ロスト・ワールドへ
最後の戦いの前にそれぞれが時間を過ごし、ついにラファスのいる世界へと向かう事になった。
ショウやなのは達時空管理局組と稟や純一や将輝達民間協力者はアースラへと乗り込み、クルスやセフィリア達ファントムナイツやクロードやマテリアルズ達はナデシコに乗り込んでモニター越しに作戦会議をしていた。
『この戦いで僕達がやるべき事は四つある』
アースラにいるクロノがメンバーを代表して口を開いていく。
この最終決戦で自分達がやるべき事―――
『まず一つ目はユリナさんとラファスを必ず倒すこと。これはフューチャーの使い手であるショウやクルスに任せる』
これは二人にしかできない事である。
フューチャーにはフューチャーで立ち向かうしかない。
二人ならユリナさんとラファスを止められる。
『わかった』
『任せて』
ショウとクルスが頷いたのを確認してクロノは二つ目を話していく。
『二つ目はベルエスの破壊だ。動力部はユーノとヴェロッサが調べてくれたおかげで把握している。おそらくそこにも敵はいるはずだ。この動力部の破壊をなのはとフェイトに任せたい』
なのはとフェイトのコンビネーションなら安心して任せられる。
闇の書事件の時もそうだったが二人が組めば大抵の事は可能なはずだ。
だからこそベルエスの動力部破壊を二人にやってもらう。
『任せてクロノ君!』
『わかったよクロノ』
なのはとフェイトが力強く頷く中ではやてがジーッとクロノを見つめていた。
なのはとフェイトときたら自分も何かあるんじゃないかと期待しているはやてに対してクロノは、
『三つ目は四人が戻ってくるまで敵を足止めする事だ。おそらく残りのジョーカーズや聖騎士団や魔獣が戦場にはいるはすだ。四人の道を作ることと四人の障害をなくすこと。はやて…』
『私に何をさせるつもりやクロノ君?』
『戦場での指揮は僕とキミの二人でやる。場合によってははやて一人に任せる事になるが大丈夫か?』
この戦いはおそらく今までにない激戦になるだろう。
戦場全てを把握するのはかなり難しい。
それでもはやてに任せてみようと思ったクロノ。
自分もサポートするが何よりはやての成長の為でもある。
はやての夢の為にも。
『かなりの大役やな。でも任せといて!四人の道は私とクロノ君が必ず作るよ』
拳を握り自信満々に告げるはやてにクロノは笑みを浮かべる。
ショウとクルスとなのはとフェイトとはやて。
この五人が揃った状況で僕は負けるなんて微塵も感じられなかった。
シグナム達時空管理局やセフィリア達ファントムナイツ、クロードやルリや稟や将輝達民間協力者達もいるがそれでもこの五人の頼もしさが本当に心強い。
『それで最後の一つはなんなんだいクロノ?』
アースラからナデシコに移動して作戦会議に参加しているユーノにクロノは最後の一つを真剣な表情で答えた。
『最後の一つは……必ず全員が生き残る事だ。生きて帰ってこいよ皆』
△▼△▼△▼
「それでベルエスはいつ発射できるのだ?」
玉座に座り足を組むラファスに片膝をつき頭を下げていた闇帝のアンリが答える。
「もうしばらくお待ちを。エナジーは問題ないのですが、もう一つのコアがいまだに抵抗しているようです」
「……チッ!忌々しい!」
ラファスはベルエスの動力部をモニターで目にしていたがその表情は苛立ちで歪んでいた。
手下達の裏切りにから死んだと思っていたはずのフューチャーの持ち主の復活にベルエスの発射が今現在出来ない状況。
