それぞれの夜
~八神家~
「あぁ!私のヨッ○ーが!!」
「ぬおっ!我のクッ○が!」
「えっと、これはこうして」
「喰らえ!」
八神家のリビングで某乱闘ゲームをしているヴィータとザフィーラとアインスとショウの四人。
今の状況はヴィータの使うキャラとザフィーラの使うキャラが星となっていた。
「まだまだ甘いなヴィータは」
「今のは私が油断してただけだ!次は…」
「ぬぁぁぁぁぁ~!」
ザフィーラの使うキャラがリインの使うキャラのハンマー無双によって再び星となってしまった。
「……飛びました」
「ナイスだアイン!」
「こ、これで良かったのか?」
ちなみに何故この四人がゲームをしているかを説明しよう。
まず放課後のショウを巡る戦いではやてが勝利して八神家にやって来たのだが、はやてが今日は一人で作ると言い出してその間に、ヴィータが最近買ったゲームをショウとしようと言ってきたのでついでにザフィーラとアインスもやる事にした。
「ザフィーラ!私の援護をしろって!」
「そうだ!……我は守護獣だぁぁぁーーーー!!」
ザフィーラの使うキャラがハンマーを持って暴れ出した瞬間、
「ご飯やで~」
はやてがエプロン姿で現れてゲームの電源を切って、ザフィーラの勇姿は二秒で終わってしまった。
ヴィータとリインフォースはさっさと席についたが、ザフィーラだけはテレビの前でいじけている。
「そういえばシグナムは?」
「シグナムなら外にいますよ」
シャマルの言葉にショウは視線を外に向けると確かにシグナムが木刀を持って目を閉じていた。
言ってみれば精神統一である。
「呼んでくるか」
椅子から立ち上がってショウは庭で精神統一をしているシグナムに近付いた。
そしてこの時――
シグナムの言葉によってショウは頭を抱えるとは今は気付くはずがなかった。
「ちなみにシャマルは作ってないよな?」
「酷いわヴィータちゃん!せっかく皆の為に肉じゃがを作ったのに!」
「おっ?急にアイスが食べたくなったな」
「アイスは食後やで~」
はやてでも止められなかったシャマルクッキング。
これにより八神家の食卓に至福と恐怖が並ぶのであった。
~クルス邸~
「今日は誰の当番だっけ?」
「トレインさんとクロードさんです」
学生服から私服に着替えてクルスはリビングに来るとジェノスとディアスとアシュトンとセリーヌがトランプをして、シャオとベルゼーは将棋をしてイヴとセフィリアはチェスをしてレナはテレビを見ていた。
ちなみにこの場にフェイトがいないのは管理局の仕事がまだ終わっていない為である。
そしてトランプ組はババ抜きをやっており残っているのはジェノスとアシュトンだった。
「さぁアシュトン。お前が選ぶのは天国か地獄の二つだぞ」
「ムムム~!」
どうやら負けた者には一週間全部屋掃除という罰があるようで二人とも目が血走っている。
「そういえばクルス、貴方宛に手紙がきてましたよ」
「僕宛に?」
シャオに言われてクルスはテーブルに置いてある赤い手紙を手にして読んだ瞬間目付きが変わった。
「これだ!」
「まっ、待て!」
アシュトンが引いたカードは天国を行きのカードで、ジェノスは地獄行きが決まり椅子から転げ落ちて真っ白になったまま固まった。
「クルス、誰からの手紙ですか?」
(この手紙はまさかアイツが?)
