ダーダネルスでの戦い
「ふぅ…」
自室でパソコンを使っているクリスの額から汗が流れていた。
「レイの体はテロメアのせいで時間がない。だとしたらやっぱりそこをどうにかするしかないか?」
クローンの体であるレイを救いたいと思っているクリスは遺伝子のデータを見ていた。
レイやラウは俺やキラを生み出す為に作られた犠牲者だ。
大人達の勝手な都合で作られた命。
「それにステラ達エクステンデッドの身体もおそらく薬物や違法な何かを使われている可能性がある…」
実はクリスはナツメからもらったデータにプロテクトがかけられてるデータを見つけてデータを簡単にあけてみていた。
「……転送しとこ」
とあるコンピューターにデータを転送したクリスは息抜きをするためにデッキに向かった。
ミネルバのデッキでアスランは1人で悩んでいた。
次の戦闘の増援はオーブ。
カガリが守ろうとしていたオーブ。
俺はオーブを相手に戦えるだろうか?
アスランの脳裏によぎるカガリの笑顔。
俺はザフトの軍人だ。
割り切らないといけないのに。
悩むアスランの背後から誰かが現れると、
「オーブにいたのか、大戦の後ずっと…」
アスランは声を掛けてきた人物であるハイネに気づいてゆっくり振り向いた。
「いい国らしいよなあそこは」
「そうですね」
「この辺も綺麗だけどな」
ハイネは手すりに手をつけてディオキアの陸を見ていた。
「戦いたくないか…オーブとは」
「はい…」
アスランの本音はそこなのだ。
アスランにとってオーブはカガリと過ごした国でありカガリが何より守りたい国である。
それはもう自分にとっても同じようなもの。
だからこそ自分は戦いにくい。
「じゃあお前…どことなら戦いたい?」
「えっ…!いや、どことならって…そんなことは」
「あっ!やっぱり?俺も!!」
ハイネがそう言うとアスランは驚いた。
「そういうことだろ?割り切れよ。今は戦争で俺達は軍人なんだからさ。でないと……死ぬぞ」
「………はいっ」
そうだ。こうして悩んで戦えばかつてのような悲劇が起きる可能性だってある。
ニコルの時だって俺は悩み続けたせいで。
ハイネの言葉にアスランはギュッと拳を握り締めていた。
「オデコのハイネが真剣になるとやっぱり面白いな」
「「!!」」
不意にハイネとアスランの背後から声が聞こえ二人が振り返るとそこには壁に寄りかかっているクリスがいた。
「オデコは余計だ!!」
「それよりアスラン、次の戦闘辛くない?」
ハイネの言葉をスルーしてクリスはアスランに言った。
「俺はザフトの軍人だ」
「本当に割りきれるか?」
クリスの言葉にアスランは顔を歪めた。
「迷いがある者が戦場に出れば自分が仲間が死ぬ事になる」
俺もそうだった。
迷いがあったせいでエリスを失った。
だから迷うわけにはいかない。
「…わかってる」
アスランの言葉にクリスは苦笑しつつ視線をハイネに向ける。
「だってよ」
「そこまでの決意があるならいいんじゃないのか」
ハイネはそう言ってデッキから出ていくと、アスランもそれに続いて出ていった。
そしてデッキに残ったクリスは首に架けていた指輪を強く握り締めた。
「エリス、俺は間違ってないよな」
海を見つめながらそっと呟くクリスの表情は寂しげな表情をしていた。
「前方にオーブ艦隊!及び地球軍!」
ブリッジからの声と共にクリスが皆に通信をいれた。
「了解。スピリット発進後にシンとアスランも出撃してくれ。状況次第でハイネとルナマリアとレイには出撃してもらう。これでいいか?」
「「「分かった」」」
そして…出撃許可になりクリスは一度だけ息を吐くとレバーを強く握り締めた。
