現れた最凶の存在
『フハハハハハ!!初めましてだな愚かな人間共!!我が名はラファス。凶王である!貴様ら下等な人間は我の前にひれ伏すがよい!!』
光が消えて次に現れたのは圧倒的威圧感と恐怖を放出している男だった。
その姿や声にヴォルケンリッターは唖然として、はやてとユニゾンしていたアインスは目を丸くしていた。
『バッ、バカな!!ラファスだと!?』
かつてベルカ時代にベルエスを使い殺戮や破壊を楽しんでいた男。
間違えるはずもない。
間違いなく目の前に現れた存在は、あの凶王ラファスだったのだ。
全てを見下すあの目に王としての風格は何一つ変わってはいない。
(そうか…。何故ユリナがベルエスを知っていたのかこれでわかった。ラファスが裏で手を引いていたのか。だが何故ラファスがフューチャーの人格に宿っている?可能性としては、やはりネメシスと相討ちの時しかないが…。だとしたら主達が危ない!)
アインスはユニゾンしたまま顔を歪めている。
ラファスの強さは自分もよく知っており、今こちらは四柱での戦いで満身創痍者ばかりなのだ。
いくら人数で圧倒していても、今の状態では絶対に勝てはしない。
『さぁ、どいつから消してやろうか?我をイラつかせたフューチャーを持つ者にするか?』
黒い炎に包まれた剣をラファスはショウに向ける。
その殺気や威圧感にショウはフローラとユニゾンして剣を手にしたまま無意識に息を呑む。
先程の一撃で将輝達はいまだに倒れたままだ。
今なんとか出来るのはフューチャーを使う自分だけだ。
『弱いな貴様…』
「なっ!?」
警戒しているショウに対しラファスはまるで虫を見るような目で見下していた。
それだけでなく興ざめと言わんばかりに溜め息を吐く。
『つまらん。さっさと消え失せろ下等な人間よ』
ラファスはショウに向かって将輝達に使った時と同じようにシャドウフレアを放とうとした時だった、ラファスとショウの間にフェイトのバルディッシュに似たデバイスを展開させながら仮面をはめた人物が現れた。
『貴様は…』
現れた人物にラファスは目を細めて剣の炎を消していく。
それに対しショウ達は新たに現れた介入者に怪訝な表情を浮かべていた。
『何のつもりだ雷帝よ?』
「………」
『我の邪魔をしたのだ。理由を聞かせてもらおうか』
「……」
『貴様ぁぁぁぁ!!』
殺気だつラファスに対して仮面の人物は黙ったまま魔方陣を展開して、後ろにいるショウ達を守るように結界を張る。
次に蒼い槍を出現させてその槍をラファスに向けて一気に放つ。
『…ほぅ』
その槍を目にしてラファスは目を細めたまま剣を振るい槍は一瞬で消滅する。
そのあとラファスは肉食獣のような目付きで仮面の人物に切りかかると、仮面の人物はテバイスを剣状態にしてラファスの剣を受け止めて後方へ下がる。
『ハハハハハ!!』
「……ッ!!」
剣と剣がぶつかり合いラファスは楽しげに笑い、仮面の人物は高速で動いてラファスに切りかかっていた。
「なっ、何が起きてるんだ?」
二人の攻防を目にして唖然とするショウはクロノに目を向けると、クロノは小さく頷いて全員を一ヶ所に集めて戦いを見つめていた。
ラファスを見ているとまるで遊んでいるようにしか見えないがそれでも今の自分達よりは戦えている?
一体何者なんだ?
