再会
あの世界大会発表から時は流れて、サトシ達一行は日本代表決定戦の会場にやって来た。
一ヶ月の中でかなりの修行をしたサトシ達は、実力も上がった事で必ず代表になると燃えていた。
サトシに至っては今現在もかなり興奮して、バトルを今か今かと待っている。
「どいつもこいつも強そうだな、ピカチュウ!」
「ピカ!」
サトシの目に映る参加者達の姿。
一人一人が実力を持っていると分かるぐらい、強者のオーラを出していてサトシのボルテージは上がるばかり。
「…にしてもセキエイ大会やシロガネ大会やサイユウ大会に出場していたトレーナー達がちらほらいるんだな」
「気付いてたのか、シン」
「あぁ…」
シンとイチカは自分達を遠回しに見ているトレーナー達を横目に話す。
これでもチャンピオンと四天王の二人だ。
こういった視線は普通に感づくし、どこから向けられているかもわかる。
「なぁ、二人とも。バトルってまだ…」
そんな会話をしているシンとイチカにサトシが声を掛けると、三人の所に一人の少年が笑みを浮かべて近づいてきた。
その少年はサトシの記憶通りなら、かつてジョウトリーグでサトシに敗北してトレーナーを引退し研究者になったかつてのライバル。
もうバトルはしないと思っていた少年が、今はトレーナーだった時のような風格と不敵な笑みを浮かべ自分達の前に現れた。
その少年の名は――
「シゲル!?」
「久しぶりだね…サトシ。それにイチカとシンも」
かつては戦ったライバルであるシゲルの姿にサトシは目を丸くし、イチカとシンはどこか懐かしむように笑っていた。
「お前も代表決定戦に?」
「まぁね。トレーナーは引退したんだけど、やっぱりこんな大会を耳にしたらトレーナーの血が騒いじゃってね。僕もまだまだこっちに未練があったみたいだよ」
シンの言葉に苦笑して頭を掻きながら答えるシゲル。
シゲルもまたあの放送を耳にして、トレーナーとしての想いが込み上がったのだ。
だからこそ一からポケモンを捕まえて、この一ヶ月で血の滲む努力をしてきた。
それも全ては代表決定戦の為であり、もう一つの目的の為だ。
「シゲル、お前さてはサトシにリベンジするつもりでここに来たな」
「流石だねイチカ。その通りだよ」
かつてジョウトリーグでサトシに敗北したシゲルは、トレーナーとしての道に踏ん切りをつけて笑っていた。
あのサトシが自分を倒すほど強くなった事が内心嬉しかった事も含まれているからだ。
しかし――
(僕もまだまだだね…)
サトシの活躍をいろんな人から聞かされていくうちに、少しサトシが羨ましくなっていた。
サトシはあんなに楽しそうにバトルをして、そのバトルの中で一体どんな風景を見ているのかな……と。
かつてトレーナーとして自分が見ていた風景と、サトシが見ている風景が違うなら見てみたくなった。
だからこそこの代表決定戦に参加した。
「サトシ、僕はあのシロガネ山で一人で戦ってきた。全てはキミを倒す為にね」
「へっ!シゲルと戦うのは久しぶりだから楽しみだぜ!俺だって負けるつもりはないからな!」
「こっちこそ負けないよ」
火花を散らし固い握手をする二人に、イチカとシンは苦笑する。
サトシのバトルバカは自分達だけでなく、シゲルにも感染していたのか……と。
これは一筋縄じゃいかなくなったなこの代表決定戦。
「…っと、そういえばキミ達は知っているかい?」
「何をだシゲル?」
「今回の決定戦には世界ランカーも参加しているんだよイチカ」
シゲルの言葉に三人は目を丸くした。
あの六人しかいない世界ランカーが参加している。
二位である七変化は、フランス代表決定戦だから二位ではない。
なら他のランカーの誰かだろうが……。
「なぁ、シゲル。それって一体…」
サトシがランカーの事を聞こうとした時だった、
「どうじでオレだげ百人切りなんだよお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おっ!?」
少し離れた場所からどこぞの俳優のような雄叫び声が上がる。
周りがざわ…ざわ…と騒いでいるが、
「オレはぎいでねぇよお゙お゙お゙お゙お゙おっ!!」
この人は黒いノートでも持っているのだろうか?
