修行(後編)
~修羅の間~
稟・ハヤテside
稟とハヤテの覚醒から半年が過ぎて、二人は前と比べて逞しくなっていた。
それもそのはずだ。
何せ二人は四人のスパルタ修行を受け続けていたからだ。
さらに――
「ほらっ!」
将輝の持つバルベリウスの刃が稟の頬を切り裂く瞬間に、後ろに下がって己の持つ斧を振り上げて刃とぶつけたのだ。
「やるな稟(今度は少し本気で殺るか)」
「ハァハァハァ…死ぬわ!しかも何で殺気が増してんだよ!?」
さらにこちらでは――
「ハヤテよく狙えよ」
「はいっ!」
悠季が指を鳴らすと地面から小さなゴーレムが複数出現してハヤテに向かって突っ込んできた。
「いきますよアルフィー!」
『マスター…後でご褒美をくださいね』
己の持つ槍型のデバイスの刃に風を纏わせてハヤテは、上空に飛び上がり自分の周りに槍の竜巻を出現させた。
「ウィング・ランス・サイクロン!」
ハヤテの声と同時に竜巻がゴーレムに直撃してバラバラになっていくが、バラバラになった岩が合体して巨大なゴーレムになってハヤテはゴーレムの拳の下敷きになってしまった。
「油断しているからだ」
下敷きになったハヤテを見ながら悠季は溜め息を吐いていた。
「どうだ将輝、稟の方は少しは戦えるようになったか?」
「まだ戦場に出せないな。今出たら確実に的になる」
「ハヤテも同じようなもんだな。しかもハヤテに関しては稟と違って魔力があってもスキルの不幸のせいで予想外の事が起きちまう」
「……不幸でか?」
「あぁ…」
悠季はハヤテ相手に様々な敵をぶつけていた。
先程のゴーレムもそうなのだが、ガーゴイルやキマイラやゾンビを出したのに予想外の動きをしていた。
ガーゴイルは石化の魔法を放ったり、キマイラは暴走するし、ゾンビに至っては超高速ダッシュでハヤテを追いかけていた。
あのハヤテの不幸スキルはあんな事を引き起こすのか?
「……って何笑ってんだよ?」
説明していた悠季に将輝は面白そうに笑っていた。
まるで新しいオモチャを見つけたような子供みたいに笑う将輝。
「いやちょっと楽しみが増えてな」
誰かを強くするってのも悪くないなと将輝は嬉しそうに笑うのだった。
~修羅の間~
ショウside――
ユリナの地獄とも言える修行でショウ達はボロボロになって地に座り込んでいた。
「よくここまで耐えたわね。正直びっくりよ」
柔らかな笑みを浮かべているユリナだが、頬や拳に付着している血のせいでショウ達は顔色が真っ青になっていた。
「クロノやユーノはまだまだ足りないけどなのはちゃんやフェイトちゃん達は合格ね」
「本当ですか!?」
ユリナの言葉にクロノとユーノが愕然と肩を落とすが、なのはやフェイト達は驚きの表情でユリナを見ていた。
「本当よ。まぁ…他にはやてちゃんの遠距離魔法に守護騎士達のステータスも上がったはずだから問題はないけど」
そう言いながらユリナは呆れたような表情でショウを見ながら口を開いた。
「ショウ、おそらくアナタが一番成長したわ。私が手加減したとはいえダメージを与えたもの。アナタの力はもうあの子を越えているわ」
「マジですか」
「マジよ」
ショウは実感がないのか不思議そうな表情をしていた。
「最後にフェイトちゃん、ちょっといいかしら?」
「なんでしょうか?」
ユリナはフェイトを立ち上がらせて皆から離れた場所に連れていって話を始めた。
「それよりショウ君。一番成長したのに納得いってないの?」