ここまで思い通りにならない事にラファスは苛立ちを隠せないでいた。
「まぁいい。それよりもう一つの方はどうなっておる?」
「それなら問題なく使えます。エネルギーもロストロギア級に近い物を使っていますので。やつらがこの星に来た時にお使いください」
ラファスの切り札はベルエスだけではない。
もう一つの切り札があれば自分の勝ちは揺るがない。
苛立ちから表情が不敵な笑みに変わりラファスはもう一つのモニターに視線を向ける。
そこには―――
かつてクルスと直樹が制作していたライダーシステムのアイテムがエネルギーに使われているようで今すぐに使える状態でゆっくりと浮いていた。
「フハハハハ!いつでも来い弱きもの達よ!貴様らが我に勝つことなど不可能という事を教えてやるわ!」
ベルエス内部の玉座でラファスは高らかに笑う。
すでに勝利を確信したように。
「アースラとナデシコの他にも本局から部隊が?」
「えぇ。レティが頼んでくれたみたいで次元航行艦を二隻ほどね。これでかなりの戦力になると思うわ」
自分達だけでもかなりの戦力だが本局からも増援が来るのはありがたい。
魔導師だけで結構な数となるのに次元航行艦が二隻とはね。
もし本局が増援だけの目的ならいいが―――
アイツの話を聞いた今本局の上の連中が許可を出した理由が他にもある気がしてならない。
まるでユリナさんの口封じを考えているんじゃないのかと
『クロノさん』
「どうしたルリ?」
『その増援艦隊なんですが、すでにロストワールドに向かっているのでしょうか?』
「あぁ。僕達よりも先に向かっているらしい。おそらく僕達が到着する頃にはロストワールド内にいるはすだ」
僕達がロストワールドに突入するまで耐えてくれればいいが。
本局の局員だけでやつら相手にどれだけ持ちこたえられるか。
「……んっ?」
考え事をしていたクロノだがモニターに視線を向けた瞬間、自分の視界に禍々しい色をして浮くベルエスと赤黒く覆われた星が映り真剣な表情に変わる。
「あれがラファスが用意したロストワールドか」
クロノの近くにいたショウがモニターに映るベルエスと星を見つめ呟く。
おそらく本局の部隊が先に戦っているはずだ。
「クロノ…」
そうショウが口を開いた瞬間、アースラとナデシコ内に警告音が鳴り響く。
それは出撃の音でありブリッジにいた者達全員が動き出した。
クロノもショウ達に続くようにブリッジを出ようとしたのだが、
「クロノ君!」
エイミィがクロノの元にやって来て不安気な表情を浮かべていた。
エイミィは不安なのだ。
四柱の時クロノは怪我をしたが生きて帰ってきてくれた。
でも今から向かう戦場ではどうなるか分からない。
今すぐに止めたいがエイミィは分かっている。
クロノ・ハラオウンは世界はもちろん友の為に戦う男だと。
だから―――
「帰ってきてねクロノ君」
「エイミィ…」
「私はクロノ君の帰りを待ってるからね」
不安気な表情を浮かべるエイミィにクロノはフッと笑うと、エイミィの頬にキスをして背を向けてブリッジから出ていく。
絶対だよ。絶対に帰ってきてねクロノ君。
ロストワールドへと近づきアースラとナデシコは星へと降下していく。
降下が成功してアースラとナデシコのモニターに映ったのは、すでに戦闘をしている本局の局員と魔獣やクローン兵士達。
聖騎士団やジョーカーズの姿が確認出来ない。
まだこの戦いに参加していないのだろうか?
