ビバ!夏休み
「まぁ、海や温泉やカラオケやゲームセンター等たくさんありますので楽しんでください!」
「ちなみに夜の営みは「房宿、下ネタはやめろ」え~!」
水色の髪をした女性の言葉を赤髪の青年が止めた。
「ぶ~!亢宿、こんなに女の子がいるんだからクルス様だって……」
そう言って頬を染める房宿は、
「「まぁまぁまぁ!!」」
カレハと同じタイミングで妄想に入った。
「カ、カレハ先輩が二人いる!?」
稟はその光景に唖然と戦慄の混じった表情に変わる。
「ごめんね稟。房宿は妄想癖があって」
そんな複雑な表情を浮かべる稟にクルスが同情するように口を開いた。
「後は私達に任せてクルス様は皆様と楽しんでください」
「すまないな心宿」
「私はアナタ様の剣ですから」
黒髪の青年はニッコリと笑って他の者達を引きずってその場から消えていった。
彼の名は心宿と言ってクルスが最も信頼している者であるとはとある三人以外誰も知らないだろう。
「じゃあ部屋はどうしようか?今日は貸し切りだから自由らしいけど…」
魔王の言葉が引き金となり女性達の戦いが始まった。
「ショウ君!私と一緒の部屋だよね!?」
「違うでなのはちゃん!ショウ君は私とや!」
「二人ともわかってないなー」
「ショウはウチとやから三人は遠慮してもらおうか」
ショウラバーズの戦い――
「クルスは私と一緒って決まってるよね」
「違うよフェイト。クルスは私とだよ」
「お二人こそ何を言っているんですか?クルス君は私とですよ…」
クルスに恋する女の子達の戦い―――
「稟君は私と一緒ッス!」
「稟様…私と一緒に」
「稟さんと私が………まぁまぁまぁ!!」
土見ラバーズの戦い――
「ハヤテよ!執事は常に主と一緒だぞ!」
「何を言ってるのナギ!ハヤテ君は私とよ!」
「二人とも違うんじゃないかな!?ハヤテ君は私とだよ!」
綾崎ラバーズの戦い――
「アイツらが狂おしいほど妬ましい!」
そんな光景を樹が血の涙を流しながら見つめており、三人娘はラバーズの戦いをビデオカメラで撮影していた。
そんな状況で四人は――
「クルス、何で旅館に映画館なんだ?」
「何でって?斬新だと思ったから」
「斬新すぎるは!」
稟が激しくツッコミ、ハヤテが小さく頷いていた。
「やっぱり失敗だったかな…心宿?」
「いえ!アイディアとして最高だと思います」
クルスの呟きを心宿がすかさず同意した。
……んっ?
「心宿、お前いつの間に?」
ショウが呆れたように心宿に言うと、
「私のスキルには神出鬼没が組み込まれています」
「あっ…それは僕のセリフです!?」
このように楽しく会話をしていた。
そして――女性達の口論の末に部屋割りはくじ引きで決める事にした。
「心宿わかっているな?」
「もちろんです。私にお任せください」
クルスが心宿の耳元で囁いているのに稟が気付いて詰め寄ってきたが、
「大丈夫だよ稟。僕を信じて」
(スッゴク…嫌な予感がするぞ)
こうしてクジにより部屋割りは決まっていく。
【炎帝の間】
ショウ・ヤナギ
高町なのは
時雨亜沙
愛沢咲夜
【冷帝の間】
クルス・アサヅキ
フェイト
芙蓉楓
イヴ
【土帝の間】
土見稟
シア
ネリネ
カレハ
【風帝の間】
綾崎ハヤテ
三千院ナギ
鷺ノ宮伊澄
朝風理沙
【星帝の間】
プリムラ
瀬川泉
花菱美希
西沢歩
レナ
【雷帝の間】
セフィリア
マリア
桂ヒナギク
セリーヌ
【夜帝の間】
八神はやて
シグナム
ヴィータ
リインフォースⅠ
シャマル
【光帝の間】
リンディ
エイミィ
アルフ
【毒帝の間】
緑葉樹
ジェノス
ベルゼー
ザフィーラ
【剣帝の間】
クロード
ディアス
アシュトン
クロノ
【神魔の間】
神王
魔王
シャオ
トレイン
ユーノ
「バッ、バカな!?」
「これだけの美女がいるのに何で…!?」
「「男ばかりでメンバーが濃いいんだぁぁぁ~!!」」
樹とジェノスは死んだ魚のような目をして床を叩きまくっていた。
一方女性陣は一緒になれた者達は歓喜の声を上げて、一緒の部屋になれなかった者達は負のオーラを出して落胆の表情を浮かべていた。
「心宿、少し細工しなかった?」
「どうでしょうね?」
心宿はニヤリと笑ってショウを見ていた。
~ショウSide~
「へぇ~なかなかいい部屋じゃないか」
部屋に入ってショウは荷物を置いて部屋を見ていたがある場所を見て固まった。
(眼の錯覚か?ベッドが一つしかないが…)
ショウの視線の先にはベッドが一つしかなかった。
「何や?ベッドは一つかいな?」
「よかったねショウちゃん!美女に囲まれて」
咲夜と亜沙の言葉にショウは頭を抱える。
「ショウ君が真ん中で……問題ないね!」
問題しかないんだが?