それか地下帝国に連行されるのかな?
「…って!今はランカーだ、ランカー」
頭を振りイチカはシゲルにランカーに尋ねる。
「あっ、あぁ…。確かランカーは第一位のライバルだったかな?」
その瞬間、三人は絶句してしまう。
何故なら第一位でいまだ負けなしのランカーだからだ。
「びがりい゙い゙いっ!ハヤドお゙お゙おっ!」
だからさっきから騒いでるのは誰なんだよ!!
サトシとシゲルが再会していた同時刻、とある場所で一つのバトルが起きていた。
そのバトルは一人の男を巡る戦いであり、そのバトルをしていたのは三人の少女達。
「「「むぅぅぅ!!」」」
サトシを応援する為に会場を目指していたセレナと睨み合うのは、かつてサトシと旅をしていた二人の少女。
一人は【ホウエンの舞姫】と呼ばれ、ポケモンコーディネーターであるハルカ。
もう一人はシンオウ地方のポケモンコーディネーターであるヒカリだった。
言うまでもないが、セレナと同じようにサトシに恋する乙女である。
二人ともサトシの活躍を耳にして目にして、自分の事のように周りに話していた。
今回二人ともあの放送を目にして、サトシの事を応援する為にカントー地方にやって来てのだ。
ハルカとヒカリは街で再会して仲良く会場に向かっていたのだが、
「ホウキ!ステラ!早く、早く!サトシのバトルに間に合わなくなっちゃうよ!」
「俺やリトやミカンちゃんもいるんだけどな…」
「セレナさんだから、仕方ないよタケシさん」
サトシという単語にピクッと反応して声の方に目を向けるとそこには自分達が知る人物タケシがいた。
二人は先頭を歩く少女が口にしたサトシが自分達の知るサトシだと気付き、急ぎ足で少女の元にやって来たのだ。
そして二人が最初に口にしたのは――
「サトシの応援ってどういう意味か教えてほしいかも!」
「そうよ。アナタはサトシとどんな関係なの?」
「えっ?へっ?」
こうして三人の少女達のバトルは始まり、今現在も終わる事なく火花を散らしながら睨み合っていた。
「なぁ、タケシ」
「どうしたリト?」
「サトシってモテるんだな…」
リトの言葉にタケシは頬を掻いてため息を吐く。
タケシはサトシと長いこと旅をして、サトシの鈍感さと天然さを目にしていた。
あれは誰にも真似できないクオリティーだ。
実際犠牲者はまだまだいるが口にしないでおこう。
「リトもサトシみたいに、女の子にモテればな…」
「バッ!そっ、そんなことできるか!」
「冗談だってば…」
ミカンの言葉にリトは顔を真っ赤にする。
まぁ、リトはハルナさんと話すだけで真っ赤になるもんね。
複数の女の子を相手にしたら恥ずかしさのあまり爆発してしまうかもしれない。
「やれやれ…」
サトシを巡るバトルを目にしながら、ホウキは呆れたようにため息を吐く。
幼馴染みのイチカもサトシと同じように、鈍感で天然だから他人事とは思えない。
イチカもサトシも別のベクトルで凄いんだな。
そう考えると、シンは男らしいのだろう。
ステラ一途でステラにしか興味がないのだから。
「ねぇ、ホウキ…」
「どうしたステラ?」
「シンに会いたい」
可愛らしくホウキを見上げるステラ。
そんな純粋な眼差しのステラにホウキは小さく、『そうだな…』と呟いて動き出した。
ちなみに余談だが、
「ホウキさん、アイス食べます?」
三人を落ち着かせるのにホウキはかなりの体力と気力を費やしたのである。
一ヶ月の中でかなりの修行をしたサトシ達は、実力も上がった事で必ず代表になると燃えていた。
サトシに至っては今現在もかなり興奮して、バトルを今か今かと待っている。
「どいつもこいつも強そうだな、ピカチュウ!」
「ピカ!」
サトシの目に映る参加者達の姿。
