修行(前編)
~修羅の間~
稟・ハヤテside
長き読書も終わって二人はやつれており、眠たそうに欠伸までしている。
それを見たシリアとコレットが、
「雷光弾」
「ジャッジメント」
「「ぎゃぁぁぁぁぁ~!!」」
雷の弾丸と光の閃光を放つとその攻撃は見事に稟とハヤテに直撃して、そのお陰で二人は目が覚めたようで欠伸は二度としなかった。
「さてと、稟とハヤテの修行を本格的にするとして最初は属性を知る必要がある。だから二人とも自分の属性が何だと思うか言ってみろ」
悠季の言葉に二人は考え出ていると、腕を組んで考えていた稟がハヤテより先に答えた。
「確信はないが俺は土とか地とか重のどれかだと思う」
「僕は風だと思います。執事の必殺技が疾風のごとくなので」
「成る程な。まぁ当たってると言えば当たっているが多分まだあると思うぞ」
将輝が笑みを浮かべて言ったがシリアが一言、
「まぁ、属性が分かっても魔力が犬以下と猿以下じゃ意味ないと思うけど」
「「ぐはっ…!!」」
シリアの何気ない言葉に二人は胸を貫かれたように倒れた。
二人は目の前が再び闇になってしまったが、
「魔力が無いお前達の為に元帥殿に頼んで魔力を上げてもらう事にしたんだよ」
「ちなみに元帥には俺が連絡したからすぐに来るはずだから」
将輝が普通に言っているが悠季はある疑問が浮かんだ。
「いつ連絡した?」
「少し前だよ。シリアとコレットが雷光弾とジャッジメント放っていた時に」
「いつの間に…。俺にも気付かれずに連絡するなんて…」
「まぁ、俺だからな」
ニカッと笑って言った将輝に悠季はつられるように笑った。
「お前は本当に面白い奴だな将輝」
「そうか?俺のいた世界にも面白い奴はいるぜ。攻略王ってアダ名で」
「……何だそのギャルゲーのようなアダ名は」
「いや~その例えはある意味正解かもな」
将輝は楽し気に口笛を吹きながらシルヴァラントにいる親友の顔を思い浮かべる。
アイツはいろんな奴に好かれてたし間違っちゃいないんだよな。
結局最終決戦まで答えが出てなかったし今もまだ世界を巡りながら悩んでるんだろうなロイドは。
「お待たせ~!」
しばらくしてユリナがニッコリ笑いながら降りてきたのだがコレット以外のメンバーは固まってしまう。
何故なら――
「ユリナさん、その赤いの何ですか?」
「これかしら?これは返り………じゃなくてケチャップよ」
「そうなんですか~?」
コレットは気付いていないのか首を傾げていたが他の者はすぐに気付いていた。
(返り血って何の修行してんだよ?)
(ショウ君達は大丈夫なんでしょうか?)
一体どんな修行をしているのか気になるがこの話しは誰も蒸し返す気にはならなかったようだ。
「それで二人の魔力を上げたいのよね?」
「はい。それと戦える武器も」
「デバイスは何とかなるけど魔力向上のアイテムなんてあったかしら?」
ユリナは記憶を思い返しながら黙り込んでいたが、すぐに思い出したのかそういえばと話していく。
「一つだけあったわね。危険だけど手っ取り早方法が…」
「何ですか?」
稟の言葉にユリナは目を閉じてポケットから何かを取り出して皆に見えるように手のひらに置いた。
「それは何ですか?」
「これかしら?これはマジックストーンよ」
(お嬢様、どうやら僕はM○Rの世界に来てしまったようです)
ハヤテは遠い目をしてユリナの手にあるマジックストーン見ていたが、
「ハヤテ君、これはM○Rの世界とはまた違った石だからね」
(心を読まないでください)
ユリナの言葉ですぐに意識を戻す事ができた。
「とりあえずアナタ達二人の場合三つかしらね」
ユリナは稟とハヤテにマジックストーンを三つ渡していく。
「それでこれをどうしたら?」
「飲みなさい」
「「へっ…?」」
「だ・か・ら・飲みなさい!」
ユリナの答えに空気が凍り稟とハヤテの二人は何でだよとでも言いたそうな顔をしている。
「…あっ!砕いちゃダメよ!砕いたら意味ないから」
(問題はそこじゃないだろ!)
(固いですよ絶対に!)