《アナタ達は今のうちに逃げて》
《……っ!?》
クロノ達全員に思念通話が届いて全員の視線が、ラファスと戦っている仮面の人物に向けられた。
《今のアナタ達じゃ、この凶王には勝てない。だから早くここから…》
『何をこそこそしている!!』
「……クッ!」
ラファスの剣を受け止めたものの、その衝撃までは耐えきれなかったのか仮面の人物は地面に叩きつけられた。
ピシっ!と仮面に罅が入っていくが、それに気にする事もなく仮面の人物はラファスに切りかかる。
『雷帝よ、貴様はジョーカーズでも我に貢献していたのに何のつもりだ?』
「……アナタ達の計画を止めるため。そして――」
罅が次第に広がり仮面はパキッと音を鳴らして割れていく。
仮面がゆっくりと地面に落下して、皆の前にその素顔が現れてしまう。
「………えっ?」
この時誰よりも真っ先に反応したのはフェイトだった。
仮面の人物の素顔は自分と全くの瓜二つでフェイトはポツリとその人物の名前を口にする。
「……アリシア?」
そんなはずはない。
アリシアは母さんの事件で母さんと一緒に虚数空間に落ちていったはずだ。
こんなところにいるはずはない。
「私はアナタとユリナさんを許さない。アナタ達の計画のせいで……」
アリシアの目に宿る怒りという感情。
ヒュードラ事件の裏で隠れていたマテリアルコア計画。
それのせいで母さんが壊れてしまった。
こんな計画のせいで母さんは傷ついてしまった。
「全てを終わらせる。だからここで…」
アリシアはカートリッジを消費して、デバイスの形状を巨大な大鎌に変えてその刃をラファスに向ける。
そのアリシアの姿はまるで母のプレシアと重なり、ただただアリシアはラファスを真っ直ぐに見つめていた。
「アナタ達を倒す!」
『小娘が調子に乗るなよ。貴様などそこらにいる羽虫と同じだ』
二人の間にピリピリとした空気が漂う状況で、ショウ達はもう混乱するしかなかった。
自分達を助けた人物はジョーカーズの雷帝で、その正体がフェイトの姉で死んだはずのアリシア・テスタロッサだった?
しかもアリシアはプレシアの為にラファスとユリナを倒そうとしている。
一体何がどうなっているんだ?
(クルス、お前はもしかして知っていたのか。俺達が知らない全てを)
ここにはいない親友の顔を浮かべショウは顔を歪める。
「アナタ達はここから離れて。ここは私がなんとかするから」
「待ってくれ!一人で戦うのは危険すぎる。それにキミはフェイトの姉のアリシアなんだろ!どうしてキミがここに…」
アリシアの言葉にクロノが声を荒くして問い掛けていた。
今の自分達にはアリシアという人物が必要だ。
おそらくアリシアはラファスや元帥の事や事件の真相を知っているはずだ。
このままラファスと戦っては死ぬようなものである。
「アナタ達が優先するのはここから逃げること。それに勘違いしないで、フェイトのお義兄さん。私は一人じゃないから」
「なにっ!?」
アリシアは一瞬フェイトの方に目を向けて微かに微笑むと、アリシアの左右に魔法陣が展開してその魔法陣から二人の人物が現れた。
『なにっ…』
現れたのは四柱の戦いで稟に敗北してボロボロだったはずのエグザと、エグザの傍にずっといた少女ファイだった。
ポケットに手を入れて笑うエグザはラファスをジッと見つめ、ファイはデバイスを起動させてショウ達と自分達の間に水の壁を作り出す。
『土帝に水帝も我を裏切る気か?』
「私はすでにジョーカーズの土帝ではない。今の私は未来を若き者に託したただのエグザだ」
「そして僕は、エグザのパートナーであるファイ・オーヴァスだ!」
『貴様らぁぁぁぁ!!』
ラファスは自分の駒だった三人が裏切った事に激怒して声を上げる。
自分の前にいるのはもはや駒ではなく裏切り者。