それでいいのか三人とも?
なのはの爆弾発言にショウは汗をかきまくっている。
すると次の瞬間――
『『いやだぁぁぁぁ~!!』』
樹とジェノスの叫びが聞こえてショウ達は首を傾げた。
△▼△▼△▼
~クルスSide~
『『いやだぁぁぁぁ~!!』』
この部屋にも聞こえており四人は苦笑していた。
「さてベッドが一つかこれは大変だね」
クルスが渇いた笑みを浮かべながら三人に言うと、
「だっ、大丈夫ですよ」
「クルスはベッドを使っていいから」
「私達三人はクルスと寝れば問題ないから」
いやいや…問題ありまくりなんだけど。
「僕…今夜寝れるかな…(理性が崩壊しませんように)」
クルスの呟きが風と共に流れていった。
△▼△▼△▼
~稟Side~
「さっきの悲鳴って…」
「樹さんとジェノスさんが…まぁまぁまぁ!!」
稟達の部屋にも聞こえていたが誰も心配はしてなかった。
カレハに至っては恐ろしい妄想でトリップまでしている。
そして稟はベッドが一つしかない事に顔が凍りつく。
(ベッドが一つだと!?何故だ!まさか心宿の策略か!?)
ベッドを見ながら絶望していると、
「稟君!一緒に寝れるね」
「稟様、夜が楽しみですね」
「稟さんと私が…!」
お姫様二人は喜んで一人は妄想の世界にダイブしていた。
(俺は徹夜だな…)
稟もまた渇いた笑みを浮かべていた。
~ハヤテSide~
「何だか騒がしくないか?」
「きっ、気のせいですよ!」
ハヤテの部屋では三人が優雅にティータイムをしていた。
「それにしてもいつも通り伊澄が消えたな」
「そうですね。部屋まで一緒でしたのに」
伊澄は先程までいたのだがいつも通りいつの間にか消えていた。
「時にハヤ太君!キミは美女二人と寝て大丈夫かね?」
理沙の言葉にハヤテは現実に引き戻されてベッドに視線を向けた。
「ベッドは一つだ。つまり……私と彼女とキミは一緒ということだ」
紅茶をテーブルに置いて理沙はニヤニヤしていたが、
「ハヤテ、顔色が真っ青だが嫌だったのか?」
悲しそうな表情のナギにハヤテは首を激しく横に振って否定した。
「嫌だなお嬢様!僕は嬉しいに決まってるじゃないですか!」
(フフフ…!ボイスGET!麻弓に報告せねば)
ハヤテの称号に――
【ロリコン】が追加された。
しかもボイスまで録られていたとはハヤテが気付くはずもなかった。
△▼△▼△▼
~毒帝Side~
「「いやだぁぁぁぁ~!!」」
旅館を揺るがす程の悲鳴を上げている二人。
理由は――
「何でこの俺様が!ベルゼーと」
「この美男子ジェノス様が!ザフィーラとなんだよ!」
自分達が寝る相手をくじ引きで決めた結果、樹とベルゼーが同じベッドでジェノスとザフィーラが同じベッドとなった。
「美女と一緒じゃないうえにオッサンとなんて」
「神は俺達を見捨てたのか!?」
神魔の間にいる神王がくしゃみをしていたのは余談である。
「安心しろ。私にそんな趣味はない」
「我もだ…」
当たり前の事を言う二人だが、
「「あぁぁぁぁ~!!」」
二人は再び悲鳴を上げていた。
「なら!俺様は床で寝るからベッドはベルゼーが使いなよ!」
「そうだな。俺も樹と同じ床でいい。ベッドはザフィーラが使え」
こうなったらやけである。
野郎と同じベッドを選ぶよりもマシである。
「すみませんお二方」
「何だい心宿?」
「床は深夜になると水浸しになる予定なので」
またもやいつの間にか現れた心宿に二人は目を丸くしている。
「どんなホテルだい!?」
「サプライズ仕様となっております」
「「ふざけんな!」」
結局二人が床で寝る事は不可能であった。
~海~
「「う~み~!!」」
高々と声を上げると両王は浜辺でおいかけっこを始める。
それを見ていた者達はなるべく視界に入れないように避難してシートやパラソルの支度をする。
「ここは僕とクロードとディアスでやっとくから皆は着替えて来なよ」
クルスがそう言うとクロードとディアスは準備を始める。
「けどクルス君やクロードさん達は?」
