体育祭(後編)
「さて俺は…」
ショウが手にした封筒にはデカデカと『杉並』と書かれており、事前に杉並から言われていたショウはそれを手にしたのだ。
封筒に入った紙を確認してショウが目にした紙には『狸と熊(ちなみに人だぞ)』
(狸と熊だと?しかも人!?わけわかんねぇ!狸っぽい人と熊っぽい人って事か?そんな人都合よく…)
紙を握ったまま辺りを見回していたショウはふとある場所を見て固まった。
あれは見間違いとかじゃないよな?
熊の被り物をした誰かが春原を蹴り飛ばしてるけど―――
ショウの視界に入ったのは春原と樹と東宮の三人を遥か彼方へと蹴り飛ばしていた熊がいた。
熊はそのままノソノソと何処かに消えていくが、ショウはハッとした表情でその熊を追い掛けていった。
「ショウの奴どこに?」
同じように『杉並』と書かれた封筒を手に持った直樹は走り去っていくショウを見ながら首を傾げていたが自分もまた封筒の中身を確認する為に紙を出して書かれた文字を確認する。
そこに書かれていたのは『世界の生き物』だった。
(世界規模!?借り物競走で世界に飛び立つのか!?しかし勝つためには…)
頭の中でどうやって勝つかと方法を考えた直樹は何かを閃いてすぐに消えていった。
何か打開策でもあったのだろうか?
直樹が消えたと同時にようやくやって来たアホ二人は普通の封筒を手にしてそれぞれ確認する。
一人は『勇人の髪の毛』
もう一人は『校長の隠し持っているフィギュア』である。
「なんですとぉぉぉぉ!?」
「分かるかそんなもの!!」
アホ二人がそう叫んでそれぞれ目的の物を勇人と校長に言うが、アホ二人はその後見た者はいなかったようだ。
どうやら片方は空を飛んで、もう片方は地面に突き刺さったと何処かの生徒が見たらしい。
『おぉぉぉーっと!!二年B組のヤナギ選手がこの学園の女神の一人でもある八神はやてさんと………熊ですか?熊の被り物を身に纏っている人を連れてきたぞぉぉぉぉ!!』
「実況の人盛り上がってるッス!」
「はい。楽しそうですね」
実況も何故か盛り上がりショウが審判に紙と連れてきた二人を確認してその二人に紙を見せると、熊の被り物を纏っていた智代は苦笑していたが、はやてはニッコリ笑ってショウの腕を掴んでいた。
どうやら彼は狸という項目にはやてを連れてきてそれを確認したはやてがとても素敵な笑みを浮かべている。
「ショウ君、誰が狸やろか?」
「落ち着いてくれはやて。これは杉並に言われてだな…」
「ほぅ~杉並君に言われてなぁ。せやけどおかしいなぁ?杉並君は『はて?ヤナギには何も言ってないが』とか言うと笑っておったで…」
「おのれ!謀ったな杉並!」
「言い訳は今から聞いたる」
ズルズルと引きずられながらショウは体育館裏へと消えていった。
どうやらお話が始まるようで詳しく知ってはいけないようだ。
体育館裏で、
『キキョウちゃんと同棲しとるってどういう事やろか?』
『あれは神王が強引に決めた事で俺は…』
『最近なのはちゃんや亜沙先輩とも出掛けてるし、私はショウ君に甘えてないんよ?それに咲夜の屋敷に行ったみたいやし』
『首を傾げながらシュベルトクロイツを突き付けるな!!』
『私かて女の子なんやから、ちょっとはショウ君と一緒にいたいんやで』
何やらシリアスな展開のようだが数分後には体育館裏が桃色に変わっていた。
何があったかは言ってはならないようで視点を変えるとしよう。
どうやら直樹はライオンを連れてきたが頭をガシガシと噛まれていた。
『直樹選手!まさかのライオンを連れてきたぁぁぁぁ!!しかも頭を噛まれているのに抵抗していない!血が出ていますよ』
「これはトマトジュースを頭にかけてるんだ。血ではない」
『カッコイイのかカッコ悪いのか分かりませんが、直樹選手が二位でゴール!!』
ライオンはすぐに何処かへ連れていかれたが、直樹はそのまま保健室に向かい姫がそれに付き添うのだった。
最初からハードすぎる借り物競走である。
『続いて第二走者の人達は並んでください』
虎鉄の言葉に二走者めである奏也と勇とガーディアンズのこれまた一般兵の二人が並ぶ。
しかも先程の二人と違ってこの二人は鼻息が荒く汗までかいていた。
『奏也選手に勇選手はやる気充分のようですね。あとの二人はどこか変態に近いですが…』
「誰が変態だ!!」
「たとえ変態だとしてもそれは変態という名の紳士だよ!!」
『誰かそいつを捕まえろぉぉぉぉ!!』
第二走者から修羅場となり奏也と勇の二人は、迫りくる大群からなんとか回避して他二名は大群に捕まり何処かに連れていかれる。
体育祭ってこんな修羅場があったっけ?
