決勝戦へ
日本代表を決めるスタジアムのとある場所で複数の男女がフィールドに目を向けながら何やら話をしていた。
「ライバルの代表決定入りは当然として、他のブロックのトレーナーをお前らはどう思う?」
灰色の髪をしピカチュウを肩に乗せている少年の問い掛けに、ミズゴロウを頭に乗せてジッとフィールドを見つめていた少女が答える。
「あのAブロックでバトルをしているサトシってトレーナー。あの男の子もしかしたら…」
「へぇ~。あんな男の子がね~」
オレンジ色の髪を靡かせニヤリと笑う少女の視線の先は、Aブロックで今現在行われている二回戦に向けられていた。
『ピカチュウ!10万ボルト!』
『ピーカーチューウ!!』
Aブロック水のフィールドでサトシのピカチュウが対戦相手のギャラドスを電撃で倒し、それにより二回戦はサトシが勝利してサトシはガッツポーズをしている。
サトシは一回戦はリザードンだけで勝利して、二回戦はピカチュウだけで勝利してすでに観客からは注目の的となっていた。
まるでプロトレーナーのような強さだ。
まだあんなに若いのに。
「………」
「どうした?」
灰色の髪をする少年はサトシをジッと見つめている茶髪の少年に気付き、首を傾げながら声を掛けると少年は急に興味がなくなったように息を吐いてクルリと背を向けていた。
「あの程度なら大したことねぇよ。それに目覚めたとしても俺には届かねぇな」
「相変わらず表と裏の温度差が凄まじいな…」
「はっ、何でプライベートでニコニコしとかなきゃいけねぇんだよ」
少年はエーフィを優しく撫でてさっさとスタジアムから消えようとしたが、少年の服の袖を銀髪の少女がキュッと掴み少年はめんどくさそうに頭を掻く。
純粋無垢な瞳に見つめられ少年が怪訝な表情を浮かべていると、
「……帰ろ」
ポツリと少女が呟き少年ははいはいと、肩をすくめて少女と一緒にスタジアムからいなくなり二人の後をエーフィとアブソルが仲良くついていく。
あんな二人でも世界ランカー二位と五位の少年少女。
二人とも超人気のタレントなんだがプライベートの時は誰も寄せ付けないほど冷たく怖い雰囲気をもっていた。
もしファンが見たら卒倒ものである。
「あんなのが第二位なんて笑えるわね。第三位さんはいつになったらあの二位を倒してくれるのかしらね~」
「あァ?つい最近俺に負けてランカー順位が降格しそうな女は黙ってろよ」
「なんだとガキ!」
「ふっ、二人とも!喧嘩はやめてよー!」
世界ランカーの方々はその強さからか一人一人個性的であり、実はポケモン協会とランカー達しか知らない事実がある。
ランカー達は仲が良い組み合わせならいいのだが、仲が悪い組み合わせになると途端に殺気を出しながら睨み合うのだ。
つまり問答無用で殺り合うという事である。
△▼△▼△▼
「よっし!準決勝突破だぜ!」
「ピカチュウ!」
準決勝の対戦相手であるメガニウム使いのジュンイチを倒してサトシは決勝戦のキップを手にした。
いまだにサトシはピカチュウとリザードンしか使用しておらず、三体目のポケモンはまだバトルに出てきていない。
日本代表は次の決勝で決まる為サトシは次こそは三体目を出すと心に誓う。
「そういえばイチカ達は大丈夫なのか?」
自分は決勝へと進むが他のブロックはどうなっているのかと実況をしているハイネとルイコの声に耳を傾ける。
『Bブロック、決勝進出はイチカ選手に決まり!』
『Cブロック、決勝進出はシン選手!Dブロック、決勝進出はシゲル選手!』
サトシは実況の言葉に安心して息を吐く。
イチカ達も無事準決勝を突破して決勝へと進んだ。
あと一つ勝てば日本代表となる。
絶対に負けられない。
「サトシ選手。決勝は今から一時間後に行われます。サトシ選手はそれまで休憩をとってきてください」
「わかった」
志乃の言葉にサトシは小さく頷きピカチュウを連れてAブロックから離れて同じようにブロックから離れているイチカ達と合流する。
「イチカ!」
「サトシも決勝まで進んだんだな」
「当たり前だろ!それよりも三人はどんなトレーナーと戦ったんだよ?」
サトシのキラキラした表情にイチカもシンもシゲルも苦渋に近い顔つきをしていた。
何せイチカは二回戦でシバと戦い準決勝ではキクコと戦ったのだ。
シンは二回戦でレイ・ザ・バレルと戦って、準決勝ではルナマリア・ホークと戦っていた。
そしてシゲルは二回戦にダイゴで準決勝はシロナとバトルをしたが、なぜ自分だけこんなにハードモードなんだとシゲルは終わった後にかなり疲れた様子で肩を落としていた。
負けるつもりはないが何故僕の相手はレベルが高いのか?
