霧の中で
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ある夜、次の日の準備をしていた時にノックが聞こえてきた。
「……?はい、なんでしょう」
「ジャック?まだ起きてる?」
問いかけに答えたのは私の愛しい人の声で。
起きてますよ、と言いながら扉を開けると可愛らしいネグリジェに身を包んだなまえが入ってきた。
「起きててよかった」
ほっとしたようにはにかむ彼女に思わずこちらまで頬が緩んだ。仮面を外していたから見られたかもしれないなどとどうでもいいことを思う。
「どうしたんですか?」
「特に理由はないんだけどジャックと寝たいなって……いいでしょ?」
「勿論ですとも。ただ、私はまだ寝る準備が済んでないんですよ……すぐ行くので先にベッドに行ってて貰えますか?」
「分かったわ。ただ、寝ちゃうかも……」
彼女は本当に眠たいようで、時折あくびを噛み殺しているようだった。
少し経って様子を見に行くと、彼女はすやすやと寝ていた。早く寝支度など済ませてしまおう。そう思って一度ベッドを離れた。
しばらくすると、ベッドの方から彼女の声が聞こえてきた。離れているためか、聞き取ることは出来ない。
慌てて近寄ると目を赤くしてベッドの傍に立つなまえがいた。
「ど、どうしたんですか!?」
「ジャック……!!よかった……!!」
彼女が私の問いかけに答える様子もなく胸に飛び込んできたのでとりあえず抱きしめる。
「あっ……ごめんなさい。服、汚れちゃう……」
「いいですよ、貴女なら。それで、どうしたのか聞かせて貰えませんか?」
慌てて抜け出そうとする彼女を逃がさないように抱きしめ、少しでも落ち着かせようと頭を撫でた。
「笑わないでほしいんだけど………怖い夢を見たの」
「怖い夢、ですか」
彼女はこくりと頷いた。
「貴方が飛び降りる夢を見て……目が覚めて……ほっとしたと思ったらそこは荘園じゃなくてっ……」
時折しゃくり上げるように言葉を途切れさせる彼女を見ると私も辛くなる。
「ジャックと折角また会えたのに……それは全部全部私の夢で……また1人になったと思ったら辛くて、悲しくて……」
そんなに私の事を想ってくれる彼女に愛しさを感じてしまい、より力を込めてぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫ですよ。私はここにいます。もう1人にはしません」
「……ありがとう、ジャック。愛してるわ……」
「私も愛してますよ、なまえ」
彼女を抱きしめていた腕を解き、そっと触れるだけのキスをした。
「取り乱してしまってごめんなさい」
「いえ、そんなこと気にしないでください。むしろ普段からもっと私を頼ってほしいです」
「ありがとうジャック。分かったわ。それで1つお願いなんだけど……」
「なんでしょう?」
「抱きしめて、寝てくれないかしら……」
そんなこと寧ろご褒美だ。
「おやすい御用ですよ。寝ましょうか」
2人でベッドに横になり、彼女を後ろから抱きしめた。
「ふふ、よく眠れそう。なんだか落ち着くわ」
そう言うと彼女は深い眠りに落ちていった。