とりあえずこれからどうするのだろうか?
『おぉっと!!何だかよく分かりませんが、第二走者が二人も減ってしまったぁぁぁぁ!!』
しかし実況だけは楽しそうに言葉を発して、第二走者である奏也と勇はとりあえず封筒の置かれた場所に向かって、中の紙を確認すると奏也は『メイド服』勇は『女装が似合う男』と書かれており、二人は思考がシンクロしたのか二人してハヤテのところに行き、奏也がハヤテにメイド服を着せて勇が連れていった。
『ちょっと二人とも!!正気ですか!?』
つまり二人が用意したのは『メイド服を着た女装が似合う男』である。
ハヤテはメイド服のまま連れていかれて、審判が鼻血を流しながらOKサインをすると涙目で二人から離れて逃げていくのだった。
『こんなの洒落になりませんよぉぉぉぉぉ!!』
全校生徒の前で女装したハヤテに誰かが拍手をして、この借り物競走は終わりを迎えたのである。
「麻弓よ、写真は撮れたか?」
「バッチグーなのですよ!ちゃんとナギちゃんやヒナギクにも渡すのですよ」
ハヤテのメイド服姿の写真は主やラバーズの方々に渡されたのである。
『クソッ!綾崎の魅力を他の男達に知られてしまった!いいか貴様ら!綾崎によこしまな感情を向けてみろ!この俺が―――』
『お前が一番危険だーーー!!』
虎鉄の魂の声をそれは惚れ惚れするような蹴りで吹き飛ばす綾崎ハヤテであった。
~ショウSide~
「大丈夫ショウ?」
「キキョウか、とりあえず回復魔法をかけてくれ」
「しっ、仕方ないわね!!」
はやてからなんとか魔法攻撃を回避したが最後の最後でなのはのSLBを喰らって、ショウはようやく起き上がる事が出来たが念のためにキキョウに回復魔法をかけてもらう。
ちなみにはやてとなのはは次のコスプレリレーに出場する選手の為に今は二人とも服を選んでいるためこの場にはいない。
「それにしても、次のコスプレリレーって誰が出るんだ?」
ショウの問いにキキョウではなく目を光らせる麻弓が答えた。
物凄く嫌な予感しかしません。
「Aクラスからは結崎姫ちゃんに白河ことりちゃんに藤林杏ちゃんに水越眞子ちゃん。私達Bクラスからはリコリスちゃんにヒナギクちゃんに咲夜ちゃんにフェイトちゃんの四名なのですよ」
「人選は間違ってはないが、よくヒナギクが出る気になったな」
あのヒナギクがコスプレして走ると思えない。
人前でコスプレして走るなど恥ずかしがり屋のヒナギクにとって耐えられないだろうに。
「フッ!そんな事など百も承知!」
「しかし!我らの手にかかればいくらヒナといえど敵いはしない!」
「私達新聞部の力でヒナちゃんはいちころなのだよ~」
麻弓の背後から現れたのは頭にたん瘤を作った理沙と美希と泉の三人。
三人とも誇らしげに笑っているが実際は苦労したようでたん瘤以外にも精神的にダメージを負っている。
どうやら体育祭が終わってしばらくこの三人にはヒナギク直々の補習とお仕事が待っているにちがいない。
哀れだが自業自得だ。
「どうせハヤテとデートでもさせてやるとか言ったんだろ?」
「なっ!?何故分かった!?」
「こやつエスパーか!?」
あからさまに驚く二人にショウが溜め息を吐いて口を開く。
「ヒナギクが納得する理由がそれしかないからだ」
全くこの三人は―――
特に美希に至ってはヒナギクのコスプレを見たかったはずだから力が入っただろうな。
だから―――
「美希ちゃん!鼻が赤くなってるよ!」
「フッ!これは戦士としての力が目覚めたせいさ」
絶対に鼻血を流したとか思いたくない。
『さて、体育祭も残るはあと二つの競技となりました~!』
『おやっ?さくらさんが帰ってきましたか。先程まで何をしていたのですか?』
『にゃははは。実はとある男子生徒に嬉しい事を言われたのだよ。ねっ!クルス君』
とある男子生徒と言ったけど名前を言ったら台無しだ!!
