3話 Story of beginning (3)
暫く休みなく進み、3つ目の街に入ったところで、宿を取ることにしたネーヴェとオルガは、街の中心街から少しだけ離れた場所にある、いろいろな人間が泊っているらしい宿を見つけた。
リックが先に宿屋に入り話を聞くと、宿の女将と思われる女性は快く部屋を貸してくれたようだ。
馬車の中で宿を予約しているような話をしていたが、どうやら予定を変更したようだ。
「今の時期は閑散期に近いから、助かるって笑ってました。食事もとれるそうなので、良い宿かと思います。食堂らしい場所ものぞいてみましたが、今のところ変な輩はいなさそうでした。ここにしますか?」
「あぁ、そうだな。お前が言うなら大丈夫だろう。そういえば、馬車を置く場所はありそうなのか?」
馬車での移動は、野宿する際は中で休めばいいが、宿を取るときは邪魔でしかない。馬は厩舎に入れなければいけないし、馬車本体は、おき場所も取るし、治安が悪ければ盗まれてしまう。
「それも確認しましたが、とりあえず敷地内に馬車を置く場所はあるそうです。隠ぺい魔法を使ってもいいといわれてますので、念のため2重に掛ければ大丈夫かと」
「そうか、ではそうしてくれ。これで宿の問題はなくなったな」
まだ少し日が高いとはいえ、そろそろ日も暮れてしまう。宿が取れないとなると、最悪広場かどこか馬車が止められる場所で街中なのに野宿という事になりかねない。
「それじゃ、手続してきますので、少々お待ちください」
「あぁ、たのんだぞ」
「・・・別にこの馬車は馬車で寝心地いいんだけどね」
オルガの言葉を聞くか聞かないか、すっと宿に消えるリックの背に、ぼそりと零すネーヴェ
「・・・馬車で寝るか?」
「嘘です、ごめんなさい」
ほどなくして、リックが部屋のカギを持ってやってきた。
馬車をリックに任せ、二人は宿に入っていく。
「いらっしゃい、若い3人組なんて珍しいと思ってたら、1人はお嬢さんだったなんて。あんた、気をつけなさいよ!?」
「あははは、私に何かしようなんて気は二人にないですよぉ。ナニされるかわかってるはずなんで」
顔の近くでこぶしを握り締めて笑顔で返すネーヴェ。
「女の子なんだから、気をつけなさいよ?さて、さっきの男の子にも行ったけど、食事はそこの食堂で、時間になったら適当にきて、部屋番号を伝えてね。まぁ、あんたたちは目立つから、番号言わなくてもすぐわかりそうだけど」
はははと笑う女将に、苦笑する二人。そんなに目立つだろうか?と思っていたところにリックが帰ってきた。
「おかみさん、さっき言った通りの場所に置いてきましたけど、隠ぺい魔法かけてるんで、気を付けてくださいね?見えなくてもモノはあるんで。あと、馬のえさの分の料金はこっちで。。。」
テキパキと要件を伝え料金の支払いをするリック。支払いを済ませようとしたとき、女将が慌てる
「ちょ、ちょっとちょっと!こんなに要らないよ!さっき料金話したでしょ?閑散期だから安くしてるって、、、」
「ぁ・・・女将さん、すみません。多分大丈夫とは思うのですが、何か問題が起こった時ように多く出させてください。繁忙期の時はこのくらいの金額になるんでしょう?」
女将の言葉にすかさずネーヴェが答える。
「何か問題を起こされても困るんだけどねぇ、、、」
提示した金額が繁忙期のそれを超えているため、それ以上の意味がありそうで、返答に困る女将
「問題・・・というより、これで私たちが来たことを忘れてほしいんです。問題を起こすつもりはありませんが、誰かに聞かれてもいるとは言わないでほしいんです」
優しく、でも困ったように柔らかく微笑んでネーヴェが答えた。
これから、治安の悪い場所に足を運ぶ。いろんな人間にモノを聞くことになるだろう。そうなると、自分たちの足取りを調べ、その情報をまたほかに売ろうとする人間も出てくる。その時に、ここに滞在したという事を言われては面倒になる。
「・・・はぁ。そんなことしなくても言わないよ。でもまぁ・・・くれるっていうならもらっとこうかねぇ。夕食は良い物食わしてやるからね」
ため息交じりにそう言って女将は渋々金を受け取る。
