決戦!光陽海鳴町(後編)
「「…ハァ…ハァ…ハァ…」」
すでに満身創痍としか言えない恭介と剣にクルスは、
「もう諦めるんだ。すでにクロノが雅を捕らえている。お前たちに勝ち目はない」
「言うやないか。やったら、いつもみたいにトドメをさしたらどうや?お前が今までやってきた事やろ?」
自分達ジョーカーズとクルスは常に殺しあいをしていた。
それが当たり前だったのだ。
今さら大人しく捕まって管理局に連れて行かれるなんてごめんだ。
「恭介の言う通りだな。俺も捕まるなんてごめんだ。捕まるぐらいなら!」
剣は魔法陣を展開し槍を巨大化させその先端をショウとクルスに向ける。
相討ち覚悟でこのまま死ぬつもりの剣にクルスはただ首を横に振る。
まるで意味がないとも言わんばかりのクルスに剣は怪訝な表情を浮かべていたが、そのクルスの行動の意味が分かってしまう。
何故なら―――
「ケイロンズバインド!」
「なっ!?」
緑色のバインドが剣を捉えると出現していた槍は粒子のように消えていく。
バインドで縛られた剣はこれを使った人物に心当たりがあるのか叫ぶようにその名を口にした。
「ユーノ・スクライアか!いつの間に!?」
「クロノが召喚者を捕まえる前だよ。キミたちがショウ達に集中してくれてたおかげで僕のバインドが成功したのさ」
「チクショウ!」
バインドで捕まった剣は暴れるがバインドには何の影響もない。
そしてそれは恭介も同じようで恭介はため息を吐く。
これで終わり……か。
やけどこんな終わりかたするぐらいなら俺は――
「……ユーノ」
「どうしたんだいクルス?」
「恭介とケリをつけたい。バインドを解除してくれないか?」
「……クルス」
恭介との因縁。
自分の体に刻まれたタトゥーを消すには恭介を倒すしかない。
このまま終わる訳にはいかない。
だから―――
「……わかったよ」
「ユーノ!」
やれやれと肩をすくめるユーノにショウは目を丸くするが、ユーノはクルスがそう言うと予想していたようで苦笑している。
バインドを解除して自由になった恭介はただ真っ直ぐにクルスを見つめた。
「何のつもりや?」
「お前との決着をつけたかったからだ。こんな終わり方はお前も納得できないだろ?」
「……ハッ!相変わらずお優しいなぁ。そんなお前が俺は―――」
大ッ嫌いなんだよ!っと口にしないものの恭介の振るう鞭がクルスの腕に触れると爆発が起きて、腕から血が流れるがクルスは気にした様子もなく恭介に接近してシャインスフィアを放つ。
そのシャインスフィアを受けつつ恭介は背後から、大量の短剣を出現させ一斉に放つ。
その短剣をクルスは次々と撃ち落としながらシャイニングバーストでまとめて消滅させていく。
「お前はホンマに化け物やな」
「それでも今の僕ではおそらくラファスには勝てないだろうね」
一度だけ戦ったからクルスには分かっていた。
今の自分では勝てない。
あの力と対等に戦うにはさらに強くなる必要がある。
だからここで負ける訳にはいかない。
「恭介に聞きたい事がある」
「何や?」
「何故お前は今もラファスに従う?昔ならまだしも今のお前がヤツに従う理由はないはずだ」
「その口から察したわ。お前は知ってるんやな」
「……あぁ」
恭介は諦めたような笑みを浮かべ肩をすくめる。
アリシアがラファスと対峙した事も、光帝が今どうなっているのかも知ってるんやな。
それを知って何故俺がラファスに従っているのか気になってるって訳か。
そんなもん、一つしかないやろ?
