者」
血を流しながら対峙するクルスと紅牙の二人。
ダメージに関してはクルスの方がでかいのかクルスの身体はふらふらと揺れていた。
しかしクルスの目はまだ死んでいなかった。
クルスの目には目の前の男を殺すまで諦めないと憎しみが宿っている。
「どうやら俺も本気で戦わねばならないようだな」
「なにっ……?」
「シヴァ、モード【ワイバーン】起動だ」
『解放』