全員の視線が一点に集中した
　悠々と口の周りのコーヒーを拭き、しれっとした表情をした巻き毛の眼鏡
　コムイ室長に痛いほどの視線が突き刺さる

「そこのキミ!」
「は、はい?」

　さも当然のように適当な班員をビシッと指さす

「ボクの机調べて!」
「アレをっスか…」

　指示された机には本や資料が乱雑に並べられ、塔を作ってはそのたびに崩壊を繰り返した後だった
　いったい最後に片づけられたのはいつなのか
　蜘蛛の巣が当然のようにはっている

「コムイ兄さん」
「コムイ室長…」

　当然向けられる冷えた空気

「ボクも手伝うよ」

　まるでテンプレートのようなやり取りの後、不憫な班員の手によって魔窟であったコムイの机から一通の手紙が発掘された

「あった!ありましたぁ!クロス元帥からの手紙です!」
「読んで!」
　同時に手に持った書類をぶちまける
「"コムイへ　近々アレンとシャナというガキ共をそっちに送るのでヨロシクな　BYクロス"です」
「はい!そーゆうことです。リーバー班長神田君止めて!」
「たまには机整理してくださいよ!!神田攻撃を止めろ!」

　声を荒げながら外への無線をつなげて指示を下す
　コムイ室長はコーヒーをおかわりすべくひょこひょことその場から離れていった

「リナリー」

　黒髪の少女を引き留める

「ちょっと準備を手伝って。久々の入団者だ」

　ガラガラと音を立てて重たい門が開いていく
　開閉音に合わせて門番が納得いかない表情のまま高らかに開門の宣言を下した

「あの人が出してきた子か…鑑定しがいがありそうだ♬」

　コムイはこくりとコーヒーをあおった