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3話 Story of beginning (3)

それは、まだ彼らが学び舎で知識を習得し、気楽な日常を送っている時代

「ネーヴェ、手合わせー!」
「・・・(無視)」
「無視すんなって!授業も終わったんだから、手合わせしようぜ!」
「・・・(無視)」
本日最後の授業が終わる鐘が鳴り響き、教室からゾロゾロと制服を着た学生たちが出てくる。
最後に教室を出たネーヴェは、宿舎にいったん戻ろうと廊下を歩いていたところ、後ろから叫び声とも取れない大きな声を掛けられた。
子供か、と思いつつ面倒だと無視を決め込み、足を止めることのないネーヴェに、しびれを切らし彼女の腕をつかもうと、急ぎ足で近づき腕を伸ばした声の主だったが、しかし、その手がネーヴェの腕をつかむことは無かった。
ひょいと体をひねり、後ろから延ばされた腕をよけ、そのまま反転して声の主を見る。蔑みの目で。
「・・・あれ?隣国の王子ともあろうお方が、腕を伸ばしてストレッチですか?」
ネーヴェは思った。今すぐ消えてくれないかな?と。
「やっぱりお前は俺が認めた相手だ!」
「殿下ぁ・・・私はこれっぽっちも認められたくないですぅ」
ため息とともに流れるように否定の言葉が出てくるネーヴェ。
「なんでだよ⁉この国にたくさん強い奴はいるけど、年下で俺より強い奴なんてお前ぐらいだろ、ネーヴェ」
「じゃあ、私に試験の点数で勝ったら考えますね?」
「学年違うのにどうやって競うんだよ!」
頬を膨らませてすねるように言う相手、殿下と呼ばれたその男性に、
もし身長が20センチほど低くて、もっと華奢で筋肉がなく、はかなげな雰囲気だったらきっとかわいいのだろうな、、、と思うネーヴェだった。
「殿下、わかりませんか?」
「サフィールだ」
「・・・はい?」
「なんでお前は俺の事名前で呼ばないんだよ?」
「・・・殿下で十分じゃないですか?王子殿下」
オルガに至ってはバカとか呼んでた気がするのは気のせいだろうかと心の中で思ったが口にはしなかった。
「王族様のお名前をわたくしが口にするなどとてもとても」
完全に馬鹿にしている
「・・・どうしたら、お前に馬鹿にされないようになるんだよ」
イラっとしたのか、語気が強いが、さすがに強く出られないのか、サフィールが譲歩する。
「・・・1週間、付きまとわなければ善処します」
「・・・・・・・・・わかった」
「あと、テストの点数で私に勝ってくださいね?さすがに満点は取れないので、満点取ったら殿下の勝ちですわ」
にっこりと満面の笑みで追加条件を出すネーヴェ。
「うぐぅ・・・」
苦虫を嚙み潰したような顔でネーヴェを見るサフィール。
「では、ごきげんよう」
そう言って本来の目的地に足を向けるネーヴェ。
その後、少ししてオルガに出会い、オルガを呼び捨てにしているネーヴェを目撃し、もう一度苦虫を噛み潰すサフィールだった。
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