そんな事を思いながらさくらの言葉と同時に誰かが物凄い勢いで駆け抜けた。
おそらくそれはクルスであろう。
クルスは再びガーディアンズとの鬼ごっこを開始してショウは哀れみの表情を浮かべていた。
「あのままクルス君を走らせて大丈夫かな?」
「何故だ泉?クルスに問題はないと思うが…」
「だってクルス君、最後の男子リレーのメンバーなのに」
その言葉を聞いた瞬間、奏也と悠季が動き出してガーディアンズを討伐し始める。
二人のコンビネーションアタックにガーディアンズは次々と倒されていく。
『まだ…まだ…あの男がいるのに!!』
『アサヅキが目の前にいるのに何故届かないんだぁぁぁぁ!!』
『ポペッ…』
ガーディアンズの方々が悲鳴や叫びを上げるがとりあえず皆様は気にしないでいるようだ。
本当に気にしちゃ駄目だろう。
勇人先生がガーディアンズを足蹴りしたり投げ飛ばしたりしているのも気にしちゃ駄目だろう。
『おぉ!!どうやら選手が来たようですね~。虎鉄君はどう思いますか?』
『あいにく私は綾崎にしか興味あり………ゴバッ!!』
これまたお決まりのパターンだがご説明しよう。
虎鉄がハヤテの名前を言い終えようとした瞬間に虎鉄の顔面に巨大な砲丸が直撃して虎鉄はテーブルに沈んで、投げた犯人ハヤテはニコニコ笑いながらナギの横に立っていた。
恐るべし綾崎ハヤテ―――
クラステントから少し距離があるのに虎鉄の顔面に見事砲丸を当てるとは。
「さっきも沈めたんですがなかなかしぶといですね」
「ハ、ハヤテ?」
「大丈夫ですよお嬢様。あの変態は絶対に近づけさせないので」
虎鉄の事になると人が変わったように残酷になるハヤテ。
だが仕方がないだろう。
虎鉄は綾崎ハヤテ対してだけ変態になるのだから。
ショウが手にした封筒にはデカデカと『杉並』と書かれており、事前に杉並から言われていたショウはそれを手にしたのだ。
封筒に入った紙を確認してショウが目にした紙には『狸と熊(ちなみに人だぞ)』
(狸と熊だと?しかも人!?わけわかんねぇ!狸っぽい人と熊っぽい人って事か?そんな人都合よく…)
紙を握ったまま辺りを見回していたショウはふとある場所を見て固まった。
あれは見間違いとかじゃないよな?
熊の被り物をした誰かが春原を蹴り飛ばしてるけど―――
ショウの視界に入ったのは春原と樹と東宮の三人を遥か彼方へと蹴り飛ばしていた熊がいた。
熊はそのままノソノソと何処かに消えていくが、ショウはハッとした表情でその熊を追い掛けていった。
「ショウの奴どこに?」
同じように『杉並』と書かれた封筒を手に持った直樹は走り去っていくショウを見ながら首を傾げていたが自分もまた封筒の中身を確認する為に紙を出して書かれた文字を確認する。
そこに書かれていたのは『世界の生き物』だった。
(世界規模!?借り物競走で世界に飛び立つのか!?しかし勝つためには…)
頭の中でどうやって勝つかと方法を考えた直樹は何かを閃いてすぐに消えていった。
何か打開策でもあったのだろうか?
