ビバ!夏休み

そう――

平和とは常に壊されるものだと誰かが語っていた。


「ショウ殿!」

「ショウちゃん!」


夏休みが始まってショウやクルス達は自分の家で夏休みを満喫していた。

そんな時ショウの部屋のドアが勢いよく開いて両王がいきなり現れたのだ。


「あっ…神王様…魔王様…」

ショウの家には、なのはがいたようでショウがなのはに【あーん】をされている最中だった、


「おぅおぅ!夏だってのに……ここはさらに熱いな」

「う~ん青春だね~」


微笑ましく笑っている両王になのはは恥ずかしくなったのか顔を赤くしている。

「お二方、俺のプライベートタイムを邪魔してまで何の用ですか?」


顔を赤くして俯くなのはに対しショウは手のひらに炎を浮かばせながらいまにも放とうとしていた。


「おぅ!実はショウ殿!」

「さっきクルスちゃんに頼んだんだけどお二人は明日から暇かい?」

「別に予定はないですよ?」


顔は笑っているのだが頬がピクピクと震えているショウ。

内心では怒りが爆発中である。


「じゃあ決まりだな!二人とも今から準備をしてほしいんだ」

「準備ですか?」


なのはが首を傾げていると魔王が説明を始めた。


「実はね、クルスちゃんが所有している島に皆で行こうと思ってるんだよ」


魔王の言葉にショウは目を丸くする。

クルスが島を所有している!?

そんな話一切知らなかったんだが。


「その島にはホテルもあるみたいで貸し切りにしてくれたんだよ」


さてはこの二人王の力を使って無理矢理貸し切りにしやがったな。


「すでに他の子達にも連絡したから、明日までには準備しておくんだよ」

「集合場所はクルス殿の家だからよろしくな!」


両王は二人に手を振りながら消えていった。

いやそれよりも――












「俺は今のアイツの事何も知らないんだよな」

「……ショウ君」


ガキの頃より距離が遠くなったとショウはどこか寂しそうに笑い、そんなショウの表情になのはもまた顔を悲し気に歪めるのである。






翌日になりショウや稟やハヤテやラバーズ達は荷物を持って待ち合わせ場所でバスを待っていた。


「しっかし、夏休みは稟やハヤテを弄ろうと計画してたのにな」


ショウが壁に寄り掛かりながら呟いていると、


「待て!?さっき嫌な言葉を耳にしたが気のせいか?」


稟が顔を強張らせながらショウの肩を掴んだ。


「嫌だな稟よ。俺がお前やハヤテを弄るなんて言うわけないだろ」


今言いましたよ?

しかもハヤテにも聞こえているし。


「頼むから平和をくれ…」

「稟、平和なんてつまらないだろ?」


顔を輝かせるショウに稟とハヤテはすでに旅行が絶望的と感じた。

二人が膝をついて絶望しているとバスが三台やって来る。

それぞれのバスには――

一号車には神王様が二号車には魔王様が三号車にはクルスが乗っていた。

人数も多いためバスを三台用意したらしいがせっかくなのでクジでバスを決める事にした。


「なんでだぁぁぁ~!」


一番最初にクジを引いた樹はバスの上と書かれていたようだ。

それぞれがクジを引いてバスに乗るメンバーが決まった。


一号車は――
【神王・稟・土見ラバーズ・プリムラ・ジェノス・ベルゼー・クロード・ディアス・セフィリア】

二号車には――
【魔王・ハヤテ・綾崎ラバーズ・美希・理沙・シャオ・トレイン・アシュトン・セリーヌ】

三号車には――
【ショウ・クルス・ショウのラバーズ・クルスに恋する女の子達・八神家・ハラオウン一家・ユーノ】となった。

この時誰も予想していなかっただろう。

バスの中で惨劇が起きるなどと。


「あの~クルス」

「どうしたんだい樹?」

「引き直しは?」

「ないよ」

「……どうしてもかい?」

「うん」

「お願いだよ!何なら、フェイトちゃんの隠し撮り写「何故樹が持ってる?」………あっ!」


こうして樹は氷像へと変わりバスの上でなく荷物置き場に放り込まれてしまう。

その樹から写真を没収したクルスはフェイトの笑顔の写真を柔らかな笑みで見つめるのであった。





~一号車Side~


「稟殿~!もっと飲むんだ!」


すでに酔っぱらっている神王が酒を片手に暴走していたのだが、


「お父さん!稟君を困らせないでって言ってるでしょ!」


シアの椅子攻撃が神王の頭に直撃して神王は頭から血を流しながら倒れてしまう。


「うわぁぁ…」


その光景を見てクロードは小さく悲鳴を上げている。

さらに―――


「ネリネちゃん!俺と一緒に楽しい所に行かないかい?」

「ジェノス様、申し訳ないですが私には稟様がいますので」

「稟君、キミをハムにしていいかい?」

「いえ!丁重にお断りします」


樹のような絡み方のジェノスに稟はため息を吐いてしまった。








△▼△▼△▼

~二号車Side~


「ハヤテの負け~!」


「バババ…バカな…!?」


二号車ではトランプ勝負で盛り上がっているようでハヤテが十敗目となった。


「ハヤ太君はこれで十回目の罰を受けるのだ~」

「フフフ!次はどんな罰を受けてもらおうかな?」


大富豪で一番に勝ったのは魔王であり魔王はただいま罰を決めていた。


「よし!ハヤテちゃんにはこれを着てもらおうか!」


魔王の手にはメイド服が握られている。

メイド服が………メイド服!!