飲み込んでも味はしないだろうし、下手したら窒息死してしまうのにユリナはニコニコ笑っていた。
未だに固まっている二人を見て将輝が呆れたように口を開いた。
「……お前ら大切な人を守りたいとか言ってたけどこの程度で弱音吐いてどうすんだよ」
「だったら将輝は飲めるのかよ?」
稟の問いに将輝はいつになく真剣に答えた。
「誰かを守りたいって気持ちがあるなら俺は何でもやる覚悟はあるぜ」
当然のように答える将輝に二人は困惑してしまう。
出会ってから笑ってばかりの男が本気で答えた。
それぐらい将輝にも譲れないものがあるのだと。
「この先戦いは必ず起こるわ。その時に戦えず##NAME1##や##NAME2##達に任せるの?」
ユリナはそう言って二人を見つめるが表情は少しだけ悲しげだった。
「「俺は(僕は)…」」
二人は目を閉じて昨日の出来事を思い出していた。
あの時自分達はただ助けられただけで皆に怖い思いをさせてしまった。
もう――二度とそんな思いはしてほしくない。
だから―――
「「強くなるんだ~!!」」
二人は一気にマジックストーンを飲み込んだ。
マジックストーンが身体に入ったことで二人の身体から魔力が溢れてきた。
「ランクとしたらAAA+ぐらいか?」
「いや、AA+ぐらいだな」
先程よりも魔力が上がっており悠季と将輝は改めてマジックストーンの凄さに驚いていた。
「それじゃあ次はデバイスなんだけで二人の戦い方を知らないから」
ユリナはチラリと悠季と将輝に視線を向けた。
二人はそれに気付いて頷くと武器を持って稟とハヤテの前に立った。
「稟、ひとまず自分が何を使えるか試してみろ」
「あぁ…」
「ハヤテもだぞ。無理に考えず自然の流れに身を任せるんだ」
「はいっ!」
悠季と将季が構えると稟とハヤテも武術の構えをする。
静寂の空気で四人は見つめ合っていた。
そして―――
「くしゅん…」
コレットが可愛らしいくしゃみをした瞬間悠季と将輝が動いた。
「フェンリルロアー」
「アクア・ボルト」
悠季と将輝の魔法攻撃が放たれて稟とハヤテに迫ってくる。
二人は身体に力を込めてただ無意識的に腕を伸ばす。
「「はぁぁぁぁぁぁ~!!」」
その瞬間―――
「「なっ…!」」
修羅の間の中で巨大な地震が起きた。
その頃初音島では――
「純一、もう終わりかな?」
「クッ…!」
ボロボロになった純一と双銃を構えたクルスが桜の前にいた。
「何で手加減しないんだよ?」
「手加減したら純一は強くならないし。それに……負けたら罰ゲームがあるから」
クルスの視線の先には満面の笑みでお弁当を持っている音夢がいた。
「さくらの話だと音夢の料理は凄いらしいからね」
冷や汗をかくクルスに純一は頷いていた。
「純一、もう一回戦うのと音夢の料理どっちがいい?」
「かったるい。けどお前と戦う方がまだましだ」
再びクルスと純一の修行が始まった。
しかし二人は知らなかった。
音夢が三人分のお弁当を作っていたとは。
~管理局外第64世界【リグルス】~
皆が修行をしていた同時刻――
リグルスにある管理局の秘密施設で事件が起こっていた。
「なっ、何だお前は!?」
「死人に話すつもりはない」
「へっ……!?」
一瞬で局員の首が切り落とされて冷たい床に転がり、切り落とした男の手には血で染まった槍が握られていた。
「テロリストか!?…我々が何者か分かっているのか!?」
「知ってるさ。お前達が愚かな人間だとな」
槍に風を纏わせて男は囲んでいた局員達全てを切り刻む為に回転すると、
『ぎゃぁぁぁぁぁ~!』
局員達の身体の一部が切り刻まれて局員達は悲鳴を上げる。
手が無くなる者・足が無くなる者・上半身と下半身がバラバラになる局員達の血によって床には血の湖が出来た。
そして男はあらかた片付いたのを確認して念話を始める。
(剣、そっちは終わったか?)
(当然!もう自爆システムを発動したから脱出しな!)
