このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

1話 Story of beggining.

それは、婚約・結婚に関する契約をまとめている時のことだった。

ネーヴェとブライアンはお互い、結婚生活についての契約内容を作成していた。
「別に、ネーヴェに何か特別にやってもらおうとか考えてないから、あまり気にしなくていいよ?男除けに婚約してほしいってフィルからどストレートに言われてるし。」
「うちの父親が本当すみません。侯爵のくせして言葉をオブラートに包むことを知らなくて、、、でも、本当にいいんですか?おじ様、前に婚約者いらっしゃいましたよね?なんで」
お互い、書類から目は話さず会話をする。
「痛いところつくね、ネーヴェ。そういうところ、フィルにそっくりだぞ。お前も、もう少し言葉遣いを・・・」
「アレックスっておじさまに似たんですね。そういう所、そっくりだわ」
ネーヴェは父親に、ネーヴェの兄はブライアンに似たのか、とお互い口にするその顔は、あきれているわけではなく、どこか楽しそうでもあった。
「おじ様、私は結婚後この家の仕事を手伝うのですよね?」
ようやく書類から目を離して、ブライアンを見たネーヴェにブライアンは書類から目を離さずに口を開く。
「別にそういうのは良いよ。適当に執事や部下がいるから、そっちに仕事振るから。ネーヴェは自分のお仕事に注力していいよ。」
「でも、それっておじ様がいなくなった後、私何もできないですよ?」
「えー、それって私がサクッと死んじゃうってことかな?ひどいなぁ、ネーヴェは。結婚前から人が死んだ後のこと心配するなんて。」
笑いながら言うブライアンに、ネーヴェはむっとした表情を浮かべる。
「そんなこと言ったって、私だっておじさまのお手伝いして、領地のみんなとも仲良くなりたいです!
少しくらい仕事ができなかったら、何もできないお飾りだって絶対みんなに下に見られるし。それに、結婚するなら旦那のサポートをするのは妻の基本でしょう?」
「・・・本当に結婚するの?こんなおじさんと?別に婚約だけずっとしててもいいんじゃない?」
ネーヴェの言葉に思わず顔を上げ、苦笑しながら口を開くブライアンに、ネーヴェは多少なりとも驚く。そして、少しだけ胸が痛いことに気づいた。
「フィルも男除けができれば良いって言ってたし、、、結婚しなくても・・・いいんだよ?」
「おじ様は・・・私と結婚するのが嫌ってこと?これでも仕事はできるほうだし、剣術だってそこそこいい腕してるとは思ってるし・・・優良物件だと思うけど」
ブライアンは苦笑するだけで何も言わなかった。それがまたネーヴェをいらだたせる。
「・・・それに、この契約書、いろいろ書いてあるけど、世継ぎについては言及してないし。公爵家なんだから、子供はいらないなんて言えないでしょう?」
「なっ・・ななな何いってるの、ネーヴェ!ょ、世継ぎなんて・・・ネーヴェが心配することじゃないです!!」
顔を真っ赤にしてうろたえるブライアンにネーヴェは
「乙女か!!」
と思わず叫ぶ。
「ちょ・・・本当に何にも考えてないの!?公爵家ご当主様!」
「か。考えてるよ!弟に子供が何人かいるから別に結婚しなかったら、そっちから養子にもらおうと思ってたし。だから、そんな心配しなくていいの!おじさん、こんな若い子に手なんか出せません!!」
両手を顔で覆って言い放つブライアンに、ネーヴェは心の中で『純情乙女か!』ともう一度ツッコんだ。
「とりあえず・・・おじさまがなんか・・・乙女だってことが分かった。うん・・・」
そう独りごちると、また書類に目を落とすネーヴェ。
ブライアンは、いたたまれなくなったのか、散歩と言って部屋を出て行った。
6/6ページ
スキ