『ロストワールドに突入成功です!皆さん、出撃を……って!艦長!』
ハーリーがアースラに通信を繋ぎながら出撃準備を伝えようとした瞬間、アースラやナデシコや増援艦隊の前方から巨大な塔が出現し、さらにその塔の真横からまるでベルエスのような巨大な兵器が出現してその先端にエネルギーが集まりだし、
『……まずい!ルリちゃん!リンディさん!ナデシコとアースラを早く動かして!本局の艦隊にも早く伝えて!』
ハッチでそれを確認していたクルスが慌てて通信を繋ぎ二人に指示を出した時だった、先端にエネルギーが集まりそこから巨大な閃光が放たれてナデシコとアースラはギリギリ閃光を回避したが、増援艦隊と魔獣やクローン兵士と戦っていた局員は魔獣やクローン兵士と共に消滅してしまう。
その光景に皆が唖然としているが巨大な塔から魔獣やクローン兵士や聖騎士団やジョーカーズが戦場へと現れた。
『ナデシコハッチ開けます!皆さん必ず生きて帰ってきてください!』
ハーリーの言葉と共にハッチが開くと、まずはシュテル達マテリアルズがデバイスを起動させ戦場へと飛び出していく。
「かなりの数ですが、ダーリンの敵は私が排除します。シュテル・ザ・デストラクター、ルシュフェリオン行きます」
「よーし!僕が全部倒しちゃうぞ!レヴィ・ザ・スラッシャー、バルフェニカス行くよ!」
「さっさと戦いを終わらせてエルトリアに帰るかの。ロードディアーチェ、エルシニアクロイツ出るぞ!」
三人がハッチから飛び出し次は自分達の番かと、クロードとアシュトンとディアスがクロノに教えてもらった浮遊魔法を身体に使い己の武器を手にする。
「これで終わりにするよ。クロード・C・ケニー行きます!」
「俺達はまだ旅の途中だからな。ディアス・フラッガ出るぞ」
「二人とも必ず生きて帰ろうね。アシュトン・アンカース出るよ!」
クロードとディアスとアシュトンがシュテル達に続くように出撃する。
この世界を守るために。
生きて自分達の未来を掴むためにも。
「さてと…」
「僕達にはまだやるべき事がある。分かってるよねユーノ君」
「それはこっちのセリフだよロッサ。専用デバイスの実戦がまさかの今日だけど大丈夫なのかい?」
すでにバリアジャケットを身に纏い苦笑いするユーノに対しヴェロッサは不敵に笑う。
自分専用のデバイス――
『ハイペリオン』
テスト運用で試したが実戦で使うのは今日が初めてであり、ユーノとの模擬戦で使ったのも片手で数えるぐらいだ。
それでも何故か不安はない。
「不思議と落ち着いているよ。それに―――」
これでキミ達と本当の意味で肩を並べたような気もするしね。
「じゃあ行くよロッサ!」
「あぁ!」
「ユーノ・スクライア、メディ出るよ!」
「ヴェロッサ・アコース、ハイペリオン行くよ!」
すでにシュテル達やクロード達が戦っている戦場へと向かう二人。
その二人が出撃したのを確認して次はセフィリア達ファントムナイツが出撃準備をして、セフィリアは仲間達に目を向けてただ一言だけ口にする。
「私達には帰るべき世界があります。だからここで死ぬことは許しません」
その言葉にファントムナイツは頷きセフィリアは一番先に出撃していく。
長い間戦ってきた相棒のクライストと共に。
「セフィリア・アークス、クライスト行きます!」
セフィリアに続くように出撃するのはセフィリアの理解者であり、常に傍でセフィリアを支えていた男ベルゼーである。
ベルゼーは一度目を閉じて集中するように息を吐く。
セフィリアの背中を守るのはクロノナンバーズの時から自分がやっていた。
メイソンの戦いの時もヴァンの時もセフィリアを死なせないように。
