霧の中で
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疲れた…
さっきのゲームではオフェンス、呪術師、探鉱者、空軍を相手にした。彼らは解読もろくにせず、私に近寄って来てはお遊びのようにスタンさせてきたのだ。当然解読なんて進まないから勝てはしたのだけれど、普段のゲームの何倍も疲れた。
そんなことを考えながらぼんやりと歩いていると無意識にサバイバーの館の方へ歩いてしまっていたようだ。せっかくだし、彼女に癒してもらおうか……
彼女の部屋の前に着き、声をかけてノックをした。
「ジャック?どうしたの?」
部屋に入ってきても何も言わない私を不可解に思ったのか彼女はそう言ってきた。こちらを上目がちに見上げる姿のなんと愛らしいことか。
「いえ……」
私はぽつりと呟くと、そのまま彼女を抱きしめた。
彼女は最初こそ驚いたようで少し身を固くしていたが、しばらく抱きしめていると徐々に力を抜き、私を抱き締め返してくれた。
余計な詮索はせずにそのままで居させてくれるのがとても嬉しい。
「すみません……今日はとても疲れてしまって……しばらく、そのままで……」
ようやく絞り出すように声を出した。
「ふふ、いいのよ。私でよければ何時までもそうしてて」
私でよければ、なんてとんでもない。他でもない貴女、なまえだからいいんだ───そう思ったが口に出すことはできず、ただありがとう、とだけ言った。
かなり長い間そうしていた気がする。ようやく気が済んだ私は彼女を解放した。
「もう大丈夫なの?」
「はい。とても癒されましたよ」
少し冗談めかして言うと彼女も微笑んだ。
「それで、どうしたの?よければ教えてくれないかしら」
彼女がそう言ったので私は今日の出来事を簡単に話した。
「それは大変だったわね……今日、ケーキを貰ったの。私がお茶を淹れるから、一緒に食べましょう」
「そのくらい私が……」
彼女にそんなことをさせる訳には行かないと思ったが、駄目よ、と制止をされたので甘えることにした。全く、妙なところで頑固なんだから。
「どうぞ。貴方ほど美味しく淹れられてないと思うけど」
「いえ、貴女の作るものは何でも一番美味しいですよ」
いたずらっぽくそんなことを言う彼女を慌てて否定すると彼女は可笑しそうにくすくすと笑った。
「いただきます」
普段お茶は私の部屋でする事が多かったので彼女の部屋で食べるのはとても新鮮な感じがする。それに、彼女が私を思って用意してくれたと考えるとなんとも特別な物のようだ。あの切り裂きジャックがそんなことを考えているなどと知れたら世間は間抜けだと笑うだろうな。
しばらく他愛もない会話をしているうちに食べ終わった。
「私が片付けるわ」
「用意をさせてしまったのに、片付けまでレディにさせる訳には……」
「いいじゃない、たまには。いつも貴方ばっかりさせるのは申し訳ないもの」
頬を膨らませる彼女はとても可愛らしい。それに、こんなにも私のことを思ってくれるなんて。改めてこんなに素晴らしい女性が私の恋人だなんて信じられない。
ぼんやりしていた内に片付けは終わったようだ。
「それで、この後はどうするの?何か予定は?」
「いえ、特には。でも貴女と一緒に過ごしたいです」
「もちろんよ!それで、何をするの?」
「そうですねぇ……」
私はそのままソファに移動して腰をかけ、自身の膝をぽんぽんと叩いた。
「えっ」
「おいで」
彼女は困惑した様子で近付いて来た。
「ほら、ここに座って。ああ、貴女は本を読んだり裁縫したり何をしてても良いですよ」
「でも……」
「疲れたんです。癒してください」
彼女は恐る恐る膝の上に座ってきた。ふわりといい香りがする。そして彼女はいつも読んでいるであろう本をソファの横の机から取ると、開いて読み始めた。腕をそのまま細い腰に巻き付けると一瞬読むのが止まった気配がしたが、また読み始める。
最初こそ照れていた彼女だったが、時間が経つにつれ本に集中するようになっていた。真剣に本を読んでいる横顔はとても凛々しくて、美しい。しかし、本を読んでていいと言ったのは私の方なのだが、これではつまらない。少しイタズラしてやろうと思い、その白い首筋に顔を埋めた。
「ひあっ!ちょっと!」
「ふふふ」
「ふふふ、じゃなくて!びっくりしたじゃない」
「何やってもいいと言ったのは私の方なんですけどなんだかつまらなくなってしまって」
「もう。ほんとに我儘なんだから」
「そんな我儘な私に惚れたのは貴女でしょう?」
私がそう言うと彼女はびくりと肩を揺らし頬を赤らめた。
「そうだけど……」
「私は貴女を愛していますよ。誰よりもずっと、ね。貴女は?」
「そんなこと言うまでもないわ。私もよ」
振り返って彼女は微笑んだ。
「私も貴方を愛しているわ」
私も、と言うだけでは足りないとでも言うように彼女はそう付け足した。それがとても嬉しくて、そっとその唇に自身の唇を近付けた。