「俺はジョーカーズの毒帝やぞ。どんな理由があろうと最後までジョーカーズとして戦う。それだけや」
だからここで終わらせる。
俺とお前の因縁に。
今までの戦いも含めて全てをここで。
「構えろやクルス。この一撃で終わらせる」
「あぁ…」
恭介とクルスの足元に魔法陣が展開される。
恭介はカートリッジを二発ロードして鞭が禍々しく変化してまるでヒュドラのような形状になりその変化した鞭を思い切り降り下ろす。
「終わりやクルス。ファントムジャッジ!」
その巨大な鞭を見つめながらクルスはゆっくりと銃口に魔力を込める。
初めて会ったあの日から何回も僕はお前と戦った。
アズールと同じようにお前は僕にとって厄介な敵だったよ。
ジョーカーズの一人。
毒帝の高階恭介。
「アブソリュート・フィナーレ」
双銃から放たれた氷結魔法は恭介の降り下ろした、ファントムジャッジを全て凍らせ恭介を呑み込んでいく。
(アリシア、最後にお前に会いたかったわ)
目を閉じて微かに笑みを浮かべる恭介は、消えていく意識の中で自分を包み込む温かさに気づく。
この温かさを自分は知っている。
(…あぁ。来てくれたんやな……アリシア)
そして――
クルスの氷結魔法により毒帝の高階恭介は消滅した。
空から雪が降るなかクルスは自分の身体に刻まれたタトゥーを確認する。
「……消えている」
恭介に刻まれたタトゥーは消えたか。
これで残るは凶王ラファスとユリナだけか。
「クルス…」
「雅と剣は捕まえた。後は任せたよショウ」
ショウに捕まる前にこのまま離れようと転移魔法で消えようとするクルスだったが、
「クルス!」
金色の光が思い切りクルスに抱きついて離さないと言わんばかりに力を込める。
その相手にクルスは困ったように笑ってしまう。
確認しなくてもわかる。
この金色の光の正体は間違いなく彼女しかいない。
「…フェイト」
「どこにもいかないでクルス」
自分の命よりも大切で自分がショウ達と戦ってまで守りたかった存在。
フェイト・T・ハラオウンが涙を流しながら抱きつき、クルスは転移魔法をやめるとフェイトの頭をただ優しく撫でながら仕方ないかと呟くのである。
次回予告
なのは
「戦いが終わり、私達はクルス君と話を始めた。
クルス君が語る本当の真実とは?
ジョーカーズと凶王ラファスとユリナさんの真実。
今全てが繋がっていく。
次回S.H.D.C.
第四十九話
【語られし真実】に!
ドライブイグニッション!!」
すでに満身創痍としか言えない恭介と剣にクルスは、
「もう諦めるんだ。すでにクロノが雅を捕らえている。お前たちに勝ち目はない」
「言うやないか。やったら、いつもみたいにトドメをさしたらどうや?お前が今までやってきた事やろ?」
自分達ジョーカーズとクルスは常に殺しあいをしていた。
それが当たり前だったのだ。
今さら大人しく捕まって管理局に連れて行かれるなんてごめんだ。
「恭介の言う通りだな。俺も捕まるなんてごめんだ。捕まるぐらいなら!」
剣は魔法陣を展開し槍を巨大化させその先端をショウとクルスに向ける。
相討ち覚悟でこのまま死ぬつもりの剣にクルスはただ首を横に振る。
まるで意味がないとも言わんばかりのクルスに剣は怪訝な表情を浮かべていたが、そのクルスの行動の意味が分かってしまう。
何故なら―――
「ケイロンズバインド!」
「なっ!?」
緑色のバインドが剣を捉えると出現していた槍は粒子のように消えていく。
バインドで縛られた剣はこれを使った人物に心当たりがあるのか叫ぶようにその名を口にした。
「ユーノ・スクライアか!いつの間に!?」
「クロノが召喚者を捕まえる前だよ。キミたちがショウ達に集中してくれてたおかげで僕のバインドが成功したのさ」
「チクショウ!」
バインドで捕まった剣は暴れるがバインドには何の影響もない。
そしてそれは恭介も同じようで恭介はため息を吐く。
これで終わり……か。
やけどこんな終わりかたするぐらいなら俺は――
「……ユーノ」
「どうしたんだいクルス?」
「恭介とケリをつけたい。バインドを解除してくれないか?」
「……クルス」
恭介との因縁。
自分の体に刻まれたタトゥーを消すには恭介を倒すしかない。
