記憶喪失の少女
雲一つない晴天の空、暖かい温もりに包まれ気持ち良さそうに眠る少女は、カーテンから差し込む光と突如聞こえてきた爆発音に驚き飛び起きた。
「あれ、ここは?」
辺りを見回し自分がいる場所を確認する。
天井はシミ一つない真っ白な天井でカーテンをずらし、窓から見える外の景色は見たことないようなボロボロの建物が並んでいた。
「私は…」
少女は自分が何故ここにいるのか?と頭を働かせようとしたが、ズキッと頭が痛み何も思い出せないでいた。
「私は…」
ゆっくり立ち上がり自分の姿を確認するかのように鏡に向かおうとした時だった、
「あっ、目が覚めたんですね?」
「だっ、誰ですか!?」
少女がいた部屋の扉が開いて部屋に入ってきた女性に少女は警戒して身近にあった枕を装備して対峙する。
その姿に入ってきた女性はクスクスと笑いながら少女に話しかけた。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。私はアナタに危害はくわえませんから」
ニコニコ笑う女性に少女は枕を装備し警戒したまま自分が眠っていた場所に腰かける。
絹糸のような銀髪をツインテールにしている女性は、目の前で警戒する少女に相変わらずニコニコしたまま話をしていく。
「アナタ、昨日森で倒れていたんですよ。その時に怪我をしていたから手当てはしました。体に違和感とかありませんか?」
「森で倒れていた?」
「はい。覚えてないんですか?」
「……」
女性に言われ少女は枕を眠っていた場所に置いて考える。
思い出そうとする度に頭が痛み、顔をしかめっ面に変えながら少女は頭を働かせる。
しかし、少女の頭には何も浮かぶことなく全てが真っ白で何も思い出せないでいた。
様子がおかしい少女に女性は首を傾げながらポンッと手を叩いて口を開く。
「そうだ!まだアナタの名前聞いてませんでした。私の名前はリナといいます。アナタのお前教えてくれませんか?」
「…あの」
「はい、何ですか?」
「私って一体誰なんでしょうか?」
「……えぇぇぇぇぇ!?」
少女の口から小さく発せられた言葉にリナは驚きその声は革命派全員に聞こえたようで、リナの兄でもあるライバルが真っ先に駆けつけたのは言うまでもない。
こうして、一人の少女と革命派のリーダーの最初の対面は始まったのだった。
「まさか記憶喪失だとはな」
「お兄ちゃん、どうするの?」
「どうするのって記憶喪失だからな~」
部屋に入ってきたリナの兄ライバルはスキンヘッドの頭をポリポリとかく。
サングラスをしているが右頬のタトゥーのせいで少女はびくびくと怯えているようだ。
悲しき男である。
「まぁ、今日は全員いるしひとまず会議室に連れてきてくれないかリナ」
「そうだね。お兄ちゃんは先に行って皆に事情を話しておいて、私はこの子を落ち着かせてから行くから」
「わかった。くれぐれも遅れるなよ」
「は~い!」
元気よく返事をするリナの頭を優しく撫でて笑みを浮かべるライバル。
やはり妹は可愛いのだろうか、表情こそ見えないが今のライバルの雰囲気に少女は先ほどまで怯えていた感情が微かにだが消えていた。
「ひっ……!」
しかし、部屋を去る際にライバルがチラリと少女に視線を向けると再び怯えた感情が戻り台無しである。
そんな少女の姿に和みながらリナは少女に近付いて優しく頭を撫でる。
「大丈夫、大丈夫。さっきの人は私のお兄ちゃんでここのリーダーなの。女の子には優しいから安心して」
「お兄ちゃん?リーダー?」
困惑する少女にリナはにゃははと笑いながら話を進める。
「詳しい話は皆がいる場所でするよ。私が傍にいるから怖がらないで……ねっ!」
「よっ、よろしくお願いします」
ニッコリ笑うリナに少女は小さく頷き、そんな小動物のような少女の仕草にリナは癒され会議室に行く前に少女をギュッと抱き締めて癒しを堪能していた。
そんな光景を第三者が見たらこう言うに違いない。
『仲の良い姉妹』のようだと。
「お兄ちゃん、入るよ」
「あぁ。もう全員待ってるぞ」
扉をノックして二人が中に入ると、複数の男女が円卓のような場所で椅子に座りながら、二人が入ってきたと同時にその場にいる全員の視線は二人に向かい少女はビクリと体を揺らしリナは少女を安心させるように少女の頭を優しく撫でる。
そんな光景に茶々を入れる金髪の男。
「何だ何だ。すでに仲良しこよしかリナ」
「BOTU、変な茶々は入れるな。話が出来ないだろ」
「いいじゃん光~。こんな辛気くさい雰囲気を和ませようと頑張る俺の邪魔をするなよ」
「そんなのは後だ。ライバル、話を進めてくれ」
「ちぇ~」
BOTUと呼ばれた金髪の男は残念そうに椅子に寄り掛かり唇を尖らせる。
子供のようなBOTUの反応に灰色の髪をしている男、光は呆れたようにため息を吐く。