裏切った事を後悔するまでなぶり殺しにしてやる。
「……フェイト」
「えっ…」
水の壁のせいでフェイトはアリシアの姿はうっすらにしか見えない。
しかし声だけはちゃんと聞こえていて、フェイトはアリシアの声に耳を傾ける。
「ごめんねフェイト。私達のせいでフェイトを傷つけちゃった。でもあの人はきっとアナタのところに帰ってくるから」
「アリシア…」
「フェイトは私や母さんにとって自慢の家族だよ。だからアナタは私達の分まで幸せになってね」
その言葉にフェイトはハッとして結界を抜けようとするが、結界から抜け出せずフェイトは瞳から大粒の涙をこぼす。
「アリシア!やめて!」
「……最後に直接フェイトと会えてお姉ちゃんは幸せだったよ。バイバイ……私の大好きな妹。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」
「待って!やめて!お姉ちゃん!!」
必死に手を伸ばすフェイトだったがアリシアは強制転移魔法を使い、フェイト達全員をこの場からアースラに転移させるのであった。
「よかったのかアリシア」
「…うん。フェイトには死んでほしくなかったから」
アリシアは一筋の涙を流しながらもニッコリ笑う。
お姉ちゃんは妹を守る為にいるのだ。
母さんと私の思いも未来もフェイトに託す。
「全く…」
そんなアリシアにエグザは頭を優しく撫でてまるで父親のような雰囲気で笑っていた。
「お前は立派なお姉ちゃんだよアリシア」
「当然だよエグザ!妹の前で弱いところなんて見せられないもん!」
「アリシア!なんていいお姉ちゃん!」
エッヘン!と胸を張るアリシアにファイが目を輝かせて手を叩く。
こんな時に不謹慎だが笑ってしまう自分に、エグザはため息を吐いてゆっくりとラファスと向き合う。
『遺言はそのつまらんやり取りでいいか?この…裏切り者共が!!』
ファイの作り出した水の壁が消滅してその場をラファスの怒りと増悪が支配していく。
常人なら気を失うであろう空間にアリシア達は不敵に笑うのみ。
『楽に死ねると思うなよ。貴様らはじっくりと殺してやるぞ!』
「悪いけど私達は未来を彼らに託したんだ!レグルス!」
「ラファスよ。貴様とユリナに未来はない。カルディア!」
「僕達は彼らを信じるよ!アルバフィカ!」
三人の体から魔力が溢れだしその場をキラキラとした光が包み込む。
アリシアがエグザがファイが最大の力を今使う。
「「「オーバードライブ!」」」
ラファスという圧倒的な力とぶつかり合う三つの力。
三人は未来を切り開く者達を守る為に戦う。
最初から結果が分かっていたとしても。
次回予告
ショウ
「ラファスの前に完全敗北した俺達」
クロノ
「四柱での戦いで傷を負った僕達はベルエスから離れるしかなかった」
はやて
「今の私達にできる事とは…」
フェイト
「次回S.H.D.C.
第四十五話
『失ったもの』に…」
なのは
「ドライブ・イグニッション」
光が消えて次に現れたのは圧倒的威圧感と恐怖を放出している男だった。
その姿や声にヴォルケンリッターは唖然として、はやてとユニゾンしていたアインスは目を丸くしていた。
『バッ、バカな!!ラファスだと!?』
かつてベルカ時代にベルエスを使い殺戮や破壊を楽しんでいた男。
間違えるはずもない。
間違いなく目の前に現れた存在は、あの凶王ラファスだったのだ。
全てを見下すあの目に王としての風格は何一つ変わってはいない。
(そうか…。何故ユリナがベルエスを知っていたのかこれでわかった。ラファスが裏で手を引いていたのか。だが何故ラファスがフューチャーの人格に宿っている?可能性としては、やはりネメシスと相討ちの時しかないが…。だとしたら主達が危ない!)
