短編集(オリジナルサバイバーあり)
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ゲームが終わって、1度も顔を合わせたことのない荘園の主のもとに集まったのは見慣れた仲間たちで、当然のようにその数は少なく空気は確かに重かった。最後のゲームだった。「逃げろ、生きろ、君だけは」そう叫んだ友の声は耳鳴りのように収まることなくずっと反響している。
広がる赤黒い血液は確かに死の匂いがした。本当に死ぬのだと、そう説明されていたにも関わらずどこか他人事のように感じていた。何時ものように翌日になればもとに戻っているんじゃないかと。
そんなことは無かった。今や死に逝った者たちはただの血塗れの布切れや糸屑と成り果てここに眠る。
荘園の主の声は壮大な劇を見終わった後の興奮状態の様で自分で考案した遊びに飽きた子供の様でもあった。次々と展開される『種明かし』すらも耳から零れ落ちる。ただ彼女の叫びだけが耳の中で木霊している。逃げろ、生きろ、君だけは。血の赤だけが生々しく、脳裏に浮かぶ。
最後のゲームのハンターは、彼だった。あの時の恐怖を思い出した。始めて路地裏で見た日の事。遠い昔の記憶。居なくなった彼のこと。死んでしまったあの人のこと。
愛してると幾度となく囁いた。
その日を無きものにするように彼はハンターとしての責務を果たしていく。
このゲームで会えなければもう2度と会えないことはわかっていた。ハンターは死人、またはそれを超えたナニか。ゲームが終われば法則に従い死を迎え、或いはあるべき姿に戻る。死人に口無し、そう、喋ることも動くことも叶わないただの屍になる。
私が愛する殺人鬼は、殺人鬼ではなくなってしまう。過去の人になる。一昨日飲んだお気に入りの茶葉も、彼が貰ったと言ったお茶菓子も、過去の事になる。
遠い昔の、話になってしまう。
せめて最後にキスをしたかった。触れたかった。愛を確かめたかった。彼の存在も彼と私の間にあった感情すべてを確かめたかった。
鳴り響くサイレン、ゲートに向かって走り出す。
ゲートに触れ暗号を打ち込む。速く、速く、もっと速く。焦りを無理矢理押さえ込み、ひどくゆっくりと開くゲートに身を滑り込ませる。『ゲートが開いた!』そうチャットを送る。心音がし始める。
5メートル先に彼女がいる。
「速く、もう逃げられるわ!」
「っ、」
3メートル。
舞う血飛沫。
彼女の顔に諦めがあったのは、見間違いでは無かったのだと、そのとき気がついた。霧で視界が悪い。あと一歩でも下がれば私は脱出出来てしまう。
逃げる意味などあるのか?
ふと頭に浮かんだその想いは膨張する。
彼とここで死ねるならそれでいい、ここで死んでしまおう、彼に殺されるならそれで、いい。
触れることが叶う。少なくとも最期の時を彼と過ごせる。
いつか終わりが来るその日に、貴方に殺されてしまえばいいと思う。
そう思っていたことを思い出す。
出来る事なら、生きて彼と。そう思うけれど、叶わないのならこんな結末でも構わない。
心音がうるさい。ハンターが近いから。そして、私が決めたから。
一歩踏み出そうとする。
それに気づいた彼女が叫ぶ。
その声に体が止まる。
次の瞬間、霧の中から現れた手によって、私は外へと追い出された。
どうして。
どうして?