なのはの問いにショウは小さく頷いて口を開いた。
「何だか実感がなくてな。リンカーコアを修復してから身体が楽になったが強くなった気がしないんだ」
その言葉になのはは何かを閃いてはやて達に話すと、はやて達も納得したような表情でショウを見て立ち上がった。
「なぁ、ショウ君。私らと勝負せぇへんか?」
「はっ?」
はやての言葉にショウは間抜けな声を出したがはやては話し始める。
「私もリインフォースとのユニゾンで試したい魔法があるし、なのはちゃんやシシグナム達もショウ君と同じで実感がないみたいやしどうやろ?」
はやての言い分も分かるショウはしばらく考えて口を開いた。
「分かったよ。ただ試すなら俺のチームにクロノとユーノとザフィーラを入れるぞ。………壁がほしいからな」
最後にボソッと呟いたショウにクロノ達が反応して反論しようとしたが、
「それぐらいなら大丈夫やで。ショウ君ありがとな」
はやては聞く耳もたずでショウに微笑みながら答える。
「ユーノ、俺やザフィーラはいつからこんなキャラになってしまったんだ?」
「クロノ、それは気にしちゃ駄目だよ」
クロノとユーノは肩を落としながら意気投合してザフィーラはそれを見ながら溜め息を吐いていた。
「じゃあフェイトが戻ってきたら始めるか」
『オォー!!』
しばらくして頬を染めたフェイトと満足そうに笑みを浮かべたユリナが戻ってきて、なのはやはやてがフェイトに何があったのかを聞いてもフェイトはただ顔を赤くして嬉しそうに笑っていたのだった。
△▼△▼△▼
~ジョーカーズ本部~
ショウ達が模擬戦をしている頃――
「ミヤビからの連絡は?」
黒髪に灰色のメッシュの髪をした男が横にいる水色のショートヘアーの女性に尋ねた。
「まだ連絡のれもないね!だけど剣が一緒だから大丈夫だよ!」
「剣だから危ないんだよ(アイツは気分屋だからな)」
青年は溜め息を吐いて女性に言うとその青年の肩をポンッと誰かが叩いた。
「相変わらず心配症やな悠太は。ミヤビなら大丈夫やって。仮に剣がサボってもミヤビなら殴ってでもやらせるやろ」
青年の肩を叩いたのは恭介だった。
相変わらずニコニコ笑っているが仲間内で恭介の本性を知っているのは数少ない。
そして恭介の後ろには赤いリボンをしたアリシアもいる。
「恭介、土見と綾崎の暗殺と初音島の件はどうした?こんな所で油売ってていいのか?」
「あぁ暗殺の件ならケルベラに任せたで。あそこにはケルベラの片目を奪った男がおったからな。それに……(あの方の命令やしな)」
(恭介、お前は一体何を考えているんだ?)
ニヤリと笑った恭介に悠太は目を細めるがそれ以上は何も言わなかった。
その後ろでアリシアがジッと恭介を見つめながらある事をずっと考えていた。
(あの人の計画が着々と進行している。フェイト、待っててね。必ずお姉ちゃんが迎えにいくからね)
~修羅の間~
稟・ハヤテside――
「ゴーレムとガーゴイルよあのダメンズをやれ!」
将輝の声と同時にゴーレムとガーゴイルが動き出した。
ゴーレムは拳を振り上げて稟目掛けて降り下ろしている。
「こんなゴーレムより将輝の方が怖いよな…」
稟は斧を巨大化させて拳を受け止めるとすぐに飛び上がって斧を降り下ろしてゴーレムを真っ二つにした。
ガーゴイルと戦っていたハヤテはガーゴイルの動きを見極めながら避けていた。
(悠季君と比べて動きが単調すぎる。これなら…!)
