秘めた想い
「…がはっ!」
口から血を吐いて苦しそうに稟は顔を歪める。
負ける訳にはいかない。
他の皆が同じように戦っているのに、四柱を破壊する為にジョーカーズと戦っているのに倒れてなんかいられない。
「リオウ、あれを使うぞ」
『分かっておるわ稟。どうせ魔力もつきかけておるしな。最後にヤツにお前の全力を見せてやれ!』
「あぁ!」
ゆっくり立ち上がりエグザから離れて稟は一息つく。
気持ちを落ち着かせ稟は真剣な表情になると、エグザと向き合い斧を背に戻して両手を天に掲げながら魔法陣を展開させる。
「お前にとってそれが全力の魔法だな。ならば私もそれに答えよう」
稟の手に集まる光と闇が混じった球体を目にしつつ、エグザは両手をクロスさせ魔法陣を展開し目を閉じる。
これがお互いの最後の一撃になるだろう。
稟の手には巨大な光と闇の球体が出現し、稟はそれをエグザに放つ準備をしてエグザはただ静かに目を閉じていた。
「エグザ!これが俺とリオウが編み出した全力の魔法だ!プレアネデス・ノヴァ!」
「よかろう。ならば私はそれを消すまでだ。ギガンラウド!」
稟の放った魔法とエグザが使用した魔法が、辺り一面を巻き込みぶつかり始める。
エグザが使用したギガンラウドは大地を崩し、光の閃光と大量の岩石が稟に降り注いでいく。
『稟!』
「ぐあっ…!」
プレアネデス・ノヴァとギガンラウドがぶつかり合う状況で稟はその体から血を流していた。
鎧が破壊され魔力もつきかけている稟にとって、それは耐えきれるものではないほどのダメージだった。
稟は震える体のまま意識を失おうとしたが、
『『稟君!』』
『稟様!』
『稟さん!』
『土見君!』
稟を支えるようにシアやリコリスやネリネやカレハや麻弓の声が稟を奮い立たせ稟は唇を噛み締める。
そうだ――
俺にはまだやる事があるんだ。
皆と一緒に生きていくんだろう土見稟。
神王と魔王になるんだろう土見稟。
こんなところで死ぬなんてダメだろうが。
「リオーーーウ!!」
『任せよ稟!カートリッジフルロード!』
背中の斧から大量のカートリッジが消費され、プレアネデス・ノヴァがさらに膨れ上がっていく。
まるで全てを呑み込むような球体が生まれ、稟はただそれをエグザに振り下ろしていく。
「この一撃に全てをかける!」
「……なんと」
プレアネデス・ノヴァはギガンラウドを消していき、エグザは巨大な球体を両手で受け止めていた。
自分の体が悲鳴を上げる。
しかし私にとってもはやどうでもよかった。
あのひよっこがこんなに強くなるとは。
土見稟はこれから神界と魔界を背負っていくはずだ。
きっとこの男なら強き王になるだろう。
初めて戦ったあの時から私は気付いていた。
土見稟の素質を。
統べる者の素質を。
「よくぞ成長した土見稟よ」
そう呟くと同時にエグザは球体に呑み込まれ、辺り一面を強大な爆発を起こしていく。
その中で稟だけは見ていた、エグザが嬉しそうに笑っていたのを。
――――
「…ザ!…グザ!……エグザ!!」
「………ファイか」
エグザは自分の耳に聞こえてきた声に気付いてゆっくり目を開ける。
意識が朦朧とする状況でエグザが目にしたのは、自分の顔を見つめながら大粒の涙を流している水帝のファイの顔だった。
体からは血が流れまともに動けない事で、エグザは全てを察して口を開く。
「……負けたのだな私は」
目だけを動かし樹に支えてもらいながら立つ稟に目を向ける。
稟も全てを使い果たし立っているのがやっとのようで、息を荒くしながらエグザを見つめていた。
「よい一撃だったぞ土見稟」
「エグザ…」
「ここまでスッキリしたのは初めてだ。お前には感謝している」
今まで戦ってきた記憶の中で満たされたのはこれが初めてだった。
一人の男が王となる事を目にして満足だった。
「この先にお前達の目指す動力部がある」
「エグザ、俺はアンタとの戦いを一生忘れない。アンタがいたから俺は強くなれたんだ。ありがとう」
「本当にお前は面白い男だな」
そう口にしてゆっくり目を閉じるエグザに、稟は小さくだが頭を下げて純一達と一緒にその場から離れていく。
「……エグザ」
満足そうに眠るエグザを膝枕していたファイは、その手をエグザの頬に当てて優しく撫でながら口を開いた。
「お疲れさま。今はゆっくり休んでね……エグザ」
ファイはそう口にしてただずっとエグザの寝顔を見つめていた。
次回予告
なのは
「ついに四柱を破壊した私達」
はやて
「そして私達の前に現れた黒幕」
悠季
「そこで訪れる別れ」
稟
「次回S.H.D.C.
