ようこそ喫茶東方へ(東方)

人里から離れたとある喫茶店。

鬼畜ロリコン大魔王こと群青が経営している喫茶店で二人の青年がカウンター席に座り、一人はブラックコーヒーを飲みながら生クリームたっぷりのケーキを食べて、もう一人はトマトジュースを飲みながらサンドイッチを食していた。


「群青、ブラックコーヒーのおかわりをくれ」

「かしこまりました光さん。ハヤトは?」

「俺はいいよ。あまり食いすぎると咲夜に怒られる」

「相変わらず紅魔組の尻に敷かれてんなハヤト」

「同じように博麗の巫女に敷かれてる光には言われたくないよ」


灰色の髪をポニーテールにしている青年【光】の言葉に苦笑しながら返す茶髪の青年【ハヤト】――


「一応紅魔組の中では俺が誰よりも年上なんだけどね」

「そういや、レミリアの両親に最初は仕えてたんだっけ?」

「そうそう。それもあってか幼少期のレミリア様とフラン様の面倒は見てたよ」



それが今となっては立場逆転である。

何なら咲夜やパチューリまであの姉妹と同じように扱ってくる。


「あのパッ……」


そう口を開いた時にはハヤトの姿が消えてしまう。

先ほどハヤトがいた席にはお金とナイフだけが残っていた。

何故か血が付着したナイフが。


「あれハヤトは?」

「閻魔に会いに言ったんじゃないか?」

「何で!?」


ここ最近映姫の仕事が増えているようだ。

理由としては小町のサボりもあるのだが、主に女性陣に制裁される男達が三途の川によく出没するからだ。

まさに口は災いの元である。


「ところで群青。いつものやつを頼めるか?」

「巫女さんにお土産ですよね。数はいくつに?」

「いつもより少し多く頼むわ。霊夢だけじゃなく最近じゃ小鬼までいるからな」

「あぁ…」


ちょっと前にこの喫茶店にやって来て、酒はないかー!って襲撃してきたがたまたまいた紫さんにスキマ送りにされた小鬼こと伊吹萃香。

最近では博麗神社に住み着いているようで巫女さんがため息吐いてたっけ。

まぁ巫女さんだって光さんと二人っきりになりたいよね。


「何をニヤニヤしているんだ群青?」

「いやただ「霊夢は光が好きなのかー」…」


ルーミアが満面の笑みを浮かべながら、箱を持ってきて現れる。

箱の中には霊夢と萃香用のお菓子が入っており、光はそれを受けとると柔らかな笑みを浮かべた。


「光は霊夢が好きなのかー」


目をキラキラさせるルーミア。
どう答えるか悩んでいる光。
そんな二人を微笑ましそうに見つめる群青。

喫茶店に和やかな空気が漂うが彼らは知らなかった。

紫がこっそりスキマを開きこの会話を聞いていたなど。


「そうだな。霊夢は俺にとって誰よりも…「夢想封印!!」ハッ!?何で霊夢がここにーーー!?」


突如の襲撃で窓からダイナミックに吹き飛んでいく光。

箱はカウンターにちゃんと置いており流石の一言である。

それより何故ここに霊夢がいるのかと言うと、


「紫!アンタ私に何を聞かせるつもりだったのよ!」

「あらあらあら?お顔が真っ赤よ霊夢。まるで恋するおと「うっさい!群青!これは持っていくわ!あとガラス代は紫が払うわ!」ちょっと霊夢!」


顔を赤くさせた霊夢は箱を持ちながら喫茶店から飛び出し、紫はどこか楽しそうに笑っていた。

まるで年相応の女の子のような反応をする霊夢。

巫女だけどあんな霊夢を見るのもまた私の中での楽しみになっている。


「本当に可愛いわよね霊夢は。ところでマスター」

「何ですか?」

「少しぐらいまけて「だめです」そこを「ダメったらだめです」本当に「絶対にだめ」……」


紫はプルプル震えて次の瞬間、顔を上げると涙目になっていた。


「お願いよ群青ー!もう今月のおこづかいが少ないのー!霊夢に怒られたり藍に怒られたりしてほとんどないのよー!」


どこかの異世界にいる水の女神のように泣きじゃくる紫が本当に幻想郷の賢者なのかと疑うレベルである。

そんな姿に群青は呆れつつ視線をルーミアに向けると、


「群青に任せるのだー」

「やれやれ」












人里から離れた場所にあるとある喫茶店。

今日もまた一日騒がしい時間だけが過ぎていく。










そして――――


「今度は貴方達ですか!いい加減にしてください!正座です!何なら貴方達の関係者である男達も呼びなさい!説教です!」


映姫様の胃がキリキリ痛みだしたのは言うまでもない。
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