始動!神魔杯
~会場~
全ての参加者が各ブロックに集まり進行役のユキナと勇人はモニターや資料に目を向け、各ブロック専用のカメラを一つ一つ確認していた。
先程指示して参加者をブロックに集めたが人数が人数だったので、時間がかかったが一応時間通り進んでいるようで二人は慌てずに作業をしていた。
『それでは皆さん!準備はいいですか!?』
『………』
作業を終えたユキナの声に参加者は開始の合図を待ちながら殺気や闘気を放出していく。
『それではいきますよ!!予選!!開始ーーーーー!!』
『オォォォォォォォォ!!』
開始の合図と共についに始まった神魔杯。
この世界を戦いが包み込みさまざまな力がぶつかり始めるのだった。
~Dブロック~
「ディバイーンバスター!!」
ピンク色の閃光が地面を抉り樹や岩を粉砕しながら大会参加者を飲み込んでいく。
非殺傷なので魔力ダメージしか味あわないがなのはのディバインバスターを喰らった者達は次々とリタイアしていき、なのはに接近戦を持ち込もうとしても金色の閃光ことフェイトがそれを見逃すはずもなく、
「ハァァァァァァ!!」
「クソッ!」
「速い!!」
自分達では到底追い付けないスピードで翻弄するフェイトに手も足も出ず参加者達は気絶していく。
「撃ち抜けファイヤ!!」
雷の槍が四方八方に散り、なのはに近づいていた選手や身を潜めていた選手に当たり爆発していく。
こちらも魔力ダメージだけだがそれでも威力は充分だったのか参加者達は減っていた。
なのはとフェイトのコンビネーションによりこのブロックは終わっていくようだ。
~会場~
『Dブロックは高町選手とハラオウン選手が圧倒していますね勇人さん』
『そうだな。普通のやつなら勝てやしないだろうが………あのフェイトのBJは全くもってけしからん!!』
『…………おっと、他のブロックでは決着がついてるようです』
進行役のユキナはすでに終わっているブロックにモニターを切り替えて確認する。
勇人の発言などなかったかのようにスルーする辺り彼女はとても優秀な進行役である。
~Aブロック~
「違う違う。この男を上にしてだな…」
「分かってねぇな将輝は!やっぱり積み上げよりピラミッドにしたほうが面白いだろ?」
Aブロックを勝ち抜いた二名、将輝と直樹が何やら話し込んでいた。
どうやら敗北した選手達をバックにピースして進行役に見せようとしていたらしいが、その形について激しく討論している姿を進行役が見ていたため意味はなかった。
『Aブロック代表は将輝選手と直樹選手に決定ーーーーー!!』
『お疲れさん二人とも。すぐにアリーナに戻ってこいよ』
「ちょっ!?」
「待ってくださ……」
なんとも可哀想な二人だがとりあえず勝ち抜いたのでAブロックは終了して、Aブロックに触発されるかように他のブロックでも次々と代表が決まっていく。
~会場~
『Bブロックはユーノ選手と湊選手に決定!Eブロックはシグナム選手とヴィータ選手!!Hブロックは稟選手とクロノ選手!Mブロックは淳選手と雅選手!Dブロックはなのは選手とフェイト選手となりました!!』
進行役までヒートアップする予選。
代表が次々と決まっていく中で他のブロックではまだ戦っている選手もいた。
ショウのいるCブロックである。
~Cブロック~
「紅蓮一閃!」
「鳳凰閃光!」
赤き弾丸のように物凄い速度で倒していくショウとディアスの二人。
木々を薙ぎ倒し地面にクレーターを作り倒していく選手達を切り裂きながら止まらず動いている。
「フローラ!」
『了解です!』
ショウの持つ刀が赤く光り炎を纏い思い切り横に振った途端、その場にいた選手達は自分達が気付いたときにはすでに地面に倒れ意識を失っていた。
ショウとフローラが編み出した新たな魔術のようだが詳しい事はいまだに不明である。
『どうやらCブロックはショウ選手とディアス選手が予選突破のようです。勇人さん一言お願いします』