アインスはユニゾンしたまま顔を歪めている。
ラファスの強さは自分もよく知っており、今こちらは四柱での戦いで満身創痍者ばかりなのだ。
いくら人数で圧倒していても、今の状態では絶対に勝てはしない。
『さぁ、どいつから消してやろうか?我をイラつかせたフューチャーを持つ者にするか?』
黒い炎に包まれた剣をラファスはショウに向ける。
その殺気や威圧感にショウはフローラとユニゾンして剣を手にしたまま無意識に息を呑む。
先程の一撃で将輝達はいまだに倒れたままだ。
今なんとか出来るのはフューチャーを使う自分だけだ。
『弱いな貴様…』
「なっ!?」
警戒しているショウに対しラファスはまるで虫を見るような目で見下していた。
それだけでなく興ざめと言わんばかりに溜め息を吐く。
『つまらん。さっさと消え失せろ下等な人間よ』
ラファスはショウに向かって将輝達に使った時と同じようにシャドウフレアを放とうとした時だった、ラファスとショウの間にフェイトのバルディッシュに似たデバイスを展開させながら仮面をはめた人物が現れた。
『貴様は…』
現れた人物にラファスは目を細めて剣の炎を消していく。
それに対しショウ達は新たに現れた介入者に怪訝な表情を浮かべていた。
『何のつもりだ雷帝よ?』
「………」
『我の邪魔をしたのだ。理由を聞かせてもらおうか』
「……」
『貴様ぁぁぁぁ!!』
殺気だつラファスに対して仮面の人物は黙ったまま魔方陣を展開して、後ろにいるショウ達を守るように結界を張る。
次に蒼い槍を出現させてその槍をラファスに向けて一気に放つ。
『…ほぅ』
その槍を目にしてラファスは目を細めたまま剣を振るい槍は一瞬で消滅する。
そのあとラファスは肉食獣のような目付きで仮面の人物に切りかかると、仮面の人物はテバイスを剣状態にしてラファスの剣を受け止めて後方へ下がる。
『ハハハハハ!!』
「……ッ!!」
剣と剣がぶつかり合いラファスは楽しげに笑い、仮面の人物は高速で動いてラファスに切りかかっていた。
「なっ、何が起きてるんだ?」
二人の攻防を目にして唖然とするショウはクロノに目を向けると、クロノは小さく頷いて全員を一ヶ所に集めて戦いを見つめていた。
ラファスを見ているとまるで遊んでいるようにしか見えないがそれでも今の自分達よりは戦えている?
一体何者なんだ?
《アナタ達は今のうちに逃げて》
《……っ!?》
クロノ達全員に思念通話が届いて全員の視線が、ラファスと戦っている仮面の人物に向けられた。
《今のアナタ達じゃ、この凶王には勝てない。だから早くここから…》
『何をこそこそしている!!』
「……クッ!」
ラファスの剣を受け止めたものの、その衝撃までは耐えきれなかったのか仮面の人物は地面に叩きつけられた。
ピシっ!と仮面に罅が入っていくが、それに気にする事もなく仮面の人物はラファスに切りかかる。
『雷帝よ、貴様はジョーカーズでも我に貢献していたのに何のつもりだ?』
「……アナタ達の計画を止めるため。そして――」
罅が次第に広がり仮面はパキッと音を鳴らして割れていく。
仮面がゆっくりと地面に落下して、皆の前にその素顔が現れてしまう。
「………えっ?」
この時誰よりも真っ先に反応したのはフェイトだった。
仮面の人物の素顔は自分と全くの瓜二つでフェイトはポツリとその人物の名前を口にする。
「……アリシア?」
そんなはずはない。
アリシアは母さんの事件で母さんと一緒に虚数空間に落ちていったはずだ。
こんなところにいるはずはない。
「私はアナタとユリナさんを許さない。アナタ達の計画のせいで……」
アリシアの目に宿る怒りという感情。
ヒュードラ事件の裏で隠れていたマテリアルコア計画。
それのせいで母さんが壊れてしまった。
こんな計画のせいで母さんは傷ついてしまった。
「全てを終わらせる。だからここで…」
アリシアはカートリッジを消費して、デバイスの形状を巨大な大鎌に変えてその刃をラファスに向ける。
そのアリシアの姿はまるで母のプレシアと重なり、ただただアリシアはラファスを真っ直ぐに見つめていた。
「アナタ達を倒す!」
『小娘が調子に乗るなよ。貴様などそこらにいる羽虫と同じだ』
二人の間にピリピリとした空気が漂う状況で、ショウ達はもう混乱するしかなかった。
自分達を助けた人物はジョーカーズの雷帝で、その正体がフェイトの姉で死んだはずのアリシア・テスタロッサだった?
しかもアリシアはプレシアの為にラファスとユリナを倒そうとしている。
一体何がどうなっているんだ?