ハヤテは槍を構えてガーゴイルが突っ込んできた瞬間、
「ウィングランス」
カマイタチのような刃が複数ガーゴイルに触れた瞬間ガーゴイルはバラバラになったがハヤテはそのまま欠片を吹き飛ばして、二人の成長した戦いぶりを見ていた四人は笑みを浮かべていた。
「シリア、凄いよね二人とも」
「そうね。あんな巨大なゴーレムやガーゴイルを簡単に倒すなんて驚いたわ」
コレットとシリアは逞しくなった二人を見て正直な感想を言っていたが悠季と将輝はまだ納得がいっていなかった。
「あの二人スタミナがあまりないよな?」
「だな…。ゴーレムにしてもガーゴイルにしてもジョーカーズの魔獣と同じぐらいだからな」
二人は何やら新たな修行方法考えているようで稟とハヤテは背筋に寒気がきたそうだ。
「とりあえずお疲れ様。将輝、例の物を二人に」
「あいよ!」
将輝は二人の元に来ると銀色のブレスレットを二つ取り出した。
「将輝これは?」
「何かのアイテムですか?」
稟とハヤテはブレスレットを受け取って手につけるが何も起きなかった。
「あれ?」
「何も起きませんが?」
二人は首を傾げて将輝を見ると将輝は真面目な顔をして口を開いた。
「当たり前だろ。だって………飾りだもん」
将輝の言葉に二人はズルッと滑ってしまって地面に頭をぶつけてその衝撃で悶え苦しみ出した。
「将輝~!駄目だよ二人とも怪我しているのに」
「コレット、俺は何もしていない。二人が勝手に滑っただけだ」
二人の頭にたんこぶができてしまったが、悠季と将輝は扉を開けて修羅の間から出ていく準備する。
すると―――
「あっ…!しまったぁぁぁぁ~!」
出ていく前に稟がある事を思い出して口を開いた。
「どうしました稟君?」
顔色が青くなっている稟にハヤテがおそるおそる聞くと、
「夏休みの課題やってねぇぇぇ~!」
「………あぁぁぁぁぁぁぁ~!」
二人の叫び声が修羅の間内に響き渡った。
△▼△▼△▼
~ホテル上空~
ローブを纏った男がジッとホテルを見つめていた。
「感じるぜヤツの魔力を。右目が疼くぜ」
男の右目から血の涙が流れるほどの憎しみの感情が露になっている。
「出てこいよ!俺の右目を奪った男!リン・シャオリー!!」
魔力と殺気を放出してケルベラは憎しみの相手シャオの名を叫んでいた。
次回予告
クロード
「新たに現れたジョーカーズの一人」
ジェノス
「ヤツは土見と綾崎ではなくシャオを狙っている」
アシュトン
「決着をつける為にシャオが動き出した」
シャオリー
「次回S.H.D.C.――
第11話――
【憎しみの果てに】」
稟・ハヤテside
稟とハヤテの覚醒から半年が過ぎて、二人は前と比べて逞しくなっていた。
それもそのはずだ。
何せ二人は四人のスパルタ修行を受け続けていたからだ。
さらに――
「ほらっ!」
将輝の持つバルベリウスの刃が稟の頬を切り裂く瞬間に、後ろに下がって己の持つ斧を振り上げて刃とぶつけたのだ。
「やるな稟(今度は少し本気で殺るか)」
「ハァハァハァ…死ぬわ!しかも何で殺気が増してんだよ!?」
さらにこちらでは――
「ハヤテよく狙えよ」
「はいっ!」
悠季が指を鳴らすと地面から小さなゴーレムが複数出現してハヤテに向かって突っ込んできた。
「いきますよアルフィー!」
『マスター…後でご褒美をくださいね』
己の持つ槍型のデバイスの刃に風を纏わせてハヤテは、上空に飛び上がり自分の周りに槍の竜巻を出現させた。
「ウィング・ランス・サイクロン!」
ハヤテの声と同時に竜巻がゴーレムに直撃してバラバラになっていくが、バラバラになった岩が合体して巨大なゴーレムになってハヤテはゴーレムの拳の下敷きになってしまった。
「油断しているからだ」
下敷きになったハヤテを見ながら悠季は溜め息を吐いていた。
「どうだ将輝、稟の方は少しは戦えるようになったか?」
「まだ戦場に出せないな。今出たら確実に的になる」
「ハヤテも同じようなもんだな。しかもハヤテに関しては稟と違って魔力があってもスキルの不幸のせいで予想外の事が起きちまう」
「……不幸でか?」
「あぁ…」
悠季はハヤテ相手に様々な敵をぶつけていた。
先程のゴーレムもそうなのだが、ガーゴイルやキマイラやゾンビを出したのに予想外の動きをしていた。
ガーゴイルは石化の魔法を放ったり、キマイラは暴走するし、ゾンビに至っては超高速ダッシュでハヤテを追いかけていた。
あのハヤテの不幸スキルはあんな事を引き起こすのか?