『……特にないんでパス…』
本当にやる気があるのかと言いたくなるほどの実況にユキナは溜め息を吐いて他のブロックを確認していく。
次はクルスとエグザのいるLブロックである。
~Lブロック~
『こっ、これは…』
『……………』
驚きの表情を浮かべるユキナと表情こそ変わっていないが驚いている勇人。
二人だけでなくアリーナにいた予選突破の選手達も驚いていた。
何故なら――
「驚いたな。私がやる前にすでに終わっていたとは」
エグザの発した言葉通り、そこには氷付けになった選手とその中心でBJを靡かせているクルスがいた。
双銃を握りただ冷たい表情を浮かべるクルスにモニターで見ていた者達は恐怖を感じていたり嬉しそうに笑っていたりニヤニヤ笑っている者達がいた。
「審判、この場合はどうなる?」
エグザの言葉にハッと我に返ったユキナは慌ててジャッジを下す。
『Lブロックはクルス選手とエグザ選手に決定!!よろしいですね勇人さん?』
『いいもなにもあの二人以外すでに死んでいるんだ。ルール通りならあの二人は予選突破だ』
しかし予選からこれとはな――――と口にはしないが疲れたように息を吐く勇人。
モニター越しだったから少ししか見えなかったが、クルスの頬やBJには僅かに返り血がついていた。
おそらく氷付けにする前に戦っていて付着したに違いない。
あのエグザが到着した時に終わらせたなら手加減なしの本気でやったのだろう。
非殺傷ではなく初めから殺傷設定で。
普段のクルスと今のクルスは温度差がありすぎる。
どちらが本当なのかは分かるがもし自分の思っている方が正しい場合―――
(大丈夫なのか、クルス)
アイツは本当に平気なのだろうか?この先どうなるかアイツ自身がわかっている筈なのに――
「復讐者…」
「何、エグザ・シュラハト?」
モニターが切り替わり二人を見ている者はいない。
その状況でエグザがクルスに声を掛けている。
「お前はその重すぎる十字架を背負って何をするつもりだ?」
「……決まっている」
ゆっくり歩き出してエグザの横を通り過ぎて背を向けた状態で口を開く。
この十字架を背負って辿り着く道なんて一つしかない。
「自分の倒すべき存在を倒すだけだ。紅牙だけじゃない元帝や他のジョーカーズも僕がこの手で」
表情と言葉に嘘は感じられない。
ならば何故この男はこんなにも歪んで見える。
「その鎖の重みで動けなくなるまで戦い続けるか………復讐者よ」
「そう……かもね……」
悲しげに笑って答えたクルスはLブロックから姿を消した。
ただ一人Lブロックに残ったエグザは考える。
ボルキア・恭介・光帝・紅牙があの男にこだわるのはあの男が歪んでいるからだ。
そして似ているからだ―――
自分達と同じように数えきれないほどの者を消しているところや、決して闇から抜け出せないあの生き方が―――
~会場~
『これで予選を全て終了します!!各ブロック代表の選手は速やかに参加者専用の場所に向かってください。そこで一回戦の発表となります!!』
全ての予選が終わりアリーナにいる代表者達はすぐに移動をする。
敗退した選手は次々と観客席に向かったり帰ったりしているようだ。
逆に勝ち抜いた選手達は呑気に口笛を吹くものもいれば、何かをずっと考えている者がいてどことなく空気がピリピリしているように感じる。
「だから言ったろ稟。予選突破は知り合いが多くなるって」
「まさか本当にそうなるなんて思わないだろ。でも次が本番なんだよな?」
「一回戦の組み合わせか……………。かったるい……」
参加者専用の場所に向かう途中でこのような会話をしていた将輝と稟と純一の三人。
一回戦の組み合わせが気になるのは彼らだけではない。
「誰と当たっても勝てる気がしねぇ」
「純一に同意だ。シグナムさんやヴィータと戦ってボロボロになる姿しか浮かばない」
情けない二人である。
仮にも神魔界の王となる男やかったるい星人がこれでいいのだろうか?
