接触と疑念

~ボルキアSide~

「さてと…」


気絶したフェイトを見下ろしながらどうするか考える。

連れていくか?

始末するか?

今の状態なら簡単に殺せるが面白くない。

もっと絶望してから始末したいのが本音である。


「仕方ないわ。じわじわと痛めようかしら」


デバイスを起動させて薙刀を手にしたボルキアは振り上げてフェイトの身体のどこを傷つけるか考える。

顔?腕?足?

それとも背中をバッサリ切り裂くか?


「やっぱり顔かしら?女の命だしね」


ニヤリと笑って薙刀をゆっくり降ろしていこうとしたが、


「………ッ!!」


突如後方から迫ってきた光の弾丸に薙刀を弾かれ、


「フェイトから離れろ」

「クッ!」


背後に現れたクルスに気付かず蹴りをまともに喰らい地面に転がってしまう。


「アンタはクルス・アサヅキ、よくも私を蹴ってくれたわね」


ムクリと起き上がり弾かれた薙刀を手にする。

蹴りのダメージはあまりなかったが自分を蹴った事に対して内心怒りを宿していた。


「そのお人形さんが心配?人殺しのアンタにもまだ感情があったなんて面白いわね」


ニヤッと笑うボルキアだがクルスはそんなボルキアを無表情で見つめていたが、地面に倒れていたフェイトを抱き抱えボルキアに背を向けた。


「どういうつもり?敵の前で背を向けるなんて普通じゃないわよ」

「………お前と戦うより今はフェイトを安全な場所に運ぶ方が先決だ。戦いたいならまたにしろ」


フェイトを抱えたままゆっくり歩き出すクルスに怒りの感情を露にするボルキア。

ボルキアはただでさえクルスという男を嫌っていた。

恭介や光帝が気にしている相手だからどんな人間かと思っていたのに、倒れている人形を気にするような男で戦いに好戦的じゃなかった。

しかも薙刀を持った自分を目にしてこの場を去ろうとしている、


「バカにしない方がいいわよ」


魔方陣を展開して薙刀に凍結能力を宿しクルスに斬りかかるボルキアだが、


「邪魔をするな」

「なっ!」


薙刀を避けて足で押さえつけながらクルスは殺気を込めて睨み付けていた。


「お前の相手は時が来たときにしてやる。フェイトの分も含めてな」

「…………」

「今回はこっちの負けだ。次は必ずお前を…………殺す」


それだけ言ってボルキアから離れていくクルスを見ながら、ボルキアは歯をくいしばり薙刀を力強く握り締めていた。

こんなに近くにいるのに何故斬りかかっていけない?

恐れている訳じゃないのに身体が動かないなんて!

もしかしたら自分は過ちを犯したのかもしらない。

いやっ!そんな事はない!


「私はジョーカーズの一人ボルキアよ、アンタなんかに殺されてたまるか!」

「………………」


その言葉を聞いていたのか分からないが、クルスは何も言わずこの場から姿を消してボルキアはスパーダが来るまで怒りの表情を露にしていた。








~ショウSide~

「ユーノ!何が起こっているんだ!?」

「多分ロストロギアが原因だと思う。この星はロストロギアのエネルギーで存在している星だから彼らが回収したのなら…」

「ご明察だなスクライア。早く脱出しないとお前らは死ぬぞ」


揺れる地面と足場から溢れてくる光にショウやユーノはなのは達を抱えながらエグザを見ていた。

慌てるショウ達に対してエグザは慌てる様子を見せず立っている。

エグザにとってこの展開は予想の範囲内のこと。

慌てる様子など見せなくても自分がやるべき事はするだけである。


「ショウといったな?お前は知っているのか?お前が持つフューチャーデバイスの謎を…」

「フローラの謎だと…」

「そうだ。知らないなら調べてみるがいい。今のままでは私達には勝てないからな」


そう言ったエグザは指をパチン!と鳴らしこの場から消えるように姿を消し、別の場所にいたスパーダとボルキアとロストロギアを回収したファイも同じように姿を消す。


「ショウ!僕達も!」

「分かった(フローラの謎…)」


エグザの言葉が頭から消える事はなくショウは顔を歪めたままこの星から脱出してクルス達もショウ達と同じように脱出すると数分後にこの星は跡形もなく消滅するのだった。














次回予告

ユーノ
「あの戦いで残ったのは謎と傷だけ」

「何で教えてくれないんだ…」

クロノ
「真実を知る者はただ口を閉ざす」

「…ごめん…」

エイミィ
「次回S.H.D.C.――
第24話――
【生じる亀裂】に…」

ヴェロッサ
「ドライブイグニッション!」
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