「それで今からタケシ達が待ってるファミレスに行こうぜってシンやシゲルと話をしてて…」
「いいな!バトルばっかりでお腹すいたし!早く行こうぜ三人とも!」
サトシはよほどお腹がすいていたのだろう。
物凄い速さでそこからいなくなりイチカ達が気付いた時にはすでに出口を飛び出していた。
「……ったく」
「どんだけお腹すいてたんだが」
「本当にキミは変わらないね……サトシ」
やれやれと三人はため息を吐くもののどこか楽しそうにサトシを追いかけていく。
△▼△▼△▼
「私がサトシの隣なの!」
「違う!私かも!」
「違うわよ!私がサトシの隣よ!」
「さっ、三人ともどうしたんだよ?落ち着けって…」
ファミレスに到着したサトシに待っていたのは美味しそうな食べ物ではなくドロドロとした修羅場。
実はこの三人サトシが来る前から争っていたらしく、タケシとリトの二人はそれに巻き込まれて胃を痛めていた。
ミカンやホウキやステラの三人はチフユとタバネのテーブルに避難して完全に他人のふり。
タケシとリトには味方がいなかった。
サトシがやって来た時二人が泣くほど喜んだのは言うまでもない。
「ふ~ん、お前がさっくんの最初のライバルでオーキド博士の孫ねぇ」
「初めましてプロトレーナーのシノノノタバネさん。まさかタバネさんとサトシが知り合いだったなんて。……いやイチカやホウキとライバルならおかしくはないか」
「そんな事よりお前が戦った二人はどうだった?強かったんじゃないか」
「強かったですよ。ですが僕はサトシと戦うまで誰にも負けるつもりはないので。相手が世界ランカーだろうと」
「面白いね……お前」
あの他人に全く興味を出さないタバネがシゲルと同じテーブルに座りシゲルと会話をしていた。
たったそれだけの光景にイチカもホウキもチフユも目を丸くする。
あのタバネが初対面の人間とあそこまで話をしている。
自分の身近にしか心を開かないあのタバネがだ。
ハッキリ言って幻術ではないかと疑うほどにおかしな光景である。
「シン、あと一つで代表だよ」
「分かってるよステラ。オレは絶対に代表になる」
「シンなら大丈夫。ステラが応援してるもん」
「ステラ…」
「…シン」
サトシが修羅場なのにシンは桃色空間で周りに砂糖を吐かせていた。
シン・アスカとステラ・ルーシェ。
この二人がバカップルなのは皆が知っているが、せめて食事を終えてからやってほしかったとイチカはため息を吐く。
この甘ったるい空間のせいで食事が進まない。
何を食べても砂糖の味しかしないではないか。
「イチカ、次は決勝戦だが大丈夫なのか?」
「そこは大丈夫だよホウキ。二回戦も準決勝もバトル前に手持ちは回復できたからな。決勝戦もベストな状態でやれるさ」
「そうか。なら油断だけはしない事だ。決定戦はあくまで前準備で世界大会が本番なんだからな」
「分かってるよホウキ。ちゃんと応援してくれよ」
「当然だイチカ」
シンとステラがバカップルならイチカとホウキは夫婦のようなやり取りだ。
ここにはリア充しかいないのか!とファミレスにいる客は頭を抱える。
ちなみにだが――
「お腹すいた…」
「ピッ、ピカチュウ…」
サトシが食事にありつけたのは結局決勝戦三十分前で、サトシはゆっくり食事ができず慌てて食べる羽目になってしまった。
