霧の中で
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夜にジャックに家まで送ってもらう途中の雑談の中で最近帰るのが遅いとジャックに言ったら、帰るのが遅くなる日は迎えに行くと言ってくれた。
「貴方に迷惑じゃないの?」
「最近物騒ですし。ほら、切り裂きジャックとか……」
「でも、負担をかけるのは悪いわ……」
「いいんですよそのくらい。私はどうせ暇ですし。貴女が無事に帰れるか心配するよりその方がずっといいです」
真剣にそう言ってくれることに嬉しさを感じる。
「そう言ってくれるならお言葉に甘えようかしら」
私が微笑むと彼も微笑んでくれた。
「遅くなる時は絶対に教えてくださいよ。研究に夢中で予定してなかったのに帰るのが遅くなるなんてことが無いように」
物事に熱中できるのはいい事だけど周りが見えなくなるのは悪い癖ですよ、と言われて少し気恥しさを覚える。
「早速ですが、明日はどうなんですか?」
「うーん、微妙だけれどきっと遅くなるわ」
「じゃあ迎えに行きますね」
「ありがとう。ふふ、なんだかお母さんみたいね」
「それだけ心配なんですよ」
取り敢えず目安の時間を伝えると私の家に着いた。
「送ってくれてありがとう。また明日」
「どういたしまして。また明日」
私たちは軽く手を振って別れた。
ジャックが迎えに来てくれるという事実だけで仕事が頑張れそうだ。
次の日。仕事を終わらせた私は早くジャックに会いたいという一心で走って仕事場の外まで出てきた。
「ジャック!こんばんは!」
「なまえ。こんばんは」
日は既に沈んでいたが、今日は満月なようで月明かりに照らされ当たりは思っていたより暗くなかった。
「調子はどうですか?」
「お陰様でいい感じよ」
「それは良かった。ところで、今日はちょっと遠回りしてみませんか?」
「いいけど、どうして?」
ジャックの提案に私は首を傾げる。
「月が綺麗でしょう。月光浴でもどうかと思いまして」
それはとてもいい考えだと思った。確かに今日みたいな月なら気持ちがいいだろう。
「とは言ってもあんまり遠回りすると遅くなるので……普段貴女と昼間に会う川辺でもどうでしょう」
元々あの川辺にはたまたま遠回りしようと行ってみただけで、普段使っている道とは違っていた。ジャックと会ってからいつも通る道になっていたのだ。
「いいわね!素敵だと思う」
私がそう言うとジャックは少し微笑み、歩き始めた。
しばらく歩くと目的の川辺に着いた。よく見る景色でも月明かりに照らされると全く違うものになっていてとても幻想的だ。
「水面も植物の葉もみんな月明かりに照らされて銀色になってる……」
「綺麗ですね」
「いつもの場所がこんなに美しくなるなんて。来てよかったわ」
「ふふ、そう言っていただけてとても嬉しいです」
この空間でジャックと2人きりで、時間を忘れてしまいそうだ。
「……貴女と彼はここで出会ったんですよね」
ジャックがぽつりと言った。
「『彼』……?私がここで出会ったのはジャック、貴方だけよ」
「……これは失礼。言い間違えですよ」
「ふふ、おかしなジャックね」
私がそう言うと彼は苦笑した。
「さて、帰りましょうか」
それから私たちは他愛もない話をしながら私の家まで歩いた。
「今日はありがとう、ジャック。楽しかったわ」
「私もです。では、さようなら」
「さようなら」
名残惜しさを感じつつ私は微笑みながら背を向けた彼を見送った。
「貴方に迷惑じゃないの?」
「最近物騒ですし。ほら、切り裂きジャックとか……」
「でも、負担をかけるのは悪いわ……」
「いいんですよそのくらい。私はどうせ暇ですし。貴女が無事に帰れるか心配するよりその方がずっといいです」
真剣にそう言ってくれることに嬉しさを感じる。
「そう言ってくれるならお言葉に甘えようかしら」
私が微笑むと彼も微笑んでくれた。
「遅くなる時は絶対に教えてくださいよ。研究に夢中で予定してなかったのに帰るのが遅くなるなんてことが無いように」
物事に熱中できるのはいい事だけど周りが見えなくなるのは悪い癖ですよ、と言われて少し気恥しさを覚える。
「早速ですが、明日はどうなんですか?」
「うーん、微妙だけれどきっと遅くなるわ」
「じゃあ迎えに行きますね」
「ありがとう。ふふ、なんだかお母さんみたいね」
「それだけ心配なんですよ」
取り敢えず目安の時間を伝えると私の家に着いた。
「送ってくれてありがとう。また明日」
「どういたしまして。また明日」
私たちは軽く手を振って別れた。
ジャックが迎えに来てくれるという事実だけで仕事が頑張れそうだ。
次の日。仕事を終わらせた私は早くジャックに会いたいという一心で走って仕事場の外まで出てきた。
「ジャック!こんばんは!」
「なまえ。こんばんは」
日は既に沈んでいたが、今日は満月なようで月明かりに照らされ当たりは思っていたより暗くなかった。
「調子はどうですか?」
「お陰様でいい感じよ」
「それは良かった。ところで、今日はちょっと遠回りしてみませんか?」
「いいけど、どうして?」
ジャックの提案に私は首を傾げる。
「月が綺麗でしょう。月光浴でもどうかと思いまして」
それはとてもいい考えだと思った。確かに今日みたいな月なら気持ちがいいだろう。
「とは言ってもあんまり遠回りすると遅くなるので……普段貴女と昼間に会う川辺でもどうでしょう」
元々あの川辺にはたまたま遠回りしようと行ってみただけで、普段使っている道とは違っていた。ジャックと会ってからいつも通る道になっていたのだ。
「いいわね!素敵だと思う」
私がそう言うとジャックは少し微笑み、歩き始めた。
しばらく歩くと目的の川辺に着いた。よく見る景色でも月明かりに照らされると全く違うものになっていてとても幻想的だ。
「水面も植物の葉もみんな月明かりに照らされて銀色になってる……」
「綺麗ですね」
「いつもの場所がこんなに美しくなるなんて。来てよかったわ」
「ふふ、そう言っていただけてとても嬉しいです」
この空間でジャックと2人きりで、時間を忘れてしまいそうだ。
「……貴女と彼はここで出会ったんですよね」
ジャックがぽつりと言った。
「『彼』……?私がここで出会ったのはジャック、貴方だけよ」
「……これは失礼。言い間違えですよ」
「ふふ、おかしなジャックね」
私がそう言うと彼は苦笑した。
「さて、帰りましょうか」
それから私たちは他愛もない話をしながら私の家まで歩いた。
「今日はありがとう、ジャック。楽しかったわ」
「私もです。では、さようなら」
「さようなら」
名残惜しさを感じつつ私は微笑みながら背を向けた彼を見送った。