梅田屋襲撃
ライバル達とは別に旧大阪に潜入していたハヤトとBOTUと冷の三人は、宮崎一派に見つからないように身を隠して梅田屋を監視していた。
今のところ怪しい雰囲気を感じられず三人は本命が清水一派ではないかと考えている。
「せっかく戦う気でいたのにこっちはハズレかよ」
壁に寄り掛かり退屈そうに欠伸をしながらBOTUが口を開き、ハヤトと冷はBOTUの言葉に同意するように苦笑する。
二人もBOTUと同じように戦う気でいたため正直ガッカリしているのが本心である。
「宮崎は仲間の数こそ少ないけど武器は豊富なのに対し、清水は仲間が多いだけで武器はないようなものだしね。攻めるなら清水の方が妥当だろうし」
口笛を吹きながら楽し気に笑うハヤトに対し冷は呆れたように頭を抱える。
ハヤトには緊張感の欠片すら見えないのがどうも悩みの種のようだ。
「このままここにいても進展なさそうだしライバル達の所に行くか?」
BOTUは目を梅田屋に向けたままハヤトと冷に尋ねる。
このまま宮崎一派を監視していても守護派が攻めてこない可能性がある。
それなら清水一派を監視しているライバル達と合流して守護派と戦えばいい話だ。
「確かにそれもいいがもう少し様子を見ておかないか?もし俺達が離れた瞬間に梅田屋が襲われたらたまったもんじゃない」
冷もまた目を梅田屋に向けてBOTUの言葉に答える。
結局のところもうしばらく待機する事になるのだが、BOTUは監視に飽きてしまいこんな風に我が儘を口にしたようだ。
「せめて師匠達の方の動きが分かれば僕らも動きやすいのに」
「仕方ないさ、伝令役は二人ともあっちにいるからな」
BOTUや冷と違って視線を空に向けながらハヤトが苦笑しながら口を開くと、冷はため息を吐きながらハヤトの言葉を返す。
リナさんかチカのどちらかが居てくれればお互い情報交換出来たのだが、二人ともライバルさんがいる清水一派の方にいる。
あちらに何か起きたら来るだろうが、こちらに何かが起こった時はどうするつもりなんだと冷は内心考えていた。
「おい二人とも」
ふと梅田屋を監視していたBOTUが眉を寄せ険しい表情で二人を呼ぶ。
二人はその声に反応しBOTUと同じように視線を梅田屋の二階に向けて、冷の目は何かを探るかのように細くなり、ハヤトの目は殺気が宿っているかのように鋭い目付きに変わっていた。
梅田屋の二階にいたのは、宮崎一派のリーダーでもある宮崎が窓を開け外の様子を確認しているような仕草で外を眺めていた。
三人には気付いていないようだが、宮崎の姿にハヤトは露骨に舌打ちをする。
「本当いつ見てもムカつく顔をしてるよね」
「分かりやすいぐらいアイツが嫌いなんだなハヤト」
「当たり前の事を言うんだねBOTU。僕があの日の事を許すと思ってるの?」
「まさか」
ハヤトの宮崎を見つめる目は尋常じゃないほど殺気が込められていた。
かつて旧大阪と旧京都で話し合いをした時に宮崎と清水がライバルとリナさんを侮辱し、が誰よりも早くハヤトが動いて宮崎と清水の仲間を血で跡形もなく消していた。
自分もあのときは便乗して何人か殺ったがハヤトはライバルとリナさんが止めなかったら宮崎と清水も殺していたはずだ。
そう考えると旧大阪はハヤトにとって心の底から嫌いな場所になるのだろう。
「それにしても宮崎のやつさっきから何をしているんだ?外をキョロキョロと確認しているが…」
冷は先程から宮崎の動きを観察しながら疑問を浮かべて口にする。
宮崎は窓を開けて辺りをキョロキョロと見ていた。
どこか焦っているようにも見えるが、あの仕草だけ見るとまるで何かを待っているようにも捉える事が出来る。
「BOTUはどう思う?」
冷の問いにBOTUは顎に手を置いて考える。
宮崎が何かを待っていると考えて思い付くのは武器か仲間だが、もしかしたら宮崎にとって重要な人物がこの場所に来るのではないだろうか?
