修行(前編)
~修行の間~
稟・ハヤテside
「それじゃあ早速始めるか」
悠季がそう言うと二人は正座したまま頷いた。
二人がまずやる事は、
「二人にはまず魔法学について勉強してもらう」
「確かに戦うより先に知識つけたほうがいいしな」
悠季の提案に将輝も賛成するように口を開いた。
しかし、稟とハヤテの表情は先程と変わって顔色が真っ青になっている。
「コレット、そこの棚から一番最後まで持ってきてくれない」
「は~い!」
シリアとコレットの二人は分厚い本を手に持ち数としたら百冊は軽く越えていた。
そんな本を軽々持つ女子の姿にも稟とハヤテは青ざめている。
自分達は女子二人よりも力が弱いのかと。
「「……………」」
二人はすでに目の前が真っ暗になってしまった。
しかしここは修行の間のため、ポケ○ン・セン○ー等は存在しなかった。
もはや二人に残された道はただ一つ。
魔法について学ぶしかなかったのだ。
「さて、二人が読んでいる間にちょっと準備運動程度に動くかな」
「付き合うぜ悠季」
悠季と将輝は己の武器を持ってどこかに消えていった。
シリアとコレットは、
「へぇ~こんな綺麗な羽があるなんて~」
「触ってもいいよ」
「まぁ、コレットがどうしてもって言うなら触ってあげるわよ」
「じゃあ!どうしても」
「わ、わかったわよ」
何だかんだで楽しんでいた。
「「………魔法は楽しい…魔法は楽しい………」」
稟とハヤテは謎の単語を言いながら負のオーラを纏っていた。
「……っと!やるな悠季」
「これでもいろんな世界で戦ってきたからな。お前みたいなやつともやりやった事あるんだよ」
悠季の剣が将輝の頬をかすめるが将輝は頬から流れる血を瞬時に回復させ悠季から距離を置く。
悠季の実力は俺とほぼ同等だが、解放状態の相棒を使えばまだ俺が上だろうな。
ただ悠季が本気ならもう予想はできないが。
「まだまだ遊ぼうぜ将輝」
「お前もバトルジャンキーかよ。どこの世界にもいるもんだな!」
再びぶつかり合う悠季と将輝の二人。
その二人のぶつかり合いをシリアとコレットはどこか嬉しそうに見ていたのである。
変わってこちらは――
「エレクトリックアイ!」
ユリナの放った雷の砲撃がショウ達に襲い掛かってきた。
「レイジングハート!」
「リイン!」
雷の砲撃をなのはとはやてがシールドを張って防ぐ。
『主、この砲撃は』
「うん。全く本気やないね。AAA+はあるのに」
アインスとはやては顔を歪めて砲撃を防いでいる。
「行くぞユーノ!」
「遅れないでよクロノ!」
クロノがデュランダルを構えて氷結魔法を唱え始めた。
「……させないわよ!ヴォルダーソード!」
クロノとユーノの上空から無数の土の剣が降り注いだ。
「チェーンバインド!」
ユーノがその剣をチェーンで縛るとクロノが目を開けてデュランダルをユリナに向けた。
「元帥いきますよ!『フローズンバイト』」
ユリナの周りを氷の粒子が降り注いだ瞬間、ユリナの身体が凍りついた。
「なぁんだ、元帥って言ってもこの程度かよ」
ヴィータがアイゼンを肩に担いで元帥の元まで近寄る。
「ヴィータ!危ないから下がりぃ!」
「大丈夫だってはやて!こんなにカチコチなんだから!」
氷像とかした元帥をペチペチ叩くヴィータの行動に皆が驚いていると、
『う~ん。いい魔術なんだけど甘いわね~』
氷像になっていた筈のユリナが口を開いたのだ。
しかも――
『同じ氷結魔法でもやっぱりあの子より威力はないわね』
「あの子って…」
皆の脳裏にクルスの顔が浮かぶ。
確かにクルスの氷結魔法は強い。
様々な修羅場を潜り抜けたからこそあんなに強くなったのだろう。
皆が困惑と驚愕の表情で元帥を見ていると少しずつだが氷が溶けて水となり床に流れていった。
「チェーンバインドで一時的にヴォルダー・ソードを縛りクロノが氷結魔法を放つのは良かったわよ。ただ二人とも赤点だけどね」
「「…えぇ!?」」
まさかの赤点に二人は目を丸くして驚くのであった。
「次はショウの番よ。来なさい」
「はいっ!」
ショウはフローラとユニゾンして紅き長剣を出した。
「戦う前に一つ。ショウ、今から荒治療するけど我慢しなさいね」
「えっ?荒治療って?」
ショウの疑問に答えずユリナは何かを唱えてショウの胸を貫いた。
「ガッ……!?」
「ショウ君!」