「でも僕的にはなのはと戦いけどね」
そこに参加するユーノ。
彼の言葉に将輝や同じように話を聞いていたショウやフェイト達は目を丸くする。
「ユーノの口からなのはと戦いたいという死亡フラグを聞くことになるとは」
「将輝、後ろ後ろ」
「やめろよそのノリ。振り返ったらなのはがいるみたいじゃ……………」
振り返った将輝の背後には満面の笑みを浮かべてRHを握るなのはがいた。
とっても素敵な笑顔なの!と口に仕掛けた将輝は無言のままなのはに引き摺られていく。
ドナドナのBGMがどこからともなく流れショウや稟や湊達はただ手を振るのである。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
さらば将輝―――
(トーナメントの組み合わせはランダム。クルスと戦うなら決勝がいいんだけどな~)
将輝の悲鳴をBGMにしながらショウの視線は皆から離れた場所で集中しているのか目を閉じながら壁に寄り掛かっているクルスに向けられる。
(この大会でクルスは復讐を果たすつもりだ。だからルールに死亡を加えたんだろう。本当にそれでいいのかクルス。復讐の先には何もないかもしれないのに)
親友を見つめるショウの表情は悲し気な表情だった。
止められるなら止めたい。
復讐なんかやめろ!と口にしたいのにどうしても出来なかった。
まるで心が拒絶しているかのように―――
「復讐……か……」
アイツは人生を復讐に染めている。
でもやっぱり自分は止めるべきかもしれない。
これ以上アイツが誰かを消す事なんてさせない為にも自分が―――
「どうしたショウ?」
ヴィータの言葉にショウはただ笑って返して心配させないようにする。
ヴィータはそれに首を傾げていたがシグナムに呼ばれショウから離れていく。
どうやらシグナムの頭の中ではバトルマニアという単語が浮かんでいるようで今か今かと待っているようだ。
すると―――
『皆さん!お待たせしました!!トーナメントの組み合わせがついに決まりました!!これが第一回神魔杯のトーナメント表です!!』
ユキナの声と同時にモニターに映ったのはトーナメント表。
そのトーナメント表を見てショウ達だけでなく別室にいたラバーズ+非公式新聞部+岡崎達や他の一般観客達も驚いていた。
その組み合わせは一回戦から波乱のようでいきなり不安になっている複数の人物達。
『これは面白くなりそうじゃなねぇか』
勇人はトーナメント表を見ながら楽し気に笑みを浮かべていた。
さてどのような組み合わせかと言いますと―――
トーナメント一回戦――
Aブロック――
『ユーノVSシグナム』
Bブロック――
『純一VSフェイト』
Cブロック――
『クロードVSノヴァ』
Dブロック――
『紅牙VS悠太』
Eブロック――
『ヴィータVS将輝』
Fブロック――
『湊VSアシュトン』
Gブロック――
『なのはVS直樹』
Hブロック――
『稟VSエグザ』
Iブロック――
『ショウVSディアス』
Jブロック――
『勇VS奏也』
Kブロック――
『ハヤテVSデニス』
Lブロック――
『淳VSザフィーラ』
Mブロック――
『クルスVSエルド』
Nブロック――
『クロノVS裕里』
発表された一回戦の組み合わせに誰もがさまざまな感情を見せる。
不安・驚愕・歓喜・期待といった感情がすぐに読み取れる。
中にはガッツポーズしている者までいるがそれは一人しかいない。
誰とは言わないがその人物は目的達成の為に戦うであろう。
その先に何が待っているのかも分からずにただ戦う。
こうして本当の意味で始まる神魔杯―――
波乱が巻き起こるであろう戦いのなかで果たして勝ち残る者は!?
そして――
【世界に愛された少年、試練を経て、資格を得る】
ザーーッとテレビで起こる現象砂嵐のような音ともに誰かの声が聞こえた。
この言葉の意味とは?
