0.5話 Stories of happening.
「父上!父上はいらっしゃるか⁉」
廊下を走り、部屋という部屋を片っ端から見て回るアレックス。
「なんだ、騒がしい。次期当主ともあろう30歳が何をそんなに大声を出すことがある」
「父上、こんなところに・・・その・・・大変なんです!ブライアンが・・・イシュメリア卿が・・・!」
息を切らしながらアレックスが事情を説明する。
「なん・・・だと?ブライアンが・・・死ん・・だ?」
あれから12年。アレックスは順調に騎士団に入団し、今では騎士団団長の座についていた。
もともとの団長であった父フィルは、現在は当主としての地位についているが、こちらもすぐにアレックスに任せるつもりでいるため、悠々自適な生活を送っていた。
ネーヴェも騎士団に入れるぐらいに剣の腕前があったが、体育会系は嫌いだと一蹴し、今では第2皇子オルガ・ファスルの秘書兼護衛を務めている。
護衛といっても、オルガはアレックスと同等の剣の腕前を持ち、2歳違いの第一皇子アルフレッド・ファスルよりも強い。
オルガはあまり政治的なコミュニケーションが得意ではないため、アルフレッドの陰に隠れるように政務をこなしている。
交渉事はほぼネーヴェが行っている。ただし、原案を出すのはオルガなので、手腕がないというわけではない。
クシュ家次男のシュニはといえば、宰相の元で働いていた。一部ではすでにシュニが裏で国政を操っているのでは、といううわさが出回るほどには優秀だった。
だからだろう、父のフィルも安心してアレックスに当主の座を早々に渡そうと思ったのは。
ただ、自分のやることがなくなってしまうのを避けるため(といっても社交の場には顔を出さなければならず、領主の座から身を引くとはいえ、領民の面倒などは見なければいけないが…)、引継ぎ期間とでもいうように、ゆっくりとその存在感を消そうとしているのだ。
「今の話は本当なのか!?何かの間違いでは・・・いや、お前がそんなことを言うはずはないな・・・」
「今、全力で犯人を探しておりますが、痕跡が全く無く・・・」
「その話は・・・どこまで広まっている」
「こちらに話が来た時にはもう、貴族間でうわさがされている状況でした。主犯が情報をリークし、混乱を狙っているようです。手際の良さから犯行は相当前から計画されていたに違いありません」
「しかし・・・なぜ彼を・・・確かに殺せば有利になる貴族は相当数いるのはわかる。わかるが、そこまでして何を手にしたいのだ、、、」
フィルはアレックスにいうと、暫くの間考え込み、ハッとする。
「・・・この話はすでに出回っているのだよな?」
「はい・・・あ、アイツは大丈夫ですよ。すでにオルガ殿下と一緒に独自に調査を開始しているようです」
「アルフレッド殿下も動いているのか?」
「はい、今回のことは皇室にも大きな衝撃を与えましたから。イシュメリア卿は、お二方ともよいご友人として付き合いがありましたし・・・」
「そうか、、、そうだな。俺たちも動こう。犯人を捕まえなければ」
廊下を走り、部屋という部屋を片っ端から見て回るアレックス。
「なんだ、騒がしい。次期当主ともあろう30歳が何をそんなに大声を出すことがある」
「父上、こんなところに・・・その・・・大変なんです!ブライアンが・・・イシュメリア卿が・・・!」
息を切らしながらアレックスが事情を説明する。
「なん・・・だと?ブライアンが・・・死ん・・だ?」
あれから12年。アレックスは順調に騎士団に入団し、今では騎士団団長の座についていた。
もともとの団長であった父フィルは、現在は当主としての地位についているが、こちらもすぐにアレックスに任せるつもりでいるため、悠々自適な生活を送っていた。
ネーヴェも騎士団に入れるぐらいに剣の腕前があったが、体育会系は嫌いだと一蹴し、今では第2皇子オルガ・ファスルの秘書兼護衛を務めている。
護衛といっても、オルガはアレックスと同等の剣の腕前を持ち、2歳違いの第一皇子アルフレッド・ファスルよりも強い。
オルガはあまり政治的なコミュニケーションが得意ではないため、アルフレッドの陰に隠れるように政務をこなしている。
交渉事はほぼネーヴェが行っている。ただし、原案を出すのはオルガなので、手腕がないというわけではない。
クシュ家次男のシュニはといえば、宰相の元で働いていた。一部ではすでにシュニが裏で国政を操っているのでは、といううわさが出回るほどには優秀だった。
だからだろう、父のフィルも安心してアレックスに当主の座を早々に渡そうと思ったのは。
ただ、自分のやることがなくなってしまうのを避けるため(といっても社交の場には顔を出さなければならず、領主の座から身を引くとはいえ、領民の面倒などは見なければいけないが…)、引継ぎ期間とでもいうように、ゆっくりとその存在感を消そうとしているのだ。
「今の話は本当なのか!?何かの間違いでは・・・いや、お前がそんなことを言うはずはないな・・・」
「今、全力で犯人を探しておりますが、痕跡が全く無く・・・」
「その話は・・・どこまで広まっている」
「こちらに話が来た時にはもう、貴族間でうわさがされている状況でした。主犯が情報をリークし、混乱を狙っているようです。手際の良さから犯行は相当前から計画されていたに違いありません」
「しかし・・・なぜ彼を・・・確かに殺せば有利になる貴族は相当数いるのはわかる。わかるが、そこまでして何を手にしたいのだ、、、」
フィルはアレックスにいうと、暫くの間考え込み、ハッとする。
「・・・この話はすでに出回っているのだよな?」
「はい・・・あ、アイツは大丈夫ですよ。すでにオルガ殿下と一緒に独自に調査を開始しているようです」
「アルフレッド殿下も動いているのか?」
「はい、今回のことは皇室にも大きな衝撃を与えましたから。イシュメリア卿は、お二方ともよいご友人として付き合いがありましたし・・・」
「そうか、、、そうだな。俺たちも動こう。犯人を捕まえなければ」