4話 Story of beginning(4)
それらしい場所、というのは所謂スラム街と呼ばれる場所だ。
二人はもともと、他国のスラム街がどうなっているのか興味があった。
自国のスラム街は街に出れば(周りから禁止されたり、怒られたりすることを除けば)いつでも調査できる。
だが、他国は無理だ。今回、お忍びという名目で来なければ、絶対にこの国が他国の皇族に見せることは無いだろう。
「お、この辺りからだろうな、リック気をつけろよ」
「お前が一番弱いからな。襲われても助けないぞ」
笑いながら言ってのける第二皇子と公爵元夫人にリックは微妙な表情で前を見据えた。
スラム街と言えば、無法地帯。汚い。路上生活。この辺の言葉がしっくりくるだろう。
「・・・子供はそんなにいないね。生活区域がそこそこしっかり分かれてるのかな」
「・・・そうだな。それに俺たちが入ってきたのに、特に誰も様子をうかがってこないのはちょっとおかしいというか、不思議な感じだな。誰か、リーダー的な人物がいて、案外統括してるんじゃないか?」
「え、何それ。うちの国も見習ってほしいんですけど」
「二人とも、まったく緊張感がないですね」
二人の会話に呆れながらも口をはさむリック。口をはさむことで、緊張をほぐしているのかもしれない。
「ネーヴェ、どうする?ここがそうだとしてももう帰らないと夕飯くいっぱぐれるぞ?」
「そうだね・・・もどろっか。特に得るものがなくても、私たちには特に問題になることは無いし」
「・・・また来ようとか言わないでくださいね?」
緊張感のかけらもなく話す二人に、ため息交じりにほっとした様子で声をかけるリック。心労は絶えない。
「それにしても・・・」
ネーヴェが口を開いた。
「ここを誰かが取り締まっているとしたら、私はその人に会ってみたかったなぁ…。ぜひとも我が国のスラム街に行ってもらって、仕切ってもらいたい。悪いことしたら私たちがとっちめればいいわけだし、、、ぜひとも」
「・・・俺はノーコメントで」
ネーヴェの言葉に、オルガが一言返した。第二とはいえまがいなりにも国の皇子が軽々しく、いいねとは言えない。
そんなことを言っているうちに、スラム街を抜け、いつの間にか繁華街に出ていた。
「すごいね。もういろんなお店が閉まっているのに、人通りはあんまり変わらない。それに通りに面した食事処も結構あるねぇ。」
「あぁ、この場所でこんなに栄えてるなら、王都はもっとすごいのかもな」
「あ~・・・でもどうですかね?王都はもっと貴族寄りの街になりますから、人通りという意味では、ここよりはきっと落ち着いてると思いますよ。うちの国の王都は、結構貴族平民入り乱れてますけど、ここは結構しっかり分けた作りにしてるって聞きますし」
「へぇ・・・よく勉強してるね、リック。えらいえらい」
ポンポンと肩を叩きねぎらうネーヴェに、少し苦笑してリックが『どうも』と答えた。
二人はもともと、他国のスラム街がどうなっているのか興味があった。
自国のスラム街は街に出れば(周りから禁止されたり、怒られたりすることを除けば)いつでも調査できる。
だが、他国は無理だ。今回、お忍びという名目で来なければ、絶対にこの国が他国の皇族に見せることは無いだろう。
「お、この辺りからだろうな、リック気をつけろよ」
「お前が一番弱いからな。襲われても助けないぞ」
笑いながら言ってのける第二皇子と公爵元夫人にリックは微妙な表情で前を見据えた。
スラム街と言えば、無法地帯。汚い。路上生活。この辺の言葉がしっくりくるだろう。
「・・・子供はそんなにいないね。生活区域がそこそこしっかり分かれてるのかな」
「・・・そうだな。それに俺たちが入ってきたのに、特に誰も様子をうかがってこないのはちょっとおかしいというか、不思議な感じだな。誰か、リーダー的な人物がいて、案外統括してるんじゃないか?」
「え、何それ。うちの国も見習ってほしいんですけど」
「二人とも、まったく緊張感がないですね」
二人の会話に呆れながらも口をはさむリック。口をはさむことで、緊張をほぐしているのかもしれない。
「ネーヴェ、どうする?ここがそうだとしてももう帰らないと夕飯くいっぱぐれるぞ?」
「そうだね・・・もどろっか。特に得るものがなくても、私たちには特に問題になることは無いし」
「・・・また来ようとか言わないでくださいね?」
緊張感のかけらもなく話す二人に、ため息交じりにほっとした様子で声をかけるリック。心労は絶えない。
「それにしても・・・」
ネーヴェが口を開いた。
「ここを誰かが取り締まっているとしたら、私はその人に会ってみたかったなぁ…。ぜひとも我が国のスラム街に行ってもらって、仕切ってもらいたい。悪いことしたら私たちがとっちめればいいわけだし、、、ぜひとも」
「・・・俺はノーコメントで」
ネーヴェの言葉に、オルガが一言返した。第二とはいえまがいなりにも国の皇子が軽々しく、いいねとは言えない。
そんなことを言っているうちに、スラム街を抜け、いつの間にか繁華街に出ていた。
「すごいね。もういろんなお店が閉まっているのに、人通りはあんまり変わらない。それに通りに面した食事処も結構あるねぇ。」
「あぁ、この場所でこんなに栄えてるなら、王都はもっとすごいのかもな」
「あ~・・・でもどうですかね?王都はもっと貴族寄りの街になりますから、人通りという意味では、ここよりはきっと落ち着いてると思いますよ。うちの国の王都は、結構貴族平民入り乱れてますけど、ここは結構しっかり分けた作りにしてるって聞きますし」
「へぇ・・・よく勉強してるね、リック。えらいえらい」
ポンポンと肩を叩きねぎらうネーヴェに、少し苦笑してリックが『どうも』と答えた。
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