1話 Story of beggining.
「クリス・・・本当にこの量、ブライアンが一人でやってたのか?」
「残念ながらそうでございます」
「化け物かアイツ・・・」
唖然とするネーヴェに苦笑する執事長、クリス。
目の前には、大量の書類が積み上げられている。
話によると、朝から晩まで仕事すれば、すべて片付いていたらしい。
「これ・・・本当に私がやるの?絶対終わんないけど、、、」
「この中のできる仕事だけやっていただければ大丈夫です。後は、他に回した仕事の報告を受けて承認するかどうか判断していただければ。
私も暫くはこの部屋で仕事させていただきますので、何かわからないことがあれば、お声がけください」
「・・・・・・・・・・・・はい」
執事長に言われ、仕方なく席に座り、書類を1枚手にしてみる。
今まで見たことのない内容の書類だった。
思わず、公爵家の領地経営はこんなにも大変なのか、と苦笑するネーヴェ。
彼女も腐っても侯爵家。父や母に仕事を教えられ、それが役に立ち今オルガの秘書兼護衛として仕事をしているが、
この仕事はまたそれとは違った難しさがありそうだ、と思わずにはいられない。
「・・・・・・まずは種類別に分けるか」
上から順に手を付けることは早々に無理だと判断し、書類の分別にかかる。
できるもの、できないもの。
承認判断だけなのか、そうでないのか。
締め切りが急ぎなのか、そうでないのか。
書類の分別だけでも相当な時間がかかる。
できる仕事はすべて終わらせると、もう昼も回っていた。
「奥様・・・あまりご無理なさらないでくださいませ」
侍女であるリリーが、昼食と紅茶を持って心配そうに声をかけた。
「ありがとう、リリー。無理してもできる気がしないわ・・・」
ハハハ、と苦笑するネーヴェに紅茶を淹れ、昼食の準備をする。
「クリス、昼食にしよう。あと、明日の夕食時には、使用人たち全員呼んでみんなで夕食を取りたい。手配してくれないか?」
「食堂で・・・でございますか?」
「入らないなら庭でも何でもいい。全員集めて、みんなと一緒に食事がしたい。使用人と同じ食事で構わないから・・・できないかな?」
「可能ではございますが・・・」
執事長は意図を理解できないのか、訝しげに眉を顰め、ネーヴェを見やった。
「こんな時だから、みんなの顔を見ながら話がしたくて。前から言っているけど、あまり上下関係を厳しくしたくないんだ。下に見られたくはないが、畏怖の目で見られるのも居心地が悪い。ブライアンには、結婚したらどこかで屋敷の関係者全員と一緒に食事をしたい旨は伝えていたんだけど・・・」
ネーヴェはそう答えると、紅茶を一口すすった。
「それに、もしかしたらこの屋敷に犯人を手引きした者がいるかもしれない。足りない人員がいないか、不審な動きをしていないかの確認にもなるしね。まぁ・・・使用人たちには面倒この上ないかとは思うけども」
ふと表情を和らげたと思うとすぐに表情を引き締める。
「こんなことになって屋敷の人間は少なくとも動揺しているだろうし、私がどうするか気にしてると思うしね。10年以上婚約していて、出入りもよくしていてほぼ全員顔見知りとはいえ、離婚するかしないと思われてると思うし、結婚早々未亡人だしで、あいさつでもしないと、認めてもらえないと思ってね。」
これがネーヴェの本音なのだろう。その言葉を聞いて、執事長は一言、かしこまりましたと言った。
「さ、リリーも執事長も一緒に昼食にしよう。私ばかり食べるのも気が引けるから」
自分の家ではいつも誰かと一緒に食事をしていた。仕事中も、オルガなり部下なりと一緒に食事をしていた。そのため、一人で食事をするのは気が進まないネーヴェは二人に声をかけて昼食にすることにした。
「残念ながらそうでございます」
「化け物かアイツ・・・」
唖然とするネーヴェに苦笑する執事長、クリス。
目の前には、大量の書類が積み上げられている。
話によると、朝から晩まで仕事すれば、すべて片付いていたらしい。
「これ・・・本当に私がやるの?絶対終わんないけど、、、」
「この中のできる仕事だけやっていただければ大丈夫です。後は、他に回した仕事の報告を受けて承認するかどうか判断していただければ。
私も暫くはこの部屋で仕事させていただきますので、何かわからないことがあれば、お声がけください」
「・・・・・・・・・・・・はい」
執事長に言われ、仕方なく席に座り、書類を1枚手にしてみる。
今まで見たことのない内容の書類だった。
思わず、公爵家の領地経営はこんなにも大変なのか、と苦笑するネーヴェ。
彼女も腐っても侯爵家。父や母に仕事を教えられ、それが役に立ち今オルガの秘書兼護衛として仕事をしているが、
この仕事はまたそれとは違った難しさがありそうだ、と思わずにはいられない。
「・・・・・・まずは種類別に分けるか」
上から順に手を付けることは早々に無理だと判断し、書類の分別にかかる。
できるもの、できないもの。
承認判断だけなのか、そうでないのか。
締め切りが急ぎなのか、そうでないのか。
書類の分別だけでも相当な時間がかかる。
できる仕事はすべて終わらせると、もう昼も回っていた。
「奥様・・・あまりご無理なさらないでくださいませ」
侍女であるリリーが、昼食と紅茶を持って心配そうに声をかけた。
「ありがとう、リリー。無理してもできる気がしないわ・・・」
ハハハ、と苦笑するネーヴェに紅茶を淹れ、昼食の準備をする。
「クリス、昼食にしよう。あと、明日の夕食時には、使用人たち全員呼んでみんなで夕食を取りたい。手配してくれないか?」
「食堂で・・・でございますか?」
「入らないなら庭でも何でもいい。全員集めて、みんなと一緒に食事がしたい。使用人と同じ食事で構わないから・・・できないかな?」
「可能ではございますが・・・」
執事長は意図を理解できないのか、訝しげに眉を顰め、ネーヴェを見やった。
「こんな時だから、みんなの顔を見ながら話がしたくて。前から言っているけど、あまり上下関係を厳しくしたくないんだ。下に見られたくはないが、畏怖の目で見られるのも居心地が悪い。ブライアンには、結婚したらどこかで屋敷の関係者全員と一緒に食事をしたい旨は伝えていたんだけど・・・」
ネーヴェはそう答えると、紅茶を一口すすった。
「それに、もしかしたらこの屋敷に犯人を手引きした者がいるかもしれない。足りない人員がいないか、不審な動きをしていないかの確認にもなるしね。まぁ・・・使用人たちには面倒この上ないかとは思うけども」
ふと表情を和らげたと思うとすぐに表情を引き締める。
「こんなことになって屋敷の人間は少なくとも動揺しているだろうし、私がどうするか気にしてると思うしね。10年以上婚約していて、出入りもよくしていてほぼ全員顔見知りとはいえ、離婚するかしないと思われてると思うし、結婚早々未亡人だしで、あいさつでもしないと、認めてもらえないと思ってね。」
これがネーヴェの本音なのだろう。その言葉を聞いて、執事長は一言、かしこまりましたと言った。
「さ、リリーも執事長も一緒に昼食にしよう。私ばかり食べるのも気が引けるから」
自分の家ではいつも誰かと一緒に食事をしていた。仕事中も、オルガなり部下なりと一緒に食事をしていた。そのため、一人で食事をするのは気が進まないネーヴェは二人に声をかけて昼食にすることにした。