だからこそ今回も自分のやるべき事は決まっている。
「俺はセフィリアが全力で戦えるようにサポートするのみ。ベルゼー・ロシュフォール、グングニル出るぞ!」
ベルゼーが出撃すると次は自分かと柔らかな笑みを浮かべてシャオリーが足を進める。
だがその前に――
「…クルス君」
「……んっ?」
「キミとショウ君の道は僕達で必ず作る。だから前に進む事だけを考えるんだよ」
「あぁ……」
柔らかな笑みで微笑むシャオリーにクルスも笑みを浮かべていた。
これがクルス君と戦う最後の戦場。
本当にいろんな事があったな。
ショウやなのは達時空管理局組と稟や純一や将輝達民間協力者はアースラへと乗り込み、クルスやセフィリア達ファントムナイツやクロードやマテリアルズ達はナデシコに乗り込んでモニター越しに作戦会議をしていた。
『この戦いで僕達がやるべき事は四つある』
アースラにいるクロノがメンバーを代表して口を開いていく。
この最終決戦で自分達がやるべき事―――
『まず一つ目はユリナさんとラファスを必ず倒すこと。これはフューチャーの使い手であるショウやクルスに任せる』
これは二人にしかできない事である。
フューチャーにはフューチャーで立ち向かうしかない。
二人ならユリナさんとラファスを止められる。
『わかった』
『任せて』
ショウとクルスが頷いたのを確認してクロノは二つ目を話していく。
『二つ目はベルエスの破壊だ。動力部はユーノとヴェロッサが調べてくれたおかげで把握している。おそらくそこにも敵はいるはずだ。この動力部の破壊をなのはとフェイトに任せたい』
なのはとフェイトのコンビネーションなら安心して任せられる。
闇の書事件の時もそうだったが二人が組めば大抵の事は可能なはずだ。
だからこそベルエスの動力部破壊を二人にやってもらう。
『任せてクロノ君!』
『わかったよクロノ』
なのはとフェイトが力強く頷く中ではやてがジーッとクロノを見つめていた。
なのはとフェイトときたら自分も何かあるんじゃないかと期待しているはやてに対してクロノは、
『三つ目は四人が戻ってくるまで敵を足止めする事だ。おそらく残りのジョーカーズや聖騎士団や魔獣が戦場にはいるはすだ。四人の道を作ることと四人の障害をなくすこと。はやて…』
『私に何をさせるつもりやクロノ君?』
『戦場での指揮は僕とキミの二人でやる。場合によってははやて一人に任せる事になるが大丈夫か?』
この戦いはおそらく今までにない激戦になるだろう。
戦場全てを把握するのはかなり難しい。
それでもはやてに任せてみようと思ったクロノ。
自分もサポートするが何よりはやての成長の為でもある。
はやての夢の為にも。
『かなりの大役やな。でも任せといて!四人の道は私とクロノ君が必ず作るよ』
拳を握り自信満々に告げるはやてにクロノは笑みを浮かべる。
ショウとクルスとなのはとフェイトとはやて。
この五人が揃った状況で僕は負けるなんて微塵も感じられなかった。
シグナム達時空管理局やセフィリア達ファントムナイツ、クロードやルリや稟や将輝達民間協力者達もいるがそれでもこの五人の頼もしさが本当に心強い。
『それで最後の一つはなんなんだいクロノ?』
アースラからナデシコに移動して作戦会議に参加しているユーノにクロノは最後の一つを真剣な表情で答えた。
『最後の一つは……必ず全員が生き残る事だ。生きて帰ってこいよ皆』
△▼△▼△▼
「それでベルエスはいつ発射できるのだ?」
玉座に座り足を組むラファスに片膝をつき頭を下げていた闇帝のアンリが答える。
「もうしばらくお待ちを。エナジーは問題ないのですが、もう一つのコアがいまだに抵抗しているようです」
「……チッ!忌々しい!」