彼は1度も私の前に姿を見せなかった。私を傷つけなかった。それの意味を私は考えたくなど無かった。
表現出来ない程胸が痛かった。
目の前に積まれた札束、ゲームの賞金。一生使っても使いきれないほどの額。そんなものはあっても、彼は居ない。荘園から出たあとでさえ、私は彼の姿を探している。
いない。どこにもいない。
美しく月の輝く霧の夜にも。
埃を被ったアトリエにも。
どこにもいない。
ただ、彼の描きかけの絵がある。
「きっと貴方は地獄に堕ちた」
美しく月の輝く霧の晩に、貴方のアトリエで。窓辺に座る。彼のくれた服を着て。数回瞬きして、もう一度だけ、囁いた。
「私はどうなのかしら。天国に行ける?それとも、貴方と同じ地獄?」
答えはない。分かっている。
「あぁ、そもそも天国も地獄もないのかもしれない。死んだらそこで終わりなのかも」
答えはない。
相槌もない。
答える者など、誰も居ない。
もう一度、もう一度だけ囁くより強く、いつかより弱く、声にする。
そして。
彼が死んだあの場所で、
私は彼のように飛び降りる。
Next>>>『地獄の底でハッピーエンドを』
_________________________
↓以下ツイート
地獄の底でハッピーエンドを迎えるリパ夢の話なんだけどさ
夢主はたぶん高潔っていうのがバックにあるからそりゃあもう醜いことだらけの現世に戻らずその魂は悠久の安寧を得られますよ。
でもリッパーは違う。殺したし殺しすぎた。画家という人格を殺した。それが未来永劫消えることのない罪で背負わなきゃいけないものでそれこそ地獄のような苦しみに「地獄にいるんだから当たり前じゃないか」と嫌味を言いたくなるような時間を次の転生まで過ごし続けるんだよ。独り回想を、追憶を繰り返しながら長い長い地獄を進み続ける。それが罰。それが罪。独りでずっと死に続ける。
でも夢主は道を踏み外した。歩むべき先を逸れて堕ちた。その高潔な魂すら地獄の中ではちっぽけな明かりに過ぎず純白は徐々に闇に呑まれてリッパーの元に堕ちていく。リッパーびっくりだよね。二度と会えないと思ってた小娘がこっち来てるんだもん。帰りなさいって言うけどさ帰れないことなんかわかりきってる。夢主はいいの、しか言わない。ここですべておしまいになるより、リッパーと次の生まで、次の生でも過ごしたいから。
本当の意味での「例え地獄に堕ちたって、私は貴方を愛するわ」って言う話。あまりにも細やかなハッピーエンド。
っていう妄想をした。
とかいうツイートです。原文そのまま。
他の創作前提の短編見てると内容分かりやすいと思います。
彼女(=スー)ですが彼(=あの人)ではないです。
解釈は任せます。
広がる赤黒い血液は確かに死の匂いがした。本当に死ぬのだと、そう説明されていたにも関わらずどこか他人事のように感じていた。何時ものように翌日になればもとに戻っているんじゃないかと。
そんなことは無かった。今や死に逝った者たちはただの血塗れの布切れや糸屑と成り果てここに眠る。
荘園の主の声は壮大な劇を見終わった後の興奮状態の様で自分で考案した遊びに飽きた子供の様でもあった。次々と展開される『種明かし』すらも耳から零れ落ちる。ただ彼女の叫びだけが耳の中で木霊している。逃げろ、生きろ、君だけは。血の赤だけが生々しく、脳裏に浮かぶ。
最後のゲームのハンターは、彼だった。あの時の恐怖を思い出した。始めて路地裏で見た日の事。遠い昔の記憶。居なくなった彼のこと。死んでしまったあの人のこと。
愛してると幾度となく囁いた。
その日を無きものにするように彼はハンターとしての責務を果たしていく。
このゲームで会えなければもう2度と会えないことはわかっていた。ハンターは死人、またはそれを超えたナニか。ゲームが終われば法則に従い死を迎え、或いはあるべき姿に戻る。死人に口無し、そう、喋ることも動くことも叶わないただの屍になる。
私が愛する殺人鬼は、殺人鬼ではなくなってしまう。過去の人になる。一昨日飲んだお気に入りの茶葉も、彼が貰ったと言ったお茶菓子も、過去の事になる。
遠い昔の、話になってしまう。
せめて最後にキスをしたかった。触れたかった。愛を確かめたかった。彼の存在も彼と私の間にあった感情すべてを確かめたかった。
鳴り響くサイレン、ゲートに向かって走り出す。
ゲートに触れ暗号を打ち込む。速く、速く、もっと速く。焦りを無理矢理押さえ込み、ひどくゆっくりと開くゲートに身を滑り込ませる。『ゲートが開いた!』そうチャットを送る。心音がし始める。
5メートル先に彼女がいる。
「速く、もう逃げられるわ!」
「っ、」
3メートル。
舞う血飛沫。
彼女の顔に諦めがあったのは、見間違いでは無かったのだと、そのとき気がついた。霧で視界が悪い。あと一歩でも下がれば私は脱出出来てしまう。
逃げる意味などあるのか?