手紙を握り締めて一瞬で凍り付けにすると目付きが鋭いままクルスはシャオに答えた。
「少しだけ出掛けてくる。もし何かあった時はセフィリアに指示をもらって」
「クルス?」
いつもと違う雰囲気に皆の視線がクルスに向けられていた。
「一人で行くつもりなら僕も「いや…シャオにはここにいてもらう。付き添いは将輝と湊と勇の三人に連絡して来てもらうから大丈夫だ」…」
シャオの言葉を遮ってクルスは告げながら三人にすぐに連絡して皆に背を向けて歩き出す。
「クルス、もし私情なら行かせ「……セフィリア」…ッ!」
セフィリアが立ち塞がったが殺気を込めたクルスにセフィリアはたじろぎ、ベルゼーやトレインすら口を挟むことが出来ないままクルスはリビングから去っていった。
「クルスのあんな顔見たことない…」
イヴですら知らない顔。
まるで氷のように冷たく震えるような目付きと雰囲気。
今まで見たことがないクルスに皆が困惑していた。
~稟&純一Side~
「何の用だよ稟?」
「悪いな純一こんな夜に」
今稟と純一の二人はクルス邸の地下修行場で対峙していたのだ。
何故純一がここにいるのかと言うと、
「かったるいが音夢の料理から逃げれたから礼は言う」
「いや気にするな」
そう純一は先程音夢の料理をどうするか悩んでいた時に稟から電話がきて神速でクルス邸に来たのだ。
「それで、俺を呼んだ理由は何だ?」
「純一って夏休みにクルスと修行したんだよな?だから対人戦を教えてもらおうかと」
「かったるいがあれは修行じゃなく拷問だったぞ」
夏休みの事を思い出して純一は顔色が真っ青になっていた。
良い思い出はないようだ。
「俺は強くなりたいんだ………だから!」
「……分かったよ。かったるいがやるか」
純一は首に架けていたネックレスを起動させて長剣を肩に担いだ。
「いくぞ純一!」
稟は斧型デバイスを起動させると一気に駆け出した。
「かかってこい稟!」
純一も長剣を構えて足元に魔法陣を展開させて稟を待っていた。
「爆砕斬!」
「風華斬!」
二つの攻撃がぶつかりその場に巨大な爆音と爆発が発生した。
△▼△▼△▼
~ハヤテside~
「ムッ!今何かに取り残された気が!」
「いきなり何を言ってるんですかハヤテ君?」
ナギの看病中にハヤテのニュー○○プ的能力が発動して今自分が取り残されたと気付いたようだ。
「いえ、今僕だけ平和な気がして」
「先程までナギのお腹をさすって嬉しそうな顔を「していません!!」そうでしたか?」
顔を真っ赤にして否定するハヤテを見てマリアはニヤリと笑って再び口を開いた。
「帰ってきてそうそう…『お嬢様!お腹は大丈夫ですか!?辛いなら言ってください!僕がその痛みを消してみせますから!』とおっしゃってイヤらしい手付きで触ってた気がしますが」
「していません!それに少しマリアさんの言った事実と違う気がしますが」
「おかしいですね…」
キョトンとした顔で首を傾げるマリアにハヤテは溜め息を吐くと、
「ハヤテ~くっ…苦しい…」
「お嬢様!?今すぐ薬を!」
「だが断る!そんなものを飲むくらいなら古河パンのお煎餅パンを食べた方がましだ!」
薬と比べられる早苗のパン――
本人が知ったらおそらく泣きながら店を出るだろう――
「でしたらここに新作の『イカスミメロンパン』があります。食べ「るかぁぁぁぁーーーー!!」ガハッ!」
たとえ身体が苦しくともナギはハヤテにストレートを決めて拳を握り締めていた。
ハヤテはイカスミメロンパンを口に入れてしまい気絶中―――
「全くハヤテはどうしようもない奴だ!」
ナギは頬を膨らませハヤテを見ていたがマリアは他の古河パンを食べて虜になっていた。
△▼△▼△▼
~ショウside~
「シグナム、いつまで精神統一してんだよ?」
「ショウか。どうかしたか?」
庭にやって来たショウは精神統一をしているシグナムに話し掛けるとシグナムはショウの問いに答えているが目を閉じたままだった。
「はやてが待ってるぞ。さっさと中に「一ついいか?」んっ?」
精神統一をしていたシグナムが目を開けて視線をショウに向けるとショウもシグナムに視線を向けていた。
「ショウ、お前に一つ聞きたい事がある」
「何をだよ?」
「クルスの腕に刻まれたタトゥーをお前は知っているか?」
「……どこでそれを?」
「クルスが帰ってきて皆が集まった時だ。あの日微かに腕からタトゥーが見えたから」
「…成程な」
ショウはシグナムの言葉に頭を抱える。
今ここでタトゥーの事を教えるべきか?