「……って何笑ってんだよ?」
説明していた悠季に将輝は面白そうに笑っていた。
まるで新しいオモチャを見つけたような子供みたいに笑う将輝。
「いやちょっと楽しみが増えてな」
誰かを強くするってのも悪くないなと将輝は嬉しそうに笑うのだった。
~修羅の間~
ショウside――
ユリナの地獄とも言える修行でショウ達はボロボロになって地に座り込んでいた。
「よくここまで耐えたわね。正直びっくりよ」
柔らかな笑みを浮かべているユリナだが、頬や拳に付着している血のせいでショウ達は顔色が真っ青になっていた。
「クロノやユーノはまだまだ足りないけどなのはちゃんやフェイトちゃん達は合格ね」
「本当ですか!?」
ユリナの言葉にクロノとユーノが愕然と肩を落とすが、なのはやフェイト達は驚きの表情でユリナを見ていた。
「本当よ。まぁ…他にはやてちゃんの遠距離魔法に守護騎士達のステータスも上がったはずだから問題はないけど」
そう言いながらユリナは呆れたような表情でショウを見ながら口を開いた。
「ショウ、おそらくアナタが一番成長したわ。私が手加減したとはいえダメージを与えたもの。アナタの力はもうあの子を越えているわ」
「マジですか」
「マジよ」
ショウは実感がないのか不思議そうな表情をしていた。
「最後にフェイトちゃん、ちょっといいかしら?」
「なんでしょうか?」
ユリナはフェイトを立ち上がらせて皆から離れた場所に連れていって話を始めた。
「それよりショウ君。一番成長したのに納得いってないの?」
なのはの問いにショウは小さく頷いて口を開いた。
「何だか実感がなくてな。リンカーコアを修復してから身体が楽になったが強くなった気がしないんだ」
その言葉になのはは何かを閃いてはやて達に話すと、はやて達も納得したような表情でショウを見て立ち上がった。
「なぁ、ショウ君。私らと勝負せぇへんか?」
「はっ?」
はやての言葉にショウは間抜けな声を出したがはやては話し始める。
「私もリインフォースとのユニゾンで試したい魔法があるし、なのはちゃんやシシグナム達もショウ君と同じで実感がないみたいやしどうやろ?」
はやての言い分も分かるショウはしばらく考えて口を開いた。
「分かったよ。ただ試すなら俺のチームにクロノとユーノとザフィーラを入れるぞ。………壁がほしいからな」
最後にボソッと呟いたショウにクロノ達が反応して反論しようとしたが、
「それぐらいなら大丈夫やで。ショウ君ありがとな」
はやては聞く耳もたずでショウに微笑みながら答える。
「ユーノ、俺やザフィーラはいつからこんなキャラになってしまったんだ?」
「クロノ、それは気にしちゃ駄目だよ」
クロノとユーノは肩を落としながら意気投合してザフィーラはそれを見ながら溜め息を吐いていた。
「じゃあフェイトが戻ってきたら始めるか」
『オォー!!』
しばらくして頬を染めたフェイトと満足そうに笑みを浮かべたユリナが戻ってきて、なのはやはやてがフェイトに何があったのかを聞いてもフェイトはただ顔を赤くして嬉しそうに笑っていたのだった。
△▼△▼△▼
~ジョーカーズ本部~
ショウ達が模擬戦をしている頃――
「ミヤビからの連絡は?」
黒髪に灰色のメッシュの髪をした男が横にいる水色のショートヘアーの女性に尋ねた。
「まだ連絡のれもないね!だけど剣が一緒だから大丈夫だよ!」
「剣だから危ないんだよ(アイツは気分屋だからな)」
青年は溜め息を吐いて女性に言うとその青年の肩をポンッと誰かが叩いた。
「相変わらず心配症やな悠太は。ミヤビなら大丈夫やって。仮に剣がサボってもミヤビなら殴ってでもやらせるやろ」
青年の肩を叩いたのは恭介だった。
相変わらずニコニコ笑っているが仲間内で恭介の本性を知っているのは数少ない。
そして恭介の後ろには赤いリボンをしたアリシアもいる。
「恭介、土見と綾崎の暗殺と初音島の件はどうした?こんな所で油売ってていいのか?」
「あぁ暗殺の件ならケルベラに任せたで。あそこにはケルベラの片目を奪った男がおったからな。それに……(あの方の命令やしな)」
(恭介、お前は一体何を考えているんだ?)
