始まりの物語
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第七話 シャンディガフ
「アリスぅ~、もう一杯ちょーだーい」
「何が飲みたいんだへべれけ」
「シャンディガフちょうらい」
「はいはい」
スライスした生姜のビンからシロップをすくって、それに炭酸を注ぐ。ゆっくりと炭酸が抜けないようにステアして、味を確かめるためにバースプーンから手の甲に垂らして舐める
甘味が足りなかったのか、別のビンに入ったガムシロップを少量加えてからもう一度ステアして、アリスはオズの前に黄金色のジュースを置いた
「おおー!いつ見てもきれいらねー。おいひー」
「どうも」
「ねえ、ソフィー。シャンディガフって」
「ビールとジンジャーエールのカクテルですよ」
「えっ!あんな泥酔状態でお酒さらに飲んだら危ないんじゃ…」
「大丈夫ですよ。あれはただのジンジャーエールです。オズさんもう呂律が回ってないですから、三杯くらい前からジュースか水しか出してないですよ」
アリスはカウンターに突っ伏してしまったオズのおでこをピンとはじく
しかし、もう深い眠りに入ってしまったのか、オズは全く反応を示さなかった
二人は、すごく仲がいいというわけではなさそうなんだけど、アリスのさり気ない気づかいやオズの遠慮のなさから気の置けない仲だろうことは伝わってきた
そして、オズの横にいる少年、アルファ君だったかな?はアリスのことが好きではないんだろうことがひしひしと伝わってきた
眉間にしわを寄せ、ぐっとアリスを睨み、オズの服の裾をぎゅっとつかんでいる
凡そ、中学生男子のとる行動とは思えない仕草から外見年齢よりも精神はもう少し幼いのかもしれない
「さっさと部屋に片付けろ、小僧」
「小僧じゃねえよ、お人好し男」
「そりゃどーも、おほめにあずかり光栄です」
「馬鹿にしやがって…」
アルファ君は今にも胸倉につかみかからんといった剣幕で立ち上がり、その勢いに負けた椅子がガタリと床にたたきつけられた
血もにじみそうなほど握られたこぶしが痛々しい
「…悪い、揶揄いすぎた」
アリスはアルファ君の髪をくしゃっと撫でまわした
彼はすごく嫌そうな顔をしてアリスの手を叩き落とすとべーっと舌を出し、逃げるようにオズを抱えて二階に行ってしまった
「相変わらずですね」
「子供の相手は苦手だ」
「アリス、ストレートに言うの苦手そうだもんね」
彼の言葉は少し遠回しなことが多い
アルファ君は見た目通り、思春期真っただ中の少年のような心の持ち主らしいのでアリスのちょっと分かりにくい優しさが癇に障るのだろう
もう少し、彼に歩み寄った表現をしてあげればいいのにと思う一方、あそこまでイライラしなくてもいいのにと思ってしまうのは、この一週間の生活で彼の遠回しな優しさの数々を肌で感じてしまったせいかもしれない
ゆく当てのない私をためらいもなく置いてくれたことや、近所の人たちにこっそり声をかけてくれていたことや、さりげなく私が好きな料理を聞き出して作ってくれるところとか
会話すると皮肉やからかいの言葉ばかりなのに、本当はすごく不器用に優しい
「アルファ君、仲良くなれるといいな」
「心配しなくても、仲良くなれますよ」
「そうかな」
「はい、私が保証します」
何の根拠があるんだか
つい、苦笑が漏れた