直樹が消えたと同時にようやくやって来たアホ二人は普通の封筒を手にしてそれぞれ確認する。
一人は『勇人の髪の毛』
もう一人は『校長の隠し持っているフィギュア』である。
「なんですとぉぉぉぉ!?」
「分かるかそんなもの!!」
アホ二人がそう叫んでそれぞれ目的の物を勇人と校長に言うが、アホ二人はその後見た者はいなかったようだ。
どうやら片方は空を飛んで、もう片方は地面に突き刺さったと何処かの生徒が見たらしい。
『おぉぉぉーっと!!二年B組のヤナギ選手がこの学園の女神の一人でもある八神はやてさんと………熊ですか?熊の被り物を身に纏っている人を連れてきたぞぉぉぉぉ!!』
「実況の人盛り上がってるッス!」
「はい。楽しそうですね」
実況も何故か盛り上がりショウが審判に紙と連れてきた二人を確認してその二人に紙を見せると、熊の被り物を纏っていた智代は苦笑していたが、はやてはニッコリ笑ってショウの腕を掴んでいた。
どうやら彼は狸という項目にはやてを連れてきてそれを確認したはやてがとても素敵な笑みを浮かべている。
「ショウ君、誰が狸やろか?」
「落ち着いてくれはやて。これは杉並に言われてだな…」
「ほぅ~杉並君に言われてなぁ。せやけどおかしいなぁ?杉並君は『はて?ヤナギには何も言ってないが』とか言うと笑っておったで…」
「おのれ!謀ったな杉並!」
「言い訳は今から聞いたる」
ズルズルと引きずられながらショウは体育館裏へと消えていった。
どうやらお話が始まるようで詳しく知ってはいけないようだ。
体育館裏で、
『キキョウちゃんと同棲しとるってどういう事やろか?』
『あれは神王が強引に決めた事で俺は…』
『最近なのはちゃんや亜沙先輩とも出掛けてるし、私はショウ君に甘えてないんよ?それに咲夜の屋敷に行ったみたいやし』
『首を傾げながらシュベルトクロイツを突き付けるな!!』
『私かて女の子なんやから、ちょっとはショウ君と一緒にいたいんやで』
何やらシリアスな展開のようだが数分後には体育館裏が桃色に変わっていた。
何があったかは言ってはならないようで視点を変えるとしよう。
どうやら直樹はライオンを連れてきたが頭をガシガシと噛まれていた。
『直樹選手!まさかのライオンを連れてきたぁぁぁぁ!!しかも頭を噛まれているのに抵抗していない!血が出ていますよ』
「これはトマトジュースを頭にかけてるんだ。血ではない」
『カッコイイのかカッコ悪いのか分かりませんが、直樹選手が二位でゴール!!』
ライオンはすぐに何処かへ連れていかれたが、直樹はそのまま保健室に向かい姫がそれに付き添うのだった。
最初からハードすぎる借り物競走である。
『続いて第二走者の人達は並んでください』
虎鉄の言葉に二走者めである奏也と勇とガーディアンズのこれまた一般兵の二人が並ぶ。
しかも先程の二人と違ってこの二人は鼻息が荒く汗までかいていた。
『奏也選手に勇選手はやる気充分のようですね。あとの二人はどこか変態に近いですが…』
「誰が変態だ!!」
「たとえ変態だとしてもそれは変態という名の紳士だよ!!」
『誰かそいつを捕まえろぉぉぉぉ!!』
第二走者から修羅場となり奏也と勇の二人は、迫りくる大群からなんとか回避して他二名は大群に捕まり何処かに連れていかれる。
体育祭ってこんな修羅場があったっけ?
とりあえずこれからどうするのだろうか?
『おぉっと!!何だかよく分かりませんが、第二走者が二人も減ってしまったぁぁぁぁ!!』
しかし実況だけは楽しそうに言葉を発して、第二走者である奏也と勇はとりあえず封筒の置かれた場所に向かって、中の紙を確認すると奏也は『メイド服』勇は『女装が似合う男』と書かれており、二人は思考がシンクロしたのか二人してハヤテのところに行き、奏也がハヤテにメイド服を着せて勇が連れていった。
『ちょっと二人とも!!正気ですか!?』
つまり二人が用意したのは『メイド服を着た女装が似合う男』である。
ハヤテはメイド服のまま連れていかれて、審判が鼻血を流しながらOKサインをすると涙目で二人から離れて逃げていくのだった。
『こんなの洒落になりませんよぉぉぉぉぉ!!』
全校生徒の前で女装したハヤテに誰かが拍手をして、この借り物競走は終わりを迎えたのである。
「麻弓よ、写真は撮れたか?」
「バッチグーなのですよ!ちゃんとナギちゃんやヒナギクにも渡すのですよ」
ハヤテのメイド服姿の写真は主やラバーズの方々に渡されたのである。