(わかった…)
男は最後に周りで悲鳴を上げている局員達をかまいたちで切り刻んで消えていった。
それから数分後――
施設は巨大な爆発を起こして破壊された。
次回予告
稟
「悠季達のお陰で日に日に強くなる俺達…」
ハヤテ
「残された時間の中で僕達は最後のテストを始めました…」
ショウ
「そして、ゆっくり動き出した闇の鼓動…」
クルス
「次回S.H.D.C.――
第十話――
【修行(後編)】」
稟・ハヤテside
長き読書も終わって二人はやつれており、眠たそうに欠伸までしている。
それを見たシリアとコレットが、
「雷光弾」
「ジャッジメント」
「「ぎゃぁぁぁぁぁ~!!」」
雷の弾丸と光の閃光を放つとその攻撃は見事に稟とハヤテに直撃して、そのお陰で二人は目が覚めたようで欠伸は二度としなかった。
「さてと、稟とハヤテの修行を本格的にするとして最初は属性を知る必要がある。だから二人とも自分の属性が何だと思うか言ってみろ」
悠季の言葉に二人は考え出ていると、腕を組んで考えていた稟がハヤテより先に答えた。
「確信はないが俺は土とか地とか重のどれかだと思う」
「僕は風だと思います。執事の必殺技が疾風のごとくなので」
「成る程な。まぁ当たってると言えば当たっているが多分まだあると思うぞ」
将輝が笑みを浮かべて言ったがシリアが一言、
「まぁ、属性が分かっても魔力が犬以下と猿以下じゃ意味ないと思うけど」
「「ぐはっ…!!」」
シリアの何気ない言葉に二人は胸を貫かれたように倒れた。
二人は目の前が再び闇になってしまったが、
「魔力が無いお前達の為に元帥殿に頼んで魔力を上げてもらう事にしたんだよ」
「ちなみに元帥には俺が連絡したからすぐに来るはずだから」
将輝が普通に言っているが悠季はある疑問が浮かんだ。
「いつ連絡した?」
「少し前だよ。シリアとコレットが雷光弾とジャッジメント放っていた時に」
「いつの間に…。俺にも気付かれずに連絡するなんて…」
「まぁ、俺だからな」
ニカッと笑って言った将輝に悠季はつられるように笑った。
「お前は本当に面白い奴だな将輝」
「そうか?俺のいた世界にも面白い奴はいるぜ。攻略王ってアダ名で」
「……何だそのギャルゲーのようなアダ名は」
「いや~その例えはある意味正解かもな」
将輝は楽し気に口笛を吹きながらシルヴァラントにいる親友の顔を思い浮かべる。
アイツはいろんな奴に好かれてたし間違っちゃいないんだよな。
結局最終決戦まで答えが出てなかったし今もまだ世界を巡りながら悩んでるんだろうなロイドは。
「お待たせ~!」
しばらくしてユリナがニッコリ笑いながら降りてきたのだがコレット以外のメンバーは固まってしまう。
何故なら――
「ユリナさん、その赤いの何ですか?」
「これかしら?これは返り………じゃなくてケチャップよ」
「そうなんですか~?」
コレットは気付いていないのか首を傾げていたが他の者はすぐに気付いていた。
(返り血って何の修行してんだよ?)
(ショウ君達は大丈夫なんでしょうか?)
一体どんな修行をしているのか気になるがこの話しは誰も蒸し返す気にはならなかったようだ。
「それで二人の魔力を上げたいのよね?」
「はい。それと戦える武器も」
「デバイスは何とかなるけど魔力向上のアイテムなんてあったかしら?」
ユリナは記憶を思い返しながら黙り込んでいたが、すぐに思い出したのかそういえばと話していく。
「一つだけあったわね。危険だけど手っ取り早方法が…」
「何ですか?」
稟の言葉にユリナは目を閉じてポケットから何かを取り出して皆に見えるように手のひらに置いた。
「それは何ですか?」
「これかしら?これはマジックストーンよ」
(お嬢様、どうやら僕はM○Rの世界に来てしまったようです)
ハヤテは遠い目をしてユリナの手にあるマジックストーン見ていたが、
「ハヤテ君、これはM○Rの世界とはまた違った石だからね」
(心を読まないでください)
ユリナの言葉ですぐに意識を戻す事ができた。
「とりあえずアナタ達二人の場合三つかしらね」
ユリナは稟とハヤテにマジックストーンを三つ渡していく。
「それでこれをどうしたら?」
「飲みなさい」
「「へっ…?」」
「だ・か・ら・飲みなさい!」
ユリナの答えに空気が凍り稟とハヤテの二人は何でだよとでも言いたそうな顔をしている。
「…あっ!砕いちゃダメよ!砕いたら意味ないから」
(問題はそこじゃないだろ!)
(固いですよ絶対に!)
