霧の中で
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午後から暇だったのでなまえの部屋に行ってみたが彼女の姿は無かった。
最近中庭で読書するのが楽しいと言っていたのを思い出し、中庭へ向かうことにする。
「なまえ……?」
確かに中庭に彼女はいたが、どうも船を漕いでいるようだ。
彼女の膝の上にある本が出鱈目にめくれている。
起こすべきか迷い、取り敢えず横に腰掛けることにした。
彼女の顔を覗き込んでみると、長い睫毛が頬に影を落としていた。
描きたい。
切実にそう思う。
しかしこのまま起こさずにいても首を痛めるだけだろうと思い、起こそうと声をかけた。
「なまえ」
しかし、彼女は起きる気配がない。
頬に手を当ててみるもなんの反応もなく、キスでもしてしまおうかと思って仮面をずらし、顔を近付けた。
あと少し、という所で彼女はハッと目を覚ます。
「ジャジャ、ジャック!?何してるの!?」
ああ残念だ。あと少しだったのに。
「いえ、貴女に会おうと中庭に来てみたら貴女が寝ていたのを見つけまして」
「いや、そのそっちじゃなくて……」
彼女は顔を真っ赤にしていた。
「ああ、声をかけてみても起きなかったのでキスしようかと」
えっ、と声を上げて彼女は少しの間言葉を失う。
「ごめんなさい。きっと疲れが溜まってたんだわ」
「しっかり寝た方がいいですよ」
ええ、気を付けるわ、と彼女が言おうとしたのを遮るように口付けを落とす。
「えっ!?」
「お預けを食らったので」
「い、いきなりはずるいわ……それにしても、あの時と逆ね」
彼女が言っているのは荘園に来る前、私が絵を描きながらうとうとしていたのを彼女が見つけた時のことだろう。
「声をかけても起きなかったから近付いてみたら寝てるんだもの」
くすくすと可笑しそうに笑いながら彼女は言った。
「ああ、あの時は大変でしたよ……」
ついため息混じりになった。
「うとうとしていたせいで筆が絵の関係ない所に当たってしまって」
「あの時の貴方の焦りようったらとても面白かったわ」
「仕方ないじゃないですか。貴女の絵を描いていたんですし」
「えっ、そうだったの?」
初めて知ったような反応をしている。
「そうですよ。覚えてないんですか?」
「あまりに綺麗すぎて違う女性かと……」
彼女は恥ずかしそうに顔を背ける。
「本物の方が綺麗ですよ」
彼女はハッとした表情をして顔を赤くし、黙り込んでしまった。
「照れてるんですか?」
私がそう聞くと素早く首を上下に振った。
「て、照れるに決まってるじゃない」
彼女は本当に褒め言葉に弱い。少しでも私が褒めるとすぐに照れて顔を赤くしてしまう。
その様子がとても可愛らしくて、つい沢山褒めてしまうのだ。
どこかのカウボーイ野郎も同じようなことを言っていた気がするが──まあいいだろう。
「また貴女を描きたいです。モデルになってもらっても?」
「勿論よ。貴方の絵、大好きなの」
どんな瞬間を描こうか。私は思いを巡らせた。
最近中庭で読書するのが楽しいと言っていたのを思い出し、中庭へ向かうことにする。
「なまえ……?」
確かに中庭に彼女はいたが、どうも船を漕いでいるようだ。
彼女の膝の上にある本が出鱈目にめくれている。
起こすべきか迷い、取り敢えず横に腰掛けることにした。
彼女の顔を覗き込んでみると、長い睫毛が頬に影を落としていた。
描きたい。
切実にそう思う。
しかしこのまま起こさずにいても首を痛めるだけだろうと思い、起こそうと声をかけた。
「なまえ」
しかし、彼女は起きる気配がない。
頬に手を当ててみるもなんの反応もなく、キスでもしてしまおうかと思って仮面をずらし、顔を近付けた。
あと少し、という所で彼女はハッと目を覚ます。
「ジャジャ、ジャック!?何してるの!?」
ああ残念だ。あと少しだったのに。
「いえ、貴女に会おうと中庭に来てみたら貴女が寝ていたのを見つけまして」
「いや、そのそっちじゃなくて……」
彼女は顔を真っ赤にしていた。
「ああ、声をかけてみても起きなかったのでキスしようかと」
えっ、と声を上げて彼女は少しの間言葉を失う。
「ごめんなさい。きっと疲れが溜まってたんだわ」
「しっかり寝た方がいいですよ」
ええ、気を付けるわ、と彼女が言おうとしたのを遮るように口付けを落とす。
「えっ!?」
「お預けを食らったので」
「い、いきなりはずるいわ……それにしても、あの時と逆ね」
彼女が言っているのは荘園に来る前、私が絵を描きながらうとうとしていたのを彼女が見つけた時のことだろう。
「声をかけても起きなかったから近付いてみたら寝てるんだもの」
くすくすと可笑しそうに笑いながら彼女は言った。
「ああ、あの時は大変でしたよ……」
ついため息混じりになった。
「うとうとしていたせいで筆が絵の関係ない所に当たってしまって」
「あの時の貴方の焦りようったらとても面白かったわ」
「仕方ないじゃないですか。貴女の絵を描いていたんですし」
「えっ、そうだったの?」
初めて知ったような反応をしている。
「そうですよ。覚えてないんですか?」
「あまりに綺麗すぎて違う女性かと……」
彼女は恥ずかしそうに顔を背ける。
「本物の方が綺麗ですよ」
彼女はハッとした表情をして顔を赤くし、黙り込んでしまった。
「照れてるんですか?」
私がそう聞くと素早く首を上下に振った。
「て、照れるに決まってるじゃない」
彼女は本当に褒め言葉に弱い。少しでも私が褒めるとすぐに照れて顔を赤くしてしまう。
その様子がとても可愛らしくて、つい沢山褒めてしまうのだ。
どこかのカウボーイ野郎も同じようなことを言っていた気がするが──まあいいだろう。
「また貴女を描きたいです。モデルになってもらっても?」
「勿論よ。貴方の絵、大好きなの」
どんな瞬間を描こうか。私は思いを巡らせた。