しかしシグナムの性格を考えるとそれをやめた方がいい。
(身体全体にタトゥーがまわったら死ぬだなんて言える訳ないだろ)
「……俺もそれが気になるけどアイツ言わないからな」
ショウはそれだけ言って先に部屋に入っていった。
(今は言えないのだな。やはり本人に聞いてみるしか)
シグナムもショウに続くように入ったが頭の中ではタトゥーの事が気になっていた。
~クルスSide~
【管理局外第53世界・メルナ】
(ここか…?)
手紙に呼び出された場所に転移してクルスは辺りを見回す。
「うげぇ!ここ雨降ってんのかよ!?」
「傘…忘れた…」
「ここにあるぞ」
クルスの後ろにはマイペースな将輝と湊と勇の三人がいて三人は一つの傘に無理矢理入っていた。
「んで、ここに誰か来んのか?」
将輝の問いにクルスは小さく頷くとレンとユニゾンして前だけ見つめていた。
(何かいつもと雰囲気が違うな)
(嫌な予感がする…)
(俺の知るクルスではないな)
三人はいつもと違うクルスを見て嫌な胸騒ぎを感じていた。
まるで今のクルスはクルスじゃない気がして―――
すると―――
『マスター!』
「分かってる」
クルスはゆっくり顔を上げて前を見つめると、そこにはフードを被った男が一人立っていてクルスに気付くとフードを脱いだ。
「誰だありゃ?」
(アイツは…)
クルスは一瞬で自分の周りにシャインスフィアを配置して殺気を纏っていた。
「クルス…?」
(あのオッドアイは…)
クルスの脳裏に楽園大戦での悲劇がフラッシュバックしている。
そう目の前の男は――
「……レン殺傷設定に切り替え」
クルスとショウの幼馴染み柊佑奈を殺した男でもあり聖騎士団のNo.5の男―――
「アンリの頼みで来てみれば、お前はあの時弱かった男ではないか」
「…佑奈の仇だ。生きて帰れると思うなよ」
シャインスフィアを全て放ちクルスは男に駆け出した。
クルスの目付きはいつもの柔らかな目ではなく冷たく復讐者のような目だった。
そんなクルスを見てフェイトがどう思うかなど今のクルスには関係はなかった。
ただ目の前にいる男を必ず殺す。
今のクルスにはそれしか頭にはなかったのだから。
「あぁ!私のヨッ○ーが!!」
「ぬおっ!我のクッ○が!」
「えっと、これはこうして」
「喰らえ!」
八神家のリビングで某乱闘ゲームをしているヴィータとザフィーラとアインスとショウの四人。
今の状況はヴィータの使うキャラとザフィーラの使うキャラが星となっていた。
「まだまだ甘いなヴィータは」
「今のは私が油断してただけだ!次は…」
「ぬぁぁぁぁぁ~!」
ザフィーラの使うキャラがリインの使うキャラのハンマー無双によって再び星となってしまった。
「……飛びました」
「ナイスだアイン!」
「こ、これで良かったのか?」
ちなみに何故この四人がゲームをしているかを説明しよう。
まず放課後のショウを巡る戦いではやてが勝利して八神家にやって来たのだが、はやてが今日は一人で作ると言い出してその間に、ヴィータが最近買ったゲームをショウとしようと言ってきたのでついでにザフィーラとアインスもやる事にした。
「ザフィーラ!私の援護をしろって!」
「そうだ!……我は守護獣だぁぁぁーーーー!!」
ザフィーラの使うキャラがハンマーを持って暴れ出した瞬間、
「ご飯やで~」
はやてがエプロン姿で現れてゲームの電源を切って、ザフィーラの勇姿は二秒で終わってしまった。
ヴィータとリインフォースはさっさと席についたが、ザフィーラだけはテレビの前でいじけている。
「そういえばシグナムは?」
「シグナムなら外にいますよ」
シャマルの言葉にショウは視線を外に向けると確かにシグナムが木刀を持って目を閉じていた。
言ってみれば精神統一である。
「呼んでくるか」
椅子から立ち上がってショウは庭で精神統一をしているシグナムに近付いた。
そしてこの時――
シグナムの言葉によってショウは頭を抱えるとは今は気付くはずがなかった。
「ちなみにシャマルは作ってないよな?」