(クルス、お前はもしかして知っていたのか。俺達が知らない全てを)
ここにはいない親友の顔を浮かべショウは顔を歪める。
「アナタ達はここから離れて。ここは私がなんとかするから」
「待ってくれ!一人で戦うのは危険すぎる。それにキミはフェイトの姉のアリシアなんだろ!どうしてキミがここに…」
アリシアの言葉にクロノが声を荒くして問い掛けていた。
今の自分達にはアリシアという人物が必要だ。
おそらくアリシアはラファスや元帥の事や事件の真相を知っているはずだ。
このままラファスと戦っては死ぬようなものである。
「アナタ達が優先するのはここから逃げること。それに勘違いしないで、フェイトのお義兄さん。私は一人じゃないから」
「なにっ!?」
アリシアは一瞬フェイトの方に目を向けて微かに微笑むと、アリシアの左右に魔法陣が展開してその魔法陣から二人の人物が現れた。
『なにっ…』
現れたのは四柱の戦いで稟に敗北してボロボロだったはずのエグザと、エグザの傍にずっといた少女ファイだった。
ポケットに手を入れて笑うエグザはラファスをジッと見つめ、ファイはデバイスを起動させてショウ達と自分達の間に水の壁を作り出す。
『土帝に水帝も我を裏切る気か?』
「私はすでにジョーカーズの土帝ではない。今の私は未来を若き者に託したただのエグザだ」
「そして僕は、エグザのパートナーであるファイ・オーヴァスだ!」
『貴様らぁぁぁぁ!!』
ラファスは自分の駒だった三人が裏切った事に激怒して声を上げる。
自分の前にいるのはもはや駒ではなく裏切り者。
裏切った事を後悔するまでなぶり殺しにしてやる。
「……フェイト」
「えっ…」
水の壁のせいでフェイトはアリシアの姿はうっすらにしか見えない。
しかし声だけはちゃんと聞こえていて、フェイトはアリシアの声に耳を傾ける。
「ごめんねフェイト。私達のせいでフェイトを傷つけちゃった。でもあの人はきっとアナタのところに帰ってくるから」
「アリシア…」
「フェイトは私や母さんにとって自慢の家族だよ。だからアナタは私達の分まで幸せになってね」
その言葉にフェイトはハッとして結界を抜けようとするが、結界から抜け出せずフェイトは瞳から大粒の涙をこぼす。
「アリシア!やめて!」
「……最後に直接フェイトと会えてお姉ちゃんは幸せだったよ。バイバイ……私の大好きな妹。フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」
「待って!やめて!お姉ちゃん!!」
必死に手を伸ばすフェイトだったがアリシアは強制転移魔法を使い、フェイト達全員をこの場からアースラに転移させるのであった。
「よかったのかアリシア」
「…うん。フェイトには死んでほしくなかったから」
アリシアは一筋の涙を流しながらもニッコリ笑う。
お姉ちゃんは妹を守る為にいるのだ。
母さんと私の思いも未来もフェイトに託す。
「全く…」
そんなアリシアにエグザは頭を優しく撫でてまるで父親のような雰囲気で笑っていた。
「お前は立派なお姉ちゃんだよアリシア」
「当然だよエグザ!妹の前で弱いところなんて見せられないもん!」
「アリシア!なんていいお姉ちゃん!」
エッヘン!と胸を張るアリシアにファイが目を輝かせて手を叩く。
こんな時に不謹慎だが笑ってしまう自分に、エグザはため息を吐いてゆっくりとラファスと向き合う。
『遺言はそのつまらんやり取りでいいか?この…裏切り者共が!!』
ファイの作り出した水の壁が消滅してその場をラファスの怒りと増悪が支配していく。
常人なら気を失うであろう空間にアリシア達は不敵に笑うのみ。
『楽に死ねると思うなよ。貴様らはじっくりと殺してやるぞ!』
「悪いけど私達は未来を彼らに託したんだ!レグルス!」
「ラファスよ。貴様とユリナに未来はない。カルディア!」
「僕達は彼らを信じるよ!アルバフィカ!」
三人の体から魔力が溢れだしその場をキラキラとした光が包み込む。
アリシアがエグザがファイが最大の力を今使う。
「「「オーバードライブ!」」」
ラファスという圧倒的な力とぶつかり合う三つの力。
三人は未来を切り開く者達を守る為に戦う。
最初から結果が分かっていたとしても。
次回予告
ショウ
「ラファスの前に完全敗北した俺達」
クロノ
「四柱での戦いで傷を負った僕達はベルエスから離れるしかなかった」
はやて
「今の私達にできる事とは…」
フェイト
「次回S.H.D.C.
第四十五話
『失ったもの』に…」
なのは
「ドライブ・イグニッション」