会議室に沈黙が流れるがライバルが椅子から立ち上がり手を叩いて口を開いた。
「お前らもう少しあの女の子に気を使えって。めちゃくちゃ怯えてリナにしがみついてるじゃねぇか。特にハヤトと烈架の二人は笑っているようで目が笑ってないから怖いんだよ。小さな子供が見たらトラウマになるからやめなさい」
「僕は普通なんですけどね~」
「俺も生まれつきだから許してください」
茶髪の髪を靡かせながら笑うハヤトと青色の髪をかきながら笑う烈架にライバルは目頭をおさえる。
この二人は後でじっくりと説教しないとダメだな。
下手なホラーよりお前らの方が怖いことを自覚しろとは口にしないライバルだが、ライバルの気持ちに同調している他のメンバー。
「とりあえず…」
ライバルの視線はリナにしがみついている少女に向けられて、少女はその視線に気づいて警戒したままライバルの方を恐る恐る見ていた。
「キミが記憶喪失って話は信じる」
「えっ…」
「とりあえずだ。だから烈架とハヤトは立つなよ。話が進まん」
驚く少女に対しゆっくり立ち上がろうとした二人を止めるライバル。
油断も隙もあったもんじゃない。
ため息を吐くライバルは再び話を進めていく。
「だがいくつか聞かせてくれないか?本当に何も覚えてないのか?名前だけでもいいんだが」
「名前…」
「私達もさすがにアナタをナナシさんと言えないから。覚えてないかな?」
少女の手を優しく握っていたリナも口を開いて話しかける。
少女はリナに答えようと顔を俯かせて必死に思い出そうと頭を働かせる。
その光景に白髪の女の子は「何か和むな」と呟いたり、オレンジ色の髪をした女の子は「可愛い~」と顔をニコニコしながら見守っていた。
「……チカ」
ポツリと呟いた言葉にリナは聞こえたのか優しく頭を撫でる。
その光景はまるで難しい問題を解いた娘の頭を撫でる母親のようにメンバー達には見えて、少女はその温もりに目を細めて笑っていた。
「よしっ!チカちゃんだな!俺はこの革命派のリーダーライバルってんだ。ちょっとは不憫な思いをさせちまうかもしれないがよろしくな!」
困惑するチカにニカッと笑いながら親指を立てるライバル。
まるで太陽のような人物にリナや他のメンバーは苦笑して、チカは目をぱちばちと瞬きさせると小さな声で答えた。
「お願いします」
「おうっ!」
一人の少女チカと革命派リーダーライバル。
二人はこうして互いの名を知ることになる。
少女はこれからどうなるのか?
フレンド
二話END
「あれ、ここは?」
辺りを見回し自分がいる場所を確認する。
天井はシミ一つない真っ白な天井でカーテンをずらし、窓から見える外の景色は見たことないようなボロボロの建物が並んでいた。
「私は…」
少女は自分が何故ここにいるのか?と頭を働かせようとしたが、ズキッと頭が痛み何も思い出せないでいた。
「私は…」
ゆっくり立ち上がり自分の姿を確認するかのように鏡に向かおうとした時だった、
「あっ、目が覚めたんですね?」
「だっ、誰ですか!?」
少女がいた部屋の扉が開いて部屋に入ってきた女性に少女は警戒して身近にあった枕を装備して対峙する。
その姿に入ってきた女性はクスクスと笑いながら少女に話しかけた。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。私はアナタに危害はくわえませんから」
ニコニコ笑う女性に少女は枕を装備し警戒したまま自分が眠っていた場所に腰かける。
絹糸のような銀髪をツインテールにしている女性は、目の前で警戒する少女に相変わらずニコニコしたまま話をしていく。
「アナタ、昨日森で倒れていたんですよ。その時に怪我をしていたから手当てはしました。体に違和感とかありませんか?」
「森で倒れていた?」
「はい。覚えてないんですか?」
「……」
女性に言われ少女は枕を眠っていた場所に置いて考える。
思い出そうとする度に頭が痛み、顔をしかめっ面に変えながら少女は頭を働かせる。
しかし、少女の頭には何も浮かぶことなく全てが真っ白で何も思い出せないでいた。
様子がおかしい少女に女性は首を傾げながらポンッと手を叩いて口を開く。
「そうだ!まだアナタの名前聞いてませんでした。私の名前はリナといいます。アナタのお前教えてくれませんか?」
「…あの」
「はい、何ですか?」
「私って一体誰なんでしょうか?」
「……えぇぇぇぇぇ!?」
少女の口から小さく発せられた言葉にリナは驚きその声は革命派全員に聞こえたようで、リナの兄でもあるライバルが真っ先に駆けつけたのは言うまでもない。
こうして、一人の少女と革命派のリーダーの最初の対面は始まったのだった。
「まさか記憶喪失だとはな」
「お兄ちゃん、どうするの?」
「どうするのって記憶喪失だからな~」
