1話 Story of beggining.
ネーヴェがその一報を聞いたのは、朝一番で職務室に入った時だった。
待っていたのか、第二皇子オルガが既に職務室に居て、ネーヴェが職務室に入って来るや否やイシュメリア卿が死んだと伝えられた。
「一体誰に・・・」
「まだわからない。手がかりらしい手がかりがないんだ。犯人は魔法で痕跡を消している可能性もある。」
「困りましたね・・・」
「・・・思ったより冷静なんだな」
「私がですか?これでもはらわた煮えくり返っているのですけどもね」
ネーヴェの怒気をはらんだ声が返ってくる。
「明日結婚式を挙げる予定だったのです。あの準備が死ぬほど大変だったのに・・・いや、そういう問題じゃないですね」
大きくため息を吐き、ネーヴェは冷静になろうと深呼吸した。
「今、だれが動いているんですか?」
「兄上と私の指揮下にある部隊で全力で捜査はしている。だが、既に噂が広まっているところをみると――」
「計画的に広めていますね、、、彼を殺すと、現当主がいなくなりますし、得をするものはいくらでもいる・・・と。しかし、そうなってくると今度は私が邪魔になるのでは、、、?分家の仕業か・・・」
「そう思って、今調べているが、公爵家の分家だけあって中々手ごわい。犯人であってもそうでなくても捜査は難航しそうだ」
そう言ってオルガも大きく溜息を吐く。
「こんなことになるなら、結婚式の日付けで結婚の誓約書を書くんだった!今一番疑われるのは、『先日結婚したばかりで正式な当主夫人になった』私じゃないか!牢屋にでも入っておくべきか!?」
そう叫んでうなだれるネーヴェにオルガは苦笑する。
「殿下、こうなると、我が家も動かないわけはなく、アレックスともども父があらゆるコネを総動員して捜査を手助けするはずです。
私はしばらく顔を出さないほうがよいでしょう。イシュメリアへ戻り、そこで仕事したほうがよさそうです」
ため息交じりに言うネーヴェの顔にはわずかな動揺が見て取れる。
「私も全力は尽くすが、そのほうがよいだろう。これでだれが積極的に動くか見ておけば少しは何か情報があるだろう。兄上もこの件にはいつになく積極的だ。自分の師が亡くなったのだったら当たり前だといえば当たり前だが・・・」
「そう、、、でしたね。さて、それでは来た早々で申し訳ございませんが、私は帰宅しようと思います。後で正式に殿下のご指示を承りたく存じますので、後で使いをよこしてください」
「わかった。無理はするなよ」
そう、ネーヴェに声をかけてオルガは執務室を後にした。
「はぁ・・・・・・ブライアン・・・」
ネーヴェは誰にともなくつぶやき、肩を落とした。
待っていたのか、第二皇子オルガが既に職務室に居て、ネーヴェが職務室に入って来るや否やイシュメリア卿が死んだと伝えられた。
「一体誰に・・・」
「まだわからない。手がかりらしい手がかりがないんだ。犯人は魔法で痕跡を消している可能性もある。」
「困りましたね・・・」
「・・・思ったより冷静なんだな」
「私がですか?これでもはらわた煮えくり返っているのですけどもね」
ネーヴェの怒気をはらんだ声が返ってくる。
「明日結婚式を挙げる予定だったのです。あの準備が死ぬほど大変だったのに・・・いや、そういう問題じゃないですね」
大きくため息を吐き、ネーヴェは冷静になろうと深呼吸した。
「今、だれが動いているんですか?」
「兄上と私の指揮下にある部隊で全力で捜査はしている。だが、既に噂が広まっているところをみると――」
「計画的に広めていますね、、、彼を殺すと、現当主がいなくなりますし、得をするものはいくらでもいる・・・と。しかし、そうなってくると今度は私が邪魔になるのでは、、、?分家の仕業か・・・」
「そう思って、今調べているが、公爵家の分家だけあって中々手ごわい。犯人であってもそうでなくても捜査は難航しそうだ」
そう言ってオルガも大きく溜息を吐く。
「こんなことになるなら、結婚式の日付けで結婚の誓約書を書くんだった!今一番疑われるのは、『先日結婚したばかりで正式な当主夫人になった』私じゃないか!牢屋にでも入っておくべきか!?」
そう叫んでうなだれるネーヴェにオルガは苦笑する。
「殿下、こうなると、我が家も動かないわけはなく、アレックスともども父があらゆるコネを総動員して捜査を手助けするはずです。
私はしばらく顔を出さないほうがよいでしょう。イシュメリアへ戻り、そこで仕事したほうがよさそうです」
ため息交じりに言うネーヴェの顔にはわずかな動揺が見て取れる。
「私も全力は尽くすが、そのほうがよいだろう。これでだれが積極的に動くか見ておけば少しは何か情報があるだろう。兄上もこの件にはいつになく積極的だ。自分の師が亡くなったのだったら当たり前だといえば当たり前だが・・・」
「そう、、、でしたね。さて、それでは来た早々で申し訳ございませんが、私は帰宅しようと思います。後で正式に殿下のご指示を承りたく存じますので、後で使いをよこしてください」
「わかった。無理はするなよ」
そう、ネーヴェに声をかけてオルガは執務室を後にした。
「はぁ・・・・・・ブライアン・・・」
ネーヴェは誰にともなくつぶやき、肩を落とした。