「酷いわヴィータちゃん!せっかく皆の為に肉じゃがを作ったのに!」
「おっ?急にアイスが食べたくなったな」
「アイスは食後やで~」
はやてでも止められなかったシャマルクッキング。
これにより八神家の食卓に至福と恐怖が並ぶのであった。
~クルス邸~
「今日は誰の当番だっけ?」
「トレインさんとクロードさんです」
学生服から私服に着替えてクルスはリビングに来るとジェノスとディアスとアシュトンとセリーヌがトランプをして、シャオとベルゼーは将棋をしてイヴとセフィリアはチェスをしてレナはテレビを見ていた。
ちなみにこの場にフェイトがいないのは管理局の仕事がまだ終わっていない為である。
そしてトランプ組はババ抜きをやっており残っているのはジェノスとアシュトンだった。
「さぁアシュトン。お前が選ぶのは天国か地獄の二つだぞ」
「ムムム~!」
どうやら負けた者には一週間全部屋掃除という罰があるようで二人とも目が血走っている。
「そういえばクルス、貴方宛に手紙がきてましたよ」
「僕宛に?」
シャオに言われてクルスはテーブルに置いてある赤い手紙を手にして読んだ瞬間目付きが変わった。
「これだ!」
「まっ、待て!」
アシュトンが引いたカードは天国を行きのカードで、ジェノスは地獄行きが決まり椅子から転げ落ちて真っ白になったまま固まった。
「クルス、誰からの手紙ですか?」
(この手紙はまさかアイツが?)
手紙を握り締めて一瞬で凍り付けにすると目付きが鋭いままクルスはシャオに答えた。
「少しだけ出掛けてくる。もし何かあった時はセフィリアに指示をもらって」
「クルス?」
いつもと違う雰囲気に皆の視線がクルスに向けられていた。
「一人で行くつもりなら僕も「いや…シャオにはここにいてもらう。付き添いは将輝と湊と勇の三人に連絡して来てもらうから大丈夫だ」…」
シャオの言葉を遮ってクルスは告げながら三人にすぐに連絡して皆に背を向けて歩き出す。
「クルス、もし私情なら行かせ「……セフィリア」…ッ!」
セフィリアが立ち塞がったが殺気を込めたクルスにセフィリアはたじろぎ、ベルゼーやトレインすら口を挟むことが出来ないままクルスはリビングから去っていった。
「クルスのあんな顔見たことない…」
イヴですら知らない顔。
まるで氷のように冷たく震えるような目付きと雰囲気。
今まで見たことがないクルスに皆が困惑していた。
~稟&純一Side~
「何の用だよ稟?」
「悪いな純一こんな夜に」
今稟と純一の二人はクルス邸の地下修行場で対峙していたのだ。
何故純一がここにいるのかと言うと、
「かったるいが音夢の料理から逃げれたから礼は言う」
「いや気にするな」
そう純一は先程音夢の料理をどうするか悩んでいた時に稟から電話がきて神速でクルス邸に来たのだ。
「それで、俺を呼んだ理由は何だ?」
「純一って夏休みにクルスと修行したんだよな?だから対人戦を教えてもらおうかと」
「かったるいがあれは修行じゃなく拷問だったぞ」
夏休みの事を思い出して純一は顔色が真っ青になっていた。
良い思い出はないようだ。
「俺は強くなりたいんだ………だから!」
「……分かったよ。かったるいがやるか」
純一は首に架けていたネックレスを起動させて長剣を肩に担いだ。
「いくぞ純一!」
稟は斧型デバイスを起動させると一気に駆け出した。
「かかってこい稟!」
純一も長剣を構えて足元に魔法陣を展開させて稟を待っていた。
「爆砕斬!」
「風華斬!」
二つの攻撃がぶつかりその場に巨大な爆音と爆発が発生した。
△▼△▼△▼
~ハヤテside~
「ムッ!今何かに取り残された気が!」
「いきなり何を言ってるんですかハヤテ君?」
ナギの看病中にハヤテのニュー○○プ的能力が発動して今自分が取り残されたと気付いたようだ。
「いえ、今僕だけ平和な気がして」
「先程までナギのお腹をさすって嬉しそうな顔を「していません!!」そうでしたか?」
顔を真っ赤にして否定するハヤテを見てマリアはニヤリと笑って再び口を開いた。