△▼△▼△▼
~Aブロック~
一時間の休憩を終えたサトシは今決勝のフィールドに立っていた。
自分の相手は誰なのかとサトシはただジッと前を見つめている。
『スタジアム内の皆さーーん!!ついに決勝戦ですよ!』
ルイコの楽しそうな声に同じ実況者のハイネが同じように楽し気に話をする。
『それにしてもここまで凄いバトルの数々だったな。どのブロックのトレーナーもレベルが高かったぜ』
『そうですねハイネさん。日本代表はすでに一名決まっていますし、残りは各ブロックの優勝者となりますが果たして誰が日本代表となるのか』
『決勝戦も凄いバトルを期待してるぜテメェラ!』
スタジアム内に響くハイネとルイコの声。
二人の声に答えるようにスタジアム内で花火が上がり、フィールドは決勝戦用のバトルフィールドへと変わっていく。
Aブロックは草の空間フィールド。
Bブロックは炎の空間フィールド。
Cブロックは氷の空間フィールド。
Dブロックは水の空間フィールドに変わる。
四つのフィールドがドームのようなものに覆われて、観客は各モニターで状況を確認していた。
『それじゃ!各ブロック最終バトルの相手に入場してもらおうか!』
ハイネの声と同時にサトシと戦うトレーナーがその場にゆっくりと現れた。
その人物に、その対峙したトレーナーにサトシは驚愕の表情を浮かべる。
何故ならサトシの前に現れたのは、
「お前は…!」
「久しぶりだな。マサラタウン出身のトレーナーであり、私の組織と常に戦っていた勇敢な少年よ」
サトシと対峙するトレーナーは悪のカリスマという言葉が似合い、ピリピリと肌を刺激するほどの威圧感を出していた。
その男はそのトレーナーは嬉しそうにサトシを見つめている。
「サカキ…!」
「会いたかったぞサトシ」
【Aブロック決勝戦】
マサラタウンのトレーナーサトシとロケット団のボスサカキとの戦いが始まる。
「決勝戦の相手がお前とはな……シンジ」
「久しぶりにお前とバトルだな」
【Bブロック決勝戦】
サトシのライバルでイチカと一度引き分けたトレーナー。
ある意味イチカが苦戦するトレーナーシンジと対峙していた。
「やっぱり決勝はキミだったか……シン」
「アスランが参加してたから予想はしてたけどな。アナタとは一勝一敗だったし、今回のバトルでアナタを越えますよ……キラさん」
【Cブロック決勝戦】
プロトレーナーで二つ名『自由天使』のキラ・ヤマトと四天王シン・アスカは静かに闘志を燃やしながら対峙する。
「まぁ、こうなると思ったよ」
「強さの頂点を目指すオレにとってキミはいい相手だよ」
【Dブロック決勝戦】
ベリーハードモードのシゲルはもう苦笑するしかない。
ダイゴにシロナと戦って次も同レベルかそれ以上かと予想していたが、まさかその相手がサトシに勝ったトレーナーのアランだとは思わなかった。
『各ブロックのトレーナーさん達!用意はいいですかー?』
『いいでーす!』
『ハイネさんは黙っていてください!それでは、日本代表決定戦決勝!始めてください!』
こうして日本代表決定戦の決勝戦が始まる。
サトシはサカキに勝てるのか?
そしてサカキが口にした会いたかったという意味は?