部屋に入ってきたリナの兄ライバルはスキンヘッドの頭をポリポリとかく。
サングラスをしているが右頬のタトゥーのせいで少女はびくびくと怯えているようだ。
悲しき男である。
「まぁ、今日は全員いるしひとまず会議室に連れてきてくれないかリナ」
「そうだね。お兄ちゃんは先に行って皆に事情を話しておいて、私はこの子を落ち着かせてから行くから」
「わかった。くれぐれも遅れるなよ」
「は~い!」
元気よく返事をするリナの頭を優しく撫でて笑みを浮かべるライバル。
やはり妹は可愛いのだろうか、表情こそ見えないが今のライバルの雰囲気に少女は先ほどまで怯えていた感情が微かにだが消えていた。
「ひっ……!」
しかし、部屋を去る際にライバルがチラリと少女に視線を向けると再び怯えた感情が戻り台無しである。
そんな少女の姿に和みながらリナは少女に近付いて優しく頭を撫でる。
「大丈夫、大丈夫。さっきの人は私のお兄ちゃんでここのリーダーなの。女の子には優しいから安心して」
「お兄ちゃん?リーダー?」
困惑する少女にリナはにゃははと笑いながら話を進める。
「詳しい話は皆がいる場所でするよ。私が傍にいるから怖がらないで……ねっ!」
「よっ、よろしくお願いします」
ニッコリ笑うリナに少女は小さく頷き、そんな小動物のような少女の仕草にリナは癒され会議室に行く前に少女をギュッと抱き締めて癒しを堪能していた。
そんな光景を第三者が見たらこう言うに違いない。
『仲の良い姉妹』のようだと。
「お兄ちゃん、入るよ」
「あぁ。もう全員待ってるぞ」
扉をノックして二人が中に入ると、複数の男女が円卓のような場所で椅子に座りながら、二人が入ってきたと同時にその場にいる全員の視線は二人に向かい少女はビクリと体を揺らしリナは少女を安心させるように少女の頭を優しく撫でる。
そんな光景に茶々を入れる金髪の男。
「何だ何だ。すでに仲良しこよしかリナ」
「BOTU、変な茶々は入れるな。話が出来ないだろ」
「いいじゃん光~。こんな辛気くさい雰囲気を和ませようと頑張る俺の邪魔をするなよ」
「そんなのは後だ。ライバル、話を進めてくれ」
「ちぇ~」
BOTUと呼ばれた金髪の男は残念そうに椅子に寄り掛かり唇を尖らせる。
子供のようなBOTUの反応に灰色の髪をしている男、光は呆れたようにため息を吐く。
会議室に沈黙が流れるがライバルが椅子から立ち上がり手を叩いて口を開いた。
「お前らもう少しあの女の子に気を使えって。めちゃくちゃ怯えてリナにしがみついてるじゃねぇか。特にハヤトと烈架の二人は笑っているようで目が笑ってないから怖いんだよ。小さな子供が見たらトラウマになるからやめなさい」
「僕は普通なんですけどね~」
「俺も生まれつきだから許してください」
茶髪の髪を靡かせながら笑うハヤトと青色の髪をかきながら笑う烈架にライバルは目頭をおさえる。
この二人は後でじっくりと説教しないとダメだな。
下手なホラーよりお前らの方が怖いことを自覚しろとは口にしないライバルだが、ライバルの気持ちに同調している他のメンバー。
「とりあえず…」
ライバルの視線はリナにしがみついている少女に向けられて、少女はその視線に気づいて警戒したままライバルの方を恐る恐る見ていた。
「キミが記憶喪失って話は信じる」
「えっ…」
「とりあえずだ。だから烈架とハヤトは立つなよ。話が進まん」
驚く少女に対しゆっくり立ち上がろうとした二人を止めるライバル。
油断も隙もあったもんじゃない。
ため息を吐くライバルは再び話を進めていく。
「だがいくつか聞かせてくれないか?本当に何も覚えてないのか?名前だけでもいいんだが」
「名前…」
「私達もさすがにアナタをナナシさんと言えないから。覚えてないかな?」
少女の手を優しく握っていたリナも口を開いて話しかける。
少女はリナに答えようと顔を俯かせて必死に思い出そうと頭を働かせる。
その光景に白髪の女の子は「何か和むな」と呟いたり、オレンジ色の髪をした女の子は「可愛い~」と顔をニコニコしながら見守っていた。
「……チカ」
ポツリと呟いた言葉にリナは聞こえたのか優しく頭を撫でる。
その光景はまるで難しい問題を解いた娘の頭を撫でる母親のようにメンバー達には見えて、少女はその温もりに目を細めて笑っていた。
「よしっ!チカちゃんだな!俺はこの革命派のリーダーライバルってんだ。ちょっとは不憫な思いをさせちまうかもしれないがよろしくな!」
困惑するチカにニカッと笑いながら親指を立てるライバル。
まるで太陽のような人物にリナや他のメンバーは苦笑して、チカは目をぱちばちと瞬きさせると小さな声で答えた。
「お願いします」
「おうっ!」
一人の少女チカと革命派リーダーライバル。
二人はこうして互いの名を知ることになる。
少女はこれからどうなるのか?
フレンド
二話END