ラファスはベルエスの動力部をモニターで目にしていたがその表情は苛立ちで歪んでいた。
手下達の裏切りにから死んだと思っていたはずのフューチャーの持ち主の復活にベルエスの発射が今現在出来ない状況。
ここまで思い通りにならない事にラファスは苛立ちを隠せないでいた。
「まぁいい。それよりもう一つの方はどうなっておる?」
「それなら問題なく使えます。エネルギーもロストロギア級に近い物を使っていますので。やつらがこの星に来た時にお使いください」
ラファスの切り札はベルエスだけではない。
もう一つの切り札があれば自分の勝ちは揺るがない。
苛立ちから表情が不敵な笑みに変わりラファスはもう一つのモニターに視線を向ける。
そこには―――
かつてクルスと直樹が制作していたライダーシステムのアイテムがエネルギーに使われているようで今すぐに使える状態でゆっくりと浮いていた。
「フハハハハ!いつでも来い弱きもの達よ!貴様らが我に勝つことなど不可能という事を教えてやるわ!」
ベルエス内部の玉座でラファスは高らかに笑う。
すでに勝利を確信したように。
「アースラとナデシコの他にも本局から部隊が?」
「えぇ。レティが頼んでくれたみたいで次元航行艦を二隻ほどね。これでかなりの戦力になると思うわ」
自分達だけでもかなりの戦力だが本局からも増援が来るのはありがたい。
魔導師だけで結構な数となるのに次元航行艦が二隻とはね。
もし本局が増援だけの目的ならいいが―――
アイツの話を聞いた今本局の上の連中が許可を出した理由が他にもある気がしてならない。
まるでユリナさんの口封じを考えているんじゃないのかと
『クロノさん』
「どうしたルリ?」
『その増援艦隊なんですが、すでにロストワールドに向かっているのでしょうか?』
「あぁ。僕達よりも先に向かっているらしい。おそらく僕達が到着する頃にはロストワールド内にいるはすだ」
僕達がロストワールドに突入するまで耐えてくれればいいが。
本局の局員だけでやつら相手にどれだけ持ちこたえられるか。
「……んっ?」
考え事をしていたクロノだがモニターに視線を向けた瞬間、自分の視界に禍々しい色をして浮くベルエスと赤黒く覆われた星が映り真剣な表情に変わる。
「あれがラファスが用意したロストワールドか」
クロノの近くにいたショウがモニターに映るベルエスと星を見つめ呟く。
おそらく本局の部隊が先に戦っているはずだ。
「クロノ…」
そうショウが口を開いた瞬間、アースラとナデシコ内に警告音が鳴り響く。
それは出撃の音でありブリッジにいた者達全員が動き出した。
クロノもショウ達に続くようにブリッジを出ようとしたのだが、
「クロノ君!」
エイミィがクロノの元にやって来て不安気な表情を浮かべていた。
エイミィは不安なのだ。
四柱の時クロノは怪我をしたが生きて帰ってきてくれた。
でも今から向かう戦場ではどうなるか分からない。
今すぐに止めたいがエイミィは分かっている。
クロノ・ハラオウンは世界はもちろん友の為に戦う男だと。
だから―――
「帰ってきてねクロノ君」
「エイミィ…」
「私はクロノ君の帰りを待ってるからね」
不安気な表情を浮かべるエイミィにクロノはフッと笑うと、エイミィの頬にキスをして背を向けてブリッジから出ていく。
絶対だよ。絶対に帰ってきてねクロノ君。
ロストワールドへと近づきアースラとナデシコは星へと降下していく。
降下が成功してアースラとナデシコのモニターに映ったのは、すでに戦闘をしている本局の局員と魔獣やクローン兵士達。
聖騎士団やジョーカーズの姿が確認出来ない。
まだこの戦いに参加していないのだろうか?