次回予告――
ユーノ
「一回戦から激闘とする神魔杯……」
クロード
「憎しみや隠された感情の前に僕は――」
ヴィータ
「次回S.H.D.C.第26話―
『波乱の一回戦』に…』
純一&将輝
「「ドライブ・イグニッション!!」」
全ての参加者が各ブロックに集まり進行役のユキナと勇人はモニターや資料に目を向け、各ブロック専用のカメラを一つ一つ確認していた。
先程指示して参加者をブロックに集めたが人数が人数だったので、時間がかかったが一応時間通り進んでいるようで二人は慌てずに作業をしていた。
『それでは皆さん!準備はいいですか!?』
『………』
作業を終えたユキナの声に参加者は開始の合図を待ちながら殺気や闘気を放出していく。
『それではいきますよ!!予選!!開始ーーーーー!!』
『オォォォォォォォォ!!』
開始の合図と共についに始まった神魔杯。
この世界を戦いが包み込みさまざまな力がぶつかり始めるのだった。
~Dブロック~
「ディバイーンバスター!!」
ピンク色の閃光が地面を抉り樹や岩を粉砕しながら大会参加者を飲み込んでいく。
非殺傷なので魔力ダメージしか味あわないがなのはのディバインバスターを喰らった者達は次々とリタイアしていき、なのはに接近戦を持ち込もうとしても金色の閃光ことフェイトがそれを見逃すはずもなく、
「ハァァァァァァ!!」
「クソッ!」
「速い!!」
自分達では到底追い付けないスピードで翻弄するフェイトに手も足も出ず参加者達は気絶していく。
「撃ち抜けファイヤ!!」
雷の槍が四方八方に散り、なのはに近づいていた選手や身を潜めていた選手に当たり爆発していく。
こちらも魔力ダメージだけだがそれでも威力は充分だったのか参加者達は減っていた。
なのはとフェイトのコンビネーションによりこのブロックは終わっていくようだ。
~会場~
『Dブロックは高町選手とハラオウン選手が圧倒していますね勇人さん』
『そうだな。普通のやつなら勝てやしないだろうが………あのフェイトのBJは全くもってけしからん!!』
『…………おっと、他のブロックでは決着がついてるようです』
進行役のユキナはすでに終わっているブロックにモニターを切り替えて確認する。
勇人の発言などなかったかのようにスルーする辺り彼女はとても優秀な進行役である。
~Aブロック~
「違う違う。この男を上にしてだな…」
「分かってねぇな将輝は!やっぱり積み上げよりピラミッドにしたほうが面白いだろ?」
Aブロックを勝ち抜いた二名、将輝と直樹が何やら話し込んでいた。
どうやら敗北した選手達をバックにピースして進行役に見せようとしていたらしいが、その形について激しく討論している姿を進行役が見ていたため意味はなかった。
『Aブロック代表は将輝選手と直樹選手に決定ーーーーー!!』
『お疲れさん二人とも。すぐにアリーナに戻ってこいよ』
「ちょっ!?」
「待ってくださ……」
なんとも可哀想な二人だがとりあえず勝ち抜いたのでAブロックは終了して、Aブロックに触発されるかように他のブロックでも次々と代表が決まっていく。
~会場~
『Bブロックはユーノ選手と湊選手に決定!Eブロックはシグナム選手とヴィータ選手!!Hブロックは稟選手とクロノ選手!Mブロックは淳選手と雅選手!Dブロックはなのは選手とフェイト選手となりました!!』
進行役までヒートアップする予選。
代表が次々と決まっていく中で他のブロックではまだ戦っている選手もいた。
ショウのいるCブロックである。
~Cブロック~
「紅蓮一閃!」
「鳳凰閃光!」
赤き弾丸のように物凄い速度で倒していくショウとディアスの二人。
木々を薙ぎ倒し地面にクレーターを作り倒していく選手達を切り裂きながら止まらず動いている。
「フローラ!」
『了解です!』
ショウの持つ刀が赤く光り炎を纏い思い切り横に振った途端、その場にいた選手達は自分達が気付いたときにはすでに地面に倒れ意識を失っていた。
ショウとフローラが編み出した新たな魔術のようだが詳しい事はいまだに不明である。
