組み合わせと準備
日本代表決定戦――
各ブロックによるバトルトーナメント戦で優勝したトレーナーが日本代表決定となる戦い。
この大会で唯一例外なのは世界ランカー一位のライバルが戦う、百対一によるバトルロワイヤル戦でありライバルはまだ戦ってもいないのに控え室で真っ白に燃え尽きていた。
そして―――
「よっし!」
大会のルールを先程説明されたサトシは、ただいまブロック決めの為にコイキングを釣り上げていた。
勢いよくコイキングを釣り上げたサトシの目に、【A-3】と書かれたコイキングが映りサトシはそれを運営委員の女の子に渡す。
「えーと、マサラタウンから参加されたサトシさんはAブロックの三番ですね。Aブロックはここから右手に行かれた場所に繋がっていますのでそちらへとお進みください」
「ありがとう」
「いえいえ」
間宮あかりという名札をつけた女の子にお礼を言って、サトシは一先ずイチカ達がいる場所へと向かう。
イチカやシンやシゲルはどのブロックだろう?
もしかして全員一緒とかならないよな?
早く聞かないと。
「おーい!三人共ー!」
サトシはイチカ達がいる場所に手を振りながらやって来ると、三人はサトシの声に気付いて手を上げていた。
「どうだったサトシ?」
「オレはAブロックだったよイチカ。それよりも三人は?」
「四人ともうまい具合にバラバラになったな。イチカはBでオレはCでシゲルはDなんだぜサトシ」
「そうなのかシン?」
イチカとシンの言葉にサトシは少し残念そうにガッカリしていた。
久し振りにイチカやシンやシゲルと戦えると思っていたのに、まさか全員がバラバラになるとは予想できなかったからだ。
せっかくシゲルと握手して戦おうと言ったのに、とサトシが落ち込んでいるがそれはシゲルも同じだったらしく肩を竦めていた。
「神様もイタズラ好きだね。まさかサトシと戦えないなんて…」
「こればっかりは仕方ねぇよシゲル。代表になってからサトシとは戦えよ」
「…そうだね」
シンにそう言われてシゲルは渋々納得していた。
今回の目的の一つは先送りかな、と溜め息を吐きながらシゲルは大会のルールについて話を始める。
「ところで三人はどのポケモンで戦うのか決めたのかい?」
「使用ポケモンは三体だっけ?しかもトーナメント中はその三体しか使用できないんだよな?」
シゲルの問い掛けにイチカは頭をガシガシ掻きながら大会のルールを思い出していた。
代表決定戦は自分の手持ちポケモンの中から三体選ばなければならない。
一度選んだポケモン以外はこの決定戦中使用してはいけない。
使えばルール違反で失格となるので、ポケモンを選ぶときは慎重にするべし。
そしてこの大会は一日で終わらせる為ハードなバトルトーナメントである。
「俺とシンはいつも使っている三体で決めてるからいいけど、シゲルやサトシ達はどうするんだ?」
「僕はすでに二体決めてるんだけどね…。どうしても残りの一体が決められなくて困っているんだよ」
バランスを考えたらやっぱりあれかな、とシゲルは手持ちにいるとあるポケモンに視線を向ける。
サトシのポケモンである炎タイプのあれに、対抗する為にシロガネ山で育てたエースポケモン。
「う~ん、俺はどうするかな。ピカチュウはもちろん入れるけどあと二体か…」
サトシの中でピカチュウと同じく頼りにしている、と言えば昔から一緒に戦ってきたリザードンだ。
それよりもダークライを倒したジュカインにするか。
ゴウカザルの力もバトルにはもってこいだし。
「う~ん」
腕を組んで本気で悩むサトシにイチカは苦笑しつつもふとある事を思い出して口を開いた。
「そういえば、今さっきタケシから連絡が入って皆で応援に来ているらしいぜ」
「ステラ達が来てるなら余計に負けてられないな」
「まぁな。だけど…」
「イチカ?」
どこか苦い表情で頬を掻くイチカにシンは首を傾げる。
何かタケシの所であったのか?
しかしタケシの所にはステラやホウキ達がいるんだし、そこら辺のトレーナーには負けないと思うんだが。
「なんつーか、タケシが胃を痛めたらしい」
「何でだよ…」
タケシェ…。
一体お前に何があったんだよ。
タケシが胃を痛めるなんて今まで聞いたことないぞ。
本気で何があった?