「クリス・アルフィード、スピリット行きます!!」
この戦場で何かが起こるかもしれない。
それでも俺は戦うしかない。
スピリットとインパルスとセイバーが出撃したと同時にオーブ軍からの攻撃が開始する。
「回避しつつ迎撃!!」
ミネルバは向かってくるミサイルを撃ち落としながら前進していた。
「くそぉ!!」
シンは出撃前にアスランに言われた言葉が頭の中で響いてどうしても本来の力が出せないでいる。
それはアスランも同じで少し躊躇いがちな戦い方をしていた。
あれだけ悩まないつもりだったのに、アスランはオーブ軍のMSを撃退する度に苦しげな顔を浮かべてしまう。
そんな状況でクリスは未だ動かない地球軍に疑問をもっていたが、オーブ軍はスピリットを倒すために大量のMSを向かわせてくる。
「数だけいれば勝てると思うな」
翼を広げて高エネルギー砲を発射させてムラサメとアストレイを全て破壊していく。
「コックピットは避けたたんだ。死ぬなよ」
スピリットを狙うMSをある程度倒しクリスがミネルバの方にモニターを向けていると、ミネルバの方ではタンホイザーを起動させ勝負を決めようとした。
タンホイザーの矛先は一一一
『オーブ軍』
「撃てぇぇっっ!!」
一気に勝負を決めようとしたミネルバだったがその一撃は放たれる事がなかった。
何故なら一一一
上空から一筋の閃光が降り注ぎミネルバのタンホイザーの発射部を撃ち抜いたからだ。
「「!!」」
「何だ!!どこから!!」
シンはそう口にしてアスランと同じように周りを探していたがクリスだけは上を見ていた。
すると…上空から自由の翼をもつMSが姿を現した。
「フリーダム!!…キラ!!」
フリーダムの出現にアスランは驚いていた。
「キラ…!このタイミングで」
クリスはまるで狙ったかのように現れたフリーダムにタイミングが良いのか悪いのかと顔を歪めた。
さらにAAも現れてそこからもう一機のMSが登場した。
そのMSは一一一
「私は、オーブ連合首長国代表!!カガリ・ユラ・アスハ!!」
カガリの出現に皆が驚いたがカガリの言い放った言葉にオーブ軍が動揺した。
「オーブ軍は直ちに戦闘を停止させ…軍を退け!!」
行方不明になっていたカガリの登場にタケミカヅチに乗っていたユウナは焦っていた。
しかし一一一
カガリの言葉はオーブ軍に通じなかった。
しかも…今まで動かなかった地球軍が動き出した。
地球軍から出てきたMSはアビス・カオス・ガイアに無数のウィンダム。
オーブ軍はカガリを偽者と判断して攻撃を再び開始させた。
戦場にはカガリの声が響いていたが誰も聞く耳をもっていなかった。
「よしっ!!俺達の出番か!!」
「ハイネ・レイ・ルナマリア!出撃だ!」
クリスの言葉によって待機していた三機がミネルバから出撃して、クリスはミネルバに迫る敵をなぎ払いながら視線はAAとフリーダムに向きつつもミネルバに迫るムラサメをビームライフルを発射させて破壊していた。
「キラ!!」
アスランの声に気づいてクリスが再びフリーダムを見るとフリーダムは無差別にMSを攻撃していた。
その犠牲にレイのザクやシンのインパルスが、
「キラァァァァーーー!!」
次の瞬間、クリスはSEEDを発動させてフリーダムに接近した。
「よすんだクリス!!」
キラはすぐに通信を入れてクリスを止めようとするが、クリスは止まるわけにはいかなかった。
「やめろキラ!!これはザフトと地球軍の戦いなんだぞ!AAが出る意味はない!」
スピリットとフリーダムが戦場でぶつかり合う。
お互い機体を傷つけお互いの言葉を言い合うクリスとキラの二人。
「クリス!キミこそこんな事をするために、ザフトに戻ったんじゃないだろ!?」
