始まりの物語
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第三話 春の国
「あの…待っている間に色々聞いてもいいですか…?」
と、恐る恐るこの美しい風貌の青年に声をかけてみる
見れば見るほど綺麗な顔をしている。均整の取れた目鼻立ちはとても同じ人間にはみえなくて、まるで血の通わない人形のようにさえ見えた
「かまわない」
「それなら、遠慮なく…あの、ここってどこなんでしょうか?私はどうしてこの部屋で寝ていたんですか?」
「ここは俺の店。あんたは床で寝てたからここで寝かせてた」
「え、床で寝てた?」
私の直前の記憶では自分の寝室で夜眠った記憶しかない
わざわざ制服に着替えた記憶もなければ、お店に入った記憶もない
なんだろう、この記憶の食い違いは
言われた情報と持っている情報がちぐはぐしていてどうにもかみ合わず、収まりが悪い
「大方神隠しにでもあったんじゃないか?」
「は?」
あまりに突飛な発言に素っ頓狂な声が漏れた
あの綺麗な顔で、無表情で、目もそらさず、大真面目に彼はそんなことを言った
「待ってください、それはあまりにも非現実的すぎます」
「…あんたのいた国の名前を言ってみろ」
「はぁ?」
なんなんだこの男は。さっきから私をからかっているんだろうか
「日本ですけど、それがなんだっていうんですか?」
不意に、彼が表情を歪めた
まるで憐れむようなその表情は、先ほどまでの人形めいた存在にほんの少しの人間味を落としていく
「不運としか言いようがないな」
と、不吉なことを言う彼は、悲しそうで。ぐっと息することさえ、忘れてしまう
「この国は、プリマヴェーラ。そして、この世界に日本という国は存在しない」
彼の声は、とても静かに、この殺風景な部屋に溶けていった