ミーア 夢見た少女へ

【月面都市・コペルニクス】

クリス達はAAと合流して四人は休憩していた。

クリスは部屋に戻るとベットで横になってあの時の事を思い出している。

ラウが生きていた一一一

キラには言わないでおこう。

ラウは俺が討つ。

クリスは目を閉じて眠りにつこうとしたが、


「クリス、よろしいでしょうか?」


クリスの部屋の扉が開いて中にラクスが入ってくると、クリスはラクスの声に気づいて起き上がった。



「どうしたラクス?」

「私今からお買い物に行こうとおもいまして、クリスはどうですか?」


クリスはラクスの言葉に微笑みながら答えた。


「分かった。俺も行くよ」


ラクスはクリスの言葉に満面の笑みを浮かべてクリスの手を引っ張っていった。










クリス・キラ・アスラン・ラクス・メイリンの五人は街へと息抜きがてら街へと出かける事になった。

ラクスは一応目立たないようにフードを被る事にしている。

ラクスと出掛けるなんて実は初めてだったりするんだよな。

ラクスと出会った時は戦艦だったし。

そこからは戦ってばかりで再会したのもエターナル内だったしな。

それで俺はヤキンの戦いが終ってからギルの元に行っちまったし。



「私コペルニクスは初めてですわ!あなたは?」


「はい。私も……」


女の子二人ははしゃいで男三人は後方でそれを見ておりアスランはラクス達の様子に溜め息を何度も漏らし気合いを入れていた。




「どうでしょうか、クリス?」


ラクスは赤と紫色の服を試着室で身に付けてクリスに聞くと、


「似合ってるよラクス。大人っぽいし綺麗だ」


クリスは微笑みながら答えるとラクスは嬉しそうに笑みを浮かべて違う服を選んでいく。


「ねぇアスラン、こういうのもいいと思わない?」


キラは苦笑しながらアスランに聞くとアスランも同じように苦笑しながら答えた。


「そうだな。クリスもラクスも幸せそうにしている今が平和って思えるからな」


キラはアスランの言葉に微かに笑っていた。

あの二人がこんな風に街へ出掛けて笑い合っている光景。

今まで一度もなかっただけにとても二人は幸せそうな表情をしている。

あんな風に笑うクリスをラクスを俺は一度も見たことがない。



「アスラン?」

「……んっ?」

「何か羨ましそうな顔してない?」

「……気のせいさ」


今更ラクスに対して未練はない。

今は大切な仲間という感情しかないがあんな風に幸せそうに笑うラクスを見たのは初めてだな。

クリスとラクスが出会ったあの日からこんな関係になるなんて思いもしなかったな。





その後クリス達は久しぶりに楽しんでいたが、クリス達の目の前に赤いハロが現れた。


「これは…?」


「ミーアのハロだ!!」


ラクスの目の前で飛び跳ねる赤いハロにラクスは首を傾げてアスランは目を見開く。

よく見るとそのハロの口にはメッセージカードがくわえられていた。


『助けて!!殺される!!』


ラクス宛てに書かれたと思われるメッセージ。

明らかに罠だという事は分かっていた。


「クリス…」


ラクスの表情と言葉と決意に気づいたクリスは頷いた。


「分かってるよラクス。会いたいんでしょ?ミーアって女の子に」

「はい。彼女とは一度話したいと思っていましたし」


二人の会話を聞いていたアスランは反対したが、ラクスの決意に降参して結局呼ばれた場所に行くことにした。





クリス達は目的の場所に着くと円形の野外劇場にミーアがいるのを確認して、クリス達は銃を手にミーアの前に姿を現すと、ミーアはアスランの姿に驚き歩き出したがラクスの姿を目にして急に声をあげて混乱した。


「あれは、私よ!!私だわ!!」


そう。今まで自分がしたこと一一一

人前で歌って民に訴え一一一

人々の歓声を浴び一一一

皆を導いてきたのは一一一

目の前にいるラクス・クラインではなく自分だ!


「あたしがラクスだわ!!」


「ミーア!!」


「私がラクスで…何が悪いの!!」


するとミーアは取り乱したまま銃を取りだしラクスに向けるが、ミーアの銃はクリスの発射させた弾に当たって手から離れて、今まで何も言わなかったクリスはラクスを守るように前に立ち改めてミーアを見つめる。

ラクスがプラントから姿を消して弱っていたプラント市民を支えていた彼女。

ラクスが戻るまでずっとラクスの代役をしていた彼女。

ラクスのファンで誰よりもラクスが戻って来る事を待ち続けていた彼女。

そして一一一

俺と同じようにギルに利用された存在。


「アナタは確かクリス・アルフィード?」

「こうして話すのは初めてだなミーア・キャンベル」


ディオキアで会ったが彼女はアスランと一緒にだったりこっそりとハイネと会ったりしていたからな。


「…キミがラクスの代わりにプラントを支えてくれていた事は感謝している。キミがいなければプラント市民もザフト兵も弱りきっていただろうしな」


それだけラクスの存在がプラントに必要なのもわかるけどラクスはただの女の子にすぎない。

どこか過剰に持ち上げている気もするが今はいい。

今はミーア・キャンベルが先だ。


「だがキミは本当にこのままでいいのか?」

「どういう意味よ!?」

「キミは本当にそれでよかったのか?キミは皆にラクスとして見てほしかったのか?」

「それは…」

「キミはラクスとしてじゃなくミーア・キャンベルとして見てほしかったんじゃないのか?偽りの姿じゃなく……ミーアとして」


私はラクス・クラインなんだ!

プラントの人達もザフトの人達も議長も私をラクス・クラインとして見てくれていた。

だから今更私はミーア・キャンベルには戻らない!

たとえ役割だとしてもラクス・クラインでいられるなら私は!


動揺して目を見開くミーアに対してクリスは柔らかな笑みを浮かべて再び口を開いた。


「キミには分かっていたはずだ。キミをラクスとしてじゃなくてミーアとして見てくれている人がいた事を…」


私をラクス・クラインじゃなくミーアとして見てくれていた人?

アスランは事情を知っていたからミーアとして私を見てくれてたけど、彼の言葉はアスランの事を言っているように思えない。

なら誰?


『……ミーア』

「………あっ」


たった一人だけいた。

私を私として見てくれたたった一人の存在。

ハイネ一一一


「ハイネ…でも…彼は…」


ザフトの裏切り者として彼は討たれたのだ。

だからもう彼はいない。

私を見てくれる人はもう一一一


顔を俯かせるミーアにクリスはミーアに微笑みながら伝える。


「大丈夫だよ。ハイネは生きている。だから安心して」

「ミーアさん、私達と一緒に行きましょう。彼がいる所へ」


ラクスが柔かな微笑みと共に手を差し伸べるとその優しさにミーアは泣き崩れた。

これで終わりかとクリスが一息吐くと、次の瞬間トリィの鳴き声と共にラクスに向かって銃弾が放たれて、その銃弾に寸前に気づいたアスランとクリスによって銃弾はコンクリートに埋まる。

そして、それを合図に今まで身を潜めていた敵が何人も出てきてラクス達に向けて撃ってくると、キラとメイリンはラクスとミーアを守りながらアスランとクリスは見事な身のこなしで次々と敵を撃っていく。


「アスラン!!」


「あぁ…!分かってる!!」


想像以上の人数に手こずるクリスとアスランだったが二人の連携プレーで敵は次々と倒れていく。
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