『クソッ!綾崎の魅力を他の男達に知られてしまった!いいか貴様ら!綾崎によこしまな感情を向けてみろ!この俺が―――』
『お前が一番危険だーーー!!』
虎鉄の魂の声をそれは惚れ惚れするような蹴りで吹き飛ばす綾崎ハヤテであった。
~ショウSide~
「大丈夫ショウ?」
「キキョウか、とりあえず回復魔法をかけてくれ」
「しっ、仕方ないわね!!」
はやてからなんとか魔法攻撃を回避したが最後の最後でなのはのSLBを喰らって、ショウはようやく起き上がる事が出来たが念のためにキキョウに回復魔法をかけてもらう。
ちなみにはやてとなのはは次のコスプレリレーに出場する選手の為に今は二人とも服を選んでいるためこの場にはいない。
「それにしても、次のコスプレリレーって誰が出るんだ?」
ショウの問いにキキョウではなく目を光らせる麻弓が答えた。
物凄く嫌な予感しかしません。
「Aクラスからは結崎姫ちゃんに白河ことりちゃんに藤林杏ちゃんに水越眞子ちゃん。私達Bクラスからはリコリスちゃんにヒナギクちゃんに咲夜ちゃんにフェイトちゃんの四名なのですよ」
「人選は間違ってはないが、よくヒナギクが出る気になったな」
あのヒナギクがコスプレして走ると思えない。
人前でコスプレして走るなど恥ずかしがり屋のヒナギクにとって耐えられないだろうに。
「フッ!そんな事など百も承知!」
「しかし!我らの手にかかればいくらヒナといえど敵いはしない!」
「私達新聞部の力でヒナちゃんはいちころなのだよ~」
麻弓の背後から現れたのは頭にたん瘤を作った理沙と美希と泉の三人。
三人とも誇らしげに笑っているが実際は苦労したようでたん瘤以外にも精神的にダメージを負っている。
どうやら体育祭が終わってしばらくこの三人にはヒナギク直々の補習とお仕事が待っているにちがいない。
哀れだが自業自得だ。
「どうせハヤテとデートでもさせてやるとか言ったんだろ?」
「なっ!?何故分かった!?」
「こやつエスパーか!?」
あからさまに驚く二人にショウが溜め息を吐いて口を開く。
「ヒナギクが納得する理由がそれしかないからだ」
全くこの三人は―――
特に美希に至ってはヒナギクのコスプレを見たかったはずだから力が入っただろうな。
だから―――
「美希ちゃん!鼻が赤くなってるよ!」
「フッ!これは戦士としての力が目覚めたせいさ」
絶対に鼻血を流したとか思いたくない。
『さて、体育祭も残るはあと二つの競技となりました~!』
『おやっ?さくらさんが帰ってきましたか。先程まで何をしていたのですか?』
『にゃははは。実はとある男子生徒に嬉しい事を言われたのだよ。ねっ!クルス君』
とある男子生徒と言ったけど名前を言ったら台無しだ!!
そんな事を思いながらさくらの言葉と同時に誰かが物凄い勢いで駆け抜けた。
おそらくそれはクルスであろう。
クルスは再びガーディアンズとの鬼ごっこを開始してショウは哀れみの表情を浮かべていた。
「あのままクルス君を走らせて大丈夫かな?」
「何故だ泉?クルスに問題はないと思うが…」
「だってクルス君、最後の男子リレーのメンバーなのに」
その言葉を聞いた瞬間、奏也と悠季が動き出してガーディアンズを討伐し始める。
二人のコンビネーションアタックにガーディアンズは次々と倒されていく。
『まだ…まだ…あの男がいるのに!!』
『アサヅキが目の前にいるのに何故届かないんだぁぁぁぁ!!』
『ポペッ…』
ガーディアンズの方々が悲鳴や叫びを上げるがとりあえず皆様は気にしないでいるようだ。
本当に気にしちゃ駄目だろう。
勇人先生がガーディアンズを足蹴りしたり投げ飛ばしたりしているのも気にしちゃ駄目だろう。
『おぉ!!どうやら選手が来たようですね~。虎鉄君はどう思いますか?』
『あいにく私は綾崎にしか興味あり………ゴバッ!!』
これまたお決まりのパターンだがご説明しよう。
虎鉄がハヤテの名前を言い終えようとした瞬間に虎鉄の顔面に巨大な砲丸が直撃して虎鉄はテーブルに沈んで、投げた犯人ハヤテはニコニコ笑いながらナギの横に立っていた。
恐るべし綾崎ハヤテ―――
クラステントから少し距離があるのに虎鉄の顔面に見事砲丸を当てるとは。
「さっきも沈めたんですがなかなかしぶといですね」
「ハ、ハヤテ?」
「大丈夫ですよお嬢様。あの変態は絶対に近づけさせないので」
虎鉄の事になると人が変わったように残酷になるハヤテ。
だが仕方がないだろう。
虎鉄は綾崎ハヤテ対してだけ変態になるのだから。