「僕は泳がないから気にしなくていいよ。それに二人なら後で着替えればいいから」
「泳がないって……まさか!?」
何を思ったのか皆がニヤニヤしている。
おそらく――
「クルス…泳げないなら私が…」
「私でいいなら…」
どうやらカナヅチと思われたらしい。
「そうか!そうか!クルスにも弱点があったのか」
何やら樹が嬉しそうに肩を掴んできたが、
「樹、僕は泳げないんじゃないよ」
「分かってるって!ミスターカナヅチ君!」
その言葉が引き金となりクルスはゆっくり口を開いた。
「心宿、こいつを海に沈めてきて」
「はい!」
心宿が現れて樹の首を掴んで海に潜っていった。
「……僕の事はいいから早く」
「じゃあ頼んだぞ!」
こうして三人以外のメンバーは着替えに向かった。
それを見送って三人は準備を再開すると、
「クルス様、鮫が樹さんを連れて行きましたが」
「樹はいい仲間だったよ」
クルスはそう言いながら樹の眼鏡を海に流していた。
「ところで、お前はどうして泳がないんだ?」
ディアスがパラソルを刺してクルスに尋ねる。
「二人になら見せていいかな……」
クルスは上着を脱いで上半身を見せた。
「…ッ!クルス、この傷は………」
「かなりの傷だ。腕に肩に腹部に横腹に背中、どれもかすり傷とは言えんな。それにこのタトゥーは…」
二人が見たものはクルスの身体に刻まれた傷の数々と謎の黒いタトゥー。
「こんな僕の姿は見せられないよ」
「レナの治癒魔法でも治らなかったのか?」
「……まぁね」
クルスは上着をきて海を眺めながら口を開いた。
「この傷は代償だから…(佑奈の事と比べたらこんな傷なんか)」
クルスの悲しげな表情に二人は何も言えなかった。
「ちなみに夜の営みは「房宿、下ネタはやめろ」え~!」
水色の髪をした女性の言葉を赤髪の青年が止めた。
「ぶ~!亢宿、こんなに女の子がいるんだからクルス様だって……」
そう言って頬を染める房宿は、
「「まぁまぁまぁ!!」」
カレハと同じタイミングで妄想に入った。
「カ、カレハ先輩が二人いる!?」
稟はその光景に唖然と戦慄の混じった表情に変わる。
「ごめんね稟。房宿は妄想癖があって」
そんな複雑な表情を浮かべる稟にクルスが同情するように口を開いた。
「後は私達に任せてクルス様は皆様と楽しんでください」
「すまないな心宿」
「私はアナタ様の剣ですから」
黒髪の青年はニッコリと笑って他の者達を引きずってその場から消えていった。
彼の名は心宿と言ってクルスが最も信頼している者であるとはとある三人以外誰も知らないだろう。
「じゃあ部屋はどうしようか?今日は貸し切りだから自由らしいけど…」
魔王の言葉が引き金となり女性達の戦いが始まった。
「ショウ君!私と一緒の部屋だよね!?」
「違うでなのはちゃん!ショウ君は私とや!」
「二人ともわかってないなー」
「ショウはウチとやから三人は遠慮してもらおうか」
ショウラバーズの戦い――
「クルスは私と一緒って決まってるよね」
「違うよフェイト。クルスは私とだよ」
「お二人こそ何を言っているんですか?クルス君は私とですよ…」
クルスに恋する女の子達の戦い―――
「稟君は私と一緒ッス!」
「稟様…私と一緒に」
「稟さんと私が………まぁまぁまぁ!!」
土見ラバーズの戦い――
「ハヤテよ!執事は常に主と一緒だぞ!」
「何を言ってるのナギ!ハヤテ君は私とよ!」
「二人とも違うんじゃないかな!?ハヤテ君は私とだよ!」
綾崎ラバーズの戦い――
「アイツらが狂おしいほど妬ましい!」
そんな光景を樹が血の涙を流しながら見つめており、三人娘はラバーズの戦いをビデオカメラで撮影していた。
そんな状況で四人は――
「クルス、何で旅館に映画館なんだ?」
「何でって?斬新だと思ったから」
「斬新すぎるは!」
稟が激しくツッコミ、ハヤテが小さく頷いていた。
「やっぱり失敗だったかな…心宿?」
「いえ!アイディアとして最高だと思います」
クルスの呟きを心宿がすかさず同意した。
……んっ?