ニヤリと笑った恭介に悠太は目を細めるがそれ以上は何も言わなかった。
その後ろでアリシアがジッと恭介を見つめながらある事をずっと考えていた。
(あの人の計画が着々と進行している。フェイト、待っててね。必ずお姉ちゃんが迎えにいくからね)
~修羅の間~
稟・ハヤテside――
「ゴーレムとガーゴイルよあのダメンズをやれ!」
将輝の声と同時にゴーレムとガーゴイルが動き出した。
ゴーレムは拳を振り上げて稟目掛けて降り下ろしている。
「こんなゴーレムより将輝の方が怖いよな…」
稟は斧を巨大化させて拳を受け止めるとすぐに飛び上がって斧を降り下ろしてゴーレムを真っ二つにした。
ガーゴイルと戦っていたハヤテはガーゴイルの動きを見極めながら避けていた。
(悠季君と比べて動きが単調すぎる。これなら…!)
ハヤテは槍を構えてガーゴイルが突っ込んできた瞬間、
「ウィングランス」
カマイタチのような刃が複数ガーゴイルに触れた瞬間ガーゴイルはバラバラになったがハヤテはそのまま欠片を吹き飛ばして、二人の成長した戦いぶりを見ていた四人は笑みを浮かべていた。
「シリア、凄いよね二人とも」
「そうね。あんな巨大なゴーレムやガーゴイルを簡単に倒すなんて驚いたわ」
コレットとシリアは逞しくなった二人を見て正直な感想を言っていたが悠季と将輝はまだ納得がいっていなかった。
「あの二人スタミナがあまりないよな?」
「だな…。ゴーレムにしてもガーゴイルにしてもジョーカーズの魔獣と同じぐらいだからな」
二人は何やら新たな修行方法考えているようで稟とハヤテは背筋に寒気がきたそうだ。
「とりあえずお疲れ様。将輝、例の物を二人に」
「あいよ!」
将輝は二人の元に来ると銀色のブレスレットを二つ取り出した。
「将輝これは?」
「何かのアイテムですか?」
稟とハヤテはブレスレットを受け取って手につけるが何も起きなかった。
「あれ?」
「何も起きませんが?」
二人は首を傾げて将輝を見ると将輝は真面目な顔をして口を開いた。
「当たり前だろ。だって………飾りだもん」
将輝の言葉に二人はズルッと滑ってしまって地面に頭をぶつけてその衝撃で悶え苦しみ出した。
「将輝~!駄目だよ二人とも怪我しているのに」
「コレット、俺は何もしていない。二人が勝手に滑っただけだ」
二人の頭にたんこぶができてしまったが、悠季と将輝は扉を開けて修羅の間から出ていく準備する。
すると―――
「あっ…!しまったぁぁぁぁ~!」
出ていく前に稟がある事を思い出して口を開いた。
「どうしました稟君?」
顔色が青くなっている稟にハヤテがおそるおそる聞くと、
「夏休みの課題やってねぇぇぇ~!」
「………あぁぁぁぁぁぁぁ~!」
二人の叫び声が修羅の間内に響き渡った。
△▼△▼△▼
~ホテル上空~
ローブを纏った男がジッとホテルを見つめていた。
「感じるぜヤツの魔力を。右目が疼くぜ」
男の右目から血の涙が流れるほどの憎しみの感情が露になっている。
「出てこいよ!俺の右目を奪った男!リン・シャオリー!!」
魔力と殺気を放出してケルベラは憎しみの相手シャオの名を叫んでいた。
次回予告
クロード
「新たに現れたジョーカーズの一人」
ジェノス
「ヤツは土見と綾崎ではなくシャオを狙っている」
アシュトン
「決着をつける為にシャオが動き出した」
シャオリー
「次回S.H.D.C.――
第11話――
【憎しみの果てに】」