もしかしたら――
守護派の人間か?
だとしたらまだこの場所を離れる訳にはいかない。
「あの様子を見る限り何かを待っているのは確実だな。それが吉か凶かわからないのが現状だし、冷が言ってたようにもう少しここで様子を見ていた方が……」
BOTUが決断して言い終えようとした時だった、パンッ!と一発の銃声が三人の耳に聞こえて三人は驚きながらその銃声がした方を確認するように辺りを見ていたが、三人の視線が宮崎に戻ると三人は目を丸くした。
宮崎の額を弾丸が貫いて宮崎は血を流しながらゆっくりと二階から落下して地面に倒れ伏す。
「どうやらこっちが本命だったみたいだね」
すでに死体となった宮崎に目を向けずハヤトは血の入った小瓶の蓋を開けて口にする。
宮崎が撃たれたと同時に梅田屋周辺が不穏な空気に包まれていた。
どうやら自分達だけでなく梅田屋は他の者達が監視していたようだ。
おそらく守護派の人間が今まで身を潜めていたのだろうが、先程の銃声が合図だったように梅田屋を囲むように守護派の人間が現れた。
「アイツが宮崎を撃った人間か」
冷は鎧を着た者達が片膝をついて忠誠を誓うように顔を上げてその先にいる一人の男に目を向ける。
その男は片手に銃を持ち鎧を着た者達に指示を出しているようだ。
その横でもう一人ポケットに手を入れて欠伸をしている男もいたが、三人はその二人を見て確信したように頷く。
あの二人は守護派の幹部だと。
その二人はゆっくりと梅田屋に入っていき、梅田屋からすぐに銃声や刀や剣がぶつかり合う音が聞こえてくると三人は顔を見合わせ動き出す。
「ライバルさん達はいないが行くぞ」
「師匠が来る頃には終わってるよ」
「へっ!退屈しのぎにはもってこいだぜ」
冷がグローブを手にはめて、ハヤトが手のひらから血の球体を出しBOTUはトンファーを両腕に装着して一斉に駆け出す。
梅田屋で戦いが始まった同時刻ライバル達はスパイから聞き出した情報で急いで梅田屋に向かっていたのだった。
第八話
END
今のところ怪しい雰囲気を感じられず三人は本命が清水一派ではないかと考えている。
「せっかく戦う気でいたのにこっちはハズレかよ」
壁に寄り掛かり退屈そうに欠伸をしながらBOTUが口を開き、ハヤトと冷はBOTUの言葉に同意するように苦笑する。
二人もBOTUと同じように戦う気でいたため正直ガッカリしているのが本心である。
「宮崎は仲間の数こそ少ないけど武器は豊富なのに対し、清水は仲間が多いだけで武器はないようなものだしね。攻めるなら清水の方が妥当だろうし」
口笛を吹きながら楽し気に笑うハヤトに対し冷は呆れたように頭を抱える。
ハヤトには緊張感の欠片すら見えないのがどうも悩みの種のようだ。
「このままここにいても進展なさそうだしライバル達の所に行くか?」
BOTUは目を梅田屋に向けたままハヤトと冷に尋ねる。
このまま宮崎一派を監視していても守護派が攻めてこない可能性がある。
それなら清水一派を監視しているライバル達と合流して守護派と戦えばいい話だ。
「確かにそれもいいがもう少し様子を見ておかないか?もし俺達が離れた瞬間に梅田屋が襲われたらたまったもんじゃない」
冷もまた目を梅田屋に向けてBOTUの言葉に答える。
結局のところもうしばらく待機する事になるのだが、BOTUは監視に飽きてしまいこんな風に我が儘を口にしたようだ。
「せめて師匠達の方の動きが分かれば僕らも動きやすいのに」
「仕方ないさ、伝令役は二人ともあっちにいるからな」
BOTUや冷と違って視線を空に向けながらハヤトが苦笑しながら口を開くと、冷はため息を吐きながらハヤトの言葉を返す。
リナさんかチカのどちらかが居てくれればお互い情報交換出来たのだが、二人ともライバルさんがいる清水一派の方にいる。
あちらに何か起きたら来るだろうが、こちらに何かが起こった時はどうするつもりなんだと冷は内心考えていた。