「心宿、お前いつの間に?」
ショウが呆れたように心宿に言うと、
「私のスキルには神出鬼没が組み込まれています」
「あっ…それは僕のセリフです!?」
このように楽しく会話をしていた。
そして――女性達の口論の末に部屋割りはくじ引きで決める事にした。
「心宿わかっているな?」
「もちろんです。私にお任せください」
クルスが心宿の耳元で囁いているのに稟が気付いて詰め寄ってきたが、
「大丈夫だよ稟。僕を信じて」
(スッゴク…嫌な予感がするぞ)
こうしてクジにより部屋割りは決まっていく。
【炎帝の間】
ショウ・ヤナギ
高町なのは
時雨亜沙
愛沢咲夜
【冷帝の間】
クルス・アサヅキ
フェイト
芙蓉楓
イヴ
【土帝の間】
土見稟
シア
ネリネ
カレハ
【風帝の間】
綾崎ハヤテ
三千院ナギ
鷺ノ宮伊澄
朝風理沙
【星帝の間】
プリムラ
瀬川泉
花菱美希
西沢歩
レナ
【雷帝の間】
セフィリア
マリア
桂ヒナギク
セリーヌ
【夜帝の間】
八神はやて
シグナム
ヴィータ
リインフォースⅠ
シャマル
【光帝の間】
リンディ
エイミィ
アルフ
【毒帝の間】
緑葉樹
ジェノス
ベルゼー
ザフィーラ
【剣帝の間】
クロード
ディアス
アシュトン
クロノ
【神魔の間】
神王
魔王
シャオ
トレイン
ユーノ
「バッ、バカな!?」
「これだけの美女がいるのに何で…!?」
「「男ばかりでメンバーが濃いいんだぁぁぁ~!!」」
樹とジェノスは死んだ魚のような目をして床を叩きまくっていた。
一方女性陣は一緒になれた者達は歓喜の声を上げて、一緒の部屋になれなかった者達は負のオーラを出して落胆の表情を浮かべていた。
「心宿、少し細工しなかった?」
「どうでしょうね?」
心宿はニヤリと笑ってショウを見ていた。
~ショウSide~
「へぇ~なかなかいい部屋じゃないか」
部屋に入ってショウは荷物を置いて部屋を見ていたがある場所を見て固まった。
(眼の錯覚か?ベッドが一つしかないが…)
ショウの視線の先にはベッドが一つしかなかった。
「何や?ベッドは一つかいな?」
「よかったねショウちゃん!美女に囲まれて」
咲夜と亜沙の言葉にショウは頭を抱える。
「ショウ君が真ん中で……問題ないね!」
問題しかないんだが?
それでいいのか三人とも?
なのはの爆弾発言にショウは汗をかきまくっている。
すると次の瞬間――
『『いやだぁぁぁぁ~!!』』
樹とジェノスの叫びが聞こえてショウ達は首を傾げた。
△▼△▼△▼
~クルスSide~
『『いやだぁぁぁぁ~!!』』
この部屋にも聞こえており四人は苦笑していた。
「さてベッドが一つかこれは大変だね」
クルスが渇いた笑みを浮かべながら三人に言うと、
「だっ、大丈夫ですよ」
「クルスはベッドを使っていいから」
「私達三人はクルスと寝れば問題ないから」
いやいや…問題ありまくりなんだけど。
「僕…今夜寝れるかな…(理性が崩壊しませんように)」
クルスの呟きが風と共に流れていった。
△▼△▼△▼
~稟Side~
「さっきの悲鳴って…」
「樹さんとジェノスさんが…まぁまぁまぁ!!」
稟達の部屋にも聞こえていたが誰も心配はしてなかった。
カレハに至っては恐ろしい妄想でトリップまでしている。
そして稟はベッドが一つしかない事に顔が凍りつく。
(ベッドが一つだと!?何故だ!まさか心宿の策略か!?)