ユリナの行動に皆が驚いているがユリナは目を閉じて何かをしていた。
「…ツッ!」
ショウは何をされているのか分からずただ苦痛の声を出している。
「リンカーコアの修復完了っと!」
ニッコリ笑ってユリナは腕を抜くとショウは力が抜けたように座り込んでしまった。
「ユリナ…さん…一体何を?」
「リンカーコアを修復したのよ。あの子に頼まれてたから。『数年前にショウのリンカーコアが傷ついてしまっている。だから戦いにも力を出しきれていないから治してください』ってね」
普通ではリンカーコアの修復は不可能に近い事であるがこの元帥はそれをやったのだ。
「どうかしら?身体の痛みが消えた感覚は?」
「……何だか軽い気分になりました。前のように重くはないです」
ショウは両手を握り締めたり開いたりと確認していた。
「じゃあ本気でやるわよ!」
「えぇ、ユリナさんには感謝します」
ショウはニヤリと笑って紅き長剣を構え直してユリナから離れた。
「…貴方相手ならこれね」
そう呟いたと同時にユリナの手にショウと同じ長剣が握られた。
「俺の剣と似ている?」
「ちょっとしたレアスキルよ。さすがに本物よりは劣るけどね」
ニッコリ笑ってショウに言ったユリナはすぐに動き出して長剣を降り下ろしていた。
「速い……!?」
目の前に現れて降り下ろされた剣をショウは剣で受け止めた。
「さすが管理局元帥だ。力もなかなかですね」
受け止めているショウは軽く舌打ちをしていた。
「剣ばかりに集中していると危ないわよ」
「えっ…?」
ユリナは空いた片手でショウの手首を握り自分の方に引き寄せると至近距離から腹部に膝蹴りを喰らわせる。
「グッ…!」
腹部を押さえてショウが離れようとしたが、
「我が前に存在する者を焼き払いたまえ!『インフィニティゼロ!』」
ユリナが剣を床に突き刺して魔法を唱えて数秒後にショウの足元から炎の砲撃が襲い掛かってショウを飲み込んだ。
「とりあえずこんなもんね」
剣を消すと炎の砲撃も消えてショウは床に倒れた。
その姿を見つめながらユリナはただ笑みを浮かべる。
フューチャーを持つ者がこの程度とはね。
~大広間~
稟やハヤテやショウ達が修行をしている頃、大広間では両王にクロード達にトレイン達にラバーズが話をしていた。
「その修羅の間って場所に行けば稟殿やハヤテ殿達は強くなるのか?」
「えぇ、少なくとも前よりは遥かに強くなります。現に僕らが強くなれたのもあれがあったからなんです」
神王の問いにシャオが真剣な表情で答えると一人の少女が手を上げた。
「その場所って私でも行けるのかしら?」
「余程の覚悟がなければあの場所に行けませんよヒナギクさん。それにハヤテさんが強くなろうとしているのにアナタが行ってしまったら彼の決意が鈍ります」
「ようは大人しく待ってろってことだよ」
シャオとトレインの言葉にヒナギクは押し黙る。
「じゃあ私達はどうすればいいんでしょうか?」
カレハの問いにシャオやクロード達は視線をそらして答えなかった。
自分達に出来ることならなんでもしたい。
大好きな人が頑張っているのだから少しでも何かをしてあげたいのである。
皆が押し黙り静寂の空気に包まれていたが一人の男がその沈黙を破った。
「じゃあさ、修行で帰ってきた時に抱き締めてあげたら?」
『えっ…』
不意に口を開いたのはオロオロとしているアシュトンだった。
「確かに。戦士にも安心できる場所や心を休めたい場所が必要だ。俺もアシュトンに賛成だ」
アシュトンに同意するようにディアスも口を開くと、それが意外だったのかレナは唖然としている。
「そうかもしれませんね。二人の言ったようにしてみたらどうですか?」
シャオの言葉にラバーズ達は互いに顔を見合わせて各自集合した。
せめて修行が終わったら安心できるように――
想い人の為に出来ることを――
ちなみに―――
「ねぇクロード、クルスが何処に行ったか知ってる?」
イヴの何気無い問いにクロードは思い出して答えた。
「クルスなら初音島だった気がする。ユリナさんに頼まれてたから」
「そう…(初音島って言ったらさくらがいたっけ…)」
イヴは楓やレナの所に行ってクルスの居場所とそこにいる人物の話をした。
すると――
『…フフフフフ』
クルスに片想いする女の子達から不吉なオーラが放出されていた。
(不憫な奴だ…)
ベルゼーがそれを見てクルスに同情していた。