波乱の決勝戦はただ静かにゴングを鳴らしていた。
「ライバルの代表決定入りは当然として、他のブロックのトレーナーをお前らはどう思う?」
灰色の髪をしピカチュウを肩に乗せている少年の問い掛けに、ミズゴロウを頭に乗せてジッとフィールドを見つめていた少女が答える。
「あのAブロックでバトルをしているサトシってトレーナー。あの男の子もしかしたら…」
「へぇ~。あんな男の子がね~」
オレンジ色の髪を靡かせニヤリと笑う少女の視線の先は、Aブロックで今現在行われている二回戦に向けられていた。
『ピカチュウ!10万ボルト!』
『ピーカーチューウ!!』
Aブロック水のフィールドでサトシのピカチュウが対戦相手のギャラドスを電撃で倒し、それにより二回戦はサトシが勝利してサトシはガッツポーズをしている。
サトシは一回戦はリザードンだけで勝利して、二回戦はピカチュウだけで勝利してすでに観客からは注目の的となっていた。
まるでプロトレーナーのような強さだ。
まだあんなに若いのに。
「………」
「どうした?」
灰色の髪をする少年はサトシをジッと見つめている茶髪の少年に気付き、首を傾げながら声を掛けると少年は急に興味がなくなったように息を吐いてクルリと背を向けていた。
「あの程度なら大したことねぇよ。それに目覚めたとしても俺には届かねぇな」
「相変わらず表と裏の温度差が凄まじいな…」
「はっ、何でプライベートでニコニコしとかなきゃいけねぇんだよ」
少年はエーフィを優しく撫でてさっさとスタジアムから消えようとしたが、少年の服の袖を銀髪の少女がキュッと掴み少年はめんどくさそうに頭を掻く。
純粋無垢な瞳に見つめられ少年が怪訝な表情を浮かべていると、
「……帰ろ」
ポツリと少女が呟き少年ははいはいと、肩をすくめて少女と一緒にスタジアムからいなくなり二人の後をエーフィとアブソルが仲良くついていく。
あんな二人でも世界ランカー二位と五位の少年少女。
二人とも超人気のタレントなんだがプライベートの時は誰も寄せ付けないほど冷たく怖い雰囲気をもっていた。
もしファンが見たら卒倒ものである。
「あんなのが第二位なんて笑えるわね。第三位さんはいつになったらあの二位を倒してくれるのかしらね~」
「あァ?つい最近俺に負けてランカー順位が降格しそうな女は黙ってろよ」
「なんだとガキ!」
「ふっ、二人とも!喧嘩はやめてよー!」
世界ランカーの方々はその強さからか一人一人個性的であり、実はポケモン協会とランカー達しか知らない事実がある。
ランカー達は仲が良い組み合わせならいいのだが、仲が悪い組み合わせになると途端に殺気を出しながら睨み合うのだ。
つまり問答無用で殺り合うという事である。
△▼△▼△▼
「よっし!準決勝突破だぜ!」
「ピカチュウ!」
準決勝の対戦相手であるメガニウム使いのジュンイチを倒してサトシは決勝戦のキップを手にした。
いまだにサトシはピカチュウとリザードンしか使用しておらず、三体目のポケモンはまだバトルに出てきていない。
日本代表は次の決勝で決まる為サトシは次こそは三体目を出すと心に誓う。
「そういえばイチカ達は大丈夫なのか?」
自分は決勝へと進むが他のブロックはどうなっているのかと実況をしているハイネとルイコの声に耳を傾ける。
『Bブロック、決勝進出はイチカ選手に決まり!』
『Cブロック、決勝進出はシン選手!Dブロック、決勝進出はシゲル選手!』
サトシは実況の言葉に安心して息を吐く。
イチカ達も無事準決勝を突破して決勝へと進んだ。
あと一つ勝てば日本代表となる。
絶対に負けられない。
「サトシ選手。決勝は今から一時間後に行われます。サトシ選手はそれまで休憩をとってきてください」
「わかった」
志乃の言葉にサトシは小さく頷きピカチュウを連れてAブロックから離れて同じようにブロックから離れているイチカ達と合流する。
「イチカ!」
「サトシも決勝まで進んだんだな」
「当たり前だろ!それよりも三人はどんなトレーナーと戦ったんだよ?」
サトシのキラキラした表情にイチカもシンもシゲルも苦渋に近い顔つきをしていた。
何せイチカは二回戦でシバと戦い準決勝ではキクコと戦ったのだ。
シンは二回戦でレイ・ザ・バレルと戦って、準決勝ではルナマリア・ホークと戦っていた。
そしてシゲルは二回戦にダイゴで準決勝はシロナとバトルをしたが、なぜ自分だけこんなにハードモードなんだとシゲルは終わった後にかなり疲れた様子で肩を落としていた。
負けるつもりはないが何故僕の相手はレベルが高いのか?