「帰ってきてそうそう…『お嬢様!お腹は大丈夫ですか!?辛いなら言ってください!僕がその痛みを消してみせますから!』とおっしゃってイヤらしい手付きで触ってた気がしますが」
「していません!それに少しマリアさんの言った事実と違う気がしますが」
「おかしいですね…」
キョトンとした顔で首を傾げるマリアにハヤテは溜め息を吐くと、
「ハヤテ~くっ…苦しい…」
「お嬢様!?今すぐ薬を!」
「だが断る!そんなものを飲むくらいなら古河パンのお煎餅パンを食べた方がましだ!」
薬と比べられる早苗のパン――
本人が知ったらおそらく泣きながら店を出るだろう――
「でしたらここに新作の『イカスミメロンパン』があります。食べ「るかぁぁぁぁーーーー!!」ガハッ!」
たとえ身体が苦しくともナギはハヤテにストレートを決めて拳を握り締めていた。
ハヤテはイカスミメロンパンを口に入れてしまい気絶中―――
「全くハヤテはどうしようもない奴だ!」
ナギは頬を膨らませハヤテを見ていたがマリアは他の古河パンを食べて虜になっていた。
△▼△▼△▼
~ショウside~
「シグナム、いつまで精神統一してんだよ?」
「ショウか。どうかしたか?」
庭にやって来たショウは精神統一をしているシグナムに話し掛けるとシグナムはショウの問いに答えているが目を閉じたままだった。
「はやてが待ってるぞ。さっさと中に「一ついいか?」んっ?」
精神統一をしていたシグナムが目を開けて視線をショウに向けるとショウもシグナムに視線を向けていた。
「ショウ、お前に一つ聞きたい事がある」
「何をだよ?」
「クルスの腕に刻まれたタトゥーをお前は知っているか?」
「……どこでそれを?」
「クルスが帰ってきて皆が集まった時だ。あの日微かに腕からタトゥーが見えたから」
「…成程な」
ショウはシグナムの言葉に頭を抱える。
今ここでタトゥーの事を教えるべきか?
しかしシグナムの性格を考えるとそれをやめた方がいい。
(身体全体にタトゥーがまわったら死ぬだなんて言える訳ないだろ)
「……俺もそれが気になるけどアイツ言わないからな」
ショウはそれだけ言って先に部屋に入っていった。
(今は言えないのだな。やはり本人に聞いてみるしか)
シグナムもショウに続くように入ったが頭の中ではタトゥーの事が気になっていた。
~クルスSide~
【管理局外第53世界・メルナ】
(ここか…?)
手紙に呼び出された場所に転移してクルスは辺りを見回す。
「うげぇ!ここ雨降ってんのかよ!?」
「傘…忘れた…」
「ここにあるぞ」
クルスの後ろにはマイペースな将輝と湊と勇の三人がいて三人は一つの傘に無理矢理入っていた。
「んで、ここに誰か来んのか?」
将輝の問いにクルスは小さく頷くとレンとユニゾンして前だけ見つめていた。
(何かいつもと雰囲気が違うな)
(嫌な予感がする…)
(俺の知るクルスではないな)
三人はいつもと違うクルスを見て嫌な胸騒ぎを感じていた。
まるで今のクルスはクルスじゃない気がして―――
すると―――
『マスター!』
「分かってる」
クルスはゆっくり顔を上げて前を見つめると、そこにはフードを被った男が一人立っていてクルスに気付くとフードを脱いだ。
「誰だありゃ?」
(アイツは…)
クルスは一瞬で自分の周りにシャインスフィアを配置して殺気を纏っていた。
「クルス…?」
(あのオッドアイは…)
クルスの脳裏に楽園大戦での悲劇がフラッシュバックしている。
そう目の前の男は――
「……レン殺傷設定に切り替え」
クルスとショウの幼馴染み柊佑奈を殺した男でもあり聖騎士団のNo.5の男―――
「アンリの頼みで来てみれば、お前はあの時弱かった男ではないか」
「…佑奈の仇だ。生きて帰れると思うなよ」
シャインスフィアを全て放ちクルスは男に駆け出した。
クルスの目付きはいつもの柔らかな目ではなく冷たく復讐者のような目だった。
そんなクルスを見てフェイトがどう思うかなど今のクルスには関係はなかった。
ただ目の前にいる男を必ず殺す。
今のクルスにはそれしか頭にはなかったのだから。