このまま終わる訳にはいかない。
だから―――
「……わかったよ」
「ユーノ!」
やれやれと肩をすくめるユーノにショウは目を丸くするが、ユーノはクルスがそう言うと予想していたようで苦笑している。
バインドを解除して自由になった恭介はただ真っ直ぐにクルスを見つめた。
「何のつもりや?」
「お前との決着をつけたかったからだ。こんな終わり方はお前も納得できないだろ?」
「……ハッ!相変わらずお優しいなぁ。そんなお前が俺は―――」
大ッ嫌いなんだよ!っと口にしないものの恭介の振るう鞭がクルスの腕に触れると爆発が起きて、腕から血が流れるがクルスは気にした様子もなく恭介に接近してシャインスフィアを放つ。
そのシャインスフィアを受けつつ恭介は背後から、大量の短剣を出現させ一斉に放つ。
その短剣をクルスは次々と撃ち落としながらシャイニングバーストでまとめて消滅させていく。
「お前はホンマに化け物やな」
「それでも今の僕ではおそらくラファスには勝てないだろうね」
一度だけ戦ったからクルスには分かっていた。
今の自分では勝てない。
あの力と対等に戦うにはさらに強くなる必要がある。
だからここで負ける訳にはいかない。
「恭介に聞きたい事がある」
「何や?」
「何故お前は今もラファスに従う?昔ならまだしも今のお前がヤツに従う理由はないはずだ」
「その口から察したわ。お前は知ってるんやな」
「……あぁ」
恭介は諦めたような笑みを浮かべ肩をすくめる。
アリシアがラファスと対峙した事も、光帝が今どうなっているのかも知ってるんやな。
それを知って何故俺がラファスに従っているのか気になってるって訳か。
そんなもん、一つしかないやろ?
「俺はジョーカーズの毒帝やぞ。どんな理由があろうと最後までジョーカーズとして戦う。それだけや」
だからここで終わらせる。
俺とお前の因縁に。
今までの戦いも含めて全てをここで。
「構えろやクルス。この一撃で終わらせる」
「あぁ…」
恭介とクルスの足元に魔法陣が展開される。
恭介はカートリッジを二発ロードして鞭が禍々しく変化してまるでヒュドラのような形状になりその変化した鞭を思い切り降り下ろす。
「終わりやクルス。ファントムジャッジ!」
その巨大な鞭を見つめながらクルスはゆっくりと銃口に魔力を込める。
初めて会ったあの日から何回も僕はお前と戦った。
アズールと同じようにお前は僕にとって厄介な敵だったよ。
ジョーカーズの一人。
毒帝の高階恭介。
「アブソリュート・フィナーレ」
双銃から放たれた氷結魔法は恭介の降り下ろした、ファントムジャッジを全て凍らせ恭介を呑み込んでいく。
(アリシア、最後にお前に会いたかったわ)
目を閉じて微かに笑みを浮かべる恭介は、消えていく意識の中で自分を包み込む温かさに気づく。
この温かさを自分は知っている。
(…あぁ。来てくれたんやな……アリシア)
そして――
クルスの氷結魔法により毒帝の高階恭介は消滅した。
空から雪が降るなかクルスは自分の身体に刻まれたタトゥーを確認する。
「……消えている」
恭介に刻まれたタトゥーは消えたか。
これで残るは凶王ラファスとユリナだけか。
「クルス…」
「雅と剣は捕まえた。後は任せたよショウ」
ショウに捕まる前にこのまま離れようと転移魔法で消えようとするクルスだったが、
「クルス!」
金色の光が思い切りクルスに抱きついて離さないと言わんばかりに力を込める。
その相手にクルスは困ったように笑ってしまう。
確認しなくてもわかる。
この金色の光の正体は間違いなく彼女しかいない。
「…フェイト」
「どこにもいかないでクルス」
自分の命よりも大切で自分がショウ達と戦ってまで守りたかった存在。
フェイト・T・ハラオウンが涙を流しながら抱きつき、クルスは転移魔法をやめるとフェイトの頭をただ優しく撫でながら仕方ないかと呟くのである。
次回予告
なのは
「戦いが終わり、私達はクルス君と話を始めた。
クルス君が語る本当の真実とは?
ジョーカーズと凶王ラファスとユリナさんの真実。
今全てが繋がっていく。
次回S.H.D.C.
第四十九話
【語られし真実】に!
ドライブイグニッション!!」