一人一人が実力を持っていると分かるぐらい、強者のオーラを出していてサトシのボルテージは上がるばかり。
「…にしてもセキエイ大会やシロガネ大会やサイユウ大会に出場していたトレーナー達がちらほらいるんだな」
「気付いてたのか、シン」
「あぁ…」
シンとイチカは自分達を遠回しに見ているトレーナー達を横目に話す。
これでもチャンピオンと四天王の二人だ。
こういった視線は普通に感づくし、どこから向けられているかもわかる。
「なぁ、二人とも。バトルってまだ…」
そんな会話をしているシンとイチカにサトシが声を掛けると、三人の所に一人の少年が笑みを浮かべて近づいてきた。
その少年はサトシの記憶通りなら、かつてジョウトリーグでサトシに敗北してトレーナーを引退し研究者になったかつてのライバル。
もうバトルはしないと思っていた少年が、今はトレーナーだった時のような風格と不敵な笑みを浮かべ自分達の前に現れた。
その少年の名は――
「シゲル!?」
「久しぶりだね…サトシ。それにイチカとシンも」
かつては戦ったライバルであるシゲルの姿にサトシは目を丸くし、イチカとシンはどこか懐かしむように笑っていた。
「お前も代表決定戦に?」
「まぁね。トレーナーは引退したんだけど、やっぱりこんな大会を耳にしたらトレーナーの血が騒いじゃってね。僕もまだまだこっちに未練があったみたいだよ」
シンの言葉に苦笑して頭を掻きながら答えるシゲル。
シゲルもまたあの放送を耳にして、トレーナーとしての想いが込み上がったのだ。
だからこそ一からポケモンを捕まえて、この一ヶ月で血の滲む努力をしてきた。
それも全ては代表決定戦の為であり、もう一つの目的の為だ。
「シゲル、お前さてはサトシにリベンジするつもりでここに来たな」
「流石だねイチカ。その通りだよ」
かつてジョウトリーグでサトシに敗北したシゲルは、トレーナーとしての道に踏ん切りをつけて笑っていた。
あのサトシが自分を倒すほど強くなった事が内心嬉しかった事も含まれているからだ。
しかし――
(僕もまだまだだね…)
サトシの活躍をいろんな人から聞かされていくうちに、少しサトシが羨ましくなっていた。
サトシはあんなに楽しそうにバトルをして、そのバトルの中で一体どんな風景を見ているのかな……と。
かつてトレーナーとして自分が見ていた風景と、サトシが見ている風景が違うなら見てみたくなった。
だからこそこの代表決定戦に参加した。
「サトシ、僕はあのシロガネ山で一人で戦ってきた。全てはキミを倒す為にね」
「へっ!シゲルと戦うのは久しぶりだから楽しみだぜ!俺だって負けるつもりはないからな!」
「こっちこそ負けないよ」
火花を散らし固い握手をする二人に、イチカとシンは苦笑する。
サトシのバトルバカは自分達だけでなく、シゲルにも感染していたのか……と。
これは一筋縄じゃいかなくなったなこの代表決定戦。
「…っと、そういえばキミ達は知っているかい?」
「何をだシゲル?」
「今回の決定戦には世界ランカーも参加しているんだよイチカ」
シゲルの言葉に三人は目を丸くした。
あの六人しかいない世界ランカーが参加している。
二位である七変化は、フランス代表決定戦だから二位ではない。
なら他のランカーの誰かだろうが……。
「なぁ、シゲル。それって一体…」
サトシがランカーの事を聞こうとした時だった、
「どうじでオレだげ百人切りなんだよお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おっ!?」
少し離れた場所からどこぞの俳優のような雄叫び声が上がる。
周りがざわ…ざわ…と騒いでいるが、
「オレはぎいでねぇよお゙お゙お゙お゙お゙おっ!!」
この人は黒いノートでも持っているのだろうか?