「それで今からタケシ達が待ってるファミレスに行こうぜってシンやシゲルと話をしてて…」
「いいな!バトルばっかりでお腹すいたし!早く行こうぜ三人とも!」
サトシはよほどお腹がすいていたのだろう。
物凄い速さでそこからいなくなりイチカ達が気付いた時にはすでに出口を飛び出していた。
「……ったく」
「どんだけお腹すいてたんだが」
「本当にキミは変わらないね……サトシ」
やれやれと三人はため息を吐くもののどこか楽しそうにサトシを追いかけていく。
△▼△▼△▼
「私がサトシの隣なの!」
「違う!私かも!」
「違うわよ!私がサトシの隣よ!」
「さっ、三人ともどうしたんだよ?落ち着けって…」
ファミレスに到着したサトシに待っていたのは美味しそうな食べ物ではなくドロドロとした修羅場。
実はこの三人サトシが来る前から争っていたらしく、タケシとリトの二人はそれに巻き込まれて胃を痛めていた。
ミカンやホウキやステラの三人はチフユとタバネのテーブルに避難して完全に他人のふり。
タケシとリトには味方がいなかった。
サトシがやって来た時二人が泣くほど喜んだのは言うまでもない。
「ふ~ん、お前がさっくんの最初のライバルでオーキド博士の孫ねぇ」
「初めましてプロトレーナーのシノノノタバネさん。まさかタバネさんとサトシが知り合いだったなんて。……いやイチカやホウキとライバルならおかしくはないか」
「そんな事よりお前が戦った二人はどうだった?強かったんじゃないか」
「強かったですよ。ですが僕はサトシと戦うまで誰にも負けるつもりはないので。相手が世界ランカーだろうと」
「面白いね……お前」
あの他人に全く興味を出さないタバネがシゲルと同じテーブルに座りシゲルと会話をしていた。
たったそれだけの光景にイチカもホウキもチフユも目を丸くする。
あのタバネが初対面の人間とあそこまで話をしている。
自分の身近にしか心を開かないあのタバネがだ。
ハッキリ言って幻術ではないかと疑うほどにおかしな光景である。
「シン、あと一つで代表だよ」
「分かってるよステラ。オレは絶対に代表になる」
「シンなら大丈夫。ステラが応援してるもん」
「ステラ…」
「…シン」
サトシが修羅場なのにシンは桃色空間で周りに砂糖を吐かせていた。
シン・アスカとステラ・ルーシェ。
この二人がバカップルなのは皆が知っているが、せめて食事を終えてからやってほしかったとイチカはため息を吐く。
この甘ったるい空間のせいで食事が進まない。
何を食べても砂糖の味しかしないではないか。
「イチカ、次は決勝戦だが大丈夫なのか?」
「そこは大丈夫だよホウキ。二回戦も準決勝もバトル前に手持ちは回復できたからな。決勝戦もベストな状態でやれるさ」
「そうか。なら油断だけはしない事だ。決定戦はあくまで前準備で世界大会が本番なんだからな」
「分かってるよホウキ。ちゃんと応援してくれよ」
「当然だイチカ」
シンとステラがバカップルならイチカとホウキは夫婦のようなやり取りだ。
ここにはリア充しかいないのか!とファミレスにいる客は頭を抱える。
ちなみにだが――
「お腹すいた…」
「ピッ、ピカチュウ…」
サトシが食事にありつけたのは結局決勝戦三十分前で、サトシはゆっくり食事ができず慌てて食べる羽目になってしまった。