「おい二人とも」
ふと梅田屋を監視していたBOTUが眉を寄せ険しい表情で二人を呼ぶ。
二人はその声に反応しBOTUと同じように視線を梅田屋の二階に向けて、冷の目は何かを探るかのように細くなり、ハヤトの目は殺気が宿っているかのように鋭い目付きに変わっていた。
梅田屋の二階にいたのは、宮崎一派のリーダーでもある宮崎が窓を開け外の様子を確認しているような仕草で外を眺めていた。
三人には気付いていないようだが、宮崎の姿にハヤトは露骨に舌打ちをする。
「本当いつ見てもムカつく顔をしてるよね」
「分かりやすいぐらいアイツが嫌いなんだなハヤト」
「当たり前の事を言うんだねBOTU。僕があの日の事を許すと思ってるの?」
「まさか」
ハヤトの宮崎を見つめる目は尋常じゃないほど殺気が込められていた。
かつて旧大阪と旧京都で話し合いをした時に宮崎と清水がライバルとリナさんを侮辱し、が誰よりも早くハヤトが動いて宮崎と清水の仲間を血で跡形もなく消していた。
自分もあのときは便乗して何人か殺ったがハヤトはライバルとリナさんが止めなかったら宮崎と清水も殺していたはずだ。
そう考えると旧大阪はハヤトにとって心の底から嫌いな場所になるのだろう。
「それにしても宮崎のやつさっきから何をしているんだ?外をキョロキョロと確認しているが…」
冷は先程から宮崎の動きを観察しながら疑問を浮かべて口にする。
宮崎は窓を開けて辺りをキョロキョロと見ていた。
どこか焦っているようにも見えるが、あの仕草だけ見るとまるで何かを待っているようにも捉える事が出来る。
「BOTUはどう思う?」
冷の問いにBOTUは顎に手を置いて考える。
宮崎が何かを待っていると考えて思い付くのは武器か仲間だが、もしかしたら宮崎にとって重要な人物がこの場所に来るのではないだろうか?
もしかしたら――
守護派の人間か?
だとしたらまだこの場所を離れる訳にはいかない。
「あの様子を見る限り何かを待っているのは確実だな。それが吉か凶かわからないのが現状だし、冷が言ってたようにもう少しここで様子を見ていた方が……」
BOTUが決断して言い終えようとした時だった、パンッ!と一発の銃声が三人の耳に聞こえて三人は驚きながらその銃声がした方を確認するように辺りを見ていたが、三人の視線が宮崎に戻ると三人は目を丸くした。
宮崎の額を弾丸が貫いて宮崎は血を流しながらゆっくりと二階から落下して地面に倒れ伏す。
「どうやらこっちが本命だったみたいだね」
すでに死体となった宮崎に目を向けずハヤトは血の入った小瓶の蓋を開けて口にする。
宮崎が撃たれたと同時に梅田屋周辺が不穏な空気に包まれていた。
どうやら自分達だけでなく梅田屋は他の者達が監視していたようだ。
おそらく守護派の人間が今まで身を潜めていたのだろうが、先程の銃声が合図だったように梅田屋を囲むように守護派の人間が現れた。
「アイツが宮崎を撃った人間か」
冷は鎧を着た者達が片膝をついて忠誠を誓うように顔を上げてその先にいる一人の男に目を向ける。
その男は片手に銃を持ち鎧を着た者達に指示を出しているようだ。
その横でもう一人ポケットに手を入れて欠伸をしている男もいたが、三人はその二人を見て確信したように頷く。
あの二人は守護派の幹部だと。
その二人はゆっくりと梅田屋に入っていき、梅田屋からすぐに銃声や刀や剣がぶつかり合う音が聞こえてくると三人は顔を見合わせ動き出す。
「ライバルさん達はいないが行くぞ」
「師匠が来る頃には終わってるよ」
「へっ!退屈しのぎにはもってこいだぜ」
冷がグローブを手にはめて、ハヤトが手のひらから血の球体を出しBOTUはトンファーを両腕に装着して一斉に駆け出す。
梅田屋で戦いが始まった同時刻ライバル達はスパイから聞き出した情報で急いで梅田屋に向かっていたのだった。
第八話
END