「キラに何が分かる!?俺の今の居場所はザフトなんだよ!軍人である俺は戦うしかないだろ!」
「どうしてなんだクリス!クリスはラクスの傍に帰ってくればいいじゃないか!それにキミは知らないだろうけどラクスがザフトの暗殺部隊に狙われた!」
「ラクスが狙われた!?……ッ!やっぱりギルは!」
やはりギルはラクスを消そうとしたのか。
それでキラ達は動くしかなかった。
だけど今ここで俺は止まるわけにはいかない。
スピリットはライフルを放ち攻撃の手を止めなかった。
「どうしてこれを聞いても戦うんだ!?」
「……今の俺は軍人なんだよ!守るべき仲間がいるのに止まるわけにはいかないんだ!」
スピリットがフリーダムの片手を切り裂くと、フリーダムもまたスピリットの片足を切り裂いていく。
クリスとキラの戦いは止まらない。
そんな状況をラクスは悲しげに見つめることしかできない。
「キラァァァァァ!」
「クリスーーー!」
スピリットとフリーダムがぶつかり合おうとした時だった、スピリットの真横からソードが飛んできた。
「「!?」」
そして突然スピリットの同じMSが現れる。
「いつのまに…」
キラはいきなり現れたMSに警戒してサーベルを構える。
「姉さん…」
ナツメはクリスに通信を入れてくる。
「あのデータを見ても私と戦うの?」
「当たり前だ、姉さんを救うと決めたんだから」
「無理よクリス!貴方の力じゃ何も救えないのよ!!」
ファントム・スピリットは両手にソードを装備してクリスに向けて構えた。
「さぁ、構えなさいクリス!決着をつけるわよ」
「分かった」
クリスは近くにいたフリーダムを蹴り飛ばす。
「クリス!!」
クリスはスピリットのソードをファントム・スピリットに向けて構える。
「クリスには私達の計画に邪魔な存在だから死んでもらうわよ!!」
ファントム・スピリットはインド洋で戦った時よりも性能が急激に上がっており、クリスの乗るスピリットを徐々に追い詰めていく。
「クローンを救う?エクステンデッドを救う?さらに私を救うですって?あんた自分を何様だと思ってんのよ!」
サーベルで切りかかりながらナツメは言う。
「自分を神かなんかと勘違いしてんじゃないのよ!!救えないものは救えないのよ!!」
ナツメの言葉にクリスは胸が苦しくなっていた。
決意した事をあっさり否定される。
自分のやるべき道を無駄だと言われる。
だとしても諦めるわけにはいかなかった。
「例えそうだとしても…俺は!」
その時だった、スピリットの目の前にファントム・スピリットが現れた。
「死になさい!!」
ソードを振り下ろそうとした瞬間に、ナツメのMSが背後から攻撃されたのだ。
自室でパソコンを使っているクリスの額から汗が流れていた。
「レイの体はテロメアのせいで時間がない。だとしたらやっぱりそこをどうにかするしかないか?」
クローンの体であるレイを救いたいと思っているクリスは遺伝子のデータを見ていた。
レイやラウは俺やキラを生み出す為に作られた犠牲者だ。
大人達の勝手な都合で作られた命。
「それにステラ達エクステンデッドの身体もおそらく薬物や違法な何かを使われている可能性がある…」
実はクリスはナツメからもらったデータにプロテクトがかけられてるデータを見つけてデータを簡単にあけてみていた。
「……転送しとこ」
とあるコンピューターにデータを転送したクリスは息抜きをするためにデッキに向かった。
ミネルバのデッキでアスランは1人で悩んでいた。
次の戦闘の増援はオーブ。
カガリが守ろうとしていたオーブ。
俺はオーブを相手に戦えるだろうか?