「まっ、魔王様どこからそれを!?」


顔色を真っ青にしているハヤテが聞いた。


「ハヤテちゃん………それは企業秘密さ」


歯を光らせて答える魔王に何も言えなかったが今はメイド服に恐怖している。


「着なきゃいけませんか?」

「うん!きっとハヤテちゃんならよく似合うよ」


皆の視線を浴びながらハヤテは後ずさる。


そして――


「にゃぁぁぁぁぁぁ~!!」


強制的に着替えさせられたハヤテの悲鳴が二号車に響いていた。


「マリアよ…」

「本当にハヤテ君はメイド姿が似合いますねナギ」


自分の執事がメイド服に強制的に着替えさせられている光景を見ながらナギは優雅に紅茶を飲む。

マリアも今日はメイド服ではなく私服で参加してナギの隣で笑みを浮かべながら紅茶を口にしていた。

ハヤテが女装しているのにこのコンビは相変わらずマイペースである。


「ヒナギクよ、ハヤテのメイド服で顔を赤くなっておるぞ」

「うるさいわね。それを言うならナギもでしょ!」

「うっ、うるさい!」

お互い様である。



~三号車Side~


「~~~~~~~♪」


三号車ではカラオケ大会が開催されて今はショウが歌っている。

先程はヴィータが歌っていたが得点は55点だった。


「ショウの歌はやっぱ最高やな~」


「そうだよねー」


ショウの歌声に咲夜と亜沙の頬が赤く染まる。


「~~~~~♪」


歌が終わってショウがマイクを置くと、


「ショウちゃん上手いじゃん!惚れ直したかも」


亜沙がショウの背中をバシバシと叩いてからかう。


「得点は…97点!?凄いよショウ君!」


表示された得点を見て皆が驚愕の表情を浮かべている。


「よっしゃあ!優勝賞金は頂いた!」


優勝賞金とはある方の給料から出された金である。

現金として三十万円だがその賞金を出した本人は、


「はぁぁぁぁ~」


深いため息を吐いて頭を抱えていた。


「何で僕が…」


出した本人でもあるクロノの姿を見てユーノも哀れみの表情をしていた。


「そんじゃ次はクルスな!」


ショウにマイクを投げられてクルスはそれを受け取った。


「クルス君!頑張ってください!」

「狙いは100点だよ…」


恋する女の子達に応援されてクルスは苦笑しつつ曲を入れる。


その曲とは――


「――――――――♪」


静かなメロディーと共にクルスの声がバス内を包み込む。

これを歌う度に佑奈の顔が脳裏によぎってしまう。

楽園大戦の時のあの時の光景がずっと僕の頭に流れてくる。


「~~~~―♪――♪」


静かに歌が終わってクルスはマイクを離した。


「んっ?皆固まってどうしたの?」


クルスの声に皆がハッと我に返る。

得点は…90点でショウに負けていた。


「やっぱり負けちゃった」


クルスがマイクを置いて席につくと横にいた楓が小さな拍手をした。


「…とっても綺麗な歌でしたよ」

「空気を重くしちゃったね」

「いえっ!私は好きですよ」


ニッコリ笑って告げる楓にクルスは、


「ありがと…」













ちなみにその後にユーノとクロノとザフィーラが歌ったが、70点・75点・65点と惨敗でショウが優勝したのだった。






~旅館~

旅館に着いて神王組と魔王組とクルス組のバスから続々と人が降りてきた。

一号車組は――


「だっ…誰か治療を…」


一号車から降りてきたジェノスがボロボロになって引きずられてきた。


二号車組は――


「もう人前で出歩けません」


顔を真っ赤にしてハヤテが降りてきて、他のメンバーは写真を持って降りてきた。

三号車組は――


「ショウ、頼むから金を返し「嫌だな」…」


ショウの財布は賞金の三十万円が入ってパンパンになっていた。


「じゃあ皆ついてきて」


ショウが皆の先頭を歩いて旅館に案内する。

旅館の名前は――
【レボリューション】


「でかっ!?」


稟はその旅館を見ながら驚愕の声を上げる。

この旅館はまるで雲に届くのではないかと言うぐらい巨大だった。


「しかもこの旅館はセレブやVIPクラスの人じゃないと泊まれませんよ!」


そう考えるとクルスは凄いなと改めて皆は思っていた。

そして扉が開いてクルス達が入ってくると、


「お帰りなさいませクルス様」


七人の人間が片膝をついて皆を歓迎したのだ。


「今日は客として来たんだからいらっしゃませだよ」


クルスに言われて七人のメンバーは言い直した。


「ようこそレボリューションへ」

「今日は貸し切りなのでご自由にお使いください」


まず緑髪の青年と茶髪の青年が口を開いた。


「部屋は沢山あるので一人一部屋でもいいですし」


銀髪のポニーテールの女性がメンバーを見てニヤニヤと笑っている。

しかもニヤニヤ顔のまま爆弾発言をかます。


「恋人同士でもいいですよ~」


女性の言葉にラバーズメンバーは妄想したり顔を赤くして顔を俯かせている。


「稟!ハヤテ!」

「あぁ…!」

「はい!」


ショウと稟とハヤテの三人は心を一つにして固い握手を交わす。


「「「一緒に戦おう!」」」


どこかの作品のような光景にクルスが苦笑していると、


「クルス様、あちらの男性方はもしかして?」

「うん…ホモだ「違うわ!」だって」


クルスが女性に言い終える前に稟がツッコム。
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