飲み込んでも味はしないだろうし、下手したら窒息死してしまうのにユリナはニコニコ笑っていた。
未だに固まっている二人を見て将輝が呆れたように口を開いた。
「……お前ら大切な人を守りたいとか言ってたけどこの程度で弱音吐いてどうすんだよ」
「だったら将輝は飲めるのかよ?」
稟の問いに将輝はいつになく真剣に答えた。
「誰かを守りたいって気持ちがあるなら俺は何でもやる覚悟はあるぜ」
当然のように答える将輝に二人は困惑してしまう。
出会ってから笑ってばかりの男が本気で答えた。
それぐらい将輝にも譲れないものがあるのだと。
「この先戦いは必ず起こるわ。その時に戦えず##NAME1##や##NAME2##達に任せるの?」
ユリナはそう言って二人を見つめるが表情は少しだけ悲しげだった。
「「俺は(僕は)…」」
二人は目を閉じて昨日の出来事を思い出していた。
あの時自分達はただ助けられただけで皆に怖い思いをさせてしまった。
もう――二度とそんな思いはしてほしくない。
だから―――
「「強くなるんだ~!!」」
二人は一気にマジックストーンを飲み込んだ。
マジックストーンが身体に入ったことで二人の身体から魔力が溢れてきた。
「ランクとしたらAAA+ぐらいか?」
「いや、AA+ぐらいだな」
先程よりも魔力が上がっており悠季と将輝は改めてマジックストーンの凄さに驚いていた。
「それじゃあ次はデバイスなんだけで二人の戦い方を知らないから」
ユリナはチラリと悠季と将輝に視線を向けた。
二人はそれに気付いて頷くと武器を持って稟とハヤテの前に立った。
「稟、ひとまず自分が何を使えるか試してみろ」
「あぁ…」
「ハヤテもだぞ。無理に考えず自然の流れに身を任せるんだ」
「はいっ!」
悠季と将季が構えると稟とハヤテも武術の構えをする。
静寂の空気で四人は見つめ合っていた。
そして―――
「くしゅん…」
コレットが可愛らしいくしゃみをした瞬間悠季と将輝が動いた。
「フェンリルロアー」
「アクア・ボルト」
悠季と将輝の魔法攻撃が放たれて稟とハヤテに迫ってくる。
二人は身体に力を込めてただ無意識的に腕を伸ばす。
「「はぁぁぁぁぁぁ~!!」」
その瞬間―――
「「なっ…!」」
修羅の間の中で巨大な地震が起きた。
その頃初音島では――
「純一、もう終わりかな?」
「クッ…!」
ボロボロになった純一と双銃を構えたクルスが桜の前にいた。
「何で手加減しないんだよ?」
「手加減したら純一は強くならないし。それに……負けたら罰ゲームがあるから」
クルスの視線の先には満面の笑みでお弁当を持っている音夢がいた。
「さくらの話だと音夢の料理は凄いらしいからね」
冷や汗をかくクルスに純一は頷いていた。
「純一、もう一回戦うのと音夢の料理どっちがいい?」
「かったるい。けどお前と戦う方がまだましだ」
再びクルスと純一の修行が始まった。
しかし二人は知らなかった。
音夢が三人分のお弁当を作っていたとは。
~管理局外第64世界【リグルス】~
皆が修行をしていた同時刻――
リグルスにある管理局の秘密施設で事件が起こっていた。
「なっ、何だお前は!?」
「死人に話すつもりはない」
「へっ……!?」
一瞬で局員の首が切り落とされて冷たい床に転がり、切り落とした男の手には血で染まった槍が握られていた。
「テロリストか!?…我々が何者か分かっているのか!?」
「知ってるさ。お前達が愚かな人間だとな」
槍に風を纏わせて男は囲んでいた局員達全てを切り刻む為に回転すると、
『ぎゃぁぁぁぁぁ~!』
局員達の身体の一部が切り刻まれて局員達は悲鳴を上げる。
手が無くなる者・足が無くなる者・上半身と下半身がバラバラになる局員達の血によって床には血の湖が出来た。
そして男はあらかた片付いたのを確認して念話を始める。
(剣、そっちは終わったか?)
(当然!もう自爆システムを発動したから脱出しな!)
(わかった…)
男は最後に周りで悲鳴を上げている局員達をかまいたちで切り刻んで消えていった。
それから数分後――
施設は巨大な爆発を起こして破壊された。
次回予告
稟
「悠季達のお陰で日に日に強くなる俺達…」
ハヤテ
「残された時間の中で僕達は最後のテストを始めました…」
ショウ
「そして、ゆっくり動き出した闇の鼓動…」
クルス
「次回S.H.D.C.――
第十話――
【修行(後編)】」