△▼△▼△▼
~Aブロック~
一時間の休憩を終えたサトシは今決勝のフィールドに立っていた。
自分の相手は誰なのかとサトシはただジッと前を見つめている。
『スタジアム内の皆さーーん!!ついに決勝戦ですよ!』
ルイコの楽しそうな声に同じ実況者のハイネが同じように楽し気に話をする。
『それにしてもここまで凄いバトルの数々だったな。どのブロックのトレーナーもレベルが高かったぜ』
『そうですねハイネさん。日本代表はすでに一名決まっていますし、残りは各ブロックの優勝者となりますが果たして誰が日本代表となるのか』
『決勝戦も凄いバトルを期待してるぜテメェラ!』
スタジアム内に響くハイネとルイコの声。
二人の声に答えるようにスタジアム内で花火が上がり、フィールドは決勝戦用のバトルフィールドへと変わっていく。
Aブロックは草の空間フィールド。
Bブロックは炎の空間フィールド。
Cブロックは氷の空間フィールド。
Dブロックは水の空間フィールドに変わる。
四つのフィールドがドームのようなものに覆われて、観客は各モニターで状況を確認していた。
『それじゃ!各ブロック最終バトルの相手に入場してもらおうか!』
ハイネの声と同時にサトシと戦うトレーナーがその場にゆっくりと現れた。
その人物に、その対峙したトレーナーにサトシは驚愕の表情を浮かべる。
何故ならサトシの前に現れたのは、
「お前は…!」
「久しぶりだな。マサラタウン出身のトレーナーであり、私の組織と常に戦っていた勇敢な少年よ」
サトシと対峙するトレーナーは悪のカリスマという言葉が似合い、ピリピリと肌を刺激するほどの威圧感を出していた。
その男はそのトレーナーは嬉しそうにサトシを見つめている。
「サカキ…!」
「会いたかったぞサトシ」
【Aブロック決勝戦】
マサラタウンのトレーナーサトシとロケット団のボスサカキとの戦いが始まる。
「決勝戦の相手がお前とはな……シンジ」
「久しぶりにお前とバトルだな」
【Bブロック決勝戦】
サトシのライバルでイチカと一度引き分けたトレーナー。
ある意味イチカが苦戦するトレーナーシンジと対峙していた。
「やっぱり決勝はキミだったか……シン」
「アスランが参加してたから予想はしてたけどな。アナタとは一勝一敗だったし、今回のバトルでアナタを越えますよ……キラさん」
【Cブロック決勝戦】
プロトレーナーで二つ名『自由天使』のキラ・ヤマトと四天王シン・アスカは静かに闘志を燃やしながら対峙する。
「まぁ、こうなると思ったよ」
「強さの頂点を目指すオレにとってキミはいい相手だよ」
【Dブロック決勝戦】
ベリーハードモードのシゲルはもう苦笑するしかない。
ダイゴにシロナと戦って次も同レベルかそれ以上かと予想していたが、まさかその相手がサトシに勝ったトレーナーのアランだとは思わなかった。
『各ブロックのトレーナーさん達!用意はいいですかー?』
『いいでーす!』
『ハイネさんは黙っていてください!それでは、日本代表決定戦決勝!始めてください!』
こうして日本代表決定戦の決勝戦が始まる。
サトシはサカキに勝てるのか?
そしてサカキが口にした会いたかったという意味は?
波乱の決勝戦はただ静かにゴングを鳴らしていた。