『どうやらCブロックはショウ選手とディアス選手が予選突破のようです。勇人さん一言お願いします』
『……特にないんでパス…』
本当にやる気があるのかと言いたくなるほどの実況にユキナは溜め息を吐いて他のブロックを確認していく。
次はクルスとエグザのいるLブロックである。
~Lブロック~
『こっ、これは…』
『……………』
驚きの表情を浮かべるユキナと表情こそ変わっていないが驚いている勇人。
二人だけでなくアリーナにいた予選突破の選手達も驚いていた。
何故なら――
「驚いたな。私がやる前にすでに終わっていたとは」
エグザの発した言葉通り、そこには氷付けになった選手とその中心でBJを靡かせているクルスがいた。
双銃を握りただ冷たい表情を浮かべるクルスにモニターで見ていた者達は恐怖を感じていたり嬉しそうに笑っていたりニヤニヤ笑っている者達がいた。
「審判、この場合はどうなる?」
エグザの言葉にハッと我に返ったユキナは慌ててジャッジを下す。
『Lブロックはクルス選手とエグザ選手に決定!!よろしいですね勇人さん?』
『いいもなにもあの二人以外すでに死んでいるんだ。ルール通りならあの二人は予選突破だ』
しかし予選からこれとはな――――と口にはしないが疲れたように息を吐く勇人。
モニター越しだったから少ししか見えなかったが、クルスの頬やBJには僅かに返り血がついていた。
おそらく氷付けにする前に戦っていて付着したに違いない。
あのエグザが到着した時に終わらせたなら手加減なしの本気でやったのだろう。
非殺傷ではなく初めから殺傷設定で。
普段のクルスと今のクルスは温度差がありすぎる。
どちらが本当なのかは分かるがもし自分の思っている方が正しい場合―――
(大丈夫なのか、クルス)
アイツは本当に平気なのだろうか?この先どうなるかアイツ自身がわかっている筈なのに――
「復讐者…」
「何、エグザ・シュラハト?」
モニターが切り替わり二人を見ている者はいない。
その状況でエグザがクルスに声を掛けている。
「お前はその重すぎる十字架を背負って何をするつもりだ?」
「……決まっている」
ゆっくり歩き出してエグザの横を通り過ぎて背を向けた状態で口を開く。
この十字架を背負って辿り着く道なんて一つしかない。
「自分の倒すべき存在を倒すだけだ。紅牙だけじゃない元帝や他のジョーカーズも僕がこの手で」
表情と言葉に嘘は感じられない。
ならば何故この男はこんなにも歪んで見える。
「その鎖の重みで動けなくなるまで戦い続けるか………復讐者よ」
「そう……かもね……」
悲しげに笑って答えたクルスはLブロックから姿を消した。
ただ一人Lブロックに残ったエグザは考える。
ボルキア・恭介・光帝・紅牙があの男にこだわるのはあの男が歪んでいるからだ。
そして似ているからだ―――
自分達と同じように数えきれないほどの者を消しているところや、決して闇から抜け出せないあの生き方が―――
~会場~
『これで予選を全て終了します!!各ブロック代表の選手は速やかに参加者専用の場所に向かってください。そこで一回戦の発表となります!!』
全ての予選が終わりアリーナにいる代表者達はすぐに移動をする。
敗退した選手は次々と観客席に向かったり帰ったりしているようだ。
逆に勝ち抜いた選手達は呑気に口笛を吹くものもいれば、何かをずっと考えている者がいてどことなく空気がピリピリしているように感じる。
「だから言ったろ稟。予選突破は知り合いが多くなるって」
「まさか本当にそうなるなんて思わないだろ。でも次が本番なんだよな?」
「一回戦の組み合わせか……………。かったるい……」
参加者専用の場所に向かう途中でこのような会話をしていた将輝と稟と純一の三人。
一回戦の組み合わせが気になるのは彼らだけではない。
「誰と当たっても勝てる気がしねぇ」
「純一に同意だ。シグナムさんやヴィータと戦ってボロボロになる姿しか浮かばない」
情けない二人である。
仮にも神魔界の王となる男やかったるい星人がこれでいいのだろうか?