ベッドを見ながら絶望していると、
「稟君!一緒に寝れるね」
「稟様、夜が楽しみですね」
「稟さんと私が…!」
お姫様二人は喜んで一人は妄想の世界にダイブしていた。
(俺は徹夜だな…)
稟もまた渇いた笑みを浮かべていた。
~ハヤテSide~
「何だか騒がしくないか?」
「きっ、気のせいですよ!」
ハヤテの部屋では三人が優雅にティータイムをしていた。
「それにしてもいつも通り伊澄が消えたな」
「そうですね。部屋まで一緒でしたのに」
伊澄は先程までいたのだがいつも通りいつの間にか消えていた。
「時にハヤ太君!キミは美女二人と寝て大丈夫かね?」
理沙の言葉にハヤテは現実に引き戻されてベッドに視線を向けた。
「ベッドは一つだ。つまり……私と彼女とキミは一緒ということだ」
紅茶をテーブルに置いて理沙はニヤニヤしていたが、
「ハヤテ、顔色が真っ青だが嫌だったのか?」
悲しそうな表情のナギにハヤテは首を激しく横に振って否定した。
「嫌だなお嬢様!僕は嬉しいに決まってるじゃないですか!」
(フフフ…!ボイスGET!麻弓に報告せねば)
ハヤテの称号に――
【ロリコン】が追加された。
しかもボイスまで録られていたとはハヤテが気付くはずもなかった。
△▼△▼△▼
~毒帝Side~
「「いやだぁぁぁぁ~!!」」
旅館を揺るがす程の悲鳴を上げている二人。
理由は――
「何でこの俺様が!ベルゼーと」
「この美男子ジェノス様が!ザフィーラとなんだよ!」
自分達が寝る相手をくじ引きで決めた結果、樹とベルゼーが同じベッドでジェノスとザフィーラが同じベッドとなった。
「美女と一緒じゃないうえにオッサンとなんて」
「神は俺達を見捨てたのか!?」
神魔の間にいる神王がくしゃみをしていたのは余談である。
「安心しろ。私にそんな趣味はない」
「我もだ…」
当たり前の事を言う二人だが、
「「あぁぁぁぁ~!!」」
二人は再び悲鳴を上げていた。
「なら!俺様は床で寝るからベッドはベルゼーが使いなよ!」
「そうだな。俺も樹と同じ床でいい。ベッドはザフィーラが使え」
こうなったらやけである。
野郎と同じベッドを選ぶよりもマシである。
「すみませんお二方」
「何だい心宿?」
「床は深夜になると水浸しになる予定なので」
またもやいつの間にか現れた心宿に二人は目を丸くしている。
「どんなホテルだい!?」
「サプライズ仕様となっております」
「「ふざけんな!」」
結局二人が床で寝る事は不可能であった。
~海~
「「う~み~!!」」
高々と声を上げると両王は浜辺でおいかけっこを始める。
それを見ていた者達はなるべく視界に入れないように避難してシートやパラソルの支度をする。
「ここは僕とクロードとディアスでやっとくから皆は着替えて来なよ」
クルスがそう言うとクロードとディアスは準備を始める。
「けどクルス君やクロードさん達は?」
「僕は泳がないから気にしなくていいよ。それに二人なら後で着替えればいいから」
「泳がないって……まさか!?」
何を思ったのか皆がニヤニヤしている。
おそらく――
「クルス…泳げないなら私が…」
「私でいいなら…」
どうやらカナヅチと思われたらしい。
「そうか!そうか!クルスにも弱点があったのか」
何やら樹が嬉しそうに肩を掴んできたが、
「樹、僕は泳げないんじゃないよ」
「分かってるって!ミスターカナヅチ君!」
その言葉が引き金となりクルスはゆっくり口を開いた。
「心宿、こいつを海に沈めてきて」
「はい!」
心宿が現れて樹の首を掴んで海に潜っていった。
「……僕の事はいいから早く」
「じゃあ頼んだぞ!」
こうして三人以外のメンバーは着替えに向かった。
それを見送って三人は準備を再開すると、
「クルス様、鮫が樹さんを連れて行きましたが」
「樹はいい仲間だったよ」
クルスはそう言いながら樹の眼鏡を海に流していた。
「ところで、お前はどうして泳がないんだ?」
ディアスがパラソルを刺してクルスに尋ねる。
「二人になら見せていいかな……」
クルスは上着を脱いで上半身を見せた。
「…ッ!クルス、この傷は………」
「かなりの傷だ。腕に肩に腹部に横腹に背中、どれもかすり傷とは言えんな。それにこのタトゥーは…」
二人が見たものはクルスの身体に刻まれた傷の数々と謎の黒いタトゥー。
「こんな僕の姿は見せられないよ」
「レナの治癒魔法でも治らなかったのか?」
「……まぁね」
クルスは上着をきて海を眺めながら口を開いた。
「この傷は代償だから…(佑奈の事と比べたらこんな傷なんか)」
クルスの悲しげな表情に二人は何も言えなかった。