ふと頭に浮かんだその想いは膨張する。
彼とここで死ねるならそれでいい、ここで死んでしまおう、彼に殺されるならそれで、いい。
触れることが叶う。少なくとも最期の時を彼と過ごせる。
いつか終わりが来るその日に、貴方に殺されてしまえばいいと思う。
そう思っていたことを思い出す。
出来る事なら、生きて彼と。そう思うけれど、叶わないのならこんな結末でも構わない。
心音がうるさい。ハンターが近いから。そして、私が決めたから。
一歩踏み出そうとする。
それに気づいた彼女が叫ぶ。
その声に体が止まる。
次の瞬間、霧の中から現れた手によって、私は外へと追い出された。
どうして。
どうして?
彼は1度も私の前に姿を見せなかった。私を傷つけなかった。それの意味を私は考えたくなど無かった。
表現出来ない程胸が痛かった。
目の前に積まれた札束、ゲームの賞金。一生使っても使いきれないほどの額。そんなものはあっても、彼は居ない。荘園から出たあとでさえ、私は彼の姿を探している。
いない。どこにもいない。
美しく月の輝く霧の夜にも。
埃を被ったアトリエにも。
どこにもいない。
ただ、彼の描きかけの絵がある。
「きっと貴方は地獄に堕ちた」
美しく月の輝く霧の晩に、貴方のアトリエで。窓辺に座る。彼のくれた服を着て。数回瞬きして、もう一度だけ、囁いた。
「私はどうなのかしら。天国に行ける?それとも、貴方と同じ地獄?」
答えはない。分かっている。
「あぁ、そもそも天国も地獄もないのかもしれない。死んだらそこで終わりなのかも」
答えはない。
相槌もない。
答える者など、誰も居ない。
もう一度、もう一度だけ囁くより強く、いつかより弱く、声にする。
そして。
彼が死んだあの場所で、
私は彼のように飛び降りる。
Next>>>『地獄の底でハッピーエンドを』
_________________________
↓以下ツイート
地獄の底でハッピーエンドを迎えるリパ夢の話なんだけどさ
夢主はたぶん高潔っていうのがバックにあるからそりゃあもう醜いことだらけの現世に戻らずその魂は悠久の安寧を得られますよ。
でもリッパーは違う。殺したし殺しすぎた。画家という人格を殺した。それが未来永劫消えることのない罪で背負わなきゃいけないものでそれこそ地獄のような苦しみに「地獄にいるんだから当たり前じゃないか」と嫌味を言いたくなるような時間を次の転生まで過ごし続けるんだよ。独り回想を、追憶を繰り返しながら長い長い地獄を進み続ける。それが罰。それが罪。独りでずっと死に続ける。
でも夢主は道を踏み外した。歩むべき先を逸れて堕ちた。その高潔な魂すら地獄の中ではちっぽけな明かりに過ぎず純白は徐々に闇に呑まれてリッパーの元に堕ちていく。リッパーびっくりだよね。二度と会えないと思ってた小娘がこっち来てるんだもん。帰りなさいって言うけどさ帰れないことなんかわかりきってる。夢主はいいの、しか言わない。ここですべておしまいになるより、リッパーと次の生まで、次の生でも過ごしたいから。
本当の意味での「例え地獄に堕ちたって、私は貴方を愛するわ」って言う話。あまりにも細やかなハッピーエンド。
っていう妄想をした。
とかいうツイートです。原文そのまま。
他の創作前提の短編見てると内容分かりやすいと思います。
彼女(=スー)ですが彼(=あの人)ではないです。
解釈は任せます。