稟・ハヤテside
「それじゃあ早速始めるか」
悠季がそう言うと二人は正座したまま頷いた。
二人がまずやる事は、
「二人にはまず魔法学について勉強してもらう」
「確かに戦うより先に知識つけたほうがいいしな」
悠季の提案に将輝も賛成するように口を開いた。
しかし、稟とハヤテの表情は先程と変わって顔色が真っ青になっている。
「コレット、そこの棚から一番最後まで持ってきてくれない」
「は~い!」
シリアとコレットの二人は分厚い本を手に持ち数としたら百冊は軽く越えていた。
そんな本を軽々持つ女子の姿にも稟とハヤテは青ざめている。
自分達は女子二人よりも力が弱いのかと。
「「……………」」
二人はすでに目の前が真っ暗になってしまった。
しかしここは修行の間のため、ポケ○ン・セン○ー等は存在しなかった。
もはや二人に残された道はただ一つ。
魔法について学ぶしかなかったのだ。
「さて、二人が読んでいる間にちょっと準備運動程度に動くかな」
「付き合うぜ悠季」
悠季と将輝は己の武器を持ってどこかに消えていった。
シリアとコレットは、
「へぇ~こんな綺麗な羽があるなんて~」
「触ってもいいよ」
「まぁ、コレットがどうしてもって言うなら触ってあげるわよ」
「じゃあ!どうしても」
「わ、わかったわよ」
何だかんだで楽しんでいた。
「「………魔法は楽しい…魔法は楽しい………」」
稟とハヤテは謎の単語を言いながら負のオーラを纏っていた。
「……っと!やるな悠季」
「これでもいろんな世界で戦ってきたからな。お前みたいなやつともやりやった事あるんだよ」
悠季の剣が将輝の頬をかすめるが将輝は頬から流れる血を瞬時に回復させ悠季から距離を置く。
悠季の実力は俺とほぼ同等だが、解放状態の相棒を使えばまだ俺が上だろうな。
ただ悠季が本気ならもう予想はできないが。
「まだまだ遊ぼうぜ将輝」
「お前もバトルジャンキーかよ。どこの世界にもいるもんだな!」
再びぶつかり合う悠季と将輝の二人。
その二人のぶつかり合いをシリアとコレットはどこか嬉しそうに見ていたのである。
変わってこちらは――
「エレクトリックアイ!」
ユリナの放った雷の砲撃がショウ達に襲い掛かってきた。
「レイジングハート!」
「リイン!」
雷の砲撃をなのはとはやてがシールドを張って防ぐ。
『主、この砲撃は』
「うん。全く本気やないね。AAA+はあるのに」
アインスとはやては顔を歪めて砲撃を防いでいる。
「行くぞユーノ!」
「遅れないでよクロノ!」
クロノがデュランダルを構えて氷結魔法を唱え始めた。
「……させないわよ!ヴォルダーソード!」
クロノとユーノの上空から無数の土の剣が降り注いだ。
「チェーンバインド!」
ユーノがその剣をチェーンで縛るとクロノが目を開けてデュランダルをユリナに向けた。
「元帥いきますよ!『フローズンバイト』」
ユリナの周りを氷の粒子が降り注いだ瞬間、ユリナの身体が凍りついた。
「なぁんだ、元帥って言ってもこの程度かよ」
ヴィータがアイゼンを肩に担いで元帥の元まで近寄る。
「ヴィータ!危ないから下がりぃ!」
「大丈夫だってはやて!こんなにカチコチなんだから!」
氷像とかした元帥をペチペチ叩くヴィータの行動に皆が驚いていると、
『う~ん。いい魔術なんだけど甘いわね~』
氷像になっていた筈のユリナが口を開いたのだ。
しかも――
『同じ氷結魔法でもやっぱりあの子より威力はないわね』
「あの子って…」
皆の脳裏にクルスの顔が浮かぶ。
確かにクルスの氷結魔法は強い。
様々な修羅場を潜り抜けたからこそあんなに強くなったのだろう。
皆が困惑と驚愕の表情で元帥を見ていると少しずつだが氷が溶けて水となり床に流れていった。
「チェーンバインドで一時的にヴォルダー・ソードを縛りクロノが氷結魔法を放つのは良かったわよ。ただ二人とも赤点だけどね」
「「…えぇ!?」」
まさかの赤点に二人は目を丸くして驚くのであった。
「次はショウの番よ。来なさい」
「はいっ!」
ショウはフローラとユニゾンして紅き長剣を出した。
「戦う前に一つ。ショウ、今から荒治療するけど我慢しなさいね」
「えっ?荒治療って?」
ショウの疑問に答えずユリナは何かを唱えてショウの胸を貫いた。
「ガッ……!?」
「ショウ君!」
ユリナの行動に皆が驚いているがユリナは目を閉じて何かをしていた。