「応援席でいろいろあったらしい」
イチカは苦笑しながら友であるタケシに同情していた。
観客席に到着するまでサトシを巡る女の子達の戦いに巻き込まれ、観客席に着いたら着いたでホウキをストーカーしていたタバネさんをボコボコにするホウキを落ち着かせ、美しいお姉さんと思ってナンパした女性がチフユ姉で優しく説教されていたらしいし。
(最後はタケシの自業自得だな。…ってかチフユ姉までいるのかよ。下手なバトルしたら後が怖いな)
自分を強くしてくれたチフユ姉の顔に泥をぬる事はできない。
それにチャンピオンとしても負ける訳にはいかないしな。
「よっし!オレはこの三体にするぜ!」
「うん。やっぱり僕にはコイツが必要だね」
イチカとシンがタケシの胃の事を心配していた時、サトシとシゲルはようやく三体を選ぶ終えて笑みを浮かべていた。
二人ともイチカとシンの会話は聞こえていないぐらい真剣に悩んでいたらしい。
自信満々に一緒に戦うポケモン達に目を向けていた。
「じゃあ、イチカ!シン!シゲル!三人とも負けるなよ!」
「あったり前だろサトシ」
「今まで俺達は何の為に修行してきたんだよ?」
「僕はキミと戦うまで誰にも負けるつもりはないよ。だからサトシ、キミも僕以外に負けるなよ」
サトシとイチカとシンとシゲルの四人は、互いに拳を軽くぶつけ合いながら笑う。
互いの勝利を信じて自分達は優勝するのみ。
目指す場所は同じだ。
だからこそ少年達は自分達のブロックへと向かう。
その先で一体誰が待っているのか少年達は知らない。
そして―――
『ライバル、アナタも行きなさい。アナタは百人を相手しなきゃいけないのよ』
『ライバルとは誰ですか?私の事は井上とお呼びください。あぁ、それと私は今から女性トレーナーの素晴らしさを語る会に行かなければならないので。構いませんね?』
『弾けろ!ライバル!』
『ぎゃああああ!!紅い死神が降臨した!助けてハイネ!』
『割りきれよライバル。じゃないと……死ぬぞ』
『今まさに俺の命が風前の灯ィィィィィィ!』
世界ランカー一位は百人と戦う前に紅い死神によって地獄に落とされていく。
これにはアイドルのハイネ・ヴェステンフルスも苦笑いであった。
「やれやれだぜ…」
各ブロックによるバトルトーナメント戦で優勝したトレーナーが日本代表決定となる戦い。
この大会で唯一例外なのは世界ランカー一位のライバルが戦う、百対一によるバトルロワイヤル戦でありライバルはまだ戦ってもいないのに控え室で真っ白に燃え尽きていた。
そして―――
「よっし!」
大会のルールを先程説明されたサトシは、ただいまブロック決めの為にコイキングを釣り上げていた。
勢いよくコイキングを釣り上げたサトシの目に、【A-3】と書かれたコイキングが映りサトシはそれを運営委員の女の子に渡す。
「えーと、マサラタウンから参加されたサトシさんはAブロックの三番ですね。Aブロックはここから右手に行かれた場所に繋がっていますのでそちらへとお進みください」
「ありがとう」
「いえいえ」
間宮あかりという名札をつけた女の子にお礼を言って、サトシは一先ずイチカ達がいる場所へと向かう。
イチカやシンやシゲルはどのブロックだろう?
もしかして全員一緒とかならないよな?