「でも僕的にはなのはと戦いけどね」
そこに参加するユーノ。
彼の言葉に将輝や同じように話を聞いていたショウやフェイト達は目を丸くする。
「ユーノの口からなのはと戦いたいという死亡フラグを聞くことになるとは」
「将輝、後ろ後ろ」
「やめろよそのノリ。振り返ったらなのはがいるみたいじゃ……………」
振り返った将輝の背後には満面の笑みを浮かべてRHを握るなのはがいた。
とっても素敵な笑顔なの!と口に仕掛けた将輝は無言のままなのはに引き摺られていく。
ドナドナのBGMがどこからともなく流れショウや稟や湊達はただ手を振るのである。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
さらば将輝―――
(トーナメントの組み合わせはランダム。クルスと戦うなら決勝がいいんだけどな~)
将輝の悲鳴をBGMにしながらショウの視線は皆から離れた場所で集中しているのか目を閉じながら壁に寄り掛かっているクルスに向けられる。
(この大会でクルスは復讐を果たすつもりだ。だからルールに死亡を加えたんだろう。本当にそれでいいのかクルス。復讐の先には何もないかもしれないのに)
親友を見つめるショウの表情は悲し気な表情だった。
止められるなら止めたい。
復讐なんかやめろ!と口にしたいのにどうしても出来なかった。
まるで心が拒絶しているかのように―――
「復讐……か……」
アイツは人生を復讐に染めている。
でもやっぱり自分は止めるべきかもしれない。
これ以上アイツが誰かを消す事なんてさせない為にも自分が―――
「どうしたショウ?」
ヴィータの言葉にショウはただ笑って返して心配させないようにする。
ヴィータはそれに首を傾げていたがシグナムに呼ばれショウから離れていく。
どうやらシグナムの頭の中ではバトルマニアという単語が浮かんでいるようで今か今かと待っているようだ。
すると―――
『皆さん!お待たせしました!!トーナメントの組み合わせがついに決まりました!!これが第一回神魔杯のトーナメント表です!!』
ユキナの声と同時にモニターに映ったのはトーナメント表。
そのトーナメント表を見てショウ達だけでなく別室にいたラバーズ+非公式新聞部+岡崎達や他の一般観客達も驚いていた。
その組み合わせは一回戦から波乱のようでいきなり不安になっている複数の人物達。
『これは面白くなりそうじゃなねぇか』
勇人はトーナメント表を見ながら楽し気に笑みを浮かべていた。
さてどのような組み合わせかと言いますと―――
トーナメント一回戦――
Aブロック――
『ユーノVSシグナム』
Bブロック――
『純一VSフェイト』
Cブロック――
『クロードVSノヴァ』
Dブロック――
『紅牙VS悠太』
Eブロック――
『ヴィータVS将輝』
Fブロック――
『湊VSアシュトン』
Gブロック――
『なのはVS直樹』
Hブロック――
『稟VSエグザ』
Iブロック――
『ショウVSディアス』
Jブロック――
『勇VS奏也』
Kブロック――
『ハヤテVSデニス』
Lブロック――
『淳VSザフィーラ』
Mブロック――
『クルスVSエルド』
Nブロック――
『クロノVS裕里』
発表された一回戦の組み合わせに誰もがさまざまな感情を見せる。
不安・驚愕・歓喜・期待といった感情がすぐに読み取れる。
中にはガッツポーズしている者までいるがそれは一人しかいない。
誰とは言わないがその人物は目的達成の為に戦うであろう。
その先に何が待っているのかも分からずにただ戦う。
こうして本当の意味で始まる神魔杯―――
波乱が巻き起こるであろう戦いのなかで果たして勝ち残る者は!?
そして――
【世界に愛された少年、試練を経て、資格を得る】
ザーーッとテレビで起こる現象砂嵐のような音ともに誰かの声が聞こえた。
この言葉の意味とは?
次回予告――
ユーノ
「一回戦から激闘とする神魔杯……」
クロード
「憎しみや隠された感情の前に僕は――」
ヴィータ
「次回S.H.D.C.第26話―
『波乱の一回戦』に…』
純一&将輝
「「ドライブ・イグニッション!!」」