こんな大金を渡してくる人間は今まで見たことがない。という事はずいぶんな訳ありなのだろう。もしかしたらどこかの大貴族の子息子女なのかもしれない、そう女将は思った。
リックが先に宿屋に入り話を聞くと、宿の女将と思われる女性は快く部屋を貸してくれたようだ。
馬車の中で宿を予約しているような話をしていたが、どうやら予定を変更したようだ。
「今の時期は閑散期に近いから、助かるって笑ってました。食事もとれるそうなので、良い宿かと思います。食堂らしい場所ものぞいてみましたが、今のところ変な輩はいなさそうでした。ここにしますか?」
「あぁ、そうだな。お前が言うなら大丈夫だろう。そういえば、馬車を置く場所はありそうなのか?」
馬車での移動は、野宿する際は中で休めばいいが、宿を取るときは邪魔でしかない。馬は厩舎に入れなければいけないし、馬車本体は、おき場所も取るし、治安が悪ければ盗まれてしまう。
「それも確認しましたが、とりあえず敷地内に馬車を置く場所はあるそうです。隠ぺい魔法を使ってもいいといわれてますので、念のため2重に掛ければ大丈夫かと」
「そうか、ではそうしてくれ。これで宿の問題はなくなったな」
まだ少し日が高いとはいえ、そろそろ日も暮れてしまう。宿が取れないとなると、最悪広場かどこか馬車が止められる場所で街中なのに野宿という事になりかねない。
「それじゃ、手続してきますので、少々お待ちください」
「あぁ、たのんだぞ」
「・・・別にこの馬車は馬車で寝心地いいんだけどね」
オルガの言葉を聞くか聞かないか、すっと宿に消えるリックの背に、ぼそりと零すネーヴェ
「・・・馬車で寝るか?」
「嘘です、ごめんなさい」
ほどなくして、リックが部屋のカギを持ってやってきた。
馬車をリックに任せ、二人は宿に入っていく。
「いらっしゃい、若い3人組なんて珍しいと思ってたら、1人はお嬢さんだったなんて。あんた、気をつけなさいよ!?」
「あははは、私に何かしようなんて気は二人にないですよぉ。ナニされるかわかってるはずなんで」
顔の近くでこぶしを握り締めて笑顔で返すネーヴェ。
「女の子なんだから、気をつけなさいよ?さて、さっきの男の子にも行ったけど、食事はそこの食堂で、時間になったら適当にきて、部屋番号を伝えてね。まぁ、あんたたちは目立つから、番号言わなくてもすぐわかりそうだけど」
はははと笑う女将に、苦笑する二人。そんなに目立つだろうか?と思っていたところにリックが帰ってきた。
「おかみさん、さっき言った通りの場所に置いてきましたけど、隠ぺい魔法かけてるんで、気を付けてくださいね?見えなくてもモノはあるんで。あと、馬のえさの分の料金はこっちで。。。」
テキパキと要件を伝え料金の支払いをするリック。支払いを済ませようとしたとき、女将が慌てる
「ちょ、ちょっとちょっと!こんなに要らないよ!さっき料金話したでしょ?閑散期だから安くしてるって、、、」
「ぁ・・・女将さん、すみません。多分大丈夫とは思うのですが、何か問題が起こった時ように多く出させてください。繁忙期の時はこのくらいの金額になるんでしょう?」
女将の言葉にすかさずネーヴェが答える。
「何か問題を起こされても困るんだけどねぇ、、、」
提示した金額が繁忙期のそれを超えているため、それ以上の意味がありそうで、返答に困る女将
「問題・・・というより、これで私たちが来たことを忘れてほしいんです。問題を起こすつもりはありませんが、誰かに聞かれてもいるとは言わないでほしいんです」
優しく、でも困ったように柔らかく微笑んでネーヴェが答えた。
これから、治安の悪い場所に足を運ぶ。いろんな人間にモノを聞くことになるだろう。そうなると、自分たちの足取りを調べ、その情報をまたほかに売ろうとする人間も出てくる。その時に、ここに滞在したという事を言われては面倒になる。
「・・・はぁ。そんなことしなくても言わないよ。でもまぁ・・・くれるっていうならもらっとこうかねぇ。夕食は良い物食わしてやるからね」
ため息交じりにそう言って女将は渋々金を受け取る。
こんな大金を渡してくる人間は今まで見たことがない。という事はずいぶんな訳ありなのだろう。もしかしたらどこかの大貴族の子息子女なのかもしれない、そう女将は思った。