早く聞かないと。
「おーい!三人共ー!」
サトシはイチカ達がいる場所に手を振りながらやって来ると、三人はサトシの声に気付いて手を上げていた。
「どうだったサトシ?」
「オレはAブロックだったよイチカ。それよりも三人は?」
「四人ともうまい具合にバラバラになったな。イチカはBでオレはCでシゲルはDなんだぜサトシ」
「そうなのかシン?」
イチカとシンの言葉にサトシは少し残念そうにガッカリしていた。
久し振りにイチカやシンやシゲルと戦えると思っていたのに、まさか全員がバラバラになるとは予想できなかったからだ。
せっかくシゲルと握手して戦おうと言ったのに、とサトシが落ち込んでいるがそれはシゲルも同じだったらしく肩を竦めていた。
「神様もイタズラ好きだね。まさかサトシと戦えないなんて…」
「こればっかりは仕方ねぇよシゲル。代表になってからサトシとは戦えよ」
「…そうだね」
シンにそう言われてシゲルは渋々納得していた。
今回の目的の一つは先送りかな、と溜め息を吐きながらシゲルは大会のルールについて話を始める。
「ところで三人はどのポケモンで戦うのか決めたのかい?」
「使用ポケモンは三体だっけ?しかもトーナメント中はその三体しか使用できないんだよな?」
シゲルの問い掛けにイチカは頭をガシガシ掻きながら大会のルールを思い出していた。
代表決定戦は自分の手持ちポケモンの中から三体選ばなければならない。
一度選んだポケモン以外はこの決定戦中使用してはいけない。
使えばルール違反で失格となるので、ポケモンを選ぶときは慎重にするべし。
そしてこの大会は一日で終わらせる為ハードなバトルトーナメントである。
「俺とシンはいつも使っている三体で決めてるからいいけど、シゲルやサトシ達はどうするんだ?」
「僕はすでに二体決めてるんだけどね…。どうしても残りの一体が決められなくて困っているんだよ」
バランスを考えたらやっぱりあれかな、とシゲルは手持ちにいるとあるポケモンに視線を向ける。
サトシのポケモンである炎タイプのあれに、対抗する為にシロガネ山で育てたエースポケモン。
「う~ん、俺はどうするかな。ピカチュウはもちろん入れるけどあと二体か…」
サトシの中でピカチュウと同じく頼りにしている、と言えば昔から一緒に戦ってきたリザードンだ。
それよりもダークライを倒したジュカインにするか。
ゴウカザルの力もバトルにはもってこいだし。
「う~ん」
腕を組んで本気で悩むサトシにイチカは苦笑しつつもふとある事を思い出して口を開いた。
「そういえば、今さっきタケシから連絡が入って皆で応援に来ているらしいぜ」
「ステラ達が来てるなら余計に負けてられないな」
「まぁな。だけど…」
「イチカ?」
どこか苦い表情で頬を掻くイチカにシンは首を傾げる。
何かタケシの所であったのか?
しかしタケシの所にはステラやホウキ達がいるんだし、そこら辺のトレーナーには負けないと思うんだが。
「なんつーか、タケシが胃を痛めたらしい」
「何でだよ…」
タケシェ…。
一体お前に何があったんだよ。
タケシが胃を痛めるなんて今まで聞いたことないぞ。
本気で何があった?
「応援席でいろいろあったらしい」
イチカは苦笑しながら友であるタケシに同情していた。
観客席に到着するまでサトシを巡る女の子達の戦いに巻き込まれ、観客席に着いたら着いたでホウキをストーカーしていたタバネさんをボコボコにするホウキを落ち着かせ、美しいお姉さんと思ってナンパした女性がチフユ姉で優しく説教されていたらしいし。
(最後はタケシの自業自得だな。…ってかチフユ姉までいるのかよ。下手なバトルしたら後が怖いな)
自分を強くしてくれたチフユ姉の顔に泥をぬる事はできない。
それにチャンピオンとしても負ける訳にはいかないしな。
「よっし!オレはこの三体にするぜ!」
「うん。やっぱり僕にはコイツが必要だね」
イチカとシンがタケシの胃の事を心配していた時、サトシとシゲルはようやく三体を選ぶ終えて笑みを浮かべていた。
二人ともイチカとシンの会話は聞こえていないぐらい真剣に悩んでいたらしい。
自信満々に一緒に戦うポケモン達に目を向けていた。
「じゃあ、イチカ!シン!シゲル!三人とも負けるなよ!」
「あったり前だろサトシ」
「今まで俺達は何の為に修行してきたんだよ?」
「僕はキミと戦うまで誰にも負けるつもりはないよ。だからサトシ、キミも僕以外に負けるなよ」
サトシとイチカとシンとシゲルの四人は、互いに拳を軽くぶつけ合いながら笑う。
互いの勝利を信じて自分達は優勝するのみ。
目指す場所は同じだ。
だからこそ少年達は自分達のブロックへと向かう。
その先で一体誰が待っているのか少年達は知らない。
そして―――
『ライバル、アナタも行きなさい。アナタは百人を相手しなきゃいけないのよ』
『ライバルとは誰ですか?私の事は井上とお呼びください。あぁ、それと私は今から女性トレーナーの素晴らしさを語る会に行かなければならないので。構いませんね?』
『弾けろ!ライバル!』
『ぎゃああああ!!紅い死神が降臨した!助けてハイネ!』
『割りきれよライバル。じゃないと……死ぬぞ』
『今まさに俺の命が風前の灯ィィィィィィ!』
世界ランカー一位は百人と戦う前に紅い死神によって地獄に落とされていく。
これにはアイドルのハイネ・ヴェステンフルスも苦笑いであった。
「やれやれだぜ…」