アスランの脳裏によぎるカガリの笑顔。
俺はザフトの軍人だ。
割り切らないといけないのに。
悩むアスランの背後から誰かが現れると、
「オーブにいたのか、大戦の後ずっと…」
アスランは声を掛けてきた人物であるハイネに気づいてゆっくり振り向いた。
「いい国らしいよなあそこは」
「そうですね」
「この辺も綺麗だけどな」
ハイネは手すりに手をつけてディオキアの陸を見ていた。
「戦いたくないか…オーブとは」
「はい…」
アスランの本音はそこなのだ。
アスランにとってオーブはカガリと過ごした国でありカガリが何より守りたい国である。
それはもう自分にとっても同じようなもの。
だからこそ自分は戦いにくい。
「じゃあお前…どことなら戦いたい?」
「えっ…!いや、どことならって…そんなことは」
「あっ!やっぱり?俺も!!」
ハイネがそう言うとアスランは驚いた。
「そういうことだろ?割り切れよ。今は戦争で俺達は軍人なんだからさ。でないと……死ぬぞ」
「………はいっ」
そうだ。こうして悩んで戦えばかつてのような悲劇が起きる可能性だってある。
ニコルの時だって俺は悩み続けたせいで。
ハイネの言葉にアスランはギュッと拳を握り締めていた。
「オデコのハイネが真剣になるとやっぱり面白いな」
「「!!」」
不意にハイネとアスランの背後から声が聞こえ二人が振り返るとそこには壁に寄りかかっているクリスがいた。
「オデコは余計だ!!」
「それよりアスラン、次の戦闘辛くない?」
ハイネの言葉をスルーしてクリスはアスランに言った。
「俺はザフトの軍人だ」
「本当に割りきれるか?」
クリスの言葉にアスランは顔を歪めた。
「迷いがある者が戦場に出れば自分が仲間が死ぬ事になる」
俺もそうだった。
迷いがあったせいでエリスを失った。
だから迷うわけにはいかない。
「…わかってる」
アスランの言葉にクリスは苦笑しつつ視線をハイネに向ける。
「だってよ」
「そこまでの決意があるならいいんじゃないのか」
ハイネはそう言ってデッキから出ていくと、アスランもそれに続いて出ていった。
そしてデッキに残ったクリスは首に架けていた指輪を強く握り締めた。
「エリス、俺は間違ってないよな」
海を見つめながらそっと呟くクリスの表情は寂しげな表情をしていた。
「前方にオーブ艦隊!及び地球軍!」
ブリッジからの声と共にクリスが皆に通信をいれた。
「了解。スピリット発進後にシンとアスランも出撃してくれ。状況次第でハイネとルナマリアとレイには出撃してもらう。これでいいか?」
「「「分かった」」」
そして…出撃許可になりクリスは一度だけ息を吐くとレバーを強く握り締めた。
「クリス・アルフィード、スピリット行きます!!」
この戦場で何かが起こるかもしれない。
それでも俺は戦うしかない。
スピリットとインパルスとセイバーが出撃したと同時にオーブ軍からの攻撃が開始する。
「回避しつつ迎撃!!」
ミネルバは向かってくるミサイルを撃ち落としながら前進していた。
「くそぉ!!」
シンは出撃前にアスランに言われた言葉が頭の中で響いてどうしても本来の力が出せないでいる。
それはアスランも同じで少し躊躇いがちな戦い方をしていた。
あれだけ悩まないつもりだったのに、アスランはオーブ軍のMSを撃退する度に苦しげな顔を浮かべてしまう。
そんな状況でクリスは未だ動かない地球軍に疑問をもっていたが、オーブ軍はスピリットを倒すために大量のMSを向かわせてくる。
「数だけいれば勝てると思うな」
翼を広げて高エネルギー砲を発射させてムラサメとアストレイを全て破壊していく。
「コックピットは避けたたんだ。死ぬなよ」
スピリットを狙うMSをある程度倒しクリスがミネルバの方にモニターを向けていると、ミネルバの方ではタンホイザーを起動させ勝負を決めようとした。
タンホイザーの矛先は一一一
『オーブ軍』
「撃てぇぇっっ!!」
一気に勝負を決めようとしたミネルバだったがその一撃は放たれる事がなかった。
何故なら一一一
上空から一筋の閃光が降り注ぎミネルバのタンホイザーの発射部を撃ち抜いたからだ。
「「!!」」
「何だ!!どこから!!」
シンはそう口にしてアスランと同じように周りを探していたがクリスだけは上を見ていた。
すると…上空から自由の翼をもつMSが姿を現した。
「フリーダム!!…キラ!!」
フリーダムの出現にアスランは驚いていた。
「キラ…!このタイミングで」
クリスはまるで狙ったかのように現れたフリーダムにタイミングが良いのか悪いのかと顔を歪めた。