さっきのゲームではオフェンス、呪術師、探鉱者、空軍を相手にした。彼らは解読もろくにせず、私に近寄って来てはお遊びのようにスタンさせてきたのだ。当然解読なんて進まないから勝てはしたのだけれど、普段のゲームの何倍も疲れた。
そんなことを考えながらぼんやりと歩いていると無意識にサバイバーの館の方へ歩いてしまっていたようだ。せっかくだし、彼女に癒してもらおうか……
彼女の部屋の前に着き、声をかけてノックをした。
「ジャック?どうしたの?」
部屋に入ってきても何も言わない私を不可解に思ったのか彼女はそう言ってきた。こちらを上目がちに見上げる姿のなんと愛らしいことか。
「いえ……」
私はぽつりと呟くと、そのまま彼女を抱きしめた。
彼女は最初こそ驚いたようで少し身を固くしていたが、しばらく抱きしめていると徐々に力を抜き、私を抱き締め返してくれた。
余計な詮索はせずにそのままで居させてくれるのがとても嬉しい。
「すみません……今日はとても疲れてしまって……しばらく、そのままで……」
ようやく絞り出すように声を出した。
「ふふ、いいのよ。私でよければ何時までもそうしてて」
私でよければ、なんてとんでもない。他でもない貴女、なまえだからいいんだ───そう思ったが口に出すことはできず、ただありがとう、とだけ言った。
かなり長い間そうしていた気がする。ようやく気が済んだ私は彼女を解放した。
「もう大丈夫なの?」
「はい。とても癒されましたよ」
少し冗談めかして言うと彼女も微笑んだ。
「それで、どうしたの?よければ教えてくれないかしら」
彼女がそう言ったので私は今日の出来事を簡単に話した。
「それは大変だったわね……今日、ケーキを貰ったの。私がお茶を淹れるから、一緒に食べましょう」
「そのくらい私が……」
彼女にそんなことをさせる訳には行かないと思ったが、駄目よ、と制止をされたので甘えることにした。全く、妙なところで頑固なんだから。
「どうぞ。貴方ほど美味しく淹れられてないと思うけど」
「いえ、貴女の作るものは何でも一番美味しいですよ」
いたずらっぽくそんなことを言う彼女を慌てて否定すると彼女は可笑しそうにくすくすと笑った。
「いただきます」
普段お茶は私の部屋でする事が多かったので彼女の部屋で食べるのはとても新鮮な感じがする。それに、彼女が私を思って用意してくれたと考えるとなんとも特別な物のようだ。あの切り裂きジャックがそんなことを考えているなどと知れたら世間は間抜けだと笑うだろうな。
しばらく他愛もない会話をしているうちに食べ終わった。
「私が片付けるわ」
「用意をさせてしまったのに、片付けまでレディにさせる訳には……」
「いいじゃない、たまには。いつも貴方ばっかりさせるのは申し訳ないもの」
頬を膨らませる彼女はとても可愛らしい。それに、こんなにも私のことを思ってくれるなんて。改めてこんなに素晴らしい女性が私の恋人だなんて信じられない。
ぼんやりしていた内に片付けは終わったようだ。
「それで、この後はどうするの?何か予定は?」
「いえ、特には。でも貴女と一緒に過ごしたいです」
「もちろんよ!それで、何をするの?」
「そうですねぇ……」
私はそのままソファに移動して腰をかけ、自身の膝をぽんぽんと叩いた。
「えっ」
「おいで」
彼女は困惑した様子で近付いて来た。
「ほら、ここに座って。ああ、貴女は本を読んだり裁縫したり何をしてても良いですよ」
「でも……」
「疲れたんです。癒してください」
彼女は恐る恐る膝の上に座ってきた。ふわりといい香りがする。そして彼女はいつも読んでいるであろう本をソファの横の机から取ると、開いて読み始めた。腕をそのまま細い腰に巻き付けると一瞬読むのが止まった気配がしたが、また読み始める。
最初こそ照れていた彼女だったが、時間が経つにつれ本に集中するようになっていた。真剣に本を読んでいる横顔はとても凛々しくて、美しい。しかし、本を読んでていいと言ったのは私の方なのだが、これではつまらない。少しイタズラしてやろうと思い、その白い首筋に顔を埋めた。
「ひあっ!ちょっと!」
「ふふふ」
「ふふふ、じゃなくて!びっくりしたじゃない」
「何やってもいいと言ったのは私の方なんですけどなんだかつまらなくなってしまって」
「もう。ほんとに我儘なんだから」
「そんな我儘な私に惚れたのは貴女でしょう?」
私がそう言うと彼女はびくりと肩を揺らし頬を赤らめた。
「そうだけど……」
「私は貴女を愛していますよ。誰よりもずっと、ね。貴女は?」
「そんなこと言うまでもないわ。私もよ」
振り返って彼女は微笑んだ。
「私も貴方を愛しているわ」
私も、と言うだけでは足りないとでも言うように彼女はそう付け足した。それがとても嬉しくて、そっとその唇に自身の唇を近付けた。
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