『ロストワールドに突入成功です!皆さん、出撃を……って!艦長!』
ハーリーがアースラに通信を繋ぎながら出撃準備を伝えようとした瞬間、アースラやナデシコや増援艦隊の前方から巨大な塔が出現し、さらにその塔の真横からまるでベルエスのような巨大な兵器が出現してその先端にエネルギーが集まりだし、
『……まずい!ルリちゃん!リンディさん!ナデシコとアースラを早く動かして!本局の艦隊にも早く伝えて!』
ハッチでそれを確認していたクルスが慌てて通信を繋ぎ二人に指示を出した時だった、先端にエネルギーが集まりそこから巨大な閃光が放たれてナデシコとアースラはギリギリ閃光を回避したが、増援艦隊と魔獣やクローン兵士と戦っていた局員は魔獣やクローン兵士と共に消滅してしまう。
その光景に皆が唖然としているが巨大な塔から魔獣やクローン兵士や聖騎士団やジョーカーズが戦場へと現れた。
『ナデシコハッチ開けます!皆さん必ず生きて帰ってきてください!』
ハーリーの言葉と共にハッチが開くと、まずはシュテル達マテリアルズがデバイスを起動させ戦場へと飛び出していく。
「かなりの数ですが、ダーリンの敵は私が排除します。シュテル・ザ・デストラクター、ルシュフェリオン行きます」
「よーし!僕が全部倒しちゃうぞ!レヴィ・ザ・スラッシャー、バルフェニカス行くよ!」
「さっさと戦いを終わらせてエルトリアに帰るかの。ロードディアーチェ、エルシニアクロイツ出るぞ!」
三人がハッチから飛び出し次は自分達の番かと、クロードとアシュトンとディアスがクロノに教えてもらった浮遊魔法を身体に使い己の武器を手にする。
「これで終わりにするよ。クロード・C・ケニー行きます!」
「俺達はまだ旅の途中だからな。ディアス・フラッガ出るぞ」
「二人とも必ず生きて帰ろうね。アシュトン・アンカース出るよ!」
クロードとディアスとアシュトンがシュテル達に続くように出撃する。
この世界を守るために。
生きて自分達の未来を掴むためにも。
「さてと…」
「僕達にはまだやるべき事がある。分かってるよねユーノ君」
「それはこっちのセリフだよロッサ。専用デバイスの実戦がまさかの今日だけど大丈夫なのかい?」
すでにバリアジャケットを身に纏い苦笑いするユーノに対しヴェロッサは不敵に笑う。
自分専用のデバイス――
『ハイペリオン』
テスト運用で試したが実戦で使うのは今日が初めてであり、ユーノとの模擬戦で使ったのも片手で数えるぐらいだ。
それでも何故か不安はない。
「不思議と落ち着いているよ。それに―――」
これでキミ達と本当の意味で肩を並べたような気もするしね。
「じゃあ行くよロッサ!」
「あぁ!」
「ユーノ・スクライア、メディ出るよ!」
「ヴェロッサ・アコース、ハイペリオン行くよ!」
すでにシュテル達やクロード達が戦っている戦場へと向かう二人。
その二人が出撃したのを確認して次はセフィリア達ファントムナイツが出撃準備をして、セフィリアは仲間達に目を向けてただ一言だけ口にする。
「私達には帰るべき世界があります。だからここで死ぬことは許しません」
その言葉にファントムナイツは頷きセフィリアは一番先に出撃していく。
長い間戦ってきた相棒のクライストと共に。
「セフィリア・アークス、クライスト行きます!」
セフィリアに続くように出撃するのはセフィリアの理解者であり、常に傍でセフィリアを支えていた男ベルゼーである。
ベルゼーは一度目を閉じて集中するように息を吐く。
セフィリアの背中を守るのはクロノナンバーズの時から自分がやっていた。
メイソンの戦いの時もヴァンの時もセフィリアを死なせないように。
だからこそ今回も自分のやるべき事は決まっている。
「俺はセフィリアが全力で戦えるようにサポートするのみ。ベルゼー・ロシュフォール、グングニル出るぞ!」
ベルゼーが出撃すると次は自分かと柔らかな笑みを浮かべてシャオリーが足を進める。
だがその前に――
「…クルス君」
「……んっ?」
「キミとショウ君の道は僕達で必ず作る。だから前に進む事だけを考えるんだよ」
「あぁ……」
柔らかな笑みで微笑むシャオリーにクルスも笑みを浮かべていた。
これがクルス君と戦う最後の戦場。
本当にいろんな事があったな。