それか地下帝国に連行されるのかな?
「…って!今はランカーだ、ランカー」
頭を振りイチカはシゲルにランカーに尋ねる。
「あっ、あぁ…。確かランカーは第一位のライバルだったかな?」
その瞬間、三人は絶句してしまう。
何故なら第一位でいまだ負けなしのランカーだからだ。
「びがりい゙い゙いっ!ハヤドお゙お゙おっ!」
だからさっきから騒いでるのは誰なんだよ!!
サトシとシゲルが再会していた同時刻、とある場所で一つのバトルが起きていた。
そのバトルは一人の男を巡る戦いであり、そのバトルをしていたのは三人の少女達。
「「「むぅぅぅ!!」」」
サトシを応援する為に会場を目指していたセレナと睨み合うのは、かつてサトシと旅をしていた二人の少女。
一人は【ホウエンの舞姫】と呼ばれ、ポケモンコーディネーターであるハルカ。
もう一人はシンオウ地方のポケモンコーディネーターであるヒカリだった。
言うまでもないが、セレナと同じようにサトシに恋する乙女である。
二人ともサトシの活躍を耳にして目にして、自分の事のように周りに話していた。
今回二人ともあの放送を目にして、サトシの事を応援する為にカントー地方にやって来てのだ。
ハルカとヒカリは街で再会して仲良く会場に向かっていたのだが、
「ホウキ!ステラ!早く、早く!サトシのバトルに間に合わなくなっちゃうよ!」
「俺やリトやミカンちゃんもいるんだけどな…」
「セレナさんだから、仕方ないよタケシさん」
サトシという単語にピクッと反応して声の方に目を向けるとそこには自分達が知る人物タケシがいた。
二人は先頭を歩く少女が口にしたサトシが自分達の知るサトシだと気付き、急ぎ足で少女の元にやって来たのだ。
そして二人が最初に口にしたのは――
「サトシの応援ってどういう意味か教えてほしいかも!」
「そうよ。アナタはサトシとどんな関係なの?」
「えっ?へっ?」
こうして三人の少女達のバトルは始まり、今現在も終わる事なく火花を散らしながら睨み合っていた。
「なぁ、タケシ」
「どうしたリト?」
「サトシってモテるんだな…」
リトの言葉にタケシは頬を掻いてため息を吐く。
タケシはサトシと長いこと旅をして、サトシの鈍感さと天然さを目にしていた。
あれは誰にも真似できないクオリティーだ。
実際犠牲者はまだまだいるが口にしないでおこう。
「リトもサトシみたいに、女の子にモテればな…」
「バッ!そっ、そんなことできるか!」
「冗談だってば…」
ミカンの言葉にリトは顔を真っ赤にする。
まぁ、リトはハルナさんと話すだけで真っ赤になるもんね。
複数の女の子を相手にしたら恥ずかしさのあまり爆発してしまうかもしれない。
「やれやれ…」
サトシを巡るバトルを目にしながら、ホウキは呆れたようにため息を吐く。
幼馴染みのイチカもサトシと同じように、鈍感で天然だから他人事とは思えない。
イチカもサトシも別のベクトルで凄いんだな。
そう考えると、シンは男らしいのだろう。
ステラ一途でステラにしか興味がないのだから。
「ねぇ、ホウキ…」
「どうしたステラ?」
「シンに会いたい」
可愛らしくホウキを見上げるステラ。
そんな純粋な眼差しのステラにホウキは小さく、『そうだな…』と呟いて動き出した。
ちなみに余談だが、
「ホウキさん、アイス食べます?」
三人を落ち着かせるのにホウキはかなりの体力と気力を費やしたのである。