さらにAAも現れてそこからもう一機のMSが登場した。
そのMSは一一一
「私は、オーブ連合首長国代表!!カガリ・ユラ・アスハ!!」
カガリの出現に皆が驚いたがカガリの言い放った言葉にオーブ軍が動揺した。
「オーブ軍は直ちに戦闘を停止させ…軍を退け!!」
行方不明になっていたカガリの登場にタケミカヅチに乗っていたユウナは焦っていた。
しかし一一一
カガリの言葉はオーブ軍に通じなかった。
しかも…今まで動かなかった地球軍が動き出した。
地球軍から出てきたMSはアビス・カオス・ガイアに無数のウィンダム。
オーブ軍はカガリを偽者と判断して攻撃を再び開始させた。
戦場にはカガリの声が響いていたが誰も聞く耳をもっていなかった。
「よしっ!!俺達の出番か!!」
「ハイネ・レイ・ルナマリア!出撃だ!」
クリスの言葉によって待機していた三機がミネルバから出撃して、クリスはミネルバに迫る敵をなぎ払いながら視線はAAとフリーダムに向きつつもミネルバに迫るムラサメをビームライフルを発射させて破壊していた。
「キラ!!」
アスランの声に気づいてクリスが再びフリーダムを見るとフリーダムは無差別にMSを攻撃していた。
その犠牲にレイのザクやシンのインパルスが、
「キラァァァァーーー!!」
次の瞬間、クリスはSEEDを発動させてフリーダムに接近した。
「よすんだクリス!!」
キラはすぐに通信を入れてクリスを止めようとするが、クリスは止まるわけにはいかなかった。
「やめろキラ!!これはザフトと地球軍の戦いなんだぞ!AAが出る意味はない!」
スピリットとフリーダムが戦場でぶつかり合う。
お互い機体を傷つけお互いの言葉を言い合うクリスとキラの二人。
「クリス!キミこそこんな事をするために、ザフトに戻ったんじゃないだろ!?」
「キラに何が分かる!?俺の今の居場所はザフトなんだよ!軍人である俺は戦うしかないだろ!」
「どうしてなんだクリス!クリスはラクスの傍に帰ってくればいいじゃないか!それにキミは知らないだろうけどラクスがザフトの暗殺部隊に狙われた!」
「ラクスが狙われた!?……ッ!やっぱりギルは!」
やはりギルはラクスを消そうとしたのか。
それでキラ達は動くしかなかった。
だけど今ここで俺は止まるわけにはいかない。
スピリットはライフルを放ち攻撃の手を止めなかった。
「どうしてこれを聞いても戦うんだ!?」
「……今の俺は軍人なんだよ!守るべき仲間がいるのに止まるわけにはいかないんだ!」
スピリットがフリーダムの片手を切り裂くと、フリーダムもまたスピリットの片足を切り裂いていく。
クリスとキラの戦いは止まらない。
そんな状況をラクスは悲しげに見つめることしかできない。
「キラァァァァァ!」
「クリスーーー!」
スピリットとフリーダムがぶつかり合おうとした時だった、スピリットの真横からソードが飛んできた。
「「!?」」
そして突然スピリットの同じMSが現れる。
「いつのまに…」
キラはいきなり現れたMSに警戒してサーベルを構える。
「姉さん…」
ナツメはクリスに通信を入れてくる。
「あのデータを見ても私と戦うの?」
「当たり前だ、姉さんを救うと決めたんだから」
「無理よクリス!貴方の力じゃ何も救えないのよ!!」
ファントム・スピリットは両手にソードを装備してクリスに向けて構えた。
「さぁ、構えなさいクリス!決着をつけるわよ」
「分かった」
クリスは近くにいたフリーダムを蹴り飛ばす。
「クリス!!」
クリスはスピリットのソードをファントム・スピリットに向けて構える。
「クリスには私達の計画に邪魔な存在だから死んでもらうわよ!!」
ファントム・スピリットはインド洋で戦った時よりも性能が急激に上がっており、クリスの乗るスピリットを徐々に追い詰めていく。
「クローンを救う?エクステンデッドを救う?さらに私を救うですって?あんた自分を何様だと思ってんのよ!」
サーベルで切りかかりながらナツメは言う。
「自分を神かなんかと勘違いしてんじゃないのよ!!救えないものは救えないのよ!!」
ナツメの言葉にクリスは胸が苦しくなっていた。
決意した事をあっさり否定される。
自分のやるべき道を無駄だと言われる。
だとしても諦めるわけにはいかなかった。
「例えそうだとしても…俺は!」
その時だった、スピリットの目の前にファントム・スピリットが現れた。
「死になさい!!」
ソードを振り下ろそうとした瞬間に、ナツメのMSが背後から攻撃されたのだ。