「…ツッ!」
ショウは何をされているのか分からずただ苦痛の声を出している。
「リンカーコアの修復完了っと!」
ニッコリ笑ってユリナは腕を抜くとショウは力が抜けたように座り込んでしまった。
「ユリナ…さん…一体何を?」
「リンカーコアを修復したのよ。あの子に頼まれてたから。『数年前にショウのリンカーコアが傷ついてしまっている。だから戦いにも力を出しきれていないから治してください』ってね」
普通ではリンカーコアの修復は不可能に近い事であるがこの元帥はそれをやったのだ。
「どうかしら?身体の痛みが消えた感覚は?」
「……何だか軽い気分になりました。前のように重くはないです」
ショウは両手を握り締めたり開いたりと確認していた。
「じゃあ本気でやるわよ!」
「えぇ、ユリナさんには感謝します」
ショウはニヤリと笑って紅き長剣を構え直してユリナから離れた。
「…貴方相手ならこれね」
そう呟いたと同時にユリナの手にショウと同じ長剣が握られた。
「俺の剣と似ている?」
「ちょっとしたレアスキルよ。さすがに本物よりは劣るけどね」
ニッコリ笑ってショウに言ったユリナはすぐに動き出して長剣を降り下ろしていた。
「速い……!?」
目の前に現れて降り下ろされた剣をショウは剣で受け止めた。
「さすが管理局元帥だ。力もなかなかですね」
受け止めているショウは軽く舌打ちをしていた。
「剣ばかりに集中していると危ないわよ」
「えっ…?」
ユリナは空いた片手でショウの手首を握り自分の方に引き寄せると至近距離から腹部に膝蹴りを喰らわせる。
「グッ…!」
腹部を押さえてショウが離れようとしたが、
「我が前に存在する者を焼き払いたまえ!『インフィニティゼロ!』」
ユリナが剣を床に突き刺して魔法を唱えて数秒後にショウの足元から炎の砲撃が襲い掛かってショウを飲み込んだ。
「とりあえずこんなもんね」
剣を消すと炎の砲撃も消えてショウは床に倒れた。
その姿を見つめながらユリナはただ笑みを浮かべる。
フューチャーを持つ者がこの程度とはね。
~大広間~
稟やハヤテやショウ達が修行をしている頃、大広間では両王にクロード達にトレイン達にラバーズが話をしていた。
「その修羅の間って場所に行けば稟殿やハヤテ殿達は強くなるのか?」
「えぇ、少なくとも前よりは遥かに強くなります。現に僕らが強くなれたのもあれがあったからなんです」
神王の問いにシャオが真剣な表情で答えると一人の少女が手を上げた。
「その場所って私でも行けるのかしら?」
「余程の覚悟がなければあの場所に行けませんよヒナギクさん。それにハヤテさんが強くなろうとしているのにアナタが行ってしまったら彼の決意が鈍ります」
「ようは大人しく待ってろってことだよ」
シャオとトレインの言葉にヒナギクは押し黙る。
「じゃあ私達はどうすればいいんでしょうか?」
カレハの問いにシャオやクロード達は視線をそらして答えなかった。
自分達に出来ることならなんでもしたい。
大好きな人が頑張っているのだから少しでも何かをしてあげたいのである。
皆が押し黙り静寂の空気に包まれていたが一人の男がその沈黙を破った。
「じゃあさ、修行で帰ってきた時に抱き締めてあげたら?」
『えっ…』
不意に口を開いたのはオロオロとしているアシュトンだった。
「確かに。戦士にも安心できる場所や心を休めたい場所が必要だ。俺もアシュトンに賛成だ」
アシュトンに同意するようにディアスも口を開くと、それが意外だったのかレナは唖然としている。
「そうかもしれませんね。二人の言ったようにしてみたらどうですか?」
シャオの言葉にラバーズ達は互いに顔を見合わせて各自集合した。
せめて修行が終わったら安心できるように――
想い人の為に出来ることを――
ちなみに―――
「ねぇクロード、クルスが何処に行ったか知ってる?」
イヴの何気無い問いにクロードは思い出して答えた。
「クルスなら初音島だった気がする。ユリナさんに頼まれてたから」
「そう…(初音島って言ったらさくらがいたっけ…)」
イヴは楓やレナの所に行ってクルスの居場所とそこにいる人物の話をした。
すると――
『…フフフフフ』
クルスに片想いする女の子達から不吉なオーラが放出されていた。
(不憫な奴だ…)
ベルゼーがそれを見てクルスに同情していた。