新しき剣

「ここのプログラムは間違っていませんよ」


クリスはアビスとカオスの追加機能を整備士と話してた。

アビスには火力重視でカオスは武装を増やし手数を増やすと考えている。


「しっかしお前も無茶するな。この二機の機体をさらに強くするなんてな」

「必要ですから。これからの戦いにアビスもカオスも」


クリスは作業を終えてコックピットで休んでいた時だった、


「クリス君!!至急ブリッジへ…!エターナルが発進したとターミナルから連絡が入ったわ!」

エターナルが発進!?

まさかラクスの身に何かが!

クリスは驚いてコックピットから出て一目散にブリッジを目指す。







ブリッジについたクリスはマリューから事情を聞いた。


「どのくらいの部隊におわれているかはわからないけど、突破が無理ならポットだけでもこちらに降下させるそうよ」

「突破が無理ならってラクス…!」


今ラクスはどれだけの部隊に追われているんだ?

もしかして対応できないほどの戦力に一一一


クリスは声を震わせて俯いて拳を握り締めていると医務室からブリッジに通信が入った。


「なぁ、クリス!こいつが何か言ってんだけど!!」


アウルが指差す方にはアスランが苦しそうな表情で胸を押さえて何かを呟いていた。


「アウル!!アスランがなにを言ってるかわかるか!?」


アウルは頷いてアスランの言葉をクリスに伝えた。


「クリス行け…!ラクスを守るんだ…!絶対にだって」


アスラン一一一


アウルから伝えられたアスランの言葉にクリスは真剣な顔付きになった。


「クリス、ラクスが待ってる。行ってあげて」


「キラさんやアスランの言う通りですクリス。ラクスさんを失ったら全て終りです」


キラとニコルも同じように真剣な表情でクリスに告げると、


「オーブは俺達が守ってやる!今は心強い仲間達もいるからな!だから…お前のやりたいようにやれよ」


ミゲルもクリスを後押ししながら言うと、クリスは決意した顔付きになりカガリに視線を変えて口を開いた。



「カガリ、ルージュを貸してくれ。それとブースターも。皆…ありがとう!」


クリスはブリッジを出ていき格納庫に向かった。


「男らしくなったなアイツ」

「えぇ…」

クリスの後ろ姿を見ながらミゲルとニコルが嬉しそうに話していた。





クリスはルージュのOSを自分用に書き換えながらラクスの笑顔を思い出していた。

待っててくれラクス!

必ず助けに行く!


OS書き換えを終えクリスは声を上げた。


「マードックさん!!」


「総員待避~~ッ!!」


マードックが指示を出す中マリューから通信が入った。


『エターナルの軌道要素いいわね?だいぶ降下してきてるわよ』


「はい、大丈夫です!!」


『進路クリア!システムオールグリーン!ストライクブースター発進どうぞ!!』


「行きます!!」


ミリアリアの声と同時にクリスは宇宙に飛び出した。









バルトフェルドが敵を倒す中でラクスは射出ポイントに急ぐように指示を出した。

このポッドは絶対にキラ達に必要なもの。

だからたとえ私の命がここで尽きたとしても絶対に。



「クリス…」


せめてもう一度アナタに会いたかった。


ラクスが小さく呟くと同時にザクの銃口がブリッジに向けられた。


「!!」


しかし…その銃口は放たれずザクはビームによって頭部が破壊された。


「ストライクだと!!キラか!?」


自分達を守るようにブースターを装備したストライクが現れて次々にザクの頭部や武装を破壊していく。

そのストライクを操るチカラにバルトフェルドはキラだと思い通信を入れると、


『俺です…』


バルトフェルドの通信に答えたのはクリスでありクリスが呆れた口調で答えると、


「クリス!!」


間違いない。

今目の前にいるのはクリスだ。

自分が会いたくて会いたくてたまらなかった愛おしい人。

その愛おしい人がストライクに乗って助けに来てくれた。


「ラクス!!もう大丈夫だから」


クリスはそう言いながらストライクのサーベルを抜いてザクを切り裂いていくが、ストライクに乗っていクリスでもザクとグフの相手は無理がありストライクの両腕が破壊された。


「このバカ!!だったらエターナルへ行け!!」


「えっ!!」


「お前の機体を取ってこい!!」


バルトフェルドの言葉にクリスは目を丸くして驚くが、


「あっ…はい!!」


クリスはすぐにエターナルに向かうとラクスは微笑みながらクリスの元に向かった。


「アイシャ!クリスが来るまで俺達で時間を稼ぐぞ」


「分かってるわ…アンディ!」





エターナルの中に軽く被弾したストライクが納められた。


「クリス…!!」


ラクスはハッチが開くのを待った。

早く!早く!

クリスにようやく会える。

もう会えないかもしれないと考えてしまうほどあの時の光景を忘れられなかったラクスは微かに瞳に涙を浮かべているとハッチが開いてラクスが腕を伸ばすと反対側からも腕が伸びてきた。


「ラクス…!!」

「クリス…!!」


強く抱き締めあいラクスは自分の目の前にいるクリスの姿を見て瞳から涙を流す。

間違いありません。

この温もりはクリスだ。

やっとやっとクリスと会えましたわ。


「クリス……」

「本当によかった。間に合って本当に安心した。ラクスが今ここにいる俺はそれだけでいい」

「私もですわクリス」


クリスとラクスはお互いの無事な姿に安心した。


「ごめんなラクス。あの時悲しませてしまって…」


クリスはラクスの涙を指で優しく拭う。

俺はまたラクスを泣かせてしまったな。

だけどもうラクスを悲しませたりしない。


「いえ…私は信じていましたわ。クリスは必ず生きていると」


クリスは微笑むラクスの頬に優しく触れた。

お互い目の前の存在が愛おしくて仕方ない。

ゆっくりと目を閉じてまるでお互いの気持ちを確かめるようにそのまま静かに目を閉じて、少しだけ二人の時間が過ぎていたが二人はゆっくりと体を離してクリスが口を開いた。


「ラクス、あれは?」


ラクスは頷いてクリスを格納庫に案内した。






格納庫につくと、そこにはクリスの新たな『剣』の姿が。


「似ている。昔の相棒に」


その剣はかつてともに戦場を駆け抜けたスピリットに似ていたがどことなく違っていた。


「これはクリスの新たな剣『クルサード』です。皆様の力と私の想いをクリスに託したMSです」

クリスは微笑んでラクスの手を握る。

俺の新しい剣。

ラクスの想いが宿った新しい剣。


「ありがとう。これで俺は皆をキミを守れる。待っててくれ。すぐ戻ってくるから。そして帰ろう………キラや皆の所に」

「はい!」


クリスの言葉にラクスは小さく頷いた。



「お気を付けてクリス」

「あぁ…!」


クリスはコックピットに入るとクルサードを起動させた。

スピリットよりもさらに強くなったMS。

全ての能力が向上しているクルサード。

俺はこの力で戦う。


「クリス・アルフィード、クルサード行きます!!」


クリスは新たな剣を手にして漆黒の闇の宇宙に出ていった。
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