第四十四話
『現れた最強の存在』に…」
フェイト
「ドライブ!」
湊
「イグニッション!」
口から血を吐いて苦しそうに稟は顔を歪める。
負ける訳にはいかない。
他の皆が同じように戦っているのに、四柱を破壊する為にジョーカーズと戦っているのに倒れてなんかいられない。
「リオウ、あれを使うぞ」
『分かっておるわ稟。どうせ魔力もつきかけておるしな。最後にヤツにお前の全力を見せてやれ!』
「あぁ!」
ゆっくり立ち上がりエグザから離れて稟は一息つく。
気持ちを落ち着かせ稟は真剣な表情になると、エグザと向き合い斧を背に戻して両手を天に掲げながら魔法陣を展開させる。
「お前にとってそれが全力の魔法だな。ならば私もそれに答えよう」
稟の手に集まる光と闇が混じった球体を目にしつつ、エグザは両手をクロスさせ魔法陣を展開し目を閉じる。
これがお互いの最後の一撃になるだろう。
稟の手には巨大な光と闇の球体が出現し、稟はそれをエグザに放つ準備をしてエグザはただ静かに目を閉じていた。
「エグザ!これが俺とリオウが編み出した全力の魔法だ!プレアネデス・ノヴァ!」
「よかろう。ならば私はそれを消すまでだ。ギガンラウド!」
稟の放った魔法とエグザが使用した魔法が、辺り一面を巻き込みぶつかり始める。
エグザが使用したギガンラウドは大地を崩し、光の閃光と大量の岩石が稟に降り注いでいく。
『稟!』
「ぐあっ…!」
プレアネデス・ノヴァとギガンラウドがぶつかり合う状況で稟はその体から血を流していた。
鎧が破壊され魔力もつきかけている稟にとって、それは耐えきれるものではないほどのダメージだった。
稟は震える体のまま意識を失おうとしたが、
『『稟君!』』
『稟様!』
『稟さん!』
『土見君!』
稟を支えるようにシアやリコリスやネリネやカレハや麻弓の声が稟を奮い立たせ稟は唇を噛み締める。
そうだ――
俺にはまだやる事があるんだ。
皆と一緒に生きていくんだろう土見稟。
神王と魔王になるんだろう土見稟。
こんなところで死ぬなんてダメだろうが。
「リオーーーウ!!」
『任せよ稟!カートリッジフルロード!』
背中の斧から大量のカートリッジが消費され、プレアネデス・ノヴァがさらに膨れ上がっていく。
まるで全てを呑み込むような球体が生まれ、稟はただそれをエグザに振り下ろしていく。
「この一撃に全てをかける!」
「……なんと」
プレアネデス・ノヴァはギガンラウドを消していき、エグザは巨大な球体を両手で受け止めていた。
自分の体が悲鳴を上げる。
しかし私にとってもはやどうでもよかった。
あのひよっこがこんなに強くなるとは。
土見稟はこれから神界と魔界を背負っていくはずだ。
きっとこの男なら強き王になるだろう。
初めて戦ったあの時から私は気付いていた。
土見稟の素質を。
統べる者の素質を。
「よくぞ成長した土見稟よ」
そう呟くと同時にエグザは球体に呑み込まれ、辺り一面を強大な爆発を起こしていく。
その中で稟だけは見ていた、エグザが嬉しそうに笑っていたのを。
――――
「…ザ!…グザ!……エグザ!!」
「………ファイか」
エグザは自分の耳に聞こえてきた声に気付いてゆっくり目を開ける。
意識が朦朧とする状況でエグザが目にしたのは、自分の顔を見つめながら大粒の涙を流している水帝のファイの顔だった。
体からは血が流れまともに動けない事で、エグザは全てを察して口を開く。
「……負けたのだな私は」
目だけを動かし樹に支えてもらいながら立つ稟に目を向ける。
稟も全てを使い果たし立っているのがやっとのようで、息を荒くしながらエグザを見つめていた。
「よい一撃だったぞ土見稟」
「エグザ…」
「ここまでスッキリしたのは初めてだ。お前には感謝している」
今まで戦ってきた記憶の中で満たされたのはこれが初めてだった。
一人の男が王となる事を目にして満足だった。
「この先にお前達の目指す動力部がある」
「エグザ、俺はアンタとの戦いを一生忘れない。アンタがいたから俺は強くなれたんだ。ありがとう」
「本当にお前は面白い男だな」
そう口にしてゆっくり目を閉じるエグザに、稟は小さくだが頭を下げて純一達と一緒にその場から離れていく。
「……エグザ」
満足そうに眠るエグザを膝枕していたファイは、その手をエグザの頬に当てて優しく撫でながら口を開いた。
「お疲れさま。今はゆっくり休んでね……エグザ」
ファイはそう口にしてただずっとエグザの寝顔を見つめていた。
次回予告
なのは
「ついに四柱を破壊した私達」
はやて
「そして私達の前に現れた黒幕」
悠季
「そこで訪れる別れ」
稟
「次回S.H.D.C.
第四十四話
『現れた最強の存在』